● 18年03月26日 県議会報告

2018年3月26日 2018年予算特別委員会知事保留質疑・高瀬菜穂子委員質疑・答弁「本県の産業廃棄物行政について」「県労働委員会労働者委員の任命について」



≪2018 年予算特別委員会知事保留質疑≫ 

2018 年3月26 日

 

高瀬菜穂子 委員

 

 日本共産党の高瀬菜穂子です。2点について知事に伺います。

 

 

本県の産業廃棄物行政について

 

高瀬菜穂子 委員

 

 まず、産業廃棄物行政についてです。昨年、嘉麻市の中間処理業者エコテックで大規模な火災が起こり、本議会でもたびたび取り上げられてきました。私は、今回、行政文書や帳簿、許可申請書などを情報公開でいただき、エコテックに対する監視指導がどのように行われてきたのか、分析を行ったところです。      

 県はこれまで「平成24年に改善命令を行ったが改善されなかった。平成26年には搬入停止の命令の手続きを開始したが、7月に誓約書が出されたので状況を見ていた。それでも改善されないため、昨年3月に住民説明会を開き、次の処分を行おうとしていたところで、火災が起こった」旨の説明を繰り返されているわけです。しかしながら、その途中で行うべき指導・処分があったと、何度もあったと、今回、分析をしてみて感じました。

 パネルを作ってきましたので見ていただきたいと思います。

 まず、最初の改善命令が2回延長されていますが、その時も告発されていませんでした。平成26年7月の時点で、申請書が出されるんですよね。(グラフの)赤が搬入で、青が搬出ですが、確かに8月9月は搬入がありません。搬入が無くなっていますが、2か月だけなんですね。10月には搬入が開始されておりまして、11月には233トンですから、7月を超える量が入ってきています。しかも、帳簿を見ましたら7月の申請書に書かれていた約束を違えた、違反したものが搬入されております。

 さらに、この年、平成26年の12月26日がエコテックの許可の5年に一回の更新日でした。前日の25日に申請書を提出しているんですね。その中身も杜撰でなものだと、私は判断しましたが、それを受け取っています。判子を押しています。県はどういう判断をされたかというと、許可はできないという判断をしているんですね。許可はできない業者だと判断している。しかし、受付の判子を押しています。これがどういうことを意味しているかというと、「みなし許可」という形で、県が判子を押したものを、いわゆる「みなし許可証」と言われ使われているわけですが、その後、営業ができるわけです。

 その後県は、不許可とせず、許可にもせず、この「みなし許可」のまま、昨年の火災を起こすまで2年半、ずっと「みなし」のままで、このエコテックに営業をさせているわけです。そしてその結果どうなったかというと、次の年の平成27年、明らかに搬入が増えています。そして、この年の3月4月小火が起こっています。

 これだけの量が入って、さらに次の年には、ほとんど搬出が進まない状況になっています。火災がこの後起きているんです。

 途中で何度も不許可にするとか、小火の後に搬入をやめさせるとか、いくらでも処分ができたのではないかと、改めてこれらの資料を見て思ったわけです。

 

 この間のエコテックへの監視指導について、知事はどのような見解をお持ちでしょうか。命令、指導に従わない時点での告発や厳しい行政処分、申請の「不許可」、小火の後の搬入禁止など、いくらも処分は考えられますが、お尋ねします。

 

小川 洋 知事

 

 繰り返しのご答弁になりますが、今回の事案につきましては、県は、平成24年5月に過剰保管是正のため改善命令を発出し、平成26年5月にには、廃棄物の新たな搬入を停止する命令の手続きを開始したところでございます。

 これに対し、事業者からは、廃棄物の受け入れの大幅な抑制を内容とした誓約書が提出され、搬入量も減少したところでございます。

 その後、再び、搬入量が増加したころから、誓約書の遵守を求める厳重注意や、改善命令履行の催告書を発出するなど、繰り返し、立ち入り検査や指導を行い、昨年3月には住民説明会において、事業者に本年度中の改善を約束させたところであります。

 しかしながら、この改善状況の履行確認及び指導を開始した矢先に火災が発生し、事業者による過剰保管が結果として、火災事故を大きなものとしたことについては、大変遺憾に思っております。

 県としましては、今回の事案も踏まえ、指導に従わない事業者に対しましては、生活環境保全上の支障を生じる事態を招くことを未然に防止し、廃棄物の適正処理を確保していくため、法に則って厳正に行政処分を実施してまいります。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 これまでと全く同様の答弁で、大変残念です。厳正に行政処分が行えていないから、質問しています。環境省は「速やかな告発」を通知するなど迅速で厳しい処分を求めています。本県の監視指導は廃掃法に定められた指導を行っておらず、違法ともいえる状態です。私は、県の答弁を聞いていて、自らの監視指導をまともに検証しているのか、反省しているのか、疑問を持つわけです。

 

 このような「甘い」指導が続くなら、県民の信頼は得られません。なぜ、もっと、毅然とした指導にならなかったのか、総括と検証をお願いしたい。エコテックについて言えば、情報公開をかけた際、法に定めのある提出書類さえも不存在のものがありました。文書の提出さえ、徹底できていない、これで監視指導が十分とはとうてい言えません。文書チェックや立ち入り検査の情報を集め、処分を判断する体制はどうなのか、不十分なのではないかと思うわけです。新年度のドローン導入は、力を発揮すると期待しますが、それ以外の予算措置は見られません。環境部の予算は全体の0.2%と極めて少なく、しかも、困難な仕事を行っています。必要ならば、人員の確保も行って、適正・迅速な監視指導を進めていただきたいと思いますが、知事の見解を伺います。

 

小川 洋 知事

 

 県におきましては、全国で初めて、安定型最終処分場を対象に掘削調査を実施するとともに、排出事業者から最終処分業者に至るまで、処理ルート全体を対象とした一斉立入検査を重点的に行うなど、不適正処理の早期発見、早期対応に努めているところであります。

 監視指導体制強化の観点から、効率的に業務を行うため、新年度からは、赤外線カメラを搭載したドローンの活用により、廃棄物の量、埋立面積や表面温度を正確かつ迅速に把握し、産業廃棄物の不適正処理の早期発見、早期是正、火災事故の未然防止を図ることとしております。

 これらの取り組みにより、不適正処理を見逃さない監視・指導体制を構築してまいります。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 いまのお答えも、これまでと変わらないもので、本当に不適正処理を見逃さない監視・指導体制を構築していけるのか、今回の事故について本気で検証し、反省しているのか、残念ながら伝わってまいりません。県の監視行政が信頼されるようものとなるよう、知事のイニシャチヴをお願いしたい。現場の声を聞き、必要ならば人員の確保などのさらなる対策を行うよう重ねてお願いし、次の質問に移ります。

 

 

県労働委員会労働者委員の任命について

 

高瀬菜穂子 委員

 

 次に、本県労働委員会労働者委員の任命について伺います。

 

 1989年に連合福岡と福岡県労連の二つのローカルセンターが発足して以来、およそ30年、一度も県労連推薦の委員が任命されたことがありません。全て、連合福岡からの推薦の委員で占められています。

 

 その理由について度々質してまいりましたが、「推薦候補者全員について、労働委員としての適格性を総合的に審査・判断して任命を行った」と、判で押したように同じ答弁を繰り返してこられました。客観的に県民が説明を聞いて、納得ができる理由がないのではないですか。あったら、示していただきたいと思いますが、答弁を求めます。

 

小川 洋 知事

 

 ご指摘にありました、労働者委員の選任に当たりましては、労働委員会が労働争議の調整及び不当労働行為を行う公、労、使による三者構成の合議体である性格に鑑み、労働委員会制度の趣旨に沿った円滑な運営が確保され、かつその機能が最大限発揮されるよう、総合的な観点から公正に選任を行っているところであります。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 これまでと同じですね。では、質問を変えます。何に基づいて総合的に判断しているのですか。

 

小川 洋 知事

 

 労働者委員の選任にあたりましては、推薦候補者から提出された調書に記載された、1公職就任経歴、2所属事務所での役職歴、3労働関係役職歴等を参照しながら、先ほど申し上げました、労働委員会制度の趣旨に沿った円滑な運営が確保され、かつその機能が最大限発揮されるよう、総合的な観点から、候補者一人一人につきまして、総合的に審査・判断をし、選任を行っております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 経歴書の記載事項だけで判断しているわけですね。それでどうして、30年間も県労連推薦の委員が任命されないのでしょうか。その、はっきりした理由はお示しにならない。

 

 福岡県労連が福岡地裁に提訴した、「第33期労働者委員の任命取り消し訴訟」の判決が、2003年に出ています。知事もご承知だと思いますが、判決では、「知事は、県労連系の候補者を労働者委員から排除することを意図した」と、「県労連系の候補者であるという理由だけで、任命しなかった」と、認定しています。訴訟そのものは、却下されていますが、その事実は、はっきりと認めているわけです。

 「なぜ、県労連推薦の委員が任命されないのか、」何度質しても、明確な理由を示せないこと自体が、その事実を裏付けているのではないでしょうか。「県労連推薦」というほかに、理由がない。明らかに差別ですよ。こんなことがまかり通っていいわけがありません。

 

 同様の裁判を受けて、北海道の高橋はるみ知事など、11の都道府県では、司法の判断を真摯に受け止め、是正をしています。違法状態にあるのだから、当然の態度だと思います。

 

 任命権者は知事です。県行政の長として、「公正・公平な人事を行う」と、「組織人員の比率に応じて、県労連からも労働者委員を任命する」と明言すべきではないですか。知事の勇気ある決断を求めるものですが、お答えください。

 

小川 洋 知事

 

 再度の答弁にあるわけですが、 労働者委員の選定にあたっては、これまでも、労働委員会制度の趣旨に沿った円滑な運営が確保され、かつその機能が最大限発揮されるよう、公正に選任してまいりました。

 今後とも、労働組合法で規定された手続に基づき、候補者一人ひとりについて、労働委員としての適格性を総合的に審査・判断し、公正な選任に努めてまいります。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 がっかりですね。結局お認めになりませんでした。

 

 行政委員会は、「政治的中立性や公平性が求められる分野、慎重な手続きを必要とする特定の分野に設置される」と、地方自治法で定められています。一方の潮流に偏った委員の構成で、どうして政治的中立性や公平性が担保されるでしょうか。

 知事の判断は、明らかに地方自治法の趣旨に反する、偏向任命、差別人事だと言わざるをえません。知事の任命によって、憲法で保障された労働基本権が所属組合によって侵害されています。

 30年間という長期にわたる違法状態を、早期に解消していただきたいと思います。重ねて強く要望しまして、質問を終わります。

 

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