● 16年03月03日 県議会報告

2016年3月3日 2月定例会 高瀬菜穂子議員一般質問(大要)「子どもの医療費助成拡充にともなう自己負担額増をやめよ」「鳥獣被害防止対策について」「放置竹林対策について」



 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。通告に従い、一般質問を行います。

 

子どもの医療費助成拡充にともなう自己負担額増をやめよ

 

 まず、子どもの医療費助成についてです。県は、これまでの助成制度の年齢を小学校6年生まで拡充するとともに、自己負担の限度額600円を800円に、小学生は1200円にするとしています。かねてより子育て世代のもっとも切実な要求であるこの制度の年齢拡充を歓迎するものです。しかし、多くの自治体が無料化を実現している中で、800円、1200円の自己負担はけっして軽いものではなく、また、県が自己負担額を引き上げたことで、これまで無料であった自治体が負担額を県と同レベルに上げるという逆行まで起こっていることは由々しき事態です。

 昨年6月議会で、県は、現行の自己負担600円を小学6年まで拡充した場合の負担額は19億円と答えられました。一方、来制度10月から半年間の予算増額は4億円余、年間では12億円規模と聞きました。つまり現行制度を維持する場合に必要な予算はあと7億円程度です。子育て世帯に大きな安心をもたらすと同時に、子どもの貧困対策としても、極めて大きな効果が期待できる子どもの医療費助成を抜本的に拡充すべきであり、せめて現行制度同様、自己負担600円に据え置くために予算措置を行うべきだと考えます。知事の見解を伺います。

 

【小川知事答弁】

  高瀬議員にお答え申し上げます。子ども医療費支給制度における自己負担額についてでございます。

 今回、対象年齢を小学6年生まで拡大することで、市町村及び県に大きな財政負担が生じることから、将来にわたって持続可能な制度とするため、他県と比較し、現在半額程度となっている通院の自己負担額を引き上げることとしたものでございます。

 なお、就学前の児童については負担増となりますが、出生から小学校卒業までの全期間を通じた累計では大幅な負担減となり、子育て家庭の経済的負担を軽減させることになると考えております。

 

鳥獣被害防止対策について

 次に、鳥獣被害防止対策についてお尋ねします。

 野生鳥獣による被害対策については、本議会でもたびたび取り上げられているところです。鳥獣被害は営農意欲の減退、耕作放棄地の増加等をもたらし、被害額として数字に表れる以上に農山漁村に深刻な影響を与えると、国は、特別措置法を設置し、交付金制度をつくりました。本県の被害額も5年間で3億8千万円減少し、11億9千万円となっています。それでも、2013年度農水省の統計によれば、本県の被害額は、北海道についで全国第2位であり、被害面積あたりの被害額では北海道の10倍以上もあります。本県の野生鳥獣の被害は極めて深刻であり、対策強化は待ったなしの課題です。

 わたくしの地元の小倉南区では、イノシシとともにサルの被害が深刻でした。高齢者が威嚇されて外に出られない、5,60匹のサルの群れが移動しながら、畑の作物を根こそぎとっていくこともたびたびありました。関係市町の連携でサル対策会議が行われました。サルに発信機・ID番号をつけ、生息調査を行うほか、地域住民の協力でニホンザルの保護とともに、個体数を管理することとなり、被害が激減しました。地域と行政との連携が大きな効果をもたらしています。こうした取り組みに県としてどのような支援を行ったのか、まずお尋ねします。

 長崎県佐世保市では、狩猟免許の取得にかかる講習受講料、健康診断書などの費用を県市で負担するなどして有害鳥獣捕獲従事者をこの10年間で127人から260人に増やしています。また、捕獲報奨金制度も国の制度に上乗せし、被害額を6分の1以下に減少させています。そこでおたずねします。

 本県の狩猟登録者数及び平均年齢の推移はどうなっていますか。北九州ではこの10年で488人から348人に残念ながら減っております。狩猟免許の取得の際に必要な申請手数料や講習受講料、健康診断書、また3年ごとの更新時の手数料などの経費について助成すべきだと考えます。県にはどのような支援制度があり、その実績はどうなっているのか、お答えください。

 全国的に捕獲がすすんだ要因は、2013年から1頭8000円の助成が国の交付金によりおこなわれたことだと思います。狩猟者からも、「ボランティアでは続かない。この予算措置は画期的だ。」と評価されています。佐賀県では、国の交付金に加え、県と市町村が2500円を上乗せしイノシシ1頭あたり13000円に、大分県ではイノシシ3000円、シカ2000円を県が、さらに県と同額以上を市町村が助成して、イノシシ1頭当たり14000円以上にしています。県内でも上毛町が独自に7000円上乗せしているということです。九州各県で、独自助成を行っていないのは鹿児島県と本県だけです。被害が深刻な本県においてこそ、独自の予算措置が必要ではありませんか。知事の見解を伺います。

 

【小川知事答弁】

  二ホンザルの被害防止についてお答えします。

 稀少野生生物であるニホンザルによる被害が、農産物だけではなく人や家屋に対しても発生している状況にございます。このため県では、鳥獣被害防止特措法に基づく国の指針に即して、ニホンザルの保護と管理を図るため「福岡県ニホンザル対策基本方針」を策定しております。

 ニホンザルの群れが農地や人家に年間を通して出没し、農産物に被害を与え、人への威嚇などが生じている場合には、この方針に基づき、市町村はサルの群れを捕獲することができるようになってございます。具体的には、ニホンザルの被害を受けている北九州市や香春町          などの市町は、その生息数や被害についての事前調査を行い、その結果に基づいて大規模な捕獲わなや恒久柵の設置などの対策を実施し、事後のモニタリングを行っております。

 次に狩猟者の支援についてでございます。

 本県の狩猟登録者数は、平成24年度以降、3100人程度で推移しており、26年度の平均年齢は63歳と高齢化しております。県では、新たな狩猟者を確保するため、狩猟免許の取得経費を助成しており、平成27年度は47名の方が活用されました。また、免許取得の機会を増やすため、狩猟試験をこれまでの2回から、平成26年度には4回に増やしております。

 この結果、銃猟の免許合格者数は22年度に27名まで減少しておりましたが、27年度は106名まで増加しております。

 捕獲活動の支援についてでございます。

 県では、平成24年度から鳥獣被害対策の予算を大幅に拡充したことで捕獲頭数は伸び、農林水産物の被害額は年々減少しております。この捕獲活動に要する経費については、国の交付金を活用して支援しております。これに加え、県独自の捕獲対策としては狩猟者に対し、一斉捕獲を実施する際の弾丸などを猟友会に対しては、新規銃猟者に対する安全教育や技術研修会の開催を支援しております。

 なお、国の交付金による捕獲活動への支援は、狩猟者の捕獲意欲の向上に有効なことから、今後とも継続できるよう国に要望してまいります。

 

放置竹林対策について

 最後に、放置竹林対策について伺います。

 林野庁の2012年統計によれば、福岡県の竹林面積は、鹿児島県、大分県についで、全国で3番目に広く、12856ヘクタールにもなっています。 森林に占める竹林面積の割合では、鹿児島県2.7%、大分県3.0%に対し、本県は5.8%と極めて高く、全国一です。しかも、鹿児島、大分は5年前と比べ、竹林面積の割合は横ばいですが、本県は5.4%から0.4%も増加させています。全国平均は、0.6%であり割合を減少させている県もある中で、本県の侵入竹・放置竹林の実態は、大変深刻であり、鳥獣対策同様、喫緊の課題であります。

 北九州地区では、毎日テニスコート3面分の放置竹林が増えているとのことです。県は、侵入竹の伐採放置竹林の整備を実施してきましたが、それでは追いつかず、結局県全体では5年間で430ヘクタールも竹林は増えているではありませんか。

 このような実態を、県はどのように認識し、今後どのような対策を講じようとしておられるのか、お尋ねします。このことに対処するためには、国の補助事業で行っている放置竹林の他樹種への転換などを県独自でも行うことや侵入竹の伐採などの対策を計画的に行うべきだと考えます。また、竹を使ったバイオマス利用など新たな用途開発も必要と考えます。県の取り組みについて伺います。

 私は、竹を使ったバイオマス発電の技術開発が特に重要だと考えます。これについて国への要請も含め取り組んでいただきたい、この点は要望といたします。あわせて、来年度で終了する森林環境税の一部を侵入竹対策にも使っているとのことですが、環境税ではなく一般財源で、全国でも最も深刻な事態にある本県の放置竹林対策に本腰を入れた取り組みを行うよう求め、質問を終わります。

 

【小川知事答弁】

 放置竹林の対策についてお答えします。

 管理が放棄された竹林は、それに隣接する森林に侵入し悪影響を及ぼすことから、放置竹林の解消に向けた対策が必要でございます。

 県では、森林環境税を活用し市町村が実施するスギなどの人工林へ侵入した竹の伐採や、NPO等の団体が実施する竹の伐採などの活動について支援しております。また、放置竹林を解消させるモデル事業に平成23年度から3年間取り組み、竹の密度など現場条件に応じた整備コストを明らかにし、補助事業に係る単価を実勢に見合うよう26年度に約4割引き上げました。

 この結果、県や市町村・森林組合などが実施する放置竹林における他の樹種への植え替えや、人工林における侵入竹の伐採の面積が平成26年度には、5年前の1.5倍の約290ヘクタールとなっております。

 県では今年度から、竹に含まれる機能性成分を活用した園芸作物の病害予防や成長促進につながる農業用資材の開発、竹チップから放出される発酵熱を活用した施設園芸作物の増収技術の開発などに取り組んでおります。

 

<高瀬県議 第二質問>

 知事に要望いたします。子どもの医療費無料化は、経済的状況にかかわらず、子どもが急病の時、財布を持たずに病院に行けるようにと全国で運動が広がり全自治体で取り組まれているものです。特に急病の多い就学前においては、無料であることが安心して病院に行ける担保となります。せっかく無料だった自治体が自己負担を増やす逆行は残念でなりません。県が現行600円を維持することで、県下の自治体に子育て世代の負担軽減を呼びかけていただきたい。強く要望いたします。

 鳥獣対策、竹林対策について、さまざま対策を述べられましたが、問題は、それでも被害が全国で最悪レベルであるということです。

 とりわけ、竹林については、森林環境税を県民から特別に徴収しながら、全国でもっとも竹林を増やしているではありませんか。このままでは里山など県民生活にも影響を及ぼし、のちに大きな財政負担になります。対策の強化を強く求め、質問を終わります。

 

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