● 16年06月16日 県議会報告

2016年6月16日 6月定例会 山口律子議員一般質問・答弁(大要)「本県地域防災計画の見直しを」「放課後児童クラブの充実を」



2016年6月16日   6月定例会・山口律子議員一般質問(大要)

本県地域防災計画の見直しを

  日本共産党の山口律子です。熊本地震で亡くなられた皆様、被災された皆様に心からの哀悼とお見舞いを申し上げます。あわせて、被災者・被災地支援に奮闘された本県職員をはじめ県民の皆様に心からの敬意を表します。

 私ども共産党県議団も被災直後から三回にわたって熊本市、南阿蘇村、益城町、菊陽町、西原村などに救援活動に入りました。現地の復旧・復興は緒に就いたばかりですが、本県の防災活動に生かすべき教訓も浮き彫りになりつつあります。

 私は、本県の地域防災計画の見直し、改善に絞って5点お尋ねします。

 第一は、県地域防災計画の災害想定の見直しについてです。本計画は、東日本の大震災を受け、地震の想定については平成24年に見直されていますが、いわゆる本震単発の想定はあっても、今回の熊本のような震度7、マグニチュード6クラスの直下型地震が連続して発生する事態は想定していません。

 例えば小倉東断層帯の場合、平成24年の見直しで、それまでのM6.5から6.9に、人的被害や建物被害の想定も修正されました。しかし連続地震の場合、被害はどうなるのか、という想定は、これからの課題です。

 大地震の発生が懸念されている小倉東、西山、警固、水縄などの断層については、発生震度、発生回数の想定を見直す必要があります。知事の見解をお尋ねします。

 第二は、食料備蓄の問題です。西日本新聞は5月19日付で、九州各県の備蓄状況を報道しました。本県の場合、「備蓄基本計画」をもっており、想定避難者の一日分の食料備蓄を「目標」として市町村に提起していますが、県内60自治体の22%、13の市と町が「備蓄ゼロ」と報道されています。熊本地震では多くの避難所で食料不足が深刻化しました。被災者の生命をまもるために、備蓄は絶対に必要です。市町村での備蓄を進めるために県行政のイニシアティブが必要です。知事のご所見を伺います。

 第三は、災害時要援護者の問題です。本県の計画は「市町村における福祉避難所の指定や運営要員・資器材の確保を促進するとともに病院等の医療機能の維持が困難になった場合において、入院患者の受入が円滑に行われるよう、関係団体と協議しながら施設間の協力体制の整備に努める」と明記しています。

 しかし被災地熊本では、福祉施設の大半の職員が被災し、施設も緊急避難所として開放したケースが多いため、実際に福祉避難所として機能した箇所は、わずかでした。

 福祉避難所を実際に機能させるためには被災地から一定の距離がある同一県内市町村の医療・福祉施設との広域連携が決定的との指摘もあります。県内施設の広域連携ネットワークづくりについて見解をお尋ねします。

 第四は被災家屋の応急危険度判定の問題です。熊本では、本震によって人的被害が増大し、多くの方が家の中で寝るのが怖いと車中泊しました。二次災害を防止するため応急危険度判定が急がれます。今後の非常時に備えるため、熊本地震における県の応急危険度判定の支援状況と、応急危険度判定における広域連携の取り組みについて知事のお考えをお尋ねします。

 第五は、原子力防災についてです。巨大連続地震のもとで、新幹線、在来線、高速道、一般道が広域にわたって寸断され、広域避難も屋内退避も不可能となり、避難計画の実効性が根底から覆されました。川内原発の基準地震動は620ガルですが、4月16日の本震では益城町をはじめ9つの観測点で基準を超えました。しかも連続発生は「想定していない」というのが原子力規制庁の立場です。これでは「基準」に値しません。震災時の原子炉緊急停止基準の抜本的再検討を国に求めるべき時だと考えますが、知事のご所見をお尋ねし、この項の質問を終わります。

 

【小川知事答弁】

 県地域防災計画の災害想定の見直しについて

  今回の熊本地震では、震度7の地震が連続して発生いたしました。

こうした事態も含め、地震の規模や発生回数などの災害想定や、それに伴う被害想定の考え方については、国や専門家等の検証も踏まえる必要がございます。そのため、その検証結果を待って、見直しを行ってまいりたいと考えております。

 

食料備蓄の問題について

  県では、大規模災害発生直後の流通機能の麻痺を想定し、発災から3日間の自助・共助・公助による備蓄のあり方を定めた県備蓄基本計画を策定しております。

 市町村については、住民の持参物資や協定事業者等からの調達も含め、それぞれの市町村の最大想定避難者数の3日分の食料備蓄に努めることとしております。

 そのうち、現物備蓄については、一日分以上を確保するよう努めることとし、当面、平成27年度までに3分の1日分、30年度までに3分の2日分を確保するよう努めることとしております。

 本年3月末時点で、平成27年度の目標量を達成していない市町村が16団体、そのうち現物備蓄を全く行っていない市町村が9団体ありました。

 県としては、市町村が基礎的自治体として一義的に被災者に食料等を供給する責務を有していることから、引き続き、これら市町村に対し、現物備蓄の促進について働きかけていくとともに、市町村を補完する立場として、備蓄物資の確保に努めてまいります。

 

福祉費難所を機能させるための、県内施設の広域連携ネットワークづくりについて

  今回の熊本地震では、被災地にある福祉費難所が、本来の機能を十分果たすことができなかったとの報道が一部でなされております。

 県としては、今回の地震における課題と対策を検討するために設置した「平成28年熊本地震検討プロジェクトチーム」において、福祉費難所の広域連携についても検討してまいります。

 

被災建築物の応急危険度判定活動への支援状況と広域的な連携支援について

  応急危険度判定活動に関しては、各県で判定士の登録や研修を行うとともに、九州をはじめ、全国のブロックごとに「被災建築物応急危険度判定協議会」を設け、判定士の派遣調整など相互支援体制を整備しております。

 今回の熊本地震では、4月16日、熊本県から、九州ブロック協議会幹事である本県に派遣要請があり、九州各県と直ちに調整を行い、派遣の準備を整えました。

 本県では、翌17日から5月5日までの19日間、県や市の建築職員延べ568人、民間判定士延べ283人、合計で延べ851人を派遣し、熊本市や益城町などで判定活動を行いました。

 また、4月18日、熊本県の追加派遣要請を受け、本県から国へ連絡し、国から全国のブロック協議会に対し、派遣の呼びかけが行われ、判定士の増員が図られました。

 判定活動はすでに終了し、熊本県内で活動した判定士の総数は延べ6,819人で、そのうち熊本県外からの派遣者は、本県を含め、延べ5,604人でした。

 このほか、判定活動が円滑に行われるよう、国と都道府県等で設置した「全国被災建築物応急危険度判定協議会」において、統的な判定マニュアルや判定士の障害保健加入等の体制を整備しております。

 今回の熊本県への派遣は、このような体制のもと、日ごろの取組が活かされ、要請に応じた迅速な判定活動が行われたものと考えております。

 

震災時の原子炉緊急停止基準について

 原子力規制委員会は、原子炉施設の安全性を確保するため、自然災害などが発生した際に、原子炉を自動停止するなどの事故防止策を定めております。

 地震発生時に原子炉を自動停止する揺れの大きさについては、原子力規制委員会が新規制基準に基づき審査することとなっております。

 新規制基準は、原子力規制委員会において、福島第一原子力発電所の事故などで明らかにされた情報をふまえ、海外の規制基準も確認しながらわが国の自然条件の厳しさ等も勘案したうえで策定されたもので、世界で最も厳しい基準であると考えております。

 

 

放課後児童クラブの充実を

 次に放課後児童クラブについてお尋ねします。

 2015年4月から子ども子育て新制度が施行され、放課後児童クラブは全国一定水準の量と質の確保が可能となりました。同年5月1日現在、福岡県の1年から6年の全児童の18.9%、約52,000人が放課後児童クラブに登録し、4年間で1万人も増えています。登校日数より年間85

 日も長く通う放課後児童クラブが利用児童にとって、安心できる遊びや生活の場となるよう整備することが必要です。それは指導員の仕事や役割にかかっています。

 そこで私は運営主体が違ういくつかの放課後児童クラブを訪問しました。勤務時間は放課後の3 ~5時間と、土曜や長期休暇の10~11時間と不規則なため指導員集めが大変。非正規雇用が多く賃金が低いので若い人が定着しない。70人規模を求められても部屋は狭い。労働条件が運営主体によって変えられる。このような状況でも指導員は献身的に頑張っています。子どもが楽しく過ごせる放課後児童クラブになるよう、県は市町村や運営主体に指導員の処遇改善など放課後児童クラブ運営指針を周知徹底することが必要と思いますが、知事のご所見を伺います。

 併せて放課後児童支援員認定資格研修についてです。昨年からこれまでの指導員は県の主催する認定資格研修を修了すると支援員と認定されます。1放課後児童クラブに二人以上配置され、その支援員の1人は補助員で代行できます。現場では研修受講時の代替指導員の経費負担が重く受講が厳しいとか、支援員一人で責任をもてる仕事量ではないなどの声が聞かれました。5年の集中期間に何人の支援員認定を目標としていますか。また、支援員認定資格研修の受講を拡大すべきではないですか。知事にお伺いします。

 最後に放課後児童クラブの利用料減免についてです。放課後児童クラブの料金は利用料とおやつ代、保険料などで、月7,000円から1万円近くになります。そのため最も放課後児童クラブを必要としている一人親や生活困窮の保護者が申し込みをあきらめています。国が一人親や低所得者などに対し、利用料減免措置制度を創るべきと思いますが、実現するまで県として独自施策を取るべきと考えます。知事のご所見を伺い、質問を終わります。

 

【小川知事答弁】

 

放課後指導クラブ運営方針の周知について

 国においては、放課後児童クラブの運営及び設備に関する具体的な内容を定めた「放課後児童クラブ運営指針」を策定し、平成27年4月から適用することといたしました。

 県では、速やかに市町村を通じて、放課後児童クラブ関係者に対し、この運営指針の周知を図ったところでございます。

 今後とも、放課後児童クラブの一定水準の質の確保とその向上が図られるよう、毎年行っている市町村児童福祉関係者会議を通じて、指針の周知徹底を図ってまいります。

 

放課後児童支援員認定資格研修について

 

 平成27年4月に施行された「子ども・子育て支援新制度」により、放課後児童クラブの質を確保する観点から、全国共通の「放課後児童支援員」という資格制度が創設されました。

 これに伴い、5年間の経過措置をおいて、平成32年度からは、県が実施する認定資格研修を修了した者を放課後児童クラブに配置することが義務付けられることになります。

 このため、放課後児童クラブで働いている約4,000名の方が、平成27年度から5年間ですべて研修が終了できるよう、毎年の定員を800名とし、昨年度より研修を開始したところでございます。

 しかしながら、放課後児童クラブ数は、年々増加しており、各市町村の受講者見込みをふまえて、本年度は定員を100名増やし、900名に拡大したところであります。

 来年度以降についても、市町村と十分調整協議しながら、必要な研修の機会を確保してまいります。

 

放課後児童クラブ利用料の減免制度について

 

 放課後児童クラブの利用料につしては、設置主体である市町村において、生活保護受給世帯やひとり親世帯などに対して、減免を行っているところでございます。

 現在、放課後児童クラブを設置している59市町村のうち、36市町が生活困窮者に対する減免制度を設けております。

 県としましては、減免制度を設けていない市町村に対し、県内の市町村の事例を紹介しながら、それぞれの地域の実情に応じた減免制度の整備について助言してまいります。

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