● 18年09月28日 県議会報告

2018年9月28日 2018年決算特別委員会 高瀬菜穂子委員質疑・答弁「JR日田彦山線の復旧について」



≪2018 年決算特別委員会≫

2018 年9月28 日

 

JR日田彦山線の復旧について

 

高瀬菜穂子 委員

 

日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従いまして、JR日田彦山線の復旧問題につい

て質問します。質問が続いていますので、なるべく重複を避けて質問したいと思います。

 

これは何度も本会議でも言われておりますが、8月8日の報道によりますと、JR九

州の青柳社長は日田彦山線の復旧後の運営について、「上下分離方式」を提案する方針を示しました。その上で、8月27日には「話が進まなければ、地元が『鉄道は難しい』と言っているという認識だ」と、「その時は鉄道以外を提案する」と言って、高速バス輸送システム、BRTの導入を検討している旨、示しました。いずれも記者会見での青柳社長の一方的な発言です。

 これに対して沿線自治体の首長さんたちが、8月31日にJR九州本社を訪れ抗議を

したということですが、この件についてご説明ください。

 

片山 潔 交通政策課長

 

 JR九州の青柳社長が定例記者会見において、運行費用の負担や鉄道以外での運行と

いった、協議の場で提案すらされていないことを発言したことで、鉄道での復旧を切望

している沿線住民の方々及び自治体に大きな不安と不信感を与えるものとなりました。

 そこで、福岡県から大分県、沿線市町村に急きょ呼びかけを行い、去る8月31日、

青柳社長の会見について抗議を行うとともに、復旧に向けた議論については本来の協議

の場である「日田彦山線復旧会議」の場において進めていくよう、JR九州に対して強

く要請をしたところであります。

 これに対し同社からは、青柳社長の会見における一連の発言について謝罪がなされた

ところでございます。

 

高瀬菜穂子 委員

 

青柳社長の発言について、謝罪はしたけど撤回はしていないということでよろしいかと思います。JR九州はこの方針を変えていないと。そうなれば、今後、上下分離方式やBRTは協議の俎上に乗ってくる可能性あると思われますが、県としてはどのように対処するおつもりですか。お答えください。

 

片山 潔 交通政策課長

 

 県といたしましては、上下分離方式は考えておりません。また、復旧協議はあくまで鉄道で復旧するための方策を検討する場でありますので、BRTはそもそも協議の対象となりえないと考えております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

上下分離もBRTも認めないという立場だということで確認させていただきたいと思い

ます。その立場で一日も早い復旧へ協議を続けていただきたいと思います。

 

上下分離方式は、財政規模が小さい自治体にとっては、負担が重くのしかかることになります。また、利便性に劣るバスに転換しても、利用者は次第に減少し、バス路線も廃止になる例も見られます。

東峰村では、日田彦山線を生かした地方創生に取り組んできており、災害までは、JR九州と二人三脚でやってきています。それを一方的に反故にするやり方は許されません。渋谷村長も「JR九州の方から協議を申し出ておいて、協議の場では一言も言わず、場外で一方的に勝手なことを言っている」と相当に怒っておられました。

 

 私はこの問題では、国はJR九州に対する指導責任があると思います。

 私たち日本共産党県議団は、7月13日に国交省鉄道局と交渉し、この件でJR九州に対し、一日も早い復旧とJR九州の責任による路線維持を強く指導するよう求めました。しかし、「国はアドバイザーだ」と、「国としては地元自治体とJR九州の協議を見守っている」と、こういう傍観者的な立場を示しました。JR九州が真摯に住民の声に耳を傾け関係自治体との協議に向き合うためには、国の姿勢を変えさせる必要があると思いますが、いかがでしょうか。

 

片山 潔 交通政策課長

 

 「日田彦山線復旧会議」には、九州運輸局はアドバイザーとして参加しております。

 JR九州の青柳社長の一連の発言は、復旧会議での議論をないがしろにするものであり、アドバイザーとしても、JR九州に対し、復旧会議の場できちんと議論するように、JR九州に対し要請していただきたいと考えております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

ぜひ、そうすべきだと思います。国の責任は重要です。

先ほど栗原委員の方からも指摘がありましたけれども、1986年の国鉄の分割民営化にあたっては、JR会社法が制定され、その趣旨は「株式会社とはいえ、国鉄の事業を引き継ぐJR各社に対し、単なる営利企業としての利益追求に走らせるわけにはいかない」ということでした。そしてJR九州の上場にともなっては、先ほど指摘があった「指針」、当分の間、事実上配慮すべき「指針」というものの適用をJR九州は受けているということです。

この指針には、「現に営業する路線の適切な維持に努めること。路線を廃止する際は、関係公共団体及び利害関係人に対して十分に説明を行うこと」とあります。つまり、通常の民間企業とは違った公益事業を担う主体としての行動が求められるということです。さらに指針には、国土交通大臣は、「指針」を踏まえた事業運営を確保するため必要があると認めるときは、JR九州に対して指導・助言・命令等を行うこととなっています。先ほど、栗原委員が指摘されたところで、ここは非常に重要だと思います。

先ほど課長は、「JR九州は指針を踏まえた事業を行っているとは言い難い」とお答えになりました。「『指針』に基づくJR九州に対する指導を国に求めていくことを、検討する必要があると考えております」というお答えだったと思います。

こうした経緯を考えますと、「条件をのまなければ復旧工事に着手しない」とか、「話が進まなければ地元が鉄道は難しいと言っていると認識する」などという発言は、決して許されるものではありません。「路線廃止」という言葉を、自ら直接の言葉で言っていないだけで、言っているも同じです。むしろ、狡猾で卑劣なやり方です。「こんなやり方をのさばらせていいのか」と、しっかりとした「指針」に基づく指導を国に求めるべきだということを、強調したいと思います。

 

そこで伺いますが、全国のJR各線で「上下分離方式」に移行した路線がありますでしょうか。

 

片山 潔 交通政策課長

 

 現時点では、全国のJR各線で上下分離方式に移行した路線はないと承知しております。

 これから復旧に着手するJR東日本の只見線が上下分離方式をとる予定だと聞いております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

東日本大震災で被災した只見線が、上下分離で存続する旨の合意が昨年の6月19日に、JR東日本と地元自治体との間で成立しております。関係自治体にとっては苦渋の決断だったと思います。国が「アドバイザー」、「行司役」では、こういう結果になりかねません。国の役割は、そういう落としどころを見つけることではないはずです。

国鉄改革の際や、JR法などで国民に約束した「路線を維持する」との基本的立場を、国に守らせる必要があります。

復旧を人質に維持策を示せという横暴は許されません。被災路線は、まず無条件に復旧することは当然です。行政による国やJRに対する働きかけの強弱が結果を左右すると指摘しておきます。

 

島根県江津(ごうつ)市と広島県三次(みよし)市を結ぶ、JR西日本の三江線(さんこうせん)は、島根、広島両県知事や沿線の三市三町の首長がこぞって存続を求めたにもかかわらず、本年4月1日をもって全線廃止になりました。

 島根県の溝口知事は、県議会での質問に「廃止決定は残念だが、現在の制度では撤回させる法制度がない」と答弁をされています。つまり、2000年の鉄道事業法の改悪、路線の廃止を認可制から届け出制にした規制緩和が大きな障害となったということです。

 JR九州は、日田彦山線の赤字額ばかりを強調しますが、そもそもネットワーク型の公益事業は、ネットワーク全体の収支で不採算エリアもカバーする「内部相互補助」の考え方に立脚しています。それが、鉄道事業法の規制緩和によって、内部相互補助の法的・制度的基盤が弱体化し、地域社会にとって大きな影響を持つ鉄道の存廃が、一企業の判断で左右される不安定なものとなりました。JR九州の強気で横暴な態度の背景にはこの問題があると思います。

 内部相互補助は、撤退を規制することで可能となります。地域の鉄道の存続には、鉄道事業法を見直し、路線の廃止を届け出制から認可制へ戻す必要があります。このことを、ぜひ国に求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

片山 潔 交通政策課長

 

 ご指摘の件につきましては、鉄道事業法における「路線の廃止」に関する手続きでありまして、日田彦山線復旧に関しては、現在鉄道による復旧を目指して協議しており、廃止については一切考えておりません。

 JR九州の完全民営化に際しては、経営安定基金の果たしている機能が引き継がれた経緯を踏まえれば、JR九州は鉄道ネットワークを維持していく責務を有していると考えております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

私の質問にお答えになっていないんですよね。

鉄道事業法の見直しについては言及がありませんでしたが、2000年の規制緩和以降、各地の廃線は加速しています。「最後は事業者次第」ということが、JR九州の傲慢な態度を許す原因にもなっていると思います。自治体および住民自身が自律的判断を下し、自己決定するためには、この問題は避けて通れません。鉄道事業法の見直しをぜひ国に求めていただくよう、強く要望しておきます。ぜひ、検討してください。

 

災害に遭った路線をそのまま放置し、廃線の口実にするケースが全国でいくつも見受けられます。被災して、困難を抱えて苦しんでいる地域を切りすてることは絶対にあってはなりません。こういうことを許せば、被災地は幾重にも困難を抱えてしまいます。

日田彦山線は、年間2億6000万円の赤字だと言いますが、JR九州は2011年以降200億円規模の経常利益を計上しており、体力は十分にあります。

すでに地方は、人口流出、人口減少で地域の経済も衰退して苦しんでいます。廃線になれば、ますます地方から人口が流出、路線の存続は死活問題だということを強調しておきます。 

 毎年のように、豪雨災害や台風被害、震災などが続いています。日田彦山線の復旧は、今後の災害路線の復旧、全国のローカル線の命運がかかっていると言っても過言ではなく、悪しき前例としてはならないと思います。地方や地域住民を無視したJR九州の横暴は絶対に許さないという姿勢をぜひとも示していただきたいと思いますが、最後に部長の答弁をお願いします。

 

小山英嗣 企画・地域振興部長

 

 日田彦山線の復旧に関しましては、先ほども申し上げましたが、JR九州の「鉄道で復旧したいので協議の場に参加してもらいたい」との申し出により、「日田彦山線復旧会議」が設置され、併せて実務者レベルでの検討会においても協議を行っているところでございます。

 こうした協議のさなか、先ほど課長の答弁にもありましたが、JR九州の社長は、協議の場に提案すら行っていない「上下分離」や「BRT」に言及するなど、鉄道での復旧を切望している沿線住民の方々、及び自治体に大きな不安と不信感を与える発言を行いました。

 こうしたJR九州の姿勢は、地域住民や自治体との信頼関係を損なうものであり、極めて遺憾でございます。関係自治体ともに抗議を行ったところでございます。

 JR九州には、より高い社会的使命を有しているということを認識した上で、主体的に復旧を進め、鉄道ネットワークを維持していく責務があると考えます。

 県としましては、沿線市町村や大分県との連携を一層強め、JR九州に対し、公共性の高い公共交通機関としての認識をもって、一日も早く日田彦山線を鉄道で復旧するよう、今後とも粘り強く働きかけを続けてまいる考えでございます。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 部長の答弁をいただきましたけれども、沿線の自治体、県も入って抗議をしても、謝罪はするが撤回はしないという事実があるわけです。

 私は、やはり国が路線を維持する立場にしっかり立つかどうか、このことが結果を左右すると考えます。そのためには、知事が指導力を発揮して政府や国交省に強力に働きかけることが必要だと思いますので、知事の決意を伺いたいと思います。知事保留をお願いします。

 

以上

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