● 19年07月09日 県議会報告

2019年7月9日 2019年予算特別委員会知事保留質疑・高瀬菜穂子委員質疑・答弁「JR日田彦山線の復旧について」



2019年7月9日 6月定例会(予算特別委員会)高瀬菜穂子委員知事保留質疑(大要)

  

<JR日田彦山線の復旧について>

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。引き続きましてJR日田彦山線の復旧問題について伺います。

 今議会で、ただいまも質問がありましたけれども、何度も取り上げられてきました。知事は、JR九州がいわゆる3案を提示した件について、3月15日の復旧会議の席上、「①一日も早い復興、②鉄道での復旧、③地元への財政支援の要請の再考」を伝えた上で、「交通ネットワークというものについて、JR九州としての考えを示すよう求めた」とお答えになっています。鉄道での復旧と言いながら、なぜ「交通ネットワーク」という言葉を使われたのか、そのことがJR九州の3案を導き出すことになったのではないでしょうか。このことについてお答えください。

 

 

小川 洋 知事

 

 日田彦山線の復旧会議におきましては、鉄道での復旧に向けた協議を行っていくなか、JR九州は昨年の10月ですが、復旧後の継続的な運行を確保するため、自治体側に運行経費に係る財政支援というものを求め、さらに今年の1月の検討会議におきましては、その額として1億6千万円を提示したわけでございます。

 自治体側としましては、収支改善のための利用促進策というものを示し、「運行経費に対する財政支援はできない」として、JR側にその再考というものを求めてきました。そして、3月の復旧会議ではJR九州から改めて鉄道設備の維持費用として1億6千万円の財政的な支援が必要であると、こういう説明がなされたわけであります。

 そこで私は、一昨年の7月に被災し長期間そのままになっており1日も早い復興を図りたい、それから鉄道での復旧を求める、地元への財政支援の要請というものは再考すべきであると、そういう自治体側の強い思い、強い思いというものを伝えたうえで、「地域住民の移動手段と利便性の確保、地域の活性化に応える交通ネットワークというものについて、そもそも鉄道事業者であるJR九州としてどのように考えているか」改めてその考えを質したものであります。そういう言葉を使って質したということであります。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 しかしながら知事が交通ネットワークという言葉を使ったことを受けて、現にJR九州の青柳社長は、3月20日の記者会見で「いいタイミングで聞かれたと思っている。いろいろな候補の中に鉄道もある」と率直に答えています。

 自ら「廃線」を口にすると「指針」に抵触する恐れのあるJR九州としては、絶好の誘い水になったのではないでしょうか。これは重大な失策だと思われませんか。それとも意図してJR九州に水を向けたのですか。知事の真意をお聞かせください。

 

 

小川 洋 知事

 

 いま、先ほどもご答弁申し上げましたけれども、3月の復旧会議で、自治体側が再考を求めた「運行経費に対する財政支援」に対しまして、JR九州から改めて鉄道設備の維持費用として1億6千万の財政支援が必要であると、そういう説明が行われたために、私としてはその会議の場で、鉄道での復旧を目指すという自治体の強い思いというのを改めて伝えた上で、「そもそも鉄道事業者であるJR九州として交通ネットワーク維持をどのように考えているのか」とその場で質した、そういう経緯でございます。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 鉄道事業者であるJR九州に質したのであれば、鉄道による復旧を強く迫るべきだったのではありませんか。

 知事は昨年の決算特別委員会で、私の質問に「復旧会議は、あくまでも鉄道での復旧を実現するための方策を検討する場として、BRTは対象になりえない」とはっきりお答えになっています。また、「現に営業する路線の適切な維持に努めるものとする」と明記された指針を、JR九州が遵守するよう国に働きかけると述べられました。明快なお答えです。JR九州に3案を提示させ、住民に説明させるなど、この時の知事の答弁からすると考えられないことなんです。

 九州運輸局が今年3月に「九州における鉄道の維持・活性化のあり方」という提言を出しています。これには、「鉄道があることがあたりまえとの認識のもと、場合によっては鉄道を存続させることだけが目的となることは不適切です。・・・地域がめざす姿によっては鉄道ではなくバスなどの他の移動手段の方が望ましい」などと述べられているんです。これは、JR九州にとっては追い風になったのではないでしょうか。そして、知事の姿勢が変わる転機となったのではないか、そう疑念を持つわけなんです。どうなんでしょうか。変わったんじゃないでしょうか。

 

 

小川 洋 知事

 

 昨年の決算特別委員会で、ご答弁をさしていただきましたけれども、当時、復旧会議の場で、鉄道で復旧するためのハードの復旧工事に係るJR九州の負担額というのをいろいろ知恵を出して低減する方法を、これを考えて協議をしておりました。そういう最中にありまして、JR九州の青柳社長が定例会見で「上下分離」あるいは「BRT」ということに言及したために、復旧会議の場に提案すら何ものってないものであります「BRTそういったものは対象にならない」というふうに、ご答弁をさしていただいたわけであります。

 青柳社長のこうした発言につきましては、直ちに大分県また沿線市町村に呼びかけまして抗議を行い、その後の10月の復旧会議におきまして、冒頭、青柳社長から謝罪がなされる一方、その場で初めてJR九州から運行経費に係る自治体の財政支援というものが求められたわけであります。

 私としては、鉄道による復旧というのが望ましいとその考え方は変わっておりませんけれども、これまで復旧会議で協議を重ねてきました。その結果4月23日の復旧会議では、「鉄道による復旧」これは当然ですが、それに加えてJRが出した新たな提案を含めたJR九州の考え方というものを、地域のみなさま方に説明しまずその声を聞いていこうということになったものでございます。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 ただ今、「鉄道での復旧は当然ですが」と言われましたけれども、地域の負担があるわけですよね。出せないような負担がついてるわけですよ。JR自身の復旧という、自立の復旧というものが案にないわけですから、これ大変な問題ですよ。

 知事は、昨年の決算特別委員会で、先ほど申し上げましたけれども、「上下分離方式は考えておりません。また、この復旧会議でございますけれども、あくまでも鉄道での復旧、これを実現するための方策を検討する場でございますので、BRTは対象になりえないと思っております」とはっきり答弁されました。しかし、今のご答弁というのは、「復旧会議の場に提案すらされていないBRTは、対象になりえない」というふうに言われたと思います。その姿勢は後退したというふうに受けとれると、私、いま受け取りました。

 鉄道での復旧を求め、地元への財政支援を受け入れられないと言うなら、なぜ3案を沿線自治体や住民に提示し、説明することを求められたのでしょうか。沿線自治体にとっては、「3案以外に選択肢はない」とのメッセージになりはしないですか。私もそのように受け止めました。

 知事としては、この問題の解決の着地点としてどこを目指しておられますか。県民にわかりやすいように、明確にお答えください。

 

 

小川 洋 知事

 

 これまで復旧会議でいろいろ議論をしてきて今日に至っておりますが、4月23日の復旧会議では、この協議の場で、地域のみなさまに説明をしその声を聞いていこうと、そういうことに協議会でなったわけであります。

 したがいまして、今後、地域のみなさまに鉄道による復旧に加えまして、新たな提案を含めて、地域に必要な交通手段の確保に関するJR九州の考え方というものを説明したうえで、地域のみなさまの声、これを聞くことがまず先である、先決であるというふうに考えております。そこでその意見を聞くことをやらせていただきたいと、このように思っております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 着地点をお聞きしたその答弁が、今のようなものというのはですね、大変残念です。知事の覚悟がまったく見えないと思います。「鉄道での復旧がのぞましい」といいながら、JR九州による復旧案が入っていない3案を説明させ、地域の声を聞く。鉄道による復旧を本気でJR九州に迫る気持ちがあるのかというふうに思います。

 本委員会で紹介しましたが、2013年に国交省鉄道局が出した「鉄軌道路線廃止後におけるバス代替等の実態、鉄軌道路線の廃止が地域に与えた影響等の検討報告書」というものに、廃線によって地域や住民、行政が大きな影響を受けることを明記してあります。国交省自身が出しております。添田町の町長も、東峰村の村長も「廃線になれば地方創生は成り立たない」と言っておられます。

 国もJR九州も、完全民営化に当たって「路線は維持する」「被災路線は復旧する」と国会で約束しています。この約束を守らせるべきです。

 昨年の決算特別委員会で、「この問題の解決にはJR九州に対する国の指導が重要だ」「知事が政府・国交省を動かすという覚悟、決意が決定的だ」と指摘をさせていただきました。「JR九州に案を出させ、住民の意見を聞く」では、相手の思うツボです。本県の態度を明確に示さなければなりません。知事の確たる姿勢をお示しください。

 

 

小川 洋 知事

 

 被災から2年が経過してくなかで、1日も早い地域の復興につなげていくためには、私としては、地域に鉄道による復旧に加えて、新たな提案を含めて、地域住民の方々にとって移動手段が確保されるのか、利便性が向上するのか、地域にとって観光振興や地域の活性化にどう結びつけることができるのか、そういった原点に立ち返って検討していく必要があると、このように思っております。

 これまでの経緯がございます。これも踏まえて地域のみなさまのご意見を伺い、どういう方策が望ましいのか、沿線自治体と共に解決に向けて取り組んでまいります。また国に対してもいろんな形で、ずうっと今までも申し入れ、働きかけをやってきたということも申し添えさせていただきたいと思います。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 それでもJR九州の路線に乗ってしまうことになるんじゃないでしょうか。

 知事、重要なことは、鉄道による復旧です。2年が経過したからこそ、知事としてJR九州に対し、「災害復旧に地元負担を求めるのは間違いだ」「ただちに鉄道による復旧を行なえ」と求めるべきです。「一歩も引かない」決意を示していただきたい。そうしてこそ、知事に期待する被災地の声に応えられます。

 私は、一般質問でも申し上げましたが、知事は国に対して被災地の実情を示し、国の姿勢を変えていく責任があります。「指針に抵触しない」などといっている国を厳しく追及しJR九州を指導させ、JR九州には自力復旧を行うよう500万県民の長として毅然としてモノを言うべきです。「鉄道での復旧が望ましい」ではダメです。原点に返るというなら、JRによる鉄道復旧しかありません。今日の答弁はまったく納得のいかない残念なものです。被災地も納得しないと思います。知事が揺るがない姿勢を示していただくよう強く求めまして、質問を終わります。

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