● 19年07月03日 県議会報告

2019年7月3日 2019年予算特別委員会 高瀬菜穂子委員質疑・答弁「五ヶ山ダムの治水問題について」(大要)



2019年7月3日   6月定例会(予算特別委員会)高瀬菜穂子委員質疑(大要)

 

 

<五ケ山ダム治水対策について>

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。五ケ山ダムの治水対策について伺います。

 一昨年の九州北部豪雨災害の際に、朝倉市の寺内ダムには、想定を超える毎秒888㎥、トンと言ってもいいかと思いますが、888㎥が流入し、流木や土砂も合わせて押し寄せました。ダムは満水状態になりましたが、ぎりぎりのところで佐田川への放流はしなくてすみました。それは渇水でダムの容量が減っており、水量が減っており、治水容量が通常より大きかったからだとされています。もし、通常の満水位の水があれば、下流には大きな被害が及んだと考えられますが、この点について、県としてはどのような分析、総括をされているでしょうか。

 

 

田尻英樹 河川管理課長

 

 当時、寺内ダムを管理しております水資源機構は、洪水調節を実施することでダム下流の河川水を低減しており、ダム下流約8キロの金丸橋地点の水位は、避難判断水位程度の3.5メーターでした。水資源機構の試算では、ダムが無かった場合には越水により浸水や堤防決壊の可能性があったとされています。

 このため委員ご指摘の、常時満水水位であった場合は、避難判断水位を超え堤防の高さまで水位がおよぶか越水していた可能性があったと想定され、少雨傾向によって出来た空き容量が水位低下に寄与したものと考えております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 この寺内ダムの事例というのは、ダムの効用ですね、大変役に立つという側面と、限界とを浮き彫りにしているというふうに考えます。毎年のように災害が起こる中で、この教訓を生かした治水対策を全県で行っていただきたいということを、まず申し上げておきます。

 さて、県内最大の五ケ山ダムが、現在試験湛水中であります。このダムは、多目的ダムですが、計画当初は渇水ダムといわれておりました。実際、渇水容量、利水容量が、治水容量を大きく上回っております。福岡市の市街地天神へと流れる那珂川は、それほど大きな川ではなく、上流に、背振、五ケ山、南畑と三つのダムを擁しているだけに、その治水対策は極めて重要だと考えます。

 

 そこで、五ケ山ダムの治水対策について伺うのですが、ここで、「五ケ山ダムの各種容量について」と「那珂川の計画流量配分図」を資料として、あらかじめお願いしておりますので、委員長、お取り計らいください。

 

資料要求

  • 五ケ山ダムの各種容量について
  • 那珂川の計画流量配分図

 

 それでは資料にしたがい、「五ケ山ダムの各種容量について」、簡潔にご説明ください。

 

 

 

 

田尻英樹 河川管理課長

 

 配布いたしました委員会資料、「五ケ山ダムの各種容量について」お願いいたします。まず、最低水位から渇水対策水位までの渇水対策容量、これは計画規模を上回る異常渇水時において必要最低限の県民生活や経済活動を維持する上で、不可欠な生活用水を補給するためのものであり、河川の維持流量などの不特定容量が270万㎥、上水道が1390万㎥の合わせて1660万㎥となっております。次にその上から常時満水位までは通常の利水容量であり、不特定容量が1250万㎥、上水道が260万㎥の合わせて1510万㎥となっております。最後に洪水時に一時的に保留できる最高の水位、サーチャージ水位までの洪水調節容量が800万㎥となっております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 洪水調節容量、治水容量は800万㎥ですけれども、想定する最大流入量は毎秒何㎥で、どのように洪水調節をするのですか。ご説明をお願いします。想定最大流入量は、どのように決定されたのかもあわせてご説明ください。

 

 

田尻英樹 河川管理課長

 

 想定している最大流入量ですが、100年に1回の確率で起こり得る降雨を基に毎秒440㎥となっております。流入してくる毎秒440㎥のうち、洪水調節容量である800万㎥までは、毎秒370㎥を貯留し、常時満水位からサーチャージ水位の間にある常用洪水吐という排水口を通して下流に毎秒70㎥を流下させることで洪水の調節を行っております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 最大の想定が毎秒440ということですけれども昨年の、一昨年の寺内ダムは888㎥なんですね。この想定を超えることは考えられると思いますけれどもいかがですか。

 

 

田尻英樹 河川管理課長

 

 常用洪水吐から最大で84㎥、サーチャージ水位を超える高さに設置している、非常用洪水吐という排水口から最大で626㎥排水できるため、合わせて最大710㎥の排水が可能となっております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 想定を超えることはあると、100年に一度のですね。そのことについてはいかがですか。

 

 

田尻英樹 河川管理課長

 

 想定を超え、100年に1回の確率で起こりうる降雨というものを超える容量のために710㎥の容量が排水できるような施設を設けております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 100年に1回というのは、今最近はよく100年に1回という雨が降りますのでね、それを超えることが考えられるし、今のご説明ですと最大このダムは、毎秒710㎥までは耐えられるんだということだと思います。これでも寺内ダムは888㎥だったわけですよね。710㎥を超える豪雨も想定されるのではないかと思いますが、そうした豪雨が一定時間続いた場合、ダムの堤体を超えることもありうるのではないでしょうか。

 

 

田尻英樹 河川管理課長

 

 ダム堤体を超えるとすれば、この地域における想定最大規模の降雨が何時間も継続した場合、これは、1000年以上に1回の確率で発生する降雨になるんですが、起こり得る可能性は非常に低いと考えております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 可能性は非常に低いということですけれども、今日も大変心配な状況ですけれども、ないとはいえないのではないかと思います。いずれにしましてもこのダムは、710㎥までは耐えられるということです。

 それではですね、那珂川のほうはどうなっているのかと、那珂川がどれだけの水量に耐えられるのか、お尋ねします。先ほどの資料ですが、「五ケ山ダムの役割」としてパンフレットに掲載されている「那珂川の計画流量配分図」ですね。これについて簡潔にご説明ください。

 

 

富田信雄 河川整備課長

 

 配布いたしました委員会資料の「那珂川の計画流量配分図」をお願いいたします。資料は那珂川の区間ごとの流量を示しております。上段の数値が洪水を防ぐ計画の基本となる流量、基本高水流量と言いまして那珂川で100年に1回の確率で起こり得る降雨による流量を示している。

 下段の括弧書きの数値は計画高水流量と言いまして、基本高水流量を南畑ダムと五ケ山ダムで洪水調整を行った結果、河川を流れる流量を示しております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 100年に1回の洪水に対して、五ケ山ダムの完成によって、基準点の南大橋の基本高水流量を、毎秒1350㎥から900㎥まで低減、カットできるというものだと思いますね。では、この900㎥までカットすれば、那珂川はどこも氾濫せずに、下流まで流れるのでしょうか。

 

 

富田信雄 河川整備課長

 

 現在、那珂川の計画流量配分図にあります計画高水流量を目標に河川改修を進めているところでございます。なお福岡市博多区から那珂川市にかけての区間につきましては、平成21年7月豪雨災害をうけて着手しました床上浸水対策特別研究事業が完成しており、平成21年度に発生した豪雨と同等の降雨があった場合でも、住家等の浸水被害は防止される見込みでございます。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 今のお答えですと、まだ整備途上ということなんですね。つまり、五ケ山ダムは100年に一度の洪水、毎秒440㎥が流入した場合に、370㎥カットできるけれども、下流の整備はできていないから、あふれるということですよね。そうなると、先ほどの最大710㎥がもし流れたということになった場合には、今のままでは那珂川は大きく氾濫するということです。河川整備は途上ですから、100年に1度の洪水に耐えられるように計画を完了する時期、これ未定ということなんですよね。那珂川だけではなく県内の河川の整備は大変遅れております。県内52ある水系のうち、河川整備計画があるのは14水系のみです。予算がつかないから計画がつくれない、計画があっても整備が進まない、というふうに理解しております。

 ダムに頼った治水を進めた結果、河川整備が極めて遅れているのが本県の実態だということをあらためて指摘をしたいと思います。

 そこでですね、ダムは、容量がある間は、たしかに下流の安全を守ります。しかし、放流を始め、その量が河川の流下能力を超えれば、あふれるわけですよね、当然。ダムが満水になって、異常洪水時防災操作、いわゆる緊急放流を始めれば必ず水害を起こすと専門家も言っておられました。

 昨年、愛媛県肱川の野村ダム・鹿野川ダムがこの操作をおこなって大洪水となりました。大問題となりました。その後ですね、このダムは治水容量を増やし、事前放流をするように操作方法を見直したと聞いております。

 そこで、提案なんですが、五ケ山ダムについても利水容量が非常に多いんです。利水容量を減らして、治水容量を増やすという用途変更を行ってはどうかと思うんです。特に五ケ山ダムは穴あきダムと言われる、穴が開いてる洪水吐があるだけのダムで、流量の調節は難しいですよね。できない。豪雨が予想されるとき、事前放流で水位を低くして、ポケットを作る、治水容量を増やすというこういう用途変更についてですね考えるべきだと思うんです。県の見解を伺います。

 

 

田尻英樹 河川管理課長

 

 五ケ山ダムは、利水者も負担金を出して建設されておりますことから、利水容量を減らし、治水容量を拡大するためには、利水者の同意を得ることが必要不可欠であります。しかしながら一方でダムで事前に放流するための降雨の予測というのは、ダム流域という非常に狭い範囲が対象となりますため、依然としてその精度が低いという問題がございます。今年の渇水状況、それから過去の渇水状況を踏まえますと、水道用水や灌漑用水といった利水容量を回復することが確実に見込めない状況では、利水者の同意を得ることは大変厳しいと考えております。

 今後も那珂川の治水安全の向上のために現在実施中の河川改修を進めてまいります。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 河川改修は当然進めてもらわないといけないわけですが、早く終わらせてもらわないといけないんですけどね。五ケ山ダムの各種容量にはですね、利水容量、渇水容量のそれぞれに、不特定用水が含まれています。既得用水の安定化や河川環境の保全のための不特定容量は財政的にも国と県の負担です。治水容量も国と県の負担です。ですからこれを置き換えるということは可能ではないかと思うんですけれども、いかがですか。

 

 

田尻英樹 河川管理課長

 

 あの不特定容量ですが、流水の正常な機能維持のための容量でございます。これはダム下流にすでに存在している農業用水や工業用水の既得水流、それから漁業、景観、それから海水遡上による塩害防止から稼動周辺の地下水位の維持、それから河川水質の維持といったものがあり、河川を維持する必要最低限の容量となっております。

 このため不特定容量を減らして洪水調節容量を増やした場合、予測と異なる雨に見舞われますとダムで十分な貯留が出来ず、維持流量が損なわれ、河川環境や県民生活などに影響を及ぼしますので、不特定容量と洪水調節容量を置き換えることは非常に厳しいと考えております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 厳しいというお答えですけども、あの今最低限必要と言われた不特定容量ですね。これ合わせて1520万㎥もあるんですよね。治水容量の2倍近くあります。この一部を用途変更するとか、取水期に弾力的運用するというようなことが私は可能ではないかと思うんです。この流域の自治体とか利水団体のみなさん、もちろん水が必要でお金も出してダムを作っているわけですけれども、一方で洪水が起こるということも困るわけですよね。今おっしゃったダムの限界、それから河川の流下能力その限界もですね、きちんとお話をしてですね、ほんとうにこの見直しをしなくてよいのかということについては問題提起をして話し合いをすべきだと私は思います。このことを強く求めたい。ダムの運用含む治水対策についてですね、率直な話し合いをしてほしいということを問題提起いたします。

 先日、朝倉市で開かれました「防災フォーラム」に参加をしてきました。その際、九州大学名誉教授の小松利光氏が、ダムの効用と限界を理解することが重要だと強調されました。その上で、最近の豪雨災害に対しては、これまでの治水容量では対応できない場合がある、豪雨が予測できる場合に、お金をかけない有効な方法として、ダムの利水容量と治水容量を見直して、ポケットを増やし、ダムの治水調節機能を向上させるということ紹介をされました。例えば、川内川の鶴田ダムは、五ケ山ダムと同じく、穴あきダムです。その穴、排水口ですね、排水口の位置を上のほうから真ん中に作り直したんですね。これすごくお金がかかるそうですが、作り直して治水容量を増やしたということが紹介されました。また既設ダムの嵩上げをおこなって治水容量増やしたということ。ダムの上流から放流トンネルを作って下流に流せるようにしたとこういうふうにして治水容量、ポケットを作っているという例が紹介されたんです。次々と。この間の豪雨災害を体験し、今日もその可能性があって大変危惧してますが、だれもがその対策についてはですね、しっかりやってほしいと思っていると思います。

 また元国交省近畿地方整備局河川部長でありました宮本博司氏はですね、「想定したことが間違っているということを想定しないといけない。」いわれてます。「ダムの調節機能で河道に閉じ込めるという治水は、明治以降のことで、川のふちまで家をぎっしり建てたり、災害の発生しそうなところを開発して住宅地にしてきたのは戦後50.60年のことだ。」「治水の歴史をひもとけば、堤防をわざと低くしたり、堤防をわざと不連続にする霞堤を作っておいて、洪水で水量が増えたとき、水を川の外に安全にあふれさせて、下流に一気に水が流れないようにしていた」と「川のなかだけの対策では限界があって危険性が大きいことから森林や農地の保全,雨水をためることや、氾濫の危険性の周知方法や避難体制の整備、さらには土地利用、町づくりが必要になってくる。堤防間際に家を建てることの規制、規制された地域での振興策、固定資産税を安くするなどの税制面での整備、総合的な政策で洪水対策をすることが必要となる」と指摘をしています。 

 私もそのとおりだと考えます。水系ごとに、総合的な治水対策を住民参加で進めていただきたいと思います。

 五ケ山ダムについては、県内一大きなダムで、県営ダムとしても国内有数の大きなダムです。日ごろから大量の水をためることになるわけですから、豪雨の際の対応は厳しい想定で考えておかなければならないと思います。流域の安全のために、治水容量と利水容量の見直しを含めた検討を行うよう重ねて強く求めまして、質問を終わります。

 

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