● 15年10月30日 県議会報告

2015年10月30日 2015年決算特別委員会 高瀬菜穂子委員質疑・答弁 (大要)「水資源問題とダム開発について」



≪2015年決算特別委員会≫

2015年10月30日

 

高瀬菜穂子委員

 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。
 通告に従い、本日は水資源問題について伺います。
 質問に先立ちまして、資料を要求しております。十年間の給水人口及び給水量の推移、市町村別計画取水量、一日最大給水量、一日平均給水量、水道料金の一覧の資料を要求しておりますので、お取り計らいをお願いいたします。

市町村別計画取水量及び実績給水量一覧

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福岡県における給水人口及び吸水量の推移

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水道料金

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高瀬菜穂子委員

 まず、簡潔に資料の説明をお願いいたします。

 

平尾水資源対策課長

 資料一ページの福岡県における給水人口及び給水量の推移でございます。
 表を上から三つ並べておりますが、いずれも最新データでございます平成二十五年度からの過去十年間につきまして、年度ごと、県内四水道広域圏ごとに整理したもので、上水道と簡易水道を合計した数値となっております。
 一番上の表の一、現在給水人口は、水道により給水を受けている人口でございます。真ん中の二、実績一日最大給水量は、一年のうちで給水量がピークとなった日における水量でございます。一番下の三は、実績年間給水量でございます。
 恐れ入ります。次のページをお願いいたします。
 数値が縦に並んだ列のうち、一番左端のものが計画一日最大取水量でございまして、これは各市町が独自に設定した目標年度において計画している一日最大取水量でございます。
 数値の列の左から二番目、三番目には、順に一日平均給水量、一日最大給水量の平成二十五年度の実績値を記載しております。
 右端でございますが、家庭で上水道を月に二十トン使用した場合の水道料金でございます。
 資料の説明は以上でございます。

 

高瀬菜穂子委員

 ありがとうございました。
 県は、一九七八年の異常渇水を契機に、これまで水が足りないということで、ダム開発を初め、日量五万トンの海水淡水化施設、さらに二〇〇五年の西方沖地震を契機に、北九州と福岡を結ぶ緊急導水管事業も供用開始しました。それでも当初のダム計画は見直さず、現在も五ヶ山ダム、小石原川ダム、伊良原ダムと、完成すれば県内で一位、二位、三位となる巨大ダムを建設中です。
 先日、五ヶ山ダムを視察しましたが、ほぼ完成に近づいていました。本年度のダム建設予算は二百九十二億円にも上っています。これは史上最高ではないでしょうか。途方もない額をまさに湯水のごとくつぎ込んでいるという印象です。
 しかし、本当に水は足りないのか。我が党は一貫して、過大な需要予測に基づくダム建設をやめるよう求めてきました。これほどの巨費を投じてダムは必要だったのか検証が必要であると考えます。
 そこで、まず伺います。資料の一からは、給水人口がふえているのに、一日最大給水量、年間の全給水量ともに横ばい、むしろ減少傾向にあると見ることができるのではないかと考えます。この点について県の見解を伺います。
 また、今後はどのように推移すると予測しておられますか。

 

堤水道整備室長

 県全体で見ますと、給水人口は年々増加しておりますが、一日最大給水量、年間給水量は増減を繰り返しながら、一定の水準で推移をしております。これを水道広域圏ごとに比較してみますと、福岡地区及び筑後地区におきましては、給水人口の増加に伴い、年間給水量も増加しているところでございます。一方、北九州地区及び筑豊地区におきましては、給水人口が減少するに伴いまして、年間給水量が減少しております。このため、給水人口がふえているのに年間給水量が減少傾向にあるとは、一概には言えないと考えております。
 また、今後につきましても同様な傾向で推移するものと考えております。

 

高瀬菜穂子委員

 減少とは見ないということですが、この資料で見れば、給水人口は十年間で十三万人ふえ、年間給水量は千百万トン減っています。これを需要予測との関係で見てみます。県が水需給計画を定めた福岡県第四次ウォータープランは、基準年が平成五年、目標年次は平成二十二年として作成され、さらに十年後の平成三十二年を見通しています。この需要予測が基本となって水資源開発が行われてきたわけです。
 県は、水需給計画を平成十五年に点検し、下方修正、さらに平成十八年にも検証し、下方修正しました。平成十五年の点検は、ダム建設の見直しが全国で行われた中で実施されました。このとき、目標年次二十二年の予測は下方修正され、一日最大給水量は百九十六万三千トンです。しかし、実績であります今の資料を見ますと、平成二十二年の実績は百五十六万六千トン、見込みの七九%。二割も少なくなっています。四十万トンも違います。一日四十万トンの水をつくろうと思えば、ダムが幾つも要るということになります。
 需要予測をするときに基本となる数値は、一人一日最大給水量と給水人口です。十五年点検時、一人が一日に使う水の量の予測を平成二十二年に四百八リットルと見込みました。しかし、全県的に物すごく節水が進んで、実際には実績では三百二十六リットルしか使っていません。福岡地区は三百を割って二百九十四リットルしか使っていない。給水人口の予測はどうだったかというと、平成二十二年に四百八十一万一千人との予測でした。しかし、実績は資料にあるように四百六十七万。二十万人も少ないわけです。いまだに四百八十一万人には達していません。
一人が使う水の量も、給水人口も、給水量も、全て需要予測は明らかに過大であったと考えますが、いかがでしょうか。

 

平尾水資源対策課長

 需要予測についてでありますが、給水人口や一日最大給水量等につきましては、増加の要因として、人口の伸び、給水区域の拡大、給水普及率等の上昇等が考えられます。給水人口等につきましては、年度により伸びが大きな年と小さな年があるため、年度によって需要予測と実績の差がどうしても生じてまいりますが、現在、県内水道事業者で水道を使用していない地域への給水区域の拡張を計画している自治体は二十団体あり、また、給水管の延長など、水道事業者の努力による給水普及率の上昇、企業誘致の実現等による増大も見込まれていますことから、平成三十二年の需要予測につきましては過大ではないと考えております。

 

高瀬菜穂子委員

 これまでの需要予測について過大だったのではないかという問いですけれども、お答えになっていないと思います。また、過大な需要予測、先にありきだと思います。県の予測はこれまで外れ続けています。こうした過大な需要予測で巨大なダム建設は必要なかったということを改めて申し上げておきます。
 次に、各市町村の計画取水量との関係です。今回の資料は水道企業団、ダム開発に関連するところですけれども、市町村の計画取水量は目標年度によって、新規ダム開発分が含まれているところといないところがあるようですが、いずれにしても計画取水量、つまり計画時点での施設能力と実際の給水量には大きな乖離があります。久留米では一日最大給水量の一・七六倍、福岡市では一・七三倍、平均給水量との比較では実に二倍近い能力を持っているということになります。この数字から見て、既に水の供給能力は十分と言えるのではないでしょうか、お答えください。

 

堤水道整備室長

 水道は、人の生活や経済活動を行う上で不可欠なライフラインでございますため、水道事業者には水道水の供給ができないという事態は許されません。また、水道は住宅開発や商業施設の立地、企業誘致等を行う場合の地域戦略上の重要な要素でございますことから、水道事業者は、それらのための水量の確保も必要でございます。その際、計画取水量は河川等に水利権を持っておりましても、流況等の変動によって、必ずしも、その全量が取水できないことがございますため、取水の安定性を見込んで確保すべき水量が設定されておるものでございます。それに対しまして、実績一日平均給水量や実績一日最大給水量は、平成二十五年度の時点で実際に給水した量でございますので、先ほど申しました将来必要となる水量のほか、導水時、送水時の漏水、取水した水を浄化する過程での浄水ロスなどは当然含まれておらないものでございます。

 

高瀬菜穂子委員

 供給ができないことは許されないといって、無限に開発することにはならないでしょう。
 計画取水量は何を基準に決めているのか、実績給水量の二倍もの施設能力が必要なのかお答えください。

 

堤水道整備室長

 二ページの資料でお示しいたしました計画最大取水量でございますが、これは全国共通の水道施設設計指針に基づきまして、計画給水人口に計画一日一人平均使用水量を乗じた数量に、給水人口の動向や地下水利用の動向などの水需要構造の変化、さらには社会経済の将来動向や都市の発展動向などの地域特性を反映させて算出した需要予測を基礎として決められているものでございます。この需要予測でございますが、それぞれの自治体における企業誘致を初めとした地域戦略の要素も含めた将来構想を踏まえ、各水道事業者において責任を持って適切に決定されるとともに、それに応じた施設能力を整備されているものと考えております。

 

高瀬菜穂子委員

 答弁をちょっと短くお願いいたします。
 今のお答えですと、県が余り関与していないと聞こえます。しかし、水資源の開発、広域的な利用には、県が責任を持っているわけです。どれだけの水が必要なのか、その計画は適切なのかについて、市町村とともに検証、検討することは当然必要です。
 需要予測のときには、一人一日最大給水量と給水人口を掛け、負荷率を考慮していたわけです。最大給水量の二倍もの量はどう考えても大き過ぎると思います。県の過大な水需要計画に基づいて、市町村も過大な計画を立て、実績とは乖離した過大な施設能力を目指している、資料はそういう実態を示していると思います。
 この計画水量には、県南の小石原川ダム分はほとんど反映していないと考えられますので、計画水量はさらにふえるということを指摘しておきます。
 次に、水道料金の問題です。
 まず、水道料金の全国平均をお答えください。

 

堤水道整備室長

 上水道の家庭用の水道料金でございますが、一カ月に二十トン使用しました場合、厚生労働省の統計によりますと、平成二十五年度の全国平均で三千九十八円となっております。

 

高瀬菜穂子委員

 表を見ますと、本県の市町村は、この中では全国平均以下は三自治体のみです。大変高い水道料金となっております。これからダムが完成すれば、一部施設の廃止や転用があるにしても、水道料金がさらに上がる自治体が出てくるのは必至だと思います。京築地区の自治体が京築地区水道企業団から受ける水の量は、現在の日量九千五百トンから二倍の一万九千トンになります。人口減少が進み、給水実績も横ばい。そんな中で配分水量がふえれば、当然、水道料金は引き上がる。配分水量に伴う各自治体の負担がかなりふえるということについて県のお考えをお聞きします。

 

堤水道整備室長

 いろいろな水道事業体、自治体の中で、今後、給水区域を拡張していくという計画を持っております自治体の場合には、水道企業団からの配分水量の増加分に見合う料金収入が拡張区域の水道利用者から入ることが見込まれますので、必ずしも水道料金が上がるとは限らないものと考えております。
 それから、これまで地下水などの自己水源から取水して自前で水道水を製造していた水道事業者が、水源を企業団からの受水に切りかえた場合には、受水費は確かにふえますが、その一方で、それまで自前で水道水を製造するために必要であった薬品代とか電気代などの経費が不要になりますので、プラス・マイナスを考えますと、必ずしも水道料金の負担が大きくなるものではないと考えております。

 

高瀬菜穂子委員

 全ての自治体で聞き取っていただきたいと思うんですけれども、例えば、大山ダムができた際、宇美町では大山ダムの受水によって二〇%も水道料金が上がりました。筑紫野市の例では、水道料金には転嫁せずに、市がこれを受け持っているわけです。大山ダムの受水に伴って八千万円の負担が出ています。今のところ、水道料金には、需要予測が過大過ぎたんだということで、跳ね返していませんけれども、今度、五ヶ山ダムができた際には、さらに三千万円以上も負担がふえるために、水道料金をどうしようかということが今議論になっています。
 無駄な水源開発は、住民にも大きな負担を押しつけるものです。水道が、人が生活する上で不可欠である、だから供給できないということは絶対に許されないと言われましたけれども、不可欠なものであるからこそ、安全で安定的で、そしてできるだけ安価に供給しなければならないわけです。水道料金の面からも、過大な需要予測による無駄な開発は許されないということを強調しておきたいと思います。
 こうした実態から考えて、これ以上の水資源開発は必要ありません。緊急連絡管事業で行った北九州地域の工業用水を転用するなど、広域的な水利用を促進すべきです。ところが、ダムに水をためるための筑後川水系ダム群連携事業についても、ストップしたとは聞いておりません。これ以上のダム建設、ダム群連携事業は不必要だと思います。県としての今後の水資源開発についての考えをお聞きします。

平尾水資源対策課長

 今後の水資源開発についてですけれども、水資源は地域や住民の生活、経済産業活動等を支える基本的な資源として、地域の発展に大きな役割を果たしており、渇水による断水、取水制限が実施されますと、直ちに住民生活や社会経済活動に深刻なダメージを与えることになり、本県は過去、大きな渇水を経験してまいりました。安定した水資源の確保等を図るために、河川の水をせきとめて、河川水が豊富なときに水をため、水が必要なときに河川に流すダムは、有効な対策であり、将来の水需要に対応するため、五ヶ山ダム、伊良原ダム等は必要であると考えております。
 ダム建設に当たりまして、国の要請などにより事業の必要性、妥当性等の検証を行い、国の事業継続の方針決定を受けた上で進めているところであります。これにより安定的な水供給を行い、水に不安のない福岡県づくりを実現してまいりたいと考えております。
なお、筑後川水系ダム群連携事業につきましても、この事業は導水管を設置し、筑後……。

〔発言する者がある〕

 

平尾水資源対策課長

 ダム群連携事業につきましても、本県にとって必要な事業と考えておりまして、この事業につきましては現在、九州地方整備局が検討主体となり、関係自治体の意見等を聴取しながら、事業の必要性、妥当性の検証をなされておるところでございます。

 

高瀬菜穂子委員

 ただいまのお答え、全く納得できません。これまで水資源の開発は十分に行ってきました。海水淡水化施設は日量五万トンの能力があるのに、一万トン程度しかつくっていません。福岡地区水道企業団は、大山ダムの水が五万二千トン必要だと言って開発をしましたけれども、同じ筑後川の水を利水安全度を高めるために入れかわりに四万四千七百トン返していますよね。流量をふやしたわけです。水は十分に足りています。
さらに言えば、県内には活用可能な工業用水もあります。また、お隣の県ですが、耶馬渓ダムの工業用水は全く利用されていないなど、こうした水を広域的、弾力的に使えば、緊急時にも対応できるものと私は考えます。先ほど質問のあった春日那珂川水道企業団の不正ですが、これも県がきちんと調整機能を持っていれば、利水権を移譲するなどして水の融通はできたはずです。
 筑後川ダム群連携は、福岡企業団が利水安全度を高めるために、川に水をわざわざ返したのに、それをまたポンプアップして小石原川ダムなどにためるというものです。こんな浪費はないと思います。ダム群連携については国が検証しているということでありますが、県としても総合的に検証し、建設しないよう強く求め、質問を終わります。

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