● 19年12月12日 県議会報告

2019年12月12日 2019年12月定例会 立川由美議員 一般質問「公立学校教員給与特別措置法改定に伴う変形労働時間制について」「JR日田彦山線の復旧問題について」



<2019年12月定例会>

2019年12月12日

<公立学校教員給与特別措置法改定に伴う変形労働時間制について>

 

立川由美 議員

 日本共産党の立川由美です。はじめに公立学校教員給与特別措置法改定にともなう、変形労働時間制について質問いたします。

 先日、国会で可決された「1年単位の変形労働時間制」は、「繁忙期」に1日10時間労働まで可能とし、「閑散期」とあわせ平均で1日当たり8時間に収める制度です。しかし、人間の心身は、「繁忙期」の疲労を「閑散期」で回復できるようにはなっておらず、「1日8時間労働」の原則をあって無きものとする重大な労働条件の不利益変更です。法律で、地方公務員である教員に労使協定さえ結ばずに条例で変形労働制の導入を可能とするのは、労使対等原則を踏みにじるものであります。

 教育長にお尋ねします。同制度は恒常的な時間外労働のないことが前提ですが、現段階の本県の教員の勤務実態は正確に把握されていますか。また、時間外勤務はどれだけなのかをお答えください。

城戸秀明 教育長

教員の勤務実態の把握について

 教員の勤務実態の把握についてでございます。

 県教育委員会では、本年1月から全県立学校にⅠCカードによる勤務時間管理システムを導入するとともに、ⅠCカードの正確な打刻を各学校に徹底しております。

 同システムを導入後いたしました本年1月から10月までの県立学校における1月当たりの平均超過勤務時間は、39.8時間となっております。

 なお、市町村教育委員会に対しても、客観的な方法による勤務実態の把握について指導をしておりまして、本年7月の時点では、36市町村が「把握している」、23市町村が「把握する予定」又は「検討中」となっております。

 具体的な勤務実態については、市町村の勤務時間管理の進捗状況を踏まえて把握してまいりたいと考えております。

立川由美 議員

 2016年の国の「教員勤務実態調査」によれば、教員は月曜から金曜まで毎日、平均12時間近く、土日も働いています。過労死ラインを超える教員は小学校で3割、中学校で6割に及び、全国の公立学校で毎年5,000人の教員が精神疾患で休職に追い込まれ、自ら命を経つ事例もあります。恒常的な時間外労働が常態化し、タイムカードを導入した学校現場では「目標達成ができなくなるので5時半には打刻してくれ」と管理職に言われるなど、虚偽の時間把握がまん延しています。教員不足が深刻な本県の実態は、全国を上回る過重労働になっていると推察します。

 公立学校の教員給与特別措置法は、4%の教職調整額の支給と引き換えに労働基準法第37条の割増賃金の規定を適用除外し、残業代を支給しないとしています。それが時間外労働を規制する手段を奪い、際限のない長時間勤務を引き起こしてきました。改定給特法はこのような枠組みにはいっさい手をつけず、「変形労働制」を導入するものです。

 学校現場は日々、子どもや保護者など人を相手にし、予測不能な事態・事故も起こりえますが、変形労働制は、あらかじめ労働日、労働時間を定め、その後は変更ができないとなっています。時間管理を強いられる校長、教頭などの管理職も負担増となります。休日を取りたくても取れないほど業務が増え続けているのに、文科省は教員に重くのしかかる全国学力テストや教員免許更新制、行政研修などを削減するとは言っていません。

 参議院文教委員会での参考人質疑では、現職教員から「公教育の質がもはや保証できない」との陳述がありました。

 教育長は、この制度を導入することで長時間労働を是正できるとお考えですか。本県において、条例を制定すべきでないと考えますが、教育長の見解をお尋ねいたします。

城戸秀明 教育長

一年単位の変形労働時間制の導入について

 一年単位の変形労働時間制の導入についてでございます。この制度は、超過勤務の一部縮減につながる可能性があり、業務の削減による総勤務時間の縮減と合わせて導入することで、学校の働き方改革に資すると考えております。

 なお、導入の前提として、長期休業中の業務量の縮減が必要であることや、画一的な導入ではなく、教員一人ひとりの事情を踏まえることが必要であり、これらのことを勘案して、今後検討してまいりたいと考えております。

<JR日田彦山線の復旧問題について>

立川由美 議員

 次にJR日田彦山線の復旧問題について質問いたします。

 この間、何度も取り上げられてきましたが、知事は「今年度中に解決の方針を決断する」と9月定例会で答えられました。どのような決断をするのか注目が集まっています。

 去る、12月3日、東峰村の住民でつくる「日田彦山線の完全復旧を求める会」のみなさんが鉄道による早期復旧を求め、県と県議会に要請されました。「鉄道による復旧を求める」署名は沿線住民を中心に約8000筆集まっており、1万筆達成後、来年2月にJR九州に提出する予定と報道されています。 

 知事はこの住民の思いをどう受け止められていますか。お答えください。

小川洋 知事

日田彦山線に関する住民の皆様の要請について

 お答えを申し上げます。

 日田彦山線に関する住民の皆様のご要請でございます。

 これまで開催されてまいりました住民報告会、あるいはJR九州によります住民説明会の内容これと同じように、今回のご要請につきましても、担当部局から、逐一報告を受けておりまして、住民の皆様のお考えご意見等については、しっかり受け止めさせていただいているところであります。

立川由美 議員

 当初78億円といわれた鉄道での復旧費用は、国・県の費用負担や鉄道軌道整備法の改正により、17億円まで圧縮できると考えられます。同じ豪雨で被災し、1年で復旧した久大線とほぼ同額になります。

 JR九州の鉄道事業は完全民営化後、毎年200数十億円の黒字で、経営安定基金の残金も200億円あり、何度も指摘してきたように、JRはJR自身で復旧する体力が十分にあります。沿線自治体が負担するなどありえません。

 先月11日に日本共産党として、国会議員、地元住民を含め、JR九州本社へ直接要請を行いました。その際、JRの担当者は、「住民説明会などに全て参加しているが、JRが提案している交通ネットワークの3案について、住民のみなさんに話を聞いていただける状況にない」との認識を示されました。住民の意志は明確であり、住民の納得なしに3案を強行することは許されません。

 知事は、県民の代表として住民の思いを代弁し、JR九州による鉄道復旧を強く求めるべきです。知事の前向きな答弁を求め、質問をおわります。

小川洋 知事

日田彦山線の復旧について

 これまで行われた住民説明会におきましては、鉄道での復旧を求める声のほか、「早期解決のためにはBRTでの復旧もやむを得ない。」そういった意見も出されたところであります。

 また、添田町では「BRTの話を初めて聞いた。もっと分かりやすく、次の機会に説明してほしい。」そういった声もあったとお聞きしております。

 現在、町、村における様々な動きがあっておりまして、また、JR九州から、JR九州は地元からのご要請に応じて、意見交換を行う用意を示している状況にございます。

 私としましては、今後、住民の皆様とJR九州との意見交換、これが積み重ねられ、これを踏まえながら、添田町長、東峰村長と協議を行っていきたいとこのように考えております。

 その上で、1日も早い地域の復旧・復興につなげていけるよう、住民の皆様にとって最善の方策は何か、その観点から十分に検討させていただきたいとこのように思っております。

立川由美 議員

〈再質問〉

 教育長に要望いたします。

 変形労働時間制について、文科大臣自身が業務削減効果があるわけではないと、業務削減を進めた中で今回の改正の意義があると明確に国会で答弁としています。ところが文科省は、月45時間、年間360時間以内の時間外労働を可能とする上限ガイドラインを導入しハードルを下げました。

 ご答弁では、市町村立小中学校の勤務実態の把握が約5割ということであり、導入の前提さえ整っていません。全国的には虚偽の退出時間が問題となっており、持ち帰り仕事も依然として改善されていません。

 拙速にこの制度を導入するのではなく、多忙化の原因になっている業務を削減して教員を抜本的に増やし、長時間労働をなくすよう国に強く要請していただきたいと強く求めます。

 次に日田彦山線復旧について知事に申し上げます。

 JR九州は国民の財産である国鉄を引き継いだ経緯があり、路線維持のための経営安定基金を返済していません。完全民営化にあたり、国会で路線は維持すると、災害は復旧すると約束した。その約束を守らせること、500万県民の代表である知事の責務です。その立場で毅然として JR九州と交渉していただくよう重ねて強く要望し、質問を終わります。

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