● 16年09月28日 県議会報告

2016年9月29日 9月定例会 高瀬菜穂子議員一般質問・答弁(大要)「子どもの貧困対策の促進を」「中小企業振興策の強化を」



 日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従い、一般質問を行います。

 

<子どもの貧困対策の促進を>

 

 まず、「子どもの貧困対策」についてです。

 先日、わが党県議団は、全国で初めて県単位での「子どもの貧困」調査に取り組んだ沖縄県を視察しました。実態調査によって、具体的な課題が明確になり、数字の裏づけの上に、緊急措置的施策、中長期的施策が的確に行えるようになっていると感じました。専門家と協力し、すでにある指標を分析するとともに、小中学生とその保護者に抽出・郵送でアンケートを行い、その結果、沖縄県の子どもの貧困率は30%と衝撃の数字が出ました。現在、沖縄県では、6年間で30億円の予算を組み、さまざまな施策が行われています。特に、就学援助の周知とともに、市町村と協力して就学援助の充実を図っていることに驚きました。基準の引き上げ、援助対象拡充の検討、充実を図る事業については4分の3を県が負担するなど、県の予算をともなうイニシャチヴが、制度を大きく改善しています。子どものめがねについても来年度、那覇市をはじめ7自治体で援助対象になるそうです。

 さらに、放課後児童クラブの利用料負担軽減、給付制奨学金制度の創設、子どもの居場所作りへの補助、ひとり親家庭に対する包括的な支援、児童支援員の配置などなど多岐にわたる施策が動きだしています。また、知事を先頭にした「沖縄子どもの未来県民会議」も設立され、経済団体、教育・福祉団体、報道機関なども入り子どもの貧困解消の推進を行うとのことです。給付型奨学金充実などのため「2億円基金」が提案されましたが、これに経済界が積極的に応え、おじい・おばあが役所の窓口にお金を持ってくるなど、県民ぐるみの子どもの貧困解消の取り組みが始まっていました。そこで、伺います。

 第一は、本県でも独自の「子どもの貧困調査」に取り組み、実態をリアルにつかむべきではないかということです。報道によると、いくつかの県で独自調査を行うとのことです。「貧困率全国4位」との指摘もある本県でこそ必要だと考えます。知事のご所見をお伺いします。

 第二は、就学援助の充実についてです。子どもの貧困解消の鍵は就学援助の周知とその充実にあることをこれまでも指摘してきました。市町村の事業だからと、市町村任せにせず、実態をつかみ、沖縄のように予算をつけて、その充実に向けて県がイニシャチヴをとってはいかがでしょうか。

 第三は、給付制奨学金制度の創設です。福岡県の奨学金制度は大変充実しており、学習権の保障に大きな役割を果たしています。それでも貸与制では返還の負担があり、貧困家庭ほど借りることに躊躇があります。この際、奨学金の一部を給付制にすることを検討すべきではないでしょうか。第二、第三については教育長に答弁を求めます。

 

【小川知事答弁】

 

子どもの貧困に関する実態調査について

 

 県の子どもの貧困対策推進計画の策定にあたっては、国の大綱を踏まえ最も生活に困窮していると考えられ、かつ、全国と県との数値の比較が可能な生活保護世帯の高等学校、大学等への進学率について、把握、公表したところでございます。

 今後、生活保護世帯ではないが、生活に困窮していると考えられる市町村民税所得割額非課税世帯などに関する高校、大学等への進学率については、調査の実施に向けて取り組んでまいります。

 また、本年6月に県内4カ所に開設した「子ども支援オフィス」に寄せられる学習、進学、健康状態、家庭環境などの相談内容を集約分析し検討することで、生活困窮世帯の生活実態や地域の課題を把握し、新たな施策につなげていきたいと考えております。

 

【城戸教育長答弁】

 就学援助の充実について

  就学援助は子どもの貧困対策の1つとして重要な制度であり、各市町村において実態に応じた支援が確実に講じられることが必要と考えております。

 県教育委員会としては、各市町村の就学援助の実態の把握に努め、制度および申請手続きの周知徹底を引き続き指導するとともに、認定基準や支給費目等について情報提供をしてまいります。

 また、市町村が必要な就学援助を行えるよう、国に対して財政措置の充実を要望してまいります。

 

給付制奨学金の創設について

  福岡県教育文化奨学財団で実施している奨学金は、意欲のある生徒が経済的理由で就学を断念することがないよう、貸与にあたって成績基準は設けず、また、保証人は保護者等の1名とするなど、経済的に厳しい世帯の負担の軽減を図っております。

奨学金の一部を給付制にすることについては、現在、国において大学生向けの給付型奨学金制度に関して支給のあり方などの検討が進められております。

 今後既存の制度との関係を踏まえ、また、国の検討状況や他県の動向も注視しながら対応を検討してまいります。

 

<中小企業振興策の強化を>

 次に、中小企業振興についてお尋ねします。

 県は昨年9月、福岡県中小企業振興条例を制定し、県内中小企業の振興に取り組んでおられます。福岡県の中小企業は企業数で99.8%、従業者数で79%を占める、まさに経済の主役です。その中でも、従業者数5人以下の小規模企業数は、中小企業の83.6%を占めており、その活性化こそ本県経済の決め手といえます。しかしながら、その数は2010年からの5年間で1万3千事業所、9.8%も減少しており、ここに歯止めをかけることは喫緊の課題と考えます。

 国も、2010年に中小企業憲章を閣議決定し、2014年には、「小規模企業振興基本法」を制定しました。多くが家族経営形態を採っている小規模事業者の経済と地域社会における役割を高く評価し、その「持続的経営」に対する支援を国と自治体の責務と規定しました。そこで知事に伺います。

 まず、よろず支援拠点についてです。国はきめ細かな中小企業支援の目玉施策として、「よろず支援拠点」を各県に設置しました。悩みを抱える事業者にとって力強い相談窓口です。本県でも多彩なセミナーなどが開催されていると聞いています。本県における個別相談者数及びその内容、成果についてお答えください。

 次に、商工会・商工会議所などを通して申請される「小規模事業者持続化補助金」制度についてです。この補助制度は、「持続的経営」に対して小規模事業者にも補助金が支払われる画期的な制度です。周知をし、多くの事業者に活用していただきたいと思います。2015年度補正予算における県内採択件数は何件ですか。県行政としては、計画策定などにどのようにかかわり支援しているのか、お答えください。

 最後に、中小企業振興にかかわって、大川市の産業振興について伺います。先日、日本共産党として、木材インテリア産業振興に取り組む大川市を視察し、大川市、インテリア振興センター、福岡県工業技術センターインテリア研究所からお話を伺いました。量産体制から付加価値をつける方向へ行政と民間、研究所が一体となって取り組んでいること、また、福岡県の工業技術センターが中小企業の要請に応え、技術開発を行い、信頼を得ていることに感銘を受けました。国の「ものづくり補助金」の採択が「353件、全国4位」と報道されましたが、これに県の研究所が貢献していることは高く評価できます。

 質問は、地元の皆さんの要望である県産材の需要拡大についてです。家具の生産地である大川の産業振興につなげるためにも県産材を使用した事業をいっそう進めることが必要と考えます。県では、家具も含めた県産材の需要拡大にどのように取り組まれているのか、お答えください。

 最後に、この地に、後継者を育成するためのインテリア技術に関する学校をつくってほしいという強い要望がだされたことを申しそえ、質問を終わります。

 

【小川知事答弁】

 よろず支援拠点の相談者数等について

 よろず支援拠点は、中小企業の様々な経営上の悩みの相談に対し、個別具体的な助言を行い、その解決を図るため設置されております。

 本県における昨年度の来訪相談者数は、6511人となっており、全国一位となっており、その相談内容は販路拡大、商品開発、補助金の制度内容に関するものなど多岐にわたっております。

 相談者の中には、よろず支援拠点の助言を受け、自社のWebサイトの改善等を実施した結果、主力商品の売り上げが1.7倍に増加した企業もあり、また国の調査においても約9割の相談者の方が満足しているとの結果になっており、大きな成果をあげているものと考えております。

 

小規模事業者持続化補助金の採択件数について

  国の小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が実施する販路開拓のためのとり組みに対し助成されるもので、経営計画の策定が前提条件となっております。このため県としては、地域中小企業支援協議会に配置した中小企業診断士等の専門家を活用し、顧客ニーズと市場の動向、それぞれの会社の提供する商品・サービスの強みなどを踏まえた経営計画の策定を支援しております。その結果、本県における今年度の事業採択件数は471件であり、全国8番目の多さとなっております。

 

県産材の需要拡大のとり組みについて

  県では、県有施設における木造・木質化などを積極的に進めているところでございます。具体的には、犀川や大淵などの駐在所の木造化、久留米スポーツセンター体育館、福岡女子大学などの内装木質化に取り組んでいるところでございます。また、林道のガードレールなど公共木質材においても県産材を利用しております。さらに、モデル的な木造建築物の表彰や、大規模木造建築物の設計に必要な技術書の作成なども行い、小中学校等の市町村施設、店舗等の民間施設における県産材利用を促進しているところでございます。

 また、家具への活用を進めるため、平成25年度から現在の資源活用研究センターにおいて、スギやヒノキを使った傷がつきにくい、収縮の少ない資材の研究・開発に取り組んでまいりました。この資材を用いて、一昨年度から大川家具界と県が連携して開催する展示会に試作品を出品し、製品化された際の販売促進につながるよう、工務店などのユーザーや消費者の皆様のニーズの把握を行っているところでございます。

 さらに内装材については、燃えにくくより付加価値が高い製品にするため、現在、工業技術センターと連携し、不燃化技術の開発に取り組んでいるところであります。

 県としては、こうした取り組みを通じて県産材の需要の拡大に努めてまいります。

 

<再質問>

  知事に2点要望いたします。

 一つは、貧困実態調査です。わたくしは沖縄県の取り組みを聞き、貧困対策に向き合う行政の本気度をひしひしと感じました。そのエネルギーの源になっているのが、実態調査で明らかになった子どもの生活実態です。沖縄県では、今後経年調査も行う予定であり、できれば同様の項目で他県との比較もしたいといっておられました。先進県の経験も検討し、本県でもプライバシーに配慮しながら、実態をつかむ取り組みを是非行っていただきたいと思います。

 2点目は、中小企業、とりわけ小規模事業者への支援です。お答えいただきましたように、よろず支援拠点の活動、小規模事業者持続化補助金は、まさに本県で待たれていた事業だと思います。それでも、全体の事業者数と比べるとその利用は、まだほんの一部ともいえます。事業者に寄り添う伴走型の支援をともなう、さらなる充実を図るとともに、国に対して制度の充実、予算の拡充を求めていただきたいと思います。以上、要望いたしまして、質問を終わります。

 

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