● 19年06月28日 県議会報告

2019年6月28日 2019年予算特別委員会 高瀬菜穂子委員質疑・答弁「JR日田彦山線復旧問題について」(大要)



《2019年決算特別委員会》

2019年6月27日   

 

JR日田彦山線復旧問題について 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 日本共産党の高瀬菜穂子です。引き続き日田彦山線の復旧問題について質問させていた

だきます。多くの委員から質問がありましたので、重複を避けたいと思いますけれども、

大事な問題でございます。私も昨年の決算特別委員会でも、このことを取り上げまして

提案もしてきたわけです。よろしくお願いいたします。

 

 昨年の決算特別委員会で、この問題の解決に当たっては、「国からの強い指導が必要だ」

ということで、知事も国に行かれたと、先ほど西本委員の質問に答えられました。その際、

国は「指針に反するものではない」ということで、強い指導ということにはならなかった

と、大変残念だったと思っております。この指針に反するものだと私は思うわけですよね。

その立場からの指導を強く求めたわけですが、これに抵触しないという国の態度がJR九州

のいまの姿勢につながっているんではないかというふうに思うんです。

JR九州は、決して自ら「廃線」とは言いません。それは「指針」に反することになるか

らです。廃線とは言わずに非公式に「上下分離」だ、「BRT」だと持ち出して揺さぶりをかける。こうした狡猾なやり方を許す背景に、国のこうした姿勢があるわけですよ。青柳社長は、6月7日の記者会見で「短絡的に路線廃止を言うつもりはないが、採算を無視してやる必要はない」とまで言っています。「赤字ローカル線は廃止したい」という本音が透けて見えると思うわけです。

 

 4月23日の復旧会議、再三議論になっていますけれど、JR九州は3案を提示しました。

そして、知事はこの3案を持ち帰ったわけですけれど、3案を持ち帰ったことで知事の態度

が変わったんじゃないかと、県民も私も疑念をもちました。これも質問がありまして、「鉄

道での復旧が望ましいという考えは変わっておりません」という答えでしたので、確認し

ます。しかしながら、ここで「交通ネットワーク」、これも散々議論になりましたが、「交

通ネットワーク」という言葉を使われた。そして、JR九州のこの3案を認めているんじゃ

ないかと、導き出すことになったんじゃないかと、思うわけです。JR九州の青柳社長は、

3月20日の記者会見で「いいタイミングで聞かれたと思っている。いろいろな候補の中に

鉄道もある」と率直に答えています。自ら「廃線」を口にできないJR九州としては、絶好

の提案になったのではないでしょうか。これは重大な失策です。もしも、意図してJR九州

に水を向けたのなら、県民に対する背信行為です。鉄道での復旧を求め、地元への財政支援を受け入れられないと言うなら、なぜ3案を沿線自治体や住民に提示し、説明することを求められたのでしょうか。沿線自治体にとっては、「3案以外に選択肢はない」とのメッセージになりはしませんか。お答えください。

 

片山 潔 交通政策課長

 

 先ほど来、ご答弁申し上げておりますが、重なる部分もあるかと思いますが、3月15日の会議におきまして、自治体側が再考を求めておりました運行経費の財政支援につきましては、JR九州から鉄道での復旧には鉄道設備の維持費用として1億6千万円の財政支援が必要であるとの説明がなされました。

このため福岡・大分の両県知事から、「地域住民の移動手段と利便性の確保、地域の活性化に応える交通ネットワークというものについて、鉄道事業者であるJR九州として、そもそも、どのように考えているのか」「ネットワークをどう維持していくのか」と、改めてその考えを質したところでございまして、復旧会議としてJR九州に地域住民が納得できるような責任ある考え方を示すよう求めることとなったもので、その結果として出された案だと受け止めております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

経過をお聞きしているわけではないんですよね。3案には、JRの自力での再建は入っていないんですよ。その3案を説明させるということは、3案以外に選択肢はないんだというメッセージを被災自治体や県民に示すことになってしまうではないですか。本県としてはJR九州による鉄道での復旧を明確に求めていただく、はっきりしたメッセージを示していただきたいと思います。「鉄道での復旧が望ましい」、これでは決意は伝わらないと思います。

そもそも、復旧会議はローカル線の存続の議論の場ではありません。被災した日田彦山線をいかに早く、どのように復旧させるか検討する場のはずです。路線の利用促進、運行継続策については、復旧後にJR九州、関係自治体等で協力してやればよいことです。事実、災害前はそうしてきたはずです。その立場で議論するよう、国も県もしっかり、JR九州に求めるべきだと思います。お答えください。

 

片山 潔 交通政策課長

 

復旧会議では、自治体側としてはハードの復旧工事については、災害復旧事業を活用することで、JR九州の負担額を低減させる方策を見出すことができました。

一方で、JR九州からは、被災区間の年間赤字が2億6千万円にのぼり、復旧後の継続的な運行を確保するためには、自治体側に運行経費にかかる1億6千万円の財政支援を求めるとの意向が示されました。これに対し、自治体側は収支改善のための利用促進策を示し、「運行経費への財政支援はできない」として、JR九州に対して再考を求めました。自治体側としては、災害復興と利用促進の支援とは切り離して議論すべきだと再三にわたって主張してきたところございます。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 同じお応えを何度も聞くんですけど、JR九州の説明を聞いているわけではないんです。JR九州の新たな案が問題だと言っているわけなんです。

 先ほど、中島委員からも紹介がありましたけれども、JR九州の完全民営化法案が審議された2015年の国土交通委員会において、青柳社長は ①九州の鉄道ネットワークの維持、②ローカル線の廃線、③鉄道の災害復旧について、どのように答弁しいるのか確認していただきたいと思います。

あわせて当時の藤田鉄道局長は、完全民営化にあたってJR九州の責務についてどのように答弁していますか。お尋ねします。

 

片山 潔 交通政策課長

 

議事録によりますと、当時の青柳社長の答弁ですが、「九州のネットワークの維持は、鉄道事業を中核とする当社にとって重要な役割であることは再々申し上げているが、上場によりその役割が変わるものではない」ということ、そして、ローカル線の廃線については、「三セクまたは廃止ということは検討していない」ということ、鉄道の災害復旧については、「これまで28年間、種々の災害を被ったが、これまでのところその復旧を果たしてきたわけであり、今後とも復旧に努めるよう努力する」という答弁でございます。

また、当時の鉄道局長は、次のように答弁されております。「JR九州は完全民営化後においても、九州の基幹的な輸送機関として、必要な鉄道ネットワークをしっかり維持する必要があると考えている」ということ、そして、「今般の完全民営化に際しましても、経営安定基金を将来のネットワークの維持向上に必要な鉄道資産に振り替えることとしている」

ということ、「こうした経緯からも、JR九州は完全民営化後も、現に営業している路線の

適切な維持に努める必要があると考えており、指針でその旨を定めることとしている」、こ

ういうふうに答弁しております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

その通りなんです。国会の場で国もJR九州も国民に約束しているんですよ。しっかりと路線を維持しますと、被災路線は復旧すると、言っているんですよ。そのために経営安定基金3877億円も返還を求めなかったわけですから、その約束を守らせるべきです。

九州運輸局長が日田彦山線の地元負担について、「鉄道を維持するためにどうしてもお願いせざるを得ない提案と理解している」と述べたと言われましたが、全く的外れだと思います。いかがですか。

 

片山 潔 交通政策課長

 

 九州運輸局長の発言でございますが、申し訳ありません、私としてはコメントする立場にないと考えております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 そうですか、立場にない。

 JR九州は、この費用負担ができない会社ではないですよ。だいたい、黒字じゃないですか。この日田彦山線について復旧しないとは、本当に不当なことですよ。国やJR九州に「約束を守れ」としっかり言っていただきたいと思います。

 

角度を変えてお聞きしますが、費用負担の問題ですね、これも議論になりました。国や福岡、大分両県の復旧事業、改正鉄道軌道整備法の適用で圧縮できる、78億円が56育円まで圧縮できるということでした。バスやBRTを採用した場合には道軌道整備法は適用されないということですね。確認です。

 

片山 潔 交通政策課長

 

鉄道軌道整備法でございますが、この目的は第1条で「鉄道の整備を図ることにより、産業の発達および民生の安定に寄与することを目的とする」と規定されており、鉄道事業ではないバスやBRTは対象とならないと聞いております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 確認しました。

 

我党の田村貴昭衆院議員が国土交通委員会でこの費用問題を質問していますが、第二、第三英彦山橋梁の国の負担による修繕、改修を求めたところ、蒲生鉄道局長は「部内で検討する」と言っておられます。それが実現すると34億円まで低減されるんですね。そして鉄道軌道整備法の適用で半分の17億円ぐらいまで圧縮できます。同じ豪雨で被災し、1年で復旧した久大線とほぼ同額になります。できないはずはないと思います。

 JR九州の鉄道事業は完全民営化後、毎年200数十億円の黒字で、体力は十分あります。運行継続も、ですからできる。したがって鉄道軌道整備法の適用もできるはずだと思います。

そもそも、JR側は不通区間の赤字額2億6千万円だけを強調しますが、路線全区間の収支はどうなっているのでしょうか。

 

片山 潔 交通政策課長

 

JR九州が公表しているのは、あくまで不通区間のみでございまして、路線の全区間の収支は日田彦山線に限らず他の路線でも公表しておりません。

 

高瀬菜穂子 委員

 

そうなんです。公表していないんですよ。路線ごとの赤字なんてどこも公表していない。それなのに、山間部の高齢化や人口減少が著しい不通区間のみについて赤字額を提示し、財政支援を求めているんですよ。不当だと思いませんか。

ネットワーク型の公益事業は、ネットワーク全体の収支で不採算エリアもカバーするということが当たりまえです。JR九州の理屈は成り立たないと思います。

 

被災自治体は「3案とも受け入れがたい」と反対し、一歩も引かないと表明されています。これこそ被災地の声と受け止めますが、どのように思いますか。

 

片山 潔 交通政策課長

 

繰り返しになりますが、4月に開催された復旧会議で、JR九州から考え方を示されま

した。知事が代表質問で答弁しましたように、日田彦山線の解決に向けまして1日も早い地域の復興につなげていくことが大事だと考えております。これまでの議論の経過を踏まえて、まず地域のみなさんに対し、JR九州が鉄道による復旧に加え、新たな提案を含め、地域に必要な交通手段の確保に関する考え方を説明した上で、その声を伺うことが必要だと考えております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

「3案とも受け入れがたい」が地元の声だということを申し上げておきます。

2013年に国交省鉄道局が出した「鉄軌道路線廃止後におけるバス代替等の実態、鉄軌道路線の廃止が地域に与えた影響等の検討報告書」というものがありますが、これによると、廃線によって受ける影響について、

1、交通への影響:代替バスによる運賃の増加、定時制が失われることによるサービス・信頼性の低下で、公共交通全体の利用者減が生じる。

2、日常生活への影響:通学可能圏の縮小、マイカー送迎増加による負担、長時間移動やトイレ問題による高齢者の出控え等の問題の発生。

3、沿線地域の活力低下:沿線自治体の全てにおいて小売業の事業所数が減少する。

4、行政への影響:廃止路線跡地の維持管理・代替バスの補助が必要となる。

などとまとめています。これ、本当にマイナスの影響が大きいんですよ。 

 

 東峰村では、先ほど紹介ありましたように、多くの高校生が日田市の県立高校に通っていましたが、2018年度日田市の高校に進学した生徒はゼロだと聞きました。19年度は2人と聞きます。人口減少に歯止めどころか、若い世代の流出に拍車をかけることになってしまいます。

東峰村の村長は、「JRがなくなると『地方創生総合戦略』が成り立たなくなる」と言われ、添田町の町長も、「地方創生を本当に進めるなら、被災でその前提が崩れ、町が努力しえないものについて、国がしっかり支援するのが筋だ」と言われました。その通りだと思います。

知事も地方創生を推進する立場を表明されています。被災地の思いを重く受け止め、一日も早いJR九州による鉄道での復旧を実現するよう努力していただきたいと思います。   

 

部長に答弁をお願いします。

 

野田和孝 企画・地域振興部長

 

 この点につきましては、るるご答弁申し上げておりますけれども、両県知事、三沿線自治体の長、JR九州で構成する「復旧会議」の議論を軸に解決を図っていこうと、関係者が合意をし進めているところでございます。

そして、その復旧会議では、JRが先だって示した案について住民のみな様にご説明をし、ご意見を伺っていこうということになっておりますので、まずは復旧会議で決まったことを着実に実行に移してまいりたいというふうに考えております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 復旧会議が復旧会議でなくなってきているというところが、問題だと思うんですよ。大変心配しております。

 この問題については、知事に直接、真意を確かめなければならないと思いますので、知事保留のお取り計らいをお願いします。   

 

 

以上

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