● 15年08月04日 県議会報告

2015年8月4日 厚生労働環境常任委員会 高瀬菜穂子委員質疑・答弁(大要)「産業廃棄物不法投棄及び川の汚れに関する陳情」「福岡県乳幼児医療費支給制度の改正(案)について」



≪2015年厚生労働環境常任委員会≫

2015年8月4日

 

「産業廃棄物不法投棄及び川の汚れに関する陳情」

 

高瀬菜穂子委員

 現地は見ておりませんけれども、陳情によりますと、飯塚保健所で対応したということになっているので、この件はどのような対応をされたのか、御説明をいただけたらと思います。

 

野中監視指導課長

 この陳情の趣旨、それと県の対応状況について御説明させていただきます。
 まず、陳情の趣旨でございますが、田川郡香春町にございます有限会社トーラン、これは液卵をつくっている工場でございます。液卵と申しますのは、卵から中身を取り出しまして、それで一般的に食品加工の原料、あるいは場合によっては医薬品の原料とかに使う、そういった液卵をつくっている工場でございますが、この工場で発生します卵の殻を二十年から三十年前に会社の敷地内に捨てたこと、それと二つ目は、工場からの廃水で、同じく二、三十年前から河川が汚れていること、それと自分の家の井戸水が十年余り前から雨が降ったときに濁ると、以上三点についての陳情でございます。
 対応状況でございますが、廃棄物の苦情に関しましては、嘉穂・鞍手保健福祉環境事務所が現地の確認と、トーランに対しまして事情聴取を行いました。その結果、陳情者の家から約二百メーター程度離れた位置にあります社長の親族の土地に、当時、のり面補強のために、ビニール袋に卵殻を入れて埋めた経緯があるという説明を受けております。この廃棄物につきましては、埋め立てられた時期が相当古い状況ではございますが、飛散・流出防止のために、地表に露出した卵殻等について撤去を環境事務所のほうで指導いたしまして、撤去が行われた結果、陳情書にある写真の状況、これは昨年の七月、ことしの二月の状況の写真でございますが、この状況より改善が進んでいることを確認しております。現在、河川に廃棄物が流出している状況は確認されておりませんが、この会社のほうは、引き続き地表に残っております卵殻を撤去する意向を有しておりまして、今後とも指導を行ってまいることにしております。
 また、水質の苦情につきましては、同じく保健福祉環境事務所が苦情通報時だけではなくて、指摘のありました河川、そしてトーランの工場廃水の状況につきまして現地確認を継続して実施しておりますが、これまで陳情書に添付された写真と同様の汚濁状況を確認したことはございません。また、河川の汚濁と工場廃水との因果関係についても確認されていない状況でございます。
 今後とも、廃棄物関係、そして河川、工場廃水など現場の状況確認を行いまして、苦情への対応を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。

 

高瀬菜穂子委員

 私も現地を見ていませんのでわかりませんが、対応されているにもかかわらず、こういう陳情が出てきたということは、生活用水である井戸水についての心配があるんだろうというふうに思いますので、対応されているということですので、ぜひ、こういう状況はないという今、御答弁だったかと思いますけれども、引き続いての監視と指導をお願いしたいと思います。以上です。

 

原田博史委員長

 では、答弁はよろしいですか。

 

高瀬菜穂子委員

 はい、結構です。

 

「福岡県乳幼児医療費支給制度の改正(案)について」

 

野口児童家庭課長

 それでは、福岡県乳幼児医療費支給制度の改正(案)について、御説明いたします。
 福祉労働部の厚生労働環境委員会資料の一ページをお願いいたします。乳幼児医療費支給制度の見直しにつきましては、さきの六月議会の自民党県議団の代表質問に対しまして、知事が、助成対象年齢を現行の小学校就学前から小学六年生まで引き上げることを基本に、自己負担のあり方も含め総合的に制度設計を行い、市町村と協議を進める等を答弁したところでございますが、今般、制度設計案が固まりましたので、御説明するものでございます。
 まず、改正の理由についてでございますが、本制度は、乳幼児医療費について各市町村が一定水準の助成を行うことによりまして、乳幼児の健康保持、子育て家庭の経済的負担の軽減を図ることができるように、市町村に対して県費で助成を行うものでございます。
 恐れ入りますが、資料の四ページをごらんいただきたいと思います。四ページの一にありますように、昭和四十九年十月の制度導入以降、少子化対策の観点も踏まえまして、対象年齢を拡大する、あるいは三歳未満について完全無料化するというような見直しを行ってきたところでございます。平成二十年の十月に通院の対象年齢を三歳未満から就学前まで拡大するなどの見直しを行いましてから六年が経過しておりますが、この間、同じページの二にありますように、小学生以上を対象とする都道府県が増加してきております。
 また、資料の三にありますとおり、県内の市町村においても、入院を中心に独自の制度拡充が進められてきているところでございます。
 さらに、その下、四にありますとおり、市長会あるいは町村会からも県の制度の拡充を求める要望を受けてきているところでございます。
 このような経過や趨勢とともに、人口減少への対応が強く求められる中で、本制度は少子化対策の重要な柱として位置づけられるものであるということから、今回、制度の拡充を行うものでございます。
 恐れ入ります、再度、資料一ページにお戻りいただきたいと思います。改正の基本的方針でございますが、改正に当たっては、県全体の底上げを図りまして、乳幼児医療費助成について一定水準を確保するということ、これに加えまして、将来にわたって持続可能な制度とするため、自己負担の見直しなど、市町村それから県の財政負担にも配慮するということを基本方針としまして制度設計の検討を進めてきたところでございます。
 次に、改正内容についてでございます。資料真ん中の図に示しておりますが、左側が現行制度、それから右側が改正案でございます。右側の改正案については、改正部分についてゴシックで強調して記載しております。
 まず、現行制度ですけれども、対象を小学校就学前までとし、このうち三歳未満につきましては所得制限も自己負担もない完全無料、それから三歳以上から就学前までについては、入院で一日当たり五百円の月七日、それから通院で月六百円をそれぞれ上限として自己負担をお願いするとともに、児童手当に準拠した所得制限を行っております。
 改正案でございますけれども、今回、対象年齢につきまして、入・通院とも小学校六年生まで引き上げ、拡大します。次に、自己負担についてですが、三歳未満の乳幼児については、心身の発達が目覚ましく、それから疾病の早期発見・早期治療が極めて重要であるということから、手厚い医療費助成が実施できるように、完全無料化を継続いたします。
 三歳以上就学前までの入院の自己負担額につきましては、現行の自己負担が他の都道府県と比べまして、他の都道府県平均が三千円弱となっておりますが、これをかなり上回っておりますことから、現行の負担額のまま据え置きたいと考えております。また、新たに今回対象に加える小学生についても、就学前までと同額の設定としたいと考えております。
 それから、通院の自己負担につきましては、現行の自己負担額六百円ですけれども、これは全国的に見ても比較的低額であるということから、将来にわたって安定的な制度運営を行っていくという観点から、これを引き上げることとしております。六百円から八百円に引き上げますが、この八百円の設定に当たりましては、平成二十六年度に診療報酬改定により初診料の単価が引き上げられているということ、それから就学前のお子さんは小学生以上と比べまして時間外あるいは夜間診療といったものが多いという実態を勘案いたしまして、それぞれの時間帯の初診料単価に受診割合を乗じまして算出した額、これは七百九十五円となりますが、この額を参考として設定をいたしております。なお、これまでの六百円という通院の負担額につきましては、平成二十年度の制度を改正したときに診療報酬の乳幼児に係る時間内の初診料に相当する額として設定していたものでございます。
 それから、新たに対象に加えます小学生の通院自己負担については、同様の制度を持つ他県の平均が千二百八十円余りということ、これを参考といたしまして、千二百円としたいと考えております。なお、小学生のこの自己負担額千二百円ですけれども、これは就学前の自己負担額八百円の一・五倍になります。これにつきましては医療保険の自己負担割合が就学前二割、小学生以上が三割ということで、これも一・五倍になるということ、こういったことも参考として設定をさせていただいております。
 資料二ページになりますけれども、制度の名称につきましては、対象年齢を今回、小学生まで引き上げるということに伴いまして、「子ども医療費支給制度」に改称したいと考えております。
 県から市町村への補助率ですけれども、これについては現行の一般市町村二分の一、政令市四分の一を継続したいと考えております。
 次に、今回の改正による効果についてですが、まず対象を小学生まで引き上げるということによりまして、県内の四十三の市町村で現行の対象年齢よりも底上げが図られるということになります。
 それから、この対象年齢の引き上げによって、県制度によってカバーされる対象者は、現行制度から二十五万人増加いたしまして、三十二万人から五十七万人となります。
 対象年齢について、他県の制度と比較いたしますと、入院では制度の手厚いほうから現行で二十五位ですけれども、これが十六位へ、それから通院は十六位から七位へと上昇いたします。
 今回、三歳以上就学前までの通院自己負担を六百円から八百円と二百円引き上げますが、制度対象を小学生まで拡大するということによりまして、子供さんが生まれてから小学校を卒業するまで、一人当たりの平均医療費の負担額は、今の県制度に比べまして約八万八千円軽減されることとなります。
 制度改正の時期につきましては、市町村においてシステム改修などの準備が必要になることから、平成二十八年十月からの実施を目指したいと考えております。
 資料の三ページになりますが、政令市の補助率についてでございます。政令市の補助率については、政令市のほうから毎年、補助率を一般市町村と同じ二分の一とするようにという要望を受けているところでございます。これに対する県としての考え方ですが、これは資料に書いておりますように、まず、県は限られた財源の中で、県全体の制度の底上げを図るために補助を行うということにしておりまして、市町村の財政力などを勘案して、補助率や自己負担額を含めた全体の制度設計を行う必要がございます。政令市については、児童福祉に関しまして、児童相談所の設置や児童福祉施設の許認可などについて県と同等の権限と責任を有しておられます。また、他の一般市町村と比べて、やはり財政規模・財政力が大きいということ、それからこれまでも、県の制度に先行する形で県の基準以上の制度としてそれぞれ助成を行っておられるところでございます。このようなことから、本県では、昭和四十九年の制度開始当初は政令市に対しまして補助を全く行っておりませんでしたが、平成十七年度に当時の知事と両政令市長のトップ協議を経まして、この乳幼児の医療費支給制度については、ゼロから四分の一の補助にするということで補助率の問題について決着したという経緯がございます。このようなことによりまして、政令市に対する補助率の見直しを行うことは、難しいと考えているところでございます。
 三ページの真ん中下に表を載せておりますが、これは本県と同様、政令市を擁します府県の補助の状況をお示ししているものでございます。埼玉県、新潟県、静岡県、岡山県、この四県では政令市に全く補助を行っておりません。それから、千葉県、神奈川県、熊本県につきましては、本県と同様、政令市と一般市町村との補助率に差を設けているところでございます。
 改正案の概要等につきましては以上のとおりでございます。今後、平成二十八年十月からこの制度を県下一斉に実施できますよう、この案をもって市町村に対して丁寧に御説明をし、御理解をいただきたいと考えているところでございます。
 説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

 

高瀬菜穂子委員

 子供の医療費の助成については、私どもも運動もし、議会でも取り上げさせていただきました。拡充の方向が具体的に示されたことについて歓迎をいたしますし、ぜひとも充実の方向で頑張っていただきたいと思います。少しでも自己負担は少なく、対象年齢は広く、政令市も含めて手厚い制度となることが望ましいというふうに思っております。先日、歯科医の方々と懇談する機会がありましたけれども、歯の生えかわりの時期が一番虫歯になりやすいということでは、小学生までの拡充というのは、その後の健康にも影響があって、ぜひとも拡充してほしいという声でした。そして現在、三月の駆け込みの子供たちが大変多いと。虫歯を七本、三月中に治してほしいというようなことも言われるそうで、助成のあるうちに虫歯の治療をというようなことが実際起こっているそうですので、そういった実態からも、一刻も早いこの拡充が望まれているというふうに思います。
 政令市については、助成をしていないところもありますが、しているところもあるわけで、ぜひ中学生までも含め、制度のさらなる充実に向けて今後も努力をしていただきたいというふうに県には強く要望いたします。
 その上で、幾つか質問をしたいのですが、せんだって、現行制度の拡充の場合に、小学校六年生までのこの助成を行った場合には十九億円が必要であるというふうに一般質問の際にお答えいただいたのですが、今回の案では、自己負担が少し変わっておりますが、今回の改定案では、小学校六年生までのこの拡充で、どれぐらいの予算が必要になるのでしょうか。
 それから、同じように、今提案された中身で政令市の四分の一を二分の一にした場合の負担はどれぐらいになるのかを教えていただきたいと思います。
 それから、これは所管ではないというふうにお聞きしたんですけれども、この制度は本来、全国で行われていて、国がやるべきだと思うんですが、国のほうは逆に、現物給付をした場合にはペナルティーを科しているということで、これは国会でも大変問題になっているところです。福岡県に対する乳幼児医療の現物給付した場合にペナルティーが科されている、この影響額について、わかるようであれば教えていただきたい、わからなければ次のときにでも教えていただきたいと思うんですけれども、お願いいたします。
 まず、その三点お願いします。

 

野口児童家庭課長

 今回の制度設計によりまして、どのくらいの財政負担増があるかということでございますが、先ほども説明の中で申し上げましたが、平成二十八年度は四月からの実施はなかなか難しいかなと考えておりまして、通年でいけるのは二十九年度からになろうかと考えております。この二十九年度に幾らかという、あくまで試算ですけれども、今回の改正によりまして、県の医療費に対する補助金、これは予算としては事務費も載っているのですが、事務費は除いたところの医療費助成分の増加分が約十二億となります。現在、二十七年度当初予算で医療費助成分で三十七億程度、これが二十九年度は四十八億五千万程度の額となる見込みでございます。
 それから、この制度設計において、政令市の補助率を仮に四分の一から二分の一に引き上げた場合にどうなるかということですけれども、先ほど十二億増になると申し上げた部分が二十八億増、だから四分の一を二分の一にした場合は、十六億ぐらい負担の追加が生じるということになります。

 

飯田医療保険課長

 乳幼児医療の助成措置を拡大した場合の影響でございますけれども、国民健康保険に関して、こういうふうな地方単独事業をやった場合に、法定の国庫負担額が相当分減額されるという措置がございます。これは実際に窓口負担がどのぐらい減るのかというふうなことに応じて、それぞれの保険者ごとに決めてあるわけでございまして、今回この助成措置を拡大する場合に、具体的にどのように保険者に影響が出るかというのは、この県の拡大を受けまして、それぞれの保険者がどういうふうな窓口負担の拡大を行うかというのが現時点ではっきりしておりませんし、現状で既に県のこの基準以上の拡大をしているところもございますので、具体にどういうふうな保険財政に対する影響が出るというのは、現時点では試算が難しいと思います。
 現状、六十市町村におきまして乳幼児医療で国保に関する助成額のカット額の実績でございますけれども、二十五年度決算ベースで三億二千万円となってございます。

 

高瀬菜穂子委員

 ありがとうございます。
 国の影響額も、ペナルティーもなくなれば、少し県のほうも市町村のほうも拡充の方向に回せるのではないかというふうに思っております。県も、知事会も含めて、このペナルティーをなくすように要望していると思いますが、こうした拡充を契機にして、ぜひとも国のほうに見直しを行うように、県からも改めて声を上げていただきたいというふうに思います。
 そうした中にあっても、福岡県の義務教育、中学生までの医療費助成を行っている自治体の割合というのは、全国的に比べても、これは二〇一四年四月時点での朝日新聞の記事ですけれども、全国で一番少ないという状況になっていて、今回改定されましたら、かなり変わってくるでしょうけれども、全国的にも拡充の方向であるということでは、この制度について、ぜひとも検証もしていただいて、予算措置を県全体として取り組んでいただきたいと思っております。
 この制度、県として医療費を助成したことで、どういうふうな影響があったかということについての検証、これはぜひとも必要だというふうに思っております。群馬の県議会で、これは自民党の議員さんの質問に答えられて、当局が、中学生まで医療費を無料にしたことで、例えば、慢性疾患などの早期の受診による重症化の防止に役立っている、あるいは虫歯の治癒率が、全国平均程度だったものが五ポイントから一〇ポイントぐらい向上しているとか、また時間外受診が無料にしたことでふえるのではないかという懸念があったけれども、実際には時間外受診は減少傾向にあると、そうしたことが確認をされており、無料にすることで早期発見・早期治療につながっていて、時間外受診などの予算については逆に減っているというふうな検証がなされております。御存じかと思いますけれども、こうした観点で、福岡県でもこの無料化あるいは助成を拡充してきたことで、どういった影響があったのか、検証をぜひともやっていただきたいと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

 

野口児童家庭課長

 群馬県のその検証の内容というのは、申しわけありません、存じ上げておりませんので、それについて申し上げるべきものは今持ち合わせていないのですが、いずれにしても、これだけのお金を使う制度であるということでございまして、どういった効果というものが、それは定量的にあらわせるかどうかというのは非常に難しいとは思いますが、今おっしゃったようなものも含めて、検証というのを行っていく必要はあるだろうと考えております。

 

高瀬菜穂子委員

 予算を使う事業でありますし、また無料にすること、負担を減らしていくことで過剰な受診になるんじゃないかという声も一方ではあるわけで、これについて群馬県では、そうではないと、逆に減っているというふうな検証結果が出ているので、ぜひとも本県でも、そうした検証も含めて取り組んでいただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わりたいと思います。政令市とも、ぜひよく話し合いをしていただきたいと思います。以上です。

<< >>

  • サイト内検索

    【検索はコチラ】
  • 痴漢アンケートバナー

  • 県議会ニュース

  • 赤嶺政賢

  • 田村 貴昭

  • 仁比そうへい

  • 真島省三

  • リンク集

  • お問い合せ