● 17年06月20日 県議会報告

2017年6月19日  6月定例会・高瀬菜穂子議員一般質疑・答弁「教育勅語についての見解と扱いについて」(大要)



高瀬菜穂子 議員

 日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従い、一般質問を行います。まず、教育勅語の扱いについて伺います。安倍政権はこの3月、教育勅語の学校現場での使用を容認する閣議決定を行いました。その後の5月3日、安倍首相は憲法9条改悪を2020年までに行うと言明しました。9条に3項を設け自衛隊を明記することで、例外を作り9条の空文化・死文化を図る狙いであると、改憲団体「日本会議」などがあからさまに表明しています。さらに去る6月15日、現在の治安維持法といわれる「共謀罪法」を参議院法務委員会での審議を打ち切り「中間報告」で本会議採決するという「おきて破り」で強行しました。こうした中で、戦前日本国民の道徳と教育を支配し人々を戦争に駆り立てた「教育勅語」を学校現場で使用することは、「戦争ができる人づくり」との批判を免れません。

 そもそも教育勅語は、天皇がその臣民に道徳を与えたものであり、現在の主権在民の社会と相いれません。しかも、示された徳目はすべて「一旦緩急あれば義勇公に奉じ以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」に収れんされ、「いざとなれば天皇のために身を捧げよ」と教え込んだものです。さらに、もっともらしい徳目についても深刻な意味が込められています。例えば「夫婦相和シ」は、教育勅語の公的解説書『勅語衍義』によれば「妻はもともと知識才量多くは夫に及ばざるものなれば、夫が無理非道を言わざる限りはなるべくこれに服従して貞節を守り、みだりに逆らうことなく・・・」と書かれており、現在の男女平等のもとでの夫婦のあり方とは相いれないものです。

 そのため、1948年6月19日に衆議院の排除決議と参議院の失効決議がそれぞれ全会一致で採択されました。衆議院決議は「これらの詔勅の根本理念が主権在君並びに神話的国家観に基づいている事実は、明らかに基本的人権を損い、且つ国際信義に対して疑念を残すもととなる」とされ、その認識の上に全国の学校に保管されている勅語の写しの回収、排除の措置の完了を政府に求めました。当時の文部省はこれらの決議を踏まえ「教育勅語の取り扱いについて」という通達を出します。当時の森戸辰夫文部大臣は教育勅語が「将来濫用される危険」にもふれ、排除決議の精神の実現に万全を期すことを表明しました。この通達は、今日も引き継いでいると国会でも確認されています。

 文部省通知に従えば、公教育において教育勅語を肯定的に使うことは許されず、その扱いは、歴史などで教育勅語の基本的性格とその後の排除・失効について学ぶ以外にはないと考えますが、教育長の見解を伺います。

 

【城戸秀明 教育長答弁】

 教育勅語の取り扱いについて

 学校教育は、日本国憲法、教育基本法及び学習指導要領等に基づき、実施することとなっております。したがいまして、教育勅語についても、児童生徒の心身の発達の状況に即し、日本国憲法や教育基本法の定める教育の目的等に反しないような適切な配慮の下に扱われるべきものと考えております。

 

<教職員の勤務実態と多忙化解消施策について>

 次に、教職員の勤務実態と多忙化解消施策について伺います。文部科学省は、去る4月28日、2016年度の教員勤務実態調査結果を公表し、国が示す「過労死ライン」に達する週20時間以上の残業を行った教諭が、中学校で57.7%、小学校でも33.5%に上ることを明らかにしました。10年前の前回調査と比べ、中学校で5時間12分、小学校で4時間9分も増えていることが明らかになりました。ここ数年の本県の教員不足は極めて深刻であり、このことを勘案すれば、本県教員の残業実態は全国平均を上回ることが推測されます。教育長は、この結果をどのように受け止めておられるでしょうか、またその原因についての認識を伺います。

 私は、本議会において、本県教員の非正規率が極めて高いこと、また、非正規教員を含めても定数ぎりぎりであり、そのことが、病休者を生んでいること、病休代替制度が不十分なことからさらなる病休者につながっていることなどを指摘し、改善を求めてきました。県教委も採用試験の大幅見直しを行い、正規採用を増やす努力をされ、病休代替制度についても改善されています。しかし、過酷な勤務実態が大量の早期退職者を生み、臨時免許を出しても講師が不足する事態は依然続いています。

 今議会でも議論がありましたが、本年度の小中学校の新規採用は現在720人、来年度は850人を計画していると聞いています。それでも、正規教員の定数欠は1500人以上で、新年度に必要な教員が配置されないままスタートした学校が68校83人に上ります。さらに、産休・育休・病気休職代替が配置されない例もあると聞いています。臨時的な免許や専門外を教える免許外教科担任も多数に上っています。臨時免許状と免許外教科担任について、その数を明らかにしてください。

 6月1日付西日本新聞には、「技術・美術の先生いない」の見出しで、2か月授業ゼロと報道されました。これを見たフランス在住で、小学校の美術を担当している方から、福岡の教育はどうなっているのかと、心配の電話をいただきました。教員不足は直接子どもたちに影響することから、一刻の猶予もならない問題です。また、教員の勤務実態をさらに過酷にし、教員離れの悪循環を引き起こす問題でもあります。

 今後、教員不足を解消するために、どのような対策を行うのか、教育長の見解を伺います。 県教委は、教員の勤務実態について2014年に調査を行っていますが、その対策は定時退校日の設定など従来の取り組みにとどまっている感が否めません。新指導要領が実施されれば、道徳の評価、英語の実施などさらなる多忙化も予想されます。まずは、勤務時間を正確に把握すべきと考えます。北九州市ではすでに公務管理システムを使用した全職員の勤務時間把握を行っています。職員に負担をかけずに勤務時間を把握するシステムを早期に導入すべきだと考えます。多忙化解消に向けての教育長の見解と合わせて、答弁を求め、質問を終わります。

 

【城戸秀明 教育長答弁】

 教員勤務実態調査の結果について

  本年4月に公表されました文部科学省の勤務実態調査の速報では、教諭の1週間における超過勤務時間の平均が小学校で18時間40分、中学校で24時間33分となっており、県教育委員会といたしましても、超過勤務の改善にしっかり取り組んでいく必要があると考えております。

 また、超過勤務の原因についてでございますが、学校現場を取り巻く環境が複雑・多様化し、学校に求められる役割が拡大しており、基本的にはそのことが教員の超過勤務の増大につながっていると考えております。

 

臨時免許状と免許外教科担任について

  本年5月1日現在において、臨時免許状の授与件数は495件、免許外教科担任の許可件数は134件となっております。

 

教員不足の解消について

  教員が不足している背景といたしまして、近年の採用者数の急激な増加や、教員定数の増加に対しまして、教員志望者数が十分に増加していないことが考えらます。

 このため、教員養成セミナーを開催し、教員志望者が増える取り組みを行うとともに、市町村教育委員会と協力し講師を早期に確保する取り組みを行っております。

 また、来年度の採用予定者数は今年度から115人増員し、850人としたところであり、併せまして、受験資格年齢の緩和や、他県現職教員を対象とした関東地区での試験を実施することとしております。

 今後も、意欲ある退職者の活用などの検討を行い、教員志望者の層の拡大を図る方策を講じてまいります。

 

勤務時間の正確な把握と多忙化解消について

  県教育委員会におきましては、県立学校の勤務時間管理について管理職をはじめとする職員の意識改革を図るため、今年度から勤務時間を正確に把握する取組みを試行しております。

 今後、この試行結果を踏まえまして、適切な勤務時間管理の方法について検討し、来年度以降各学校に広げることとしております。

 こうした勤務時間管理についての取組みを進めるとともに、教員以外の専門スタッフの活用、業務の効率化などの業務改善を進め、超過勤務の縮減に取り組んでまいります。

 

 

高瀬菜穂子 議員

 〈再質問〉

 教育長に要望いたします。教育勅語は、戦前、思想・良心の自由を許さず国民の精神を支配したもので、ゆえに戦後の衆議院参議院で排除・失効の決議が出されました。当初、「部分的真理が認められる」との議論もありましたが、「教育勅語の枠にある限り、どんなものも真理性はない」と結論付けられ、決議の中で言い切っています。国民主権の憲法のもとで、教育勅語の肯定的使用はあってはならないことを重ねて強調しておきます。

 教職員の勤務実態の過酷さの原因について、教育長は「学校現場を取り巻く環境が複雑化・多様化し、学校に求められる役割が拡大している」との認識を示されました。対策として「業務の効率化」を上げておられますが、私は、「学力テスト体制」が逆に業務を増大させていることを指摘したいと思います。平均点をあげるための過去問の繰り返しによる印刷や採点の負担、時間割を変え、午前中5時間授業にするとか15分休みをなくす、昼休みを削るなどして、放課後の補習時間をつくるなど、ますます多忙化を極めています。現場から、これでは子どもの大切なサインを見逃してしまう、との声を聞きました。「学力テスト体制」をはじめとする抜本的な教育内容の見直しなしに、業務の効率化にはつながらないことを指摘し質問を終わります。

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