● 19年02月14日 県議会報告

2019年2月14日 2月定例会・高瀬菜穂子議員 一般質問「福岡県部落差別の解消の推進に関する条例(案)について」(大要)



2019年2月14日   2月定例会・高瀬菜穂子議員一般質問 答弁(大要)

 

 

<福岡県部落差別の解消の推進に関する条例(案)について>

 

高瀬菜穂子 議員

 

 日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従い、「福岡県部落差別の解消の推進に関する条例(案)」について一般質問を行います。

 今議会に提出された本条例案は、2016年12月に成立した「部落差別の解消の推進に関する法律」の実効性を高めるためのものと説明されています。私は、2017年2月議会において、この法律について県の認識をただしましたが、その際、この法律には「部落差別」の定義がなく、「何が部落差別に当たるかの判断を誰がやり、どうやるのか」も不明確なままであることを指摘しました。全会派一致で採択された附帯決議は「過去の民間団体の行き過ぎた言動等を踏まえ、これに対する対策を講ずることも併せて総合的に実施すること」「教育及び啓発を実施するにあたっては新たな差別を生むことがないよう留意」「実態にかかる調査を実施するにあたって新たな差別を生むことがないよう留意」と、慎重な対応を厳しく求めています。これは、この法律により行われる教育啓発や実態調査が新たな差別を生む危険性をはらみ、一部民間団体の行き過ぎた言動を引き起こす危険を認識しているからにほかなりません。部落差別の解消に逆行するとの議論がある中で成立した法律に基づき、全国に先駆けて県条例案を提出されたことは、まことに遺憾であります。

 そこで改めて知事の見解を伺います。2002年の地域改善対策特別措置法の終了にあたって、総務省大臣官房地域改善対策室は「今後の同和行政について」という通知を出し、特別対策を終了する理由として、①これまで膨大な事業の実施によって同和地区の状況は大きく変化した、②特別対策を続けていくことは差別解消に必ずしも有効でない、③人口移動が激しい状況の中で同和地区・関係者に限定した施策を続けることは実務上困難、というものです。これについて、同様の認識をお持ちかどうか、まずお尋ねします。

 

 

小川洋 知事

 

特別対策終了に当たっての国の考えに対する県の認識について

 

 お答えを申し上げます。特別対策終了に当たっての国の考え方に対する県の認識でございます。特別対策につきまして国は、これまでの事業の実施によりまして同和地区の状況は大きく変化しており、特別対策を続けていくことは差別解消に必ずしも有効ではなく、同和地区・同和関係者に限定した施策を続けることは実務上困難であるとそういう認識でございます。

 県におきましてもこれと同じ同様の認識を持っておりまして、地域の状況、事業の必要性に応じ、一般対策によって適切に対応してきているところであります。

 

 

 

高瀬菜穂子 議員

 

 次に、本条例案第1条には、インターネットなどによる部落差別事象があると指摘していますが、法務省調査による人権侵犯事件のうち、インターネットによるものは何件で、そのうち同和問題に関するものは何件ですか、直近の数字でお答えください。また、それら事件は、ネット上の書き込みですか、実質的被害を伴うものですか。同様の県独自調査があれば、あわせてお答えください。

 

 

小川洋 知事

 

法務省調査による人権侵犯事件の件数及び県独自の調査ついて

 

 次に、法務省調査による人権侵犯事件及び県独自の調査ついてお尋ねがございました。

 法務省の調査によりますインターネット上の人権侵犯事件は、過去5年間の合計で8,248件となっております。

 しかしながら、その内容、内訳につきましては、分類されておらず、同和問題に関する件数や実質的な被害については明らかにされておりません。

 県及び市町村に相談等がありましたインターネット上の人権侵害事象の件数は、過去5年間の合計で37件、そのうち同和問題に関する事象が29件ございます。

 

 

高瀬菜穂子 議員

 

 条例案の第2章は、「結婚及び就職に際しての部落差別事象の発生の防止」となっていますが、差別の実態はあるのでしょうか。「最後の越えがたい壁」と言われた結婚差別も克服され、1993年の最後の政府調査でさえ、若い世代では7割が地区内外の結婚と圧倒的多数になっています。本県において、現在でも結婚や就職の際に、部落差別を受けたという明らかな事例はあるのですか。それは何件ですか。また、この問題での県への相談はありますか、何件ですか、お答えください。

 

 

小川洋 知事

 

結婚や就職の際に部落差別を受けた事例について

 

 次に、結婚や就職に際しての部落差別事象でございます。結婚に際しての部落差別について県が直接相談を受けた事例はございませんが、最近、県内自治体等が実施しました調査におきまして、複数の人が差別・結婚差別を経験したことが報告をされております。

 また、県が実施いたしました人権に関する県民意識調査でも、子どもが同和地区の人と結婚しようとするときは「親として反対する」「まず反対する」という回答が未だ3割強ありました。

 就職に際しての差別事象につきましては、国の調査において、本県においても企業が採用の際に就職差別につながるおそれのある質問や書類の提出を求めるなど、不適正なケースというのが報告をされております。

 これらのことから、結婚及び就職に際して、依然として部落差別意識が解消されていない状況があるとこのように考えております。

 

 

高瀬菜穂子 議員

 

 本条例案第8条には、「同和地区」を「歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域をいう」と記述されています。驚きました。特別対策終結にあたって、同和地域の生活環境は改善していること、実務上困難なほど混住が進んでいることが指摘され、大阪府や岡山県などは「今日、もはや同和地区は行政的には存在しない」と答えています。北九州市も「法的には同和地区は存在しない」としています。そんな中で、20年以上前の「福岡県部落差別事象の発生の防止に関する条例」を下敷きに、この時と全く同様の規定をするとはどういうことでしょうか。先に示した国の見解に照らしても、歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている「同和地区」は今や存在していないのではないでしょうか。知事の見解を伺います。

 

 

小川洋 知事

 

同和地区について

 

 「同和地区」でございますけれども、「同和地区」とは歴史的、社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域でありまして、いわゆる部落差別を受けている地域のことであります。

 「同和地区」を特別対策事業の対象として指定いたしておりました特別措置法は失効いたしましたけれども、このことによって部落差別を受けている地域がなくなったということではありません。部落差別解消推進法におきましても、現在もなお部落差別が存在しているというふうにされております。

 また、「同和地区」という表現でございますけれども、特別措置法が昭和44年に制定される以前から用いられており、現在でも国や多くの地方自治体において用いられておりますことから、引き続き改正案におきましてもこれを使用しているものでございます。

 

 

高瀬菜穂子 議員

 

 最後に、県が行おうとしている「実態調査」について伺います。国会論議の中では旧同和地区の対象者を特定するような調査はしないという確認が行われています。県はどのような調査を行おうとしているのでしょうか。現在県が行っている「意識調査」も、たとえば「あなたのお子さんが同和地区の人と結婚しようとしたとき、あなたはどうしますか」など内心の自由を侵すような設問があり問題があると考えます。そして、その問題の設問に対する回答でさえ、「子どもの意志を尊重する」が47.2%と半数近く、「親としては反対だが、子どもの意志が強ければ結婚を認める」が24.2%とあわせて7割を超えます。「絶対に認めない」はわずか3.5%であり、この問題の差別意識はほぼ克服されたとみるべきではありませんか。それは多くの人の人生をかけた努力によって達成されたものです。プライバシーにかかわる個別の問題について、心の中をえぐるような調査はやめるべきです。「実態調査」を行うことで、実際には起こってもいない差別を見つけ出し、「垣根」を顕在化することは許されません。差別が存在することを前提に行う「調査」は差別の解消に逆行するもので、「実態調査」はやるべきでないと考えます。県は条例に基づき、どのような調査を行おうとしているのかお答えください。また、知事の「実態調査」についての見解を伺います。

 

 

小川洋 知事

 

実態調査について

 

 次に、実態調査についてお尋ねがございました。条例案におきましては、県は部落差別の解消に関する施策の実施に資するため、国が行う調査に協力をするとともに、必要に応じ調査を行うことといたしております。

 その調査を実施する際には、参議院での附帯決議を踏まえまして、当該調査により新たな差別を生むことがないように留意しつつ、それが真に部落差別の解消に資するものとなるよう、その内容、手続き等について、慎重に検討してまいります。

 

 

高瀬菜穂子 議員

 

 本条例案は、歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている「同和地区」があるとの旧態依然とした認識で作られた時代錯誤の条例案であり、差別の固定化につながる恐れがあり、新たな差別につながらないようにという附帯決議に反するものであることから、撤回すべきものと考えます。知事の見解を伺います。

 

 

小川洋 知事

 

条例改正案の撤回について

 

 次にこの条例案を撤回したらどうかというお尋ねでございました。部落差別に関しましては、従来からの差別発言や差別落書きに加えまして、近年、情報化の進展による状況の変化に伴いインターネット上の差別書き込みや電子版の「部落地名総監」の問題など新たな事象が発生をしております。

 また、平成28年に、部落差別は許さないものであると規定された「部落差別の解消の推進に関する法律」も制定されました。

 こうしたことから、部落差別の解消を推進し、部落差別のない社会を実現するため、基本理念を定め、県の責務を明らかにし、相談体制の充実、教育・啓発の推進などを新たに加える改正案というものを提案させていただいたところでございます。

 

 

高瀬菜穂子 議員

 

〈再質問〉

 

 お答えをいただきましたけれども、ご答弁によっても、実質的被害を伴う差別というのはないということだと思います。人権連が2015年に法務省に直接尋ねたとき、この年のインターネット上の人権侵犯事件1869件のうち、同和問題に関するものは4件と答えたそうです。その前の年が4件、その前は0件です。知事は3割強が結婚差別の意識があるとお答えになりましたが、先ほど私、指摘しましたようにその大半は「反対だが、子どもの意志が強ければ結婚を認める」という答えなんです。「依然として部落差別意識が解消されていない」どころか、「基本的に差別意識は解消している」と見るべきです。私は、この条例案には、法で言うところの「立法事実」がないということを指摘しておきます。

 知事に一点質問です。知事は、「実務上困難なほど混住が進んでいる」という特別対策終了時の国の考え方と同じ認識をお持ちだと答えられました。それなのに、本条例案では、「歴史的、社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている「同和地区」を規定しています。矛盾している、逆行しているとは思われませんか。お答えください。

 

 

小川洋 知事

 

 冒頭に申し上げました一番最初の質問でお答えしましたように、国の認識と私の認識、県の認識はかわっておりません。そのうえで、先ほどからいろいろご説明申し上げておりましたように、最近の状況、それからそういう国の見解が出されたあと、いわゆる選良の府であります国会で、部落差別解消推進法が制定をされたとそういうことも踏まえまして、今回の条例案を出させていただいたところであります。

 

 

高瀬菜穂子 議員

 

 お答えいただきましたが、実質的差別がないなかで、法も作られたわけなんです。この条例案に一番傷ついているのは結婚差別を乗り越えてきた人たちです。ある方がおっしゃいました。「私たちが結婚するときは苦労した。でも、それを乗り越えて、今差別など全く感じなくなった。そんな時に、いまだ差別があるという条例が出されることは、これまでの努力、人生を否定された思いだ」当事者のこのことば、重く受け止めていただきたいと思います。本条例案は、立法事実もなく、差別解消にもつながらないことから、撤回すべきものだということを再度強調し、質問を終わります。

 

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