● 17年10月04日 県議会報告

2017年10月4日 2017年決算特別委員会 山口律子委員質疑・答弁「被災商工業者の復興支援について」(大要)



≪2017年決算特別委員会≫

2017年10月4日

 

 

被災商工事業者の復興支援について(大要)

 

山口律子 委員

 日本共産党の山口律子です。九州北部豪雨災害で被災した中小業者の復旧復興についてお尋ねします。

 最初に商工被害の状況と県の被災商工業支援予算について、資料要求していますので、お取り計らい願います。

 

 

山口律子 委員

 配布していただいた資料を見ますと、朝倉市では237件が被災しています。

 これは2016年度の市内事業所のおおよそ1割です。東峰村では45件、村の4分の1が被災しています。大変な状況です。

 私は発災直後から商工業者の被害やその時々の要望を聞いてきました。1軒1軒まわってお話を聞くと被害状況も、復旧復興の道もそれぞれ違うのが分かります。

 発災から2か月たったとき、朝倉市杷木地区を訪ねましたが、殆どの事業所が被災していて再開している所はわずかでした。閉院した病院や薬局もあれば、他地区に仮店舗を持って頑張っている事業所もありました。

 この写真は赤谷川の側の被災した工作所です。これまで機械を増やして事業を拡大してきたそうですが、一瞬にして工場も機械も流され数億円の被害が出たということでした。社長は融資を受けてよそに土地を確保し通常業務が早くできるよう仕事を始めていると語っておられました。

 しかし、お会いできた商工業者の皆さんは、事業を継続したいと思う一方で、大変な不安と悩みを抱えておられます。被災業者の皆さんの事業継続を後押しするには、すべての被災事業所をしっかり把握し寄り添うことなしには難しいと感じました。

 新潟県では中越震災被害を受けたすべての業者の状況を県が毎月把握しています。大分県は北部豪雨災害の全事業所の被害状況の細かい調査票を作成しています。福岡県としてもすべての業者が事業再開するまで復旧状況の把握が必要だと思いますがいかがですか。

 

古川弘信 中商企業振興課長

  災害の発生直後から、筑後地域及び筑豊地域の中小企業支援協議会が中心となり、被災した事業者の状況把握を行っております。

 協議会の構成機関である地元の商工会議所・商工会の経営指導員が被災事業者を直接訪問し、被害内容や被害額はもとより、営業の再開や資金調達の状況などを細かく把握しております。

 

山口律子 委員

 地域の商工会議所・商工会は非常に頑張っておられますが、県として直接把握していない。県としてぜひ、直接把握していただきたい。それで次の対策を考えていけるのではないかと思います。

 商工会の方は、「業者の方が、なかなか融資や申請の相談に来られません。制度があっても直接支援がないと復旧できないと悩んでいます」とおっしゃっていました。

 被災した中小業者のみなさんが復旧復興を自力で行うのは困難です。被害建物の改築費も機械・道具の購入費も必要です。事業再開までのつなぎ資金もないし、仕事ができないので毎日の生活も苦しいと異口同音に言われました。今立ち上がり資金こそが必要です。事業再開のための資金調達の支援策について説明をお願いします。

 

古川弘信 中商企業振興課長

  被災した事業者に対しては、県制度融資のなかに通常よりも低利でかつ、保証料を全額県で負担する「緊急特別融資枠」を設け、円滑な資金繰りを支援しており、7月11日の取り扱い開始から、9月29日までに42件、5億円余の融資を実行したところでございます。

 また、国において被災した小規模事業者が販路開拓に取り組むための費用の一部を助成する「小規模事業者持続化補助金」を創設いたしました。県では、事業者負担を少しでも軽減するため、この補助金に採択された事業者に対し上乗せ補助を行うこととしております。

 

山口律子 委員

 直接支援は小規模事業者持続化補助金を国が創設したということですね。

 今回、直接支援が入ったのは評価するところですが、この事業は小規模事業者に限られ中小企業は対象となりません。しかも、事業の目的は「販路開拓」に限られています。

 先日、日本共産党県議団として、政府に被災商工業者に対する支援を要望してまいりました。その際、国は、例えば破損した壁を修復した場合、看板をつけることで販路開拓と見なすなど、「『販路開拓』の適用に当たっては、運用上、柔軟に対応する」と言っています。

 県としては、被災業者に小規模事業者持続化補助金について、どのように説明し、どのように対応していますか。

 

古川弘信 中商企業振興課長

 地域の中小企業支援協議会の構成機関である商工会議所・商工会の経営指導員が被災した小規模事業者を訪問し、小規模事業者持続化補助金の内容を丁寧に説明するとともに、申請手続きが円滑に行えるよう、販路開拓に係る経営計画書等の作成などについて、きめ細かい指導・助言を行っております。

 また、この補助金に採択された事業者に対しては、県の上乗せ補助の手続き等について、経営指導員がフォローアップを行うこととしております。

 

山口律子 委員

 国の100万円に県が上乗せするということになっています。これをもっと多くの事業者が申請できるように、これからも力を入れていただきたいと思います。

 次に移りますが、小石原焼は今のところ国指定文化財ではないため、文化財としての国庫補助の対象ではありませんが、福岡県にとっては重要な伝統文化資源です。その47軒の窯元のうち、21 軒が被害を受けています。

 ある窯元では、窯が建物もろとも焼失し、自宅も流木と土石流に襲われ、展示場は床上浸水しました。県は共同窯設置をいち早く示されました。これは東峰村を県挙げて応援する旗印になりました。ただ、その窯元は作品制作には独自の釜が必要といわれ、500 万円かけて窯を買い替えたそうですが、住宅の再建など、まだまだ困難を抱えておられます。

 伝統産業工芸品である小石原焼を守るために、どのような支援をお考えですか。

 

中島徹也 観光政策課長

  小石原焼産地のなかでも、窯の損壊や工房への浸水など、比較的大きな被害を受けた窯元の皆様は、小規模事業者持続化補助金を活用されておられます。

 共同窯については、10月1日に火入れ式が行われ、産地のみなさんにお使いいただいております。その他の窯元も含め、現在すべての窯元が今週末の「民陶むら祭り」に向けて急ピッチで制作に取り組んでおられます。

 また、福岡県商工会連合会に設置した「災害復興販売支援センター」を通じて、今後できるだけ多くの販売機会をつくり、小石原焼の売り上げを拡大することにより、復興につなげてまいります。

 

山口律子 委員

 県は今回の災害にあたり、資料2に記載されているとおり、「小規模事業者持続化補助金」をはじめ、「金融支援」「ふくおか応援割」など様々な支援を行っておられます。その金額は、1億8千万円となっております。

 しかし、他県の状況をみますと、関東東北豪雨の際に、茨城県は補助上限50万円の被災中小企業事業継続支援事業を、県市それぞれ2億円の予算措置で行いました。また、中越地震では、新潟県は「事業所解体撤去補助」や「雇用者維持奨励補助」などを行い、能登半島地震では、石川県は「被災中小企業復興支援基金300 億円」を創設しております。

 本県においては、国に対し、被災した中小企業・小規模事業者の事業の継続、早期再開に向け、施設・設備の復旧等を支援する「中小企業等グループ補助金」などの国庫補助制度創設を求めてこられました。私たち日本共産党も今回の災害に当たって、グループ補助金の創設を強く要望しています。東日本大震災で初めて創設されたこの制度は、熊本地震でも実施されました。国は、東日本と熊本の場合、その被害の規模に鑑み、あくまで特例の措置だと言います。

 しかし、今回の豪雨災害では過去に例のない大量の流木と土石流により、地域ぐるみ甚大な被害が生じています。地域経済を支える商工業者の事業の継続、早期再開は、まさに町や地域の維持存続に関わる問題です。地元のみなさんが要望されている施設・設備の復旧に対する支援が必要であると考えます。

 県としても、国に対し働きかけるべきだと思いますが部長の答弁をお願いします。

 

小島良俊 商工部長

 被災された企業の中には、まだ事業が再開できていない業者もいらっいます。

 地域の実情を踏まえ、被災した中小企業の方々が事業を再開・継続できるような支援策について、国に対して要望を行ってまいる考えでございます。

 

山口律子 委員

 災害の深刻さからすると復旧には長い時間がかかりそうですが、先ほども言われましたが、直接被害だけでなく風評被害も含め、地域経済の落ち込みは大変なものです。早急に復旧が必要です。

 国に強く要望すると同時に、県としても商工業者への直接支援など新たな支援策を考えていただきたいと思います。商工業者の悩みに寄り添い再建をしっかり後押しできるように、県として今後も取り組んでいただきたいと思います。

 これで質問を終わります。

 

 

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