● 17年03月09日 県議会報告

2017年3月9日 2月定例会・高瀬菜穂子議員一般質問 答弁(大要) 「部落差別解消推進法と本県の対応について」



高瀬菜穂子 議員

 日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従いまして、昨年12月に成立した「部落差別解消推進法」にかかわって県の見解を伺います。この法律は、「部落差別」の言葉を冠した初めての法律で、理念法といいながら、国や自治体の責務として相談体制の充実や教育・啓発、実態調査の実施を明記しました。しかし、「部落差別」の定義はなく、「何が部落差別に当たるかの判断を誰がやり、どうやるのか」も不明確なままです。「部落の出身者であることを理由にした差別」を調査しようとすれば、部落出身者の抽出につながり、旧同和地域住民の人権侵害になりかねない、新たな障壁をつくり、差別解消に逆行するとの反対の声が強く上がる中での成立となりました。私も歴史逆行の差別「永久化」法との危惧を持っており、以下、その立場から質問します。
 本県は、旧同和地区数が全国一多く、同和行政は長く県政の重要課題と位置付けられてきました。そのため1969年に同和対策特別措置法が施行されて以来、法が失効するまでの33年間に全国で16兆円、本県だけでも市町村を含めると実に1兆円を超す同和対策事業が実施され、県は法失効前の2001年度まで、同和加配教員の人件費を除いても、軽く100億円を超える予算を措置してきました。
 また、教育現場では、部落民以外は差別者とする部落排外主義の解放教育が行われ、法失効前の県下の同和加配教員は、実に772名にも上っていました。同和推進教員432名に加え、県単加配252名、さらに地区同教などへの県単ヤミ専従派遣88名。これら教師は、担任もせず授業も受け持っていませんでした。裁判で違法と断定された解放同盟と一体の県同教への13名の教員派遣も含め、異常な同和教育偏重がまかり通っていました。
 暴力的な確認糾弾により、兵庫県八鹿高校では教職員60人が白昼拉致され、殴るけるタバコの火を押し付けられる、女性教師が裸にされるなどのリンチ事件が起こりましたが、本県でも、北九州市役所に教職員67名が1週間にわたり糾弾され救急搬送者を出した富中富小事件を始め、糾弾学習会を前に校長が自殺などの事件を含む悲劇が多数起こりました。
 1986年、地域改善対策協議会の「意見具申」で、新たな差別意識を生む要因として①行政の主体性の欠如 ②同和関係者の自立の視点の軽視 ③えせ同和行為の横行 ④ 同和問題についての自由な意見の潜在化 を上げていますが、まさにこれら要因が本県の差別解消を妨げていました。

 こうした歴史を経て、2002年3月に地域改善対策特別措置法は終了したわけですが、その年の1月、総務省大臣官房地域改善対策室は、「今後の同和行政について」という通知を出しました。これには、特別対策を終了する理由として、①これまで膨大な事業の実施によって同和地区の状況は大きく変化したこと、②特別対策をなお続けていくことは差別解消に必ずしも有効でないこと、③人口移動が激しい状況の中で同和地区・同和関係者に限定した施策を続けることは実務上困難であること、が指摘されました。国の動向を受け、当時の麻生知事は、2002年2月議会において「今後の同和対策のあり方については総務省の方針や本県の実態等を考慮しながら必要な検討もしてまいる」と答弁され、その後、国庫補助事業とともに県単独事業についても原則として廃止または一般対策に移行するとの見直しを行い、5年後に終了させています。そこで知事に伺います。この時の国及び県の方針については、現在も引き継いでおり、今後も同様との認識を確認できますでしょうか、答弁を求めます。

 今回の「部落差別解消推進法」には、附帯決議が全会派一致で上がっています。「1、過去の民間団体の行き過ぎた言動等、差別解消を阻害していた要因を踏まえ、これに対する対策を講ずることも併せて、総合的に実施すること」「2、教育及び啓発を実施するに当たっては、・・・新たな差別を生むことがないように留意しつつ、それが真に部落差別の解消に資するものとなるよう、その内容、手法等に配慮すること」「3、部落差別の実態にかかる調査を実施するに当たっては、新たな差別を生むことがないように留意しつつ、・・・慎重に検討すること」の3点であります。これは、本法律に基づく、調査、教育啓発や対策が新たな差別を生む危険性を認識し、採択されたものといえます。附帯決議を踏まえ、新たな差別を生むことがないよう慎重な対応が求められると考えます。知事の見解を伺います。

【小川 洋知事答弁】

同和対策事業に対する県の考えについて

国における同和対策事業は、平成13年度末の特別措置法の執行にともない、廃止または一般対策へ移行されました。本県においては、国の方針やこれまでの成果を踏まえ、受け皿となる一般対策がない一部の事業については、18年度までの経過措置を設けたうえで、特別対策は廃止し、全て一般対策へ移行したところでございます。
同和対策の事業については、このように見直しを行ったところであり、今後とも地域の状況や事業の必要性に応じて一般対策により適切に対応してまいります。

部落差別解消推進法に基づく教育・啓発の慎重な対応について

 本県では、同和問題の解決を県政の重要な課題と位置づけ、これまで各種施策の推進に努めてきました。しかしながら、依然として同和問題に関する悪質な差別落書きや、インターネット上での差別書き込みが継続して発生している状況にあります。
 このため引き続き、教育・啓発に取り組むことが必要であると考えております。 教育・啓発の実施に当たっては、新たな差別を生むことがないよう、適切に取り組んでまいります。

高瀬菜穂子 議員

 これまでの県の方針と、国会の附帯決議を踏まえる点について確認をいたしました。国会における参考人質疑では、解放同盟の西島氏が「部落差別が存在し、厳しい現実」と述べたのに対し、全国人権連の新井氏は、「同和事業が終結し14年経過するもとで、同和関係者を特定することも困難となり、部落は過去の歴史的概念になりつつある」と述べました。自民党の友誼団体である自由同和会推薦の灘本氏も、「日本はうまく差別をなくしてきている。西島氏の現状認識は差別の過大評価だ」と述べています。社会問題としての部落問題は、基本的に解決しているというのが現在の到達であり、時として起こる偏見に基づく言動については、それが社会で受け入れられないという民主主義の力を強めていくことこそ重要です。そしてそれは、一般対策で行われるべきです。
 ところが兵庫県では、「新法を具体化する条例」を自治体で制定させる動きがあります。埼玉県では、同和事業廃止の通知をしたところ、解放同盟が「廃止無効確認」の裁判を起こしました。全面敗訴でしたが、新法をてこに、事業や補助金の存続・復活を狙う動きが危惧されます。
 真の差別解消に必要なことは、垣根をなくすことです。同和地区に限った特別対策は、差別の解消に逆行します。本県における一般対策への移行の際には、すべての部署で大変なご苦労があったと推察しますが、たとえば同和奨学金が一般化されたことで、すべての子どもたちを対象に学習権の保障に役立つ全国トップクラスの制度となりました。特別対策の復活など、歴史の逆行を許さず、国の責務となっている実態調査については、実務上不可能である旨、国に伝えていただきたいと思います。
 最後に、一点要望します。県は特別対策を終了させましたが、県下の少なくない市町村で、個人給付などの同和特別対策は今も継続しています。しかも、ある自治体では、国が最も早く終結を求めた税の同和減免、固定資産税の減免が、今も継続されています。
 市町村まかせにせず、これらの速やかな終結に向けて働きかけていただきたい。同和問題の真の解決に向け、行政の主体性を発揮していただくことを心から求め、質問を終わります。

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