● 18年03月20日 県議会報告

2018年3月20日 2018年予算特別委員会・高瀬菜穂子委員質疑・答弁「水源開発と市町村への影響について」



≪2018 年予算特別委員会≫ 

2018 年3月20 日

 

水資源開発と市町村への影響について

 

高瀬菜穂子 委員

 

 日本共産党の高瀬菜穂子です。

 

 水資源開発と市町村への影響について伺います。日本共産党は、これまで過大な需要予測に基づくダム建設について厳しく批判してきました。先日、伊良原ダム、五ヶ山ダムの竣工式が行われ、小石原川ダムについても来年完成の見込みであると聞いています。供用開始にあたって、今でも高い水道料金がさらに押し上げられ、県民負担が重くなることを危惧しております。

 

 2013年(平成25年)策定の国の「新水道ビジョン」では、「平成25年現在水道を取り巻く状況は、水道ビジョンを公表した9年前や改定した5年前とは大きく変化しました。」とし、「今後の人口の減少傾向は確定的であり、このことは水道にとって給水人口や給水量も減少し続けることを意味します」と指摘、2060年には水需要動向は現在よりも4割も減少すると予測しています。県も新年度中に「水道ビジョン」を策定するということですが、今後の給水人口や給水量については、どのような見通しを持っておられますか。

 

田島幸一 水道整備室長

 

 県全体で見ますと、給水人口は年々増加しておりますが、年間給水量は増減を繰り返しながら、一定の水準で推移しております。これを水道広域圏ごとに比較してみますと、福岡地区および筑後地区においては、給水人口の増加にともない年間給水量も増加しているところでございます。北九州地区および筑豊地区においては、給水人口が減少しており、年間給水量も減少しております。

 

 今後につきましては、福岡地区では、人口や観光入込客の増加、商業施設の立地等による経済活動の拡大が期待されていること、京築地区では、今年度完成する伊良原ダムにより、筑後地区では平成31年度完成予定の小石原川ダムにより、給水区域の拡大が見込まれることなどから、これらの地域では、給水人口、年間給水量ともに増加していくと考えております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 地域によっては減少していると、ダムの建設によって増えるという見込みも言われていますが、今後も増加するというのは、国の予測とも異なると思います。

 福岡県第4次ウォータープランは、基準年が平成5年、目標年次は平成22年で平成32年を見通して作られました。この需要予測に基づく水資源計画でダム計画が進められ、さらに西方沖地震の後、ウォータープランとは別に北九州と福岡を結ぶ北部福岡緊急連絡管、日量5万トンも開発され、福岡市では海水淡水化施設日量5万トンも開発されました。平成15年と平成18年の2回にわたって水需要予測は下方修正が行われましたが、ダム計画はわずかの見直しで、五ヶ山、伊良原、小石原川の巨大3ダムについては全く見直されませんでした。 国が人口減に備えよといっている中で、本県では、3つのダムで日量10万3160万トンの新たな水供給が始まるわけです。

 

 さて、伊良原ダムが完成し、田川地区においては、この4月から供用開始となります。田川地区水道企業団からの配分水量は日量14700トンであったものが、25700トンとなります。トン当たりの供給単価はどう変わりましたか。また。構成団体の費用負担はどうなりますか。

 

田島幸一 水道整備室長

 

 田川地区水道企業団から構成団体への水の供給単価は、現在、消費税抜きでトン当たり96円であり、伊良原ダムからの取水が始まる平成30年度は税抜き65円になります。

 供給単価は下がることになりますが、田川地区水道企業団からの配分水量が増加することにともない、構成団体が支払う供給料金の額は、構成団体合計で約1億200万円増加することになります。

 しかしながら一方で、各構成団体においては、伊良原ダムからの良質な水の供給が増えることや、これにともない不安定な自己水源を廃止することにより、水道水をつくるために必要な、合理化・廃止施設に係る維持管理費用、浄水場運転のための電気代、浄水のために必要な薬品代、水源水質の検査費用などの経費が不要になるメリットが生じると考えられます。

 このようなことから、現時点では、構成団体の費用負担が増大すると一概には言えないと考えております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 単価は下がったけれども、結局、構成団体の合計で1億200万円増加するわけですね。

 田川地区では、水質の問題もあったわけですが、「伊良原ダムが出来れば、水が安くなる」との宣伝がしきりにされていて、私、何度も質問を受けたことがありますが、安くなるのは単価であって、各構成団体の費用負担は増えるということだと思います。その費用ですが、どのような形で負担するのでしょうか。

 

田島幸一 水道整備室長

 

 水道事業が独立採算性を採っていることから、費用負担については、その増減にかかわらず、経費として経営にともなう収入をもって充てるものと考えます。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 企業団への支払い増加に加え、老朽化した水道管の付け替えなど、費用負担は増大し、結局、独立採算ですから、水道料金に跳ね返るということになるのではないでしょうか。

 

 京築地区水道企業団は、来年4月に伊良原ダムの水の供用開始とお聞きしました。行橋市の場合、現在日量1900トンが倍の3800トンになります。行橋市の現在の受水費は約1億3千万円ですが、来年4月からはその倍の2億6千万円になると言っています。京築地区水道企業団の単価は現在トン当たり税抜きで178円です。来年度以降の単価は未定であると聞きました。田川と同じように下がるのではないかと、私、直接企業団にお聞きしましたけれど、「下がっても100円までは下がらないだろう」ということでした。

 国の「新水道ビジョン」においては、近隣水道事業の料金格差の是正が課題とされています。県としても今後の課題としていただきたいと思います。

 同じ伊良原ダムの水なのに、田川地区水道企業団は トン当たり65円で、京築地区水道企業団は、トン当たり100円以上というのは、あまりにも差があって、市町村間で不公平感は否めません。

 さらに、みやこ町は、現在の日量500tから3070トンに受水量が増えます。単価がたとえば130円に下がったとしても、その費用負担は、現在の約3500万円から約1億5千万円、4倍以上に跳ね上がることになりますよ。みやこ町の人口は約2万人、世帯数は7500世帯ですが、現在の給水人口は8507人ですから、給水人口が倍になったとしても、4倍の受水費用を水道料金でまかなうのには、相当な負担がかかります。こうした市町村の費用負担の増大について、県はどのように受け止められますか。

 

田島幸一 水道整備室長

 

 京築水道企業団が伊良原ダムから取水を開始した後の構成団体の負担については、構成団体は京築水道企業団からの配分水量が増えることになるものの、供給単価は今後、企業団において検討・決定されるものであり、現時点では未定であること、構成団体には、水道普及率が低い団体があり、ダム完成後の安定的な水の供給が開始されることで普及率が向上し、料金収入の増大が見込まれること、自前で水道水を製造するために必要であった薬品代などの経費が、今後、不要となる効果が見込まれること、などから現時点では、構成団体の費用負担が増大すると一概には言えないと考えております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 本当にそうなるでしょうか。今後も、費用負担については、注視をしていきたいと思います。

 

 私が、さらに深刻だと思うのはうきは市です。うきは市は、県南広域水道企業団に参加していませんが、水資源機構のアロケによる建設負担金について平成14年(2002年)に同意しており、小石原川ダムから日量5740トンを受水することになっています。建設負担金24億円の支払いは、再来年2020年から始まるということです。

 ところが、うきは市は現在、簡易水道が市全体の1割を占めているものの、上水道はなく、9割は井戸水に頼っています。今後、小石原川ダムから受水しようと思えば、水道管敷設事業を一から始めなければなりません。市民アンケートでは、「上水道にすぐにつなぐ」という世帯は6.9%にすぎず、「併用しながら」が20.6%、「いまの水が使用できなくなれば」が31.9%、「全く考えていない」が33.5%にも上ります。私ども県議団は、うきは市から聞き取りを行いましたが、独自の浄水場の建設は財政力もなく出来ない、水道管の工事には最短でも5・6年はかかる、しかも上水道を希望する世帯が少ない。現在、地下水についての総合的な調査が行われていますが、再来年から供用開始になるのに、水道計画が立っていない状況です。

 小石原川ダムが完成し、水の供用開始となると、県南広域水道企業団に参加して日量5740トンの水を責任水量として費用負担することになるのでしょうか。

 

江崎雅彦 水資源対策課長

 

 小石原川ダムのうきは市の費用負担についてでございますが、小石原川ダム建設時に、うきは市、県南広域水道企業団は、それぞれの必要水量に応じて水源開発に参画しているため、ダムの建設費と完成後の施設管理費を、建設アロケ、費用負担の割り当てでございますが、これに応じて負担することとなります。これは、企業団への参加の有無、また水の利用の有無にかかわりなく、負担が生じるということになります。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 つまり、建設負担も水の負担も発生するということですね。

 水道管自体がないんですよ。5740トンの水は、もらうこともできないし、どこにももって行きようがない。それなのに、莫大な建設費と受水費を払わなくてはならないとは、あまりにも矛盾しているのではないでしょうか。

 うきは市の財政規模は、2016年決算で約162億円です。水道事業計画は283億円もかかるということです。私は、これまで、市町村の需要予測が過大ではないか、水の需要予測とともに、そう言ってきました。今後、費用負担に耐えられない自治体が出てくるのではないかと申し上げてきました。しかし、その私の想定を超える深刻な事態がうきは市で起こっているわけですよ。このような深刻な事態になったことについては、県はどのような認識をお持ちですか。水源開発と水道整備事業に責任を持つ県として、いっしょになって問題解決のために動くべきだと思いますが、県の見解を伺います。

 

江崎雅彦 水資源対策課長

 

 うきは市は、安全・安心かつ安定的な水道事業の導入にむけて、小石原川ダムにその水源を求め、ダム建設事業に参画し、平成17年に建設費用の負担に同意しております。うきは市としましては、地下水の枯渇や汚染等のリスクに備え、水道事業の導入は必要と認識しており、そのための検討を現在、進めていると聞いております。

 水道事業は、将来にわたり安定的に経営が成り立つか否かの判断が必要なことから、水道事業者自らが地域の実情を踏まえて、議会の議決を経て事業計画を策定するものであります。

 安全・安心な水道水を地域に安定的に供給していくことが重要であるという観点から、県としては、うきは市が速やかに住民の理解を得たうえで、水道事業を早期に開始することを期待しております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 うきは市の責任のように聞こえますが、県がウォータープランを作り、水源開発を主導してきた経緯を考えたとき、市町村が水道事業で困難を抱えている場合には、県が真摯に解決のための手立てを考えるべきであると思います。

 給水実績と配分水量に大きなかい離が生じた際には、配分水量の見直しなどを行えるようにすべきではないかと考えますが、県の見解をお聞きします。

 

田島幸一 水道整備室長

 

 ウォータープランは、県全体の水需給の見通しを示すとともに、水資源の開発、保全、及び利用に関する基本的方向を明らかにするため策定されたものでございます。

 各水道事業者は、ウォータープランを参考としつつも、それぞれの地域の開発計画、人口動態等を踏まえ、独自に水道事業計画を策定しております。

 そして、水道企業団から構成団体である各水道事業者への配分水量は、各水道事業者の事業計画に基づいて、構成団体の合意を経て企業団の条例で定められるものであります。

 この配分水量について、その後の社会経済動向の変化や市町村の給水量の需要動向により見直しが必要な場合は、まずは、関係市町村で協議を行い、水道企業団の構成団体の合意を得て決定されるものと考えます。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 水道企業団の構成団体の合意で、見直しの可能性があるということだと思います。

 福岡地区水道企業団では、大山ダムが完成したあと、「筑後川水系の利水安全度を高めるため」として構成団体の配分水量を見直しました。配分水量の見直しは、容易ではないと思いますが、全く不可能ではないと思います。

 広域的な水利用を担う県がこうした観点を持って、開発した水による市町村の負担を軽減する方向が、今後必要になるのではないか思います。市町村の現状を聞くとともに、その解決について国とも協議をしていただきたいと思います。最後に部長に見解を伺います。

 

山本 巧 県土整備部長

 

 配分水量の見直しについてでございます。先ほど室長の方からご答弁申し上げましたけれども、この配分水量につきまして、決まっているものを、その後の社会経済動向の変化や市町村の給水量の需要動向により見直しが必要な場合、まずは、関係水道事業者間で協議を行っていただいて、水道企業団の構成団体の合意を得て決定されていくということになります。

 県としましては、市町村、あるいは企業団からの要請があった場合には、広域的な調整を担う立場からの助言や調整を必要に応じて行うなど、適宜、対応することとなると考えます。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 助言や調整を必要に応じて行うというご答弁ですね。ありがとうございます。

 これは、水需給計画が本当によかったのかということを問われていると思います。我が党は、これまでダム開発に頼らず、工業用水の転用、広域的な水利用で今ある水利用を行うべきだと主張してきました。たとえば、北部福岡緊急連絡管事業については、積極的に推進しました。これは、北九州市の工業用水を上水に転用し、福岡に送れるようにしたものです。日量5万トンの水を供給しています。この総事業費は、わずかに185億円、これに対して小石原川ダムの総工費は、10倍以上の1960億円。開発する水量は日量5万6160トンで、緊急連絡管と変わらないです。

 水道法の第1条には、「清浄にして、豊富低廉な水の供給を図り」とありますよね。ダム先にありきの水源開発で、市町村に大きな費用負担をかけ、低廉な水供給が出来ない自体になっていることを反省すべきと思います。広域的な水利用を本気で進めていたならば、全く使っていない工業用水は、ほかにもありました。とても、残念です。

 しかし、既に、ダムが作られ、水の供給が始まるというところにきていますから、市町村の状況をよくつかみ、ご答弁にありましたように、「助言や調整」を行っていただきたいということを、強く申し上げ、質問を終わります。

 

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