● 19年12月11日 県議会報告

2019年12月11日 2019年12月定例会 高瀬菜穂子議員 一般質問「河川整備とダムの運用について」「有明海問題について」



2019年12月11日   12月定例会・高瀬菜穂子議員一般質問 答弁(大要)

<河川整備とダムの運用について>

高瀬菜穂子 議員

 日本共産党の高瀬菜穂子です。まず、河川整備とダムの運用について伺います。これまで私は、繰り返し、ダムの運用見直しについて質してきました。

 昨年の西日本豪雨災害で甚大な被害のあった倉敷市真備町の災害検証では、発災前日午後の気象庁の緊急発表後すぐに事前放流をしていたならば水害は防げたとされ、今年5月には高梁川水系のダムの事前放流が決定され、夏には実施されました。一方、10月の台風19号では、緊急放流を行った6基のダムのうち事前放流を行ったダムは2基のみで、事前放流すべきであったと指摘されています。こうした事態を受け、国はダムの豪雨時に、ダムの水位を下げる事前放流が実施できるよう検討をすすめ、来年6月運用開始を目指すとしています。既存ダムについては、その洪水調整機能を最大限活用できるようにすべきと考えます。

 本県の五ケ山ダム、伊良原ダムは、水量調節の難しい穴が空いているだけのダムで、事前放流にも時間がかかります。豪雨に備えた事前放流や、利水容量を治水容量に置き換える用途変更の検討、そのための利水権者や住民との合意づくりは待ったなしの課題です。治水は命の安全の問題であることを自覚し、国の動きに遅れることのないよう、早急な検討が求められていると考えますが、知事の見解を伺います。

小川洋 知事

ダムの運用見直しについて

 お答えを申し上げます。ダムの運用見直しでございます。

 国におきましては、11月26日に、全国すべてのダムを対象とした「既存ダムの洪水調節機能強化に向けた検討会議」これが設置をされました。

 この会議におきましては、洪水が予測された場合、事前に貯留水を放流し、水位を下げる「事前放流」を実施できるよう、既存ダムの運用方法の改善について検討するとともに、気象予測につきましても、その情報の提供の時期、またその予測精度の改善に取り組んでいくとこのように承知をいたしております。

 この検討は着手したばかりでございます。現時点で利水者の同意を得るための手法について明らかになっておりませんが、この会議で示される内容を踏まえて、県管理の事前放流の、県管理ダムの事前放流の可能性について検討進めてまいります。

高瀬菜穂子 議員

 また、洪水時のダムの運用が下流の河川整備と整合しておらず、ダムが能力いっぱいの放流を行えば、下流の河川は溢れることも重大な問題として指摘してきたところです。  

 本県の管理する2級河川52水系のうち、河川整備計画が作られているのはわずかに15水系のみで、計画があっても、ダム先行で河川整備が極めて遅れていたり、土砂が堆積し、樹木がはびこっていたりという事態は水害を引き起こす要因として見過ごすことはできません。災害が起こってからの対策だけでなく、災害を起こさないための河川整備、浚渫など維持管理が重要であります。今年の河川整備の予算総額は287億円、そのうち災害対策が145億円、維持管理等の県単予算は42億円のみです。そもそも国がダム中心の治水対策を行ってきたことが問題です。特に、安倍政権になってから、ダム予算が500億円増えた一方、河川整備予算は500億円減らされました。全国知事会は、防災・減災対策を着実に推進するため十分な予算を安定的・継続的に確保することを国に求めています。本県としても、国に対し抜本的な予算の確保を強力に求めるべきだと考えます。知事の見解を伺います。すべての河川で早期に整備計画を策定し、スピード感をもって計画の推進を図っていただきたいと思いますが、知事のご所見を伺います。

小川洋 知事

河川事業予算の確保について

 次に、河川事業予算の確保でございます。河川事業予算の確保であります。

 本県におきましては、毎年2回、夏の概算要求の時期と秋の予算編成の時、県議会のみなさんとともに、国に対し、施策や制度、予算についての提言・要望活動を行っております。今年も11月21日に国に対し、提言・要望を行ったところでございます。

 その中に、その中で、「防災・減災、国土強靭化対策、これを着実に推進をするため、安定的継続的な予算を確保すること」また「災害に強い河川整備を推進し、必要な予算を確保すること」について強く要望しているところであります。

河川整備計画の策定について

 次に、河川整備計画の策定でございます。

 県管理の二級河川52水系につきまして、過去の浸水被害、河川の流下能力、流域の人口や家屋などの集積状況を踏まえまして、順次、河川整備計画を策定してきてるところであります。現在、52水系のうち、15の水系で河川整備計画を策定済みでございまして、5水系について策定中でございます。

 今後とも河川整備計画に基づき、河川改修を計画的に進めさしていただきます。

<有明海問題ついて>

高瀬菜穂子 議員

 次に、有明海問題について伺います。

 去る9月13日、最高裁判所は、諫早湾潮受け堤防開門をめぐる裁判で、国の請求異議をもとめた福岡高裁判決を破棄し、高裁に差し戻すという判決を言い渡しました。「漁業権が10年で消滅する」などとした高裁判決は認められず、審議は継続することとなります。

 そもそも、この問題の契機は1997年4月の潮受堤防閉切です。これに伴う有明海の環境悪化は「有明海異変」と称され、空前のノリ不作の中、2001年には漁業者6,000人が漁船デモを行うなど、開門を求める運動が市民ぐるみで広がりました。農水省は、こうした声に押され、同年3月「ノリ第三者委員会」を立ち上げ、ノリ不作原因究明のための、短期・中期・長期の開門調査が提言されることとなります。ところが、国は自らが設置したノリ第三者委員会の提言であるにもかかわらず、1か月の超短期調査を行ったのみで、干拓工事を続けました。こうした中、「よみがえれ!有明訴訟」は提起されました。工事中止の仮処分決定に始まり、さまざまにたたかわれた裁判で、2008年6月、佐賀地裁は開門判決を言い渡し、2010年福岡高裁はこれを維持、当時の民主党政権は控訴せず、開門判決は確定しました。ところが、国はこれをくつがえす訴訟を行ったわけで、この間解決の道が遠のきました。最高裁が今回、審理をやり直す判断を行ったことは、この問題を真に解決するチャンスができたと考えます。

 私は先日、諫早湾干拓地に赴き、周辺漁民と干拓地に入植した農業者で開門を求め裁判を起こした方からお話を伺いました。漁民からは一様に魚がいなくなったという声。「以前は、台風のあとは海が攪拌されて大漁だったが、今年は台風のあと、死んだカニが水揚げされた。」と。これまでになく海況が悪くなっていることを実感させられました。一方、農業者も、堤防閉め切りで、九州一の巨大な湖ができ、飛んでくる大量のカモなどの食害に困っていました。ヘドロ化した淡水湖には食べ物がなく、広大な農場の野菜をたべ、その被害金額も膨大とのことでした。また、国は優良農地と宣伝していますが、夏は暑くネギは溶けるし、冬は寒くてレタスが饅頭のように固まる。41経営体のうち12経営体がすでに離脱をしています。一体何のための干拓事業であったのか、怒りを禁じえません。

 福岡の海域でも、「諫早周辺の被害が及んでくるのではないか」「昔の宝の海ではない。細心の注意をしながら、びくびくしてやっている」という声を聞きました。

 そこで、知事に伺います。

 第一に、潮受け堤防閉め切り前1996年(平成8年)と現在とで、漁協の組合員数、ノリ、タイラギ、アサリの漁獲量を明らかにしてください。現在の有明海の状況について、知事の認識を伺います。

 第二に、この間行われた「再生事業」についてご説明ください。毎年行われている覆砂事業について、その規模と予算の総額を明らかにしてください。

 第三に、県として、改めて有明海異変の原因究明と、そのために欠かせない開門調査を国に求めるべきだと考えますが、知事のご所見を伺い、質問を終わります。

小川洋 知事

現在の有明海の状況について

 次に、有明海の状況でございます。

 ノリの養殖では、平成26年度から30年度までの5年間の平均生産枚数をみますと、12.9億枚でございます。堤防閉切りの時点の8年度、8年度12.8億枚でございましたので、それとほぼ同じぐらいでございます。生産は安定をしております。

 アサリの漁獲量でございますけれども、平成27年は約50トン、28年は約500トン、29年は約1,500トンとこれまで増加をしてきております。8年の約3,000トンと比べますと5割まで回復をしてきている状況にございます。

 一方、タイラギの漁獲量でございますけれども、平成8年、約1,500トンでありましたが、近年、ほとんど漁獲がない状況でございます。

 また漁協の組合員の方の数でございますが、8年は、平成8年、5,672人、30年は1,903人となっているところであります。

 このように、有明海は、一部の魚種で厳しい状況にありますものの、関係者の皆様方の努力によりまして、再生の兆しが見られてきているとこのように考えております。

有明海再生の取り組みについて

 有明海再生の取り組みについてお尋ねがございました。

 県におきましては、「有明海再生特別措置法」に基づき、「有明海の再生に関する福岡県計画」を策定をし、この計画に従い、覆砂による漁業、漁場環境の改善、アサリの保護・育成、ノリの種の育成をコントロールする、ノリの種の育成をコントロールする技術の開発など、各種事業に取り組んできております。

 覆砂事業につきましては、国の補助事業を活用して、平成13年度から30年度までに1,786ヘクタールの面積の覆砂を実施しておりまして、その事業費は356億円となってございます。

 この結果、漁場環境の悪化の原因となります有機物が減少するなど、有明海の底質の改善というものが図られ、覆砂をした場所を中心に、アサリの稚貝が高密度に発生をしてきておりまして、漁獲量の増加に結びついてきているところであります。

開門調査に関する考え方について

 開門調査に関する考え方でございます。

 開門異議請求訴訟におきまして、福岡高裁は、昨年の3月、開門しないことを前提に基金等による解決を目指す和解案を提示をいたしました。

 この和解案につきまして、福岡県有明海漁連と佐賀、熊本の漁協、漁連は、「有明海の再生のためには、開門調査を含む有明海の環境変化の原因究明が必要である、その思いは変わらないものの、これまでの有明海再生に向けた取組により再生の兆しがある中で、和解の実現を強く期待する」そういう考え方を示されたわけであります。

 県といたしましては、有明海漁連の意向を尊重し、和解協議が進んでいきますことを期待をいたしておりましたが、高裁での和解協議が成立しませんでした。残念であります。現在、この訴訟は福岡高裁に差し戻されておりますが、今後の裁判の状況を注視していきますとともに、国に対しましては、有明海の環境変化の原因究明調査について、国の責任において実施するよう、要望しているところであります。

高瀬菜穂子 議員

〈再質問〉

 有明海問題について要望いたします。知事は「再生の兆しが見られる」との認識を示されましたが、本当にそうでしょうか。関係者の努力は言うまでもありません。しかし、覆砂事業には356億円もつぎ込んできています。アサリの漁獲量は回復した一昨年でも1,500トン、売上にしたら5億円程度です。タイラギは全く獲れません。宝の海はやはり大きく変わったまま、悪化しているのではないでしょうか。 

 農水省による1か月の開門調査でも魚は戻ってきたと聞いています。お答えにもあったように「原因究明には開門調査が必要との思い」は漁連ももっておられます。農業者からも開門を求める声が上がっています。国には、原因究明と問題解決の責任があります。県として、漁民の生の声を集め、海況を分析し、国に対し、開門を含めた調査を求めていただきたいと思います。このことを強く要望し、質問を終わります。

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