● 15年11月09日 県議会報告

2015年11月9日 建築都市常任委員会 山口律子議員質疑・答弁 (大要)「空き家対策について」



≪2015年建築都市常任委員会≫

2015年11月9日

 

「空き家対策について」

 

讃井建築指導課長

 それでは、空き家対策について、御報告させていただきます。
 お手元の所管事務調査の資料の一ページをごらんください。空き家対策について、一、県内の空き家の現状でございます。右のグラフをごらんください。本県の空き家数の推移をあらわしております。平成二十五年でいいますと、黒い部分の十九万三千戸が賃貸または売却用の住宅、白い部分、わずかでございますが、七千戸が二次的住宅、いわゆる別荘等でございます。そして、斑点部分の十一万七千戸がその他の住宅でございまして、これは転勤、入院等のため長期にわたって不在となっているなど利活用されていない住宅のことでございます。これらの合計三十一万七千戸が平成二十五年の本県の空き家数でございます。五年前の平成二十年の調査より若干減少しております。一方で、空き家のうち利活用されていないその他の住宅は、前回平成二十年の九万八千戸から十一万七千戸と一九%増加しております。人口や世帯数の減少により、今後も空き家の増加が懸念されるところでございます。
 二、「空家等対策の推進に関する特別措置法」の主な内容について御説明いたします。この法律は、平成二十七年五月に全面施行されております。
 (一)制定の背景でございます。適切な管理が行われていない空き家等が地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることから、地域住民の生命等を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、あわせて空き家等の活用を促進するため、その対応が必要となっております。
 (二)所有者等・市町村の責務と国・県の役割でございます。
 所有者等の責務でございます。空き家、空き家の敷地の所有者、管理者は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空き家等の適切な管理に努めることとされております。
 市町村の責務でございます。市町村は、国が策定した基本指針に即して、空家等対策計画を策定し、これに基づく空き家対策の実施その他の空き家に関する必要な措置を適切に行うよう努めることとされております。
 国の役割でございます。国は、空き家に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本指針を策定することとされております。
 県の役割でございます。県は、市町村に対しまして技術的助言、市町村相互間の連絡調整等必要な援助を行うよう努めることとされております。
 二ページをお願いいたします。(三)市町村が実施する各種施策でございます。
 空家等対策計画の作成及び市町村協議会の設置でございます。市町村は、空き家対策を総合的かつ計画的に実施するため「空家等対策計画」を作成することができ、その作成、変更、実施に関する協議を行うため、市町村において協議会を設置することができます。
 空き家についての情報収集でございます。市町村長は、この法律の施行のために必要な限度におきまして、空き家への立入調査を行い、また所有者を把握するため固定資産税の課税情報を内部で利用することができます。空き家の実態や所有者の意向など空き家に関する情報を継続的に把握していくデータベースの整備にも努めます。
 空き家及びその跡地の活用でございます。市町村は、空き家及びその跡地に関する情報提供、その他これらの活用のための対策の実施に努めます。
 特定空家に関する措置でございます。市町村長は、次に御説明いたします特定空家の所有者に対しまして、除却、修繕等に必要な措置をとるよう助言または指導、勧告、命令を行うことができます。
 (四)特定空家等でございます。
 特定空家とは、倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、著しく衛生上有害となるおそれのある状態などにある空き家をいいます。
 代執行についてでございます。特定空家の所有者が除却、修繕等の必要な措置を命じられたにもかかわらず履行しない、また履行しても十分でない場合、または所有者が確知できない場合は、市町村は行政代執行の方法により、みずから行うことができます。
 税制上の措置についてでございます。法第十四条に基づき、市町村長が除却、修繕等を行うよう勧告した場合は、その敷地につきまして、住宅用地に係る固定資産税、都市計画税の特例措置の対象から除外されます。
 三ページをお願いいたします。三、福岡県空家対策連絡協議会について、御説明いたします。
 (一)設置目的でございます。適切な管理が行われていない空き家が地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることから、県が県内全市町村、関係団体へ呼びかけを行い、この連絡協議会を設置いたしまして、官民一体となって空き家対策を総合的に推進していくことを目的としております。
 (二)構成員と組織でございます。構成員は、県庁内各課といたしまして、税務課、消防防災指導課、広域地域振興課などの空き家対策に関係する課、十三課でございます。市町村は、県内全ての市町村でございます。関係団体は、福岡県宅地建物取引業協会、全日本不動産業協会福岡県本部、福岡中小建設業協同組合など計八団体でございます。この連絡協議会では、空き家の実態に応じて適正管理、利活用の具体的な対策を検討するため、適正管理部会と利活用部会の二つの部会を設置しております。
 (三)活動内容でございます。この連絡協議会では、空き家に関する課題及び情報を共有し、空き家の適正な管理、活用の促進に関する仕組みや方策の検討を行い、これらを達成するために必要な活動を行っていきます。
 (四)開催状況でございます。連絡協議会は、これまで二回開催しております。空家対策特別措置法や基本指針の説明を行ったほか、空き家対策の取り組み事例を紹介するなど、情報提供を行っております。専門部会の一つ、適正管理部会では、空き家問題の普及啓発・相談体制、空き家の実態調査の方法等について、また利活用部会では、官民連携による空き家の利活用、空き家バンクの活性化等について検討を行っております。
 四ページをお願いいたします。四、県の空き家対策の現状について、御説明いたします。
 一、老朽空き家対策でございます。空き家の適正な管理におきましては、空き家所有者への管理の重要性を啓発していくこと、また、多岐にわたる相談に対応するための官民が連携した相談体制を構築することが重要でございます。また、市町村が実施する空き家の実態調査や特定空家に対する措置に関する情報提供や技術的助言、市町村相互の連絡調整が必要でございます。このため、県は、市町村、関係団体と一体となって連絡協議会におきまして課題を検討し、空き家対策を推進しております。
 具体的な取り組みについてでございます。一つ目は、普及・啓発、相談体制の整備でございます。空き家が地域住民や生活環境にもたらす問題、空き家所有者がみずからの責任において適正に管理することの重要性を広く啓発するとともに、県、市町村、関係団体が連携した空き家相談体制の構築に取り組んでおります。空き家の所有者への適正管理・活用を促す啓発パンフレットにつきましては、本年七月に作成しまして、各市町村の相談窓口や関係団体の窓口で配布しております。相談体制につきましては、県内全市町村に相談窓口を設置済みでございまして、さらに専門的な相談等に対応するため、県、市町村、関係団体が連携したネットワークの構築について、検討をしております。
 二つ目は、実態調査の促進でございます。市町村が行う実態調査や所有者の意向確認の方法の策定、空き家の情報を継続して管理するデータベースの構築に取り組んでおります。実態調査につきましては、調査項目、調査方法や手順等をまとめたマニュアルの作成に取り組んでおります。また、空き家の状況や所有者の意向等を継続的に把握していくデータベースにつきましては、県内に統一的なデータベースのモデルの構築に取り組んでおります。
 三つ目は、空家対策特別措置法の円滑な運用でございます。市町村の空家等対策計画の策定と特定空家の判断方法についての技術的支援を行います。空家等対策計画の策定につきましては、計画策定に必要な情報の提供や技術的助言を行っていくこととしており、連絡協議会におきまして計画に定める具体的な事項等を検討し、計画のモデルの作成に取り組んでおります。また、特定空家等の判断におきましては、周辺への悪影響の程度や悪影響を及ぼす範囲などを適宜判断する必要があることから、具体的な判断方法について検討をしております。
 五ページをお願いいたします。二、空き家の利活用促進でございます。利用可能な空き家を有効に活用するためには、所有者の空き家活用の意向を高めることや、民間事業者の空き家を動かす取り組みが重要であります。このため、県は、市町村が取り組んでおります空き家バンクや空き家の所有者からの相談に対応する体制の整備を支援するとともに、民間における空き家流通の取り組みを促進することとしております。
 具体的な県の取り組みについてでございます。一つ目は、前回の委員会で報告いたしました福岡県空き家活用モデル普及促進事業の実施でございます。これは、民間事業者等が市町村と連携して行う「空き家活用モデル事業」に要する費用の一部を三百万円を上限に県が助成して、先導事例として県内に広く普及啓発を行う事業でございます。事業期間は平成二十七年度から三年で、六件を採択しております。
 二つ目は、空き家を含む中古住宅の流通促進でございます。県では建物の状態を検査して売り主・買い主双方が安心して取引ができるよう「住まいの健康診断」の普及に努めておりまして、健康診断費用への助成や診断を受けた中古住宅の購入者が行うリノベーション工事費への助成を行っております。また、健康診断を受けた住宅に対する金利優遇の適用等を県内の金融機関に働きかけ、現在十八の金融機関が実施しております。
 三つ目は、平成二十六年三月に策定しました市町村向けの「空き家対策マニュアル」の拡充でございます。現在、この改訂作業を進めております。
 四つ目は、市町村が行っております空き家バンクの設置の促進でございます。現在空き家バンクを設置している市町村は二十一市町村となっております。県では、この空き家バンクの設置をさらに促すため、利活用部会におきまして先進的な市町村の取り組み等について情報を共有し意見交換を行っております。他の自治体の事例や民間と連携した効果的な運営方法を紹介する「空き家バンクの手引き」の策定にも取り組んでおります。
 参考資料をごらんください。こちらのほうにただいま御説明いたしました空家対策特別措置法の概要を一ページに、二ページに国が策定した基本指針の概要を、三ページ、四ページに特定空家等のガイドライン、五ページ、六ページに協議会で作成しました所有者等に対する啓発パンフレット、七ページ、八ページに平成二十六年三月に県が作成しました空き家対策マニュアルの概要版をそれぞれ添付しております。
 今後も、県民の生活環境の維持向上に向けまして、県関係各課、市町村、民間団体等と連携を深め、県内の空き家対策を総合的に推進してまいりたいと考えております。
 説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

 

山口律子委員

 三点についてお聞きいたします。まず一つは、特定空家についてです。高齢化が進んでいる中で空き家がふえているというのは、地元で非常にいろんな方が声に出し、空き家をぜひ貸したいけれども、余りに多くて借り手が少ないとか、それから家のすぐ上の空き家が老朽化して、台風のときなど不安でたまらない、何とかしてもらえないかという相談がよくあります。そういう中で、こういう政策をどんどん進めていかれるのはとてもいいことだと思います。特定空家の件ですが、特定空家に指定するということは、最終的には撤去をしてもらう、命じる、そしてしなければ代執行するということで、特定空家を認定するときに、いろいろなことを考えていかなきゃいけないと思うのですが、これを指定するところでの財産の問題等もありますから、その辺の配慮は十分にされていると思いますが、特にその点についてお聞きいたします。

 

讃井建築指導課長

 委員御発言のとおり、特定空家というのは、財産権を制約する措置につながることがございますので、事前指導から始まりまして、十分な措置の猶予期間を設けまして、勧告、命令と進めていくように配慮するようになっております。

 

山口律子委員

 ぜひその点を十分に配慮して市町村に助言をしていただきたいと思います。
 それから第二点は、中古住宅流通の促進という五ページのところですが、1)、2)、3)といろいろな助成が行われて、これによって促進されると思うのですが、この内容を教えていただきたい。

 

岩永住宅計画課長

 県のほうでは、中古住宅流通の促進ということで三点ほどやっておりまして、まず一つ目の健康診断費用の一部を助成というところでございますが、これは中古住宅の老朽ぐあい、こういったものを調査いたしまして、その状態を明らかにして、購入者の方に安心して購入していただこうという内容でございまして、助成につきましては、一戸建て住宅につきましては、五万四千円の費用の二分の一を補助しているところでございます。
 二つ目の健康診断を受けた中古住宅を購入された方が行うリノベーション工事費の一部を助成ということでございますけれども、この分につきましては、中古住宅の質の向上を図るリノベーション工事を行う際に費用の一部を助成するものでございまして、補助につきましては、工事費の二〇%かつ二十万円以内ということで現在行っております。
 三つ目の金融機関によります購入ローンの金利優遇等ということでございますけれども、県が金融機関に働きかけまして、購入ローンにつきまして金利の引き下げ等をお願いしたところでございますけれども、主な内容につきましては、金利の〇・一%を下げるですとか、あるいは手数料、こういったものの減免等を行うという内容になっております。

山口律子委員

 ありがとうございました。これでいろんな方が何とか自分が住んできた大切な思い出のある家を、ただ空き家にしておくのではなく、流通して、どなたかが借りていただければということで進んでいく政策だと思います。
 それで、空き家にしないということも非常に重要な点じゃないかなと思うんです。住んでいる家がいろいろな問題があると。何とか手を入れたいけれども、どうしようかということで、空き家にして、ほかのところに移るというようなこともあるかと思います。それで、空き家にしないということでは、住んでいる人がリフォームをしていく、そういう工事にも助成をしていってはどうかと思うんです。市町村では、そういう政策が福岡県でもこの八年ぐらいであちこち進み始めています。それから、県段階でも、隣の佐賀県も含めて、そういう住宅リフォーム助成制度を行い、佐賀では、経済効果は三十倍になったというようなことで、住んでいる方も、それから建設業関係の方も、いろいろなところの経済効果もあるということで、こういうところを県としても、市町村のような高額ではなくても、リフォームを促していくということで考えていってはどうかと思います。どうでしょうか。

 

岩永住宅計画課長

 委員御指摘のように、空き家にしないということはとても大事なことだと思います。ただ、リフォームにつきましては、内容も広範囲で多岐にわたっておりまして、個人の財産として、個人の考えで行われるものであるというふうに考えております。このため、リフォームの助成制度につきましては、公平性ですとか公益性の観点から、困難であるというふうに考えております。
 県のほうでは、住宅の耐震化、こういったものの意識を向上させるために、木造戸建て住宅の耐震改修に対する補助ですとか、今御説明いたしました質の向上に資するリノベーション工事、こういった補助を行っておるところでございます。県のほうでは、これらのほかに、国が実施しております長期優良住宅化リフォーム補助がございますけれども、こういったものを周知いたしましたり、あるいは中小工務店を対象としました講習会、こういったものを行うことなどによりまして、リフォーム市場の活性化を促進していくということで、良質な住宅ストックの形成ですとか、経済の活性化、こういったものにつなげてまいりたいというふうに考えております。

 

山口律子委員

 今、実際に対応されているところは非常に重要な点だと思いますが、個人の財産だからできないということだったら、中小企業を次に流通の促進のために出しているのもやっぱり個人の財産ですし、そういう個人の財産だけではなくて、今の経済を活性化する、短期的にぐんと持ち上げる力があるのが住宅リフォーム助成制度だと、全国で今、大はやりなんですね。ですから、その辺も考え方を変えて、この制度を進めていただけたらと要望いたします。

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