● 20年03月09日 県議会報告

2020年3月9日 2020年2月定例会 高瀬菜穂子議員 一般質問「 新型コロナウイルス感染症対策について 」「 IR(統合型リゾート)について 」(大要)



<2020年2月定例会>

2020年3月9日

 

<新型コロナウイルス感染症対策について>

 

高瀬菜穂子 議員

 

 日本共産党の高瀬菜穂子です。まず、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。感染拡大は深刻な状況となり、7日現在で、27か国・地域が日本からの入国を制限するまでに至っています。消費税増税による消費の落ち込みに加え、新型コロナ対策によるさらなる落ち込み、突然の学校一斉休校要請などで、ほとんどの業界・業種に深刻な影響を与えています。政治判断で引き起こされた影響に責任を持ち、国民のくらしを守りきるという立場で、十分な予算措置を行うよう、国に対して強く求めていただきたいと思います。県におかれましては、刻刻と変わる制度についての周知徹底を行うとともに、さまざまな困難に直面している県民の相談窓口を作り、情報収集を大規模にしていただくこと、その声を国につないでいただくことを強く求めるものです。

 そのうえで、以下いくつかの点について、質問いたします。

 まず、PCR検査についてです。「7日間熱がつづいて、医者も検査を求めたが、保健所で断られた」「37.3度だから、様子を見るように言われた」など、医師が求めても検査が受けられない事例が県内でも発生しています。保険適用により、民間での検査も可能になるとのことですが、「37.5度以上が4日間続いた場合」という目安、まず保健所に相談し、その後、帰国者接触者外来を受診し検査するというシステムは変わっていません。少なくとも医師が必要と判断した場合には確実に検査が受けられるよう「目安」を見直し、そのキャパシティを抜本拡充すべきではないかと考えますが、知事の見解を伺います。

 また、国は国保の資格証明書を短期保険証として取り扱うことを求める通知を出しました。その周知徹底を行い、重症化を招かないようにしていただきたいと思います。取り組みについてお答えください。

 

 

小川洋 知事

 

PCR検査の実施体制について

 

 お答えを申し上げます。

 まず初めにPCR検査の実施体制でございますが、先ほどご答弁申し上げましたように、国が示した、発熱、息苦しさなどの症状に該当する方につきまして、まずは、保健所に設置しております「帰国者・接触者相談センター」にご相談していただくようお願いしております。

 この相談センターにおきましては、相談者の状況を丁寧に聞き取り、国の示した目安に沿って確認を行い、感染の疑いがある場合には、県内の医療機関に設置をしております「帰国者・接触者外来」に連絡をし、その受診につなげているところであります。

 「帰国者・接触者外来」におきまして、そのお医者さん、医師が新型コロナウイルス感染症の疑いがあると診断をした場合には、保健所にまず相談をし、その上で、保健所の要請により、医師が検体を採取し、現在、県内に3か所ございます保健環境研究所でPCR検査、これを適切に実施しております。

 昨日、昨日まで、これも先ほどお答えしましたが、昨日までで、福岡県下で451のPCR検査、実施をいたしております。その結果、陽性となられましたのは、これまでの明らかになっております3名の方以外、全て陰性となっております。

 なお、この陽性になられました3名のうち1名は、その後陰性が確認され、先週の金曜日6日の日に退院をされているところであります。

 また、今回の国の措置によりまして、PCR検査については、3月6日に保険適用となります。民間会社も検査をすることができるようになりました。

 このため、検査を受けられる対象者というのは「帰国者・接触者外来」の医師が新型コロナウイルス感染症の疑いがあると診断した場合と、従来と変わってないわけでございますけれども、今後、県内3か所の保健環境研究所に加えて、民間会社においても、このPCR検査が行われることになるわけであります。

 

 

資格証明書の取り扱いについて

 

 次に、資格証明書の取り扱いについてお尋ねがございました。

 特別の事情がなく保健料を滞納したことによりまして、資格証明書を交付されております国保の被保険者で、新型コロナウイルスの感染が疑われる方、この方は、短期被保険者証の対象、交付対象になり得るところでごさいます。

 しかしながら、感染が疑われる方は、短期被保険者証の交付よりも、まずはその受診を優先させる必要がございます。従いまして、資格証明書を被保険者証とみなして取り扱うよう、厚生労働省の方から通知がなされているところであります。

 このため、県といたしましては、国からの通知を市町村に対し、速やかにお伝え申し上げ、適切に取り扱うよう要請を、すでに行っております。あわせて、県のホームページで、こうした被保険者の皆様に対する周知も図っているところであります。

 

 

高瀬菜穂子 議員

 

 学校休校措置についてです。全国一斉休校の要請を受け、本県では原則家庭で過ごし、それが困難な場合には低学年の児童の学校での受け入れを市町村に要請しました。学校よりも密集度が高くなると危惧される学童保育について、国は、人数が増えた場合に教室を利用し、教師も保育に当たることを可能にしました。それならば、感染症対策に留意しながら、登校を可能とし、学校で自主学習をするほうが安全で現実的な場合もあります。現に、休校措置をとっていない自治体も全国にはあります。今後推移をみて、市町村がこうした対応を求める場合には、「原則家庭」の基準にこだわらず、自主性を尊重すべきだと考えます。実態を含め、教育長の見解を伺います。

 国は必要な場合に給食を提供することを通知で示しました。給食提供について、県立特別支援学校の対応はどうされますか。お答えください。市町村学校について、国は学校の調理場を使った昼食提供が可能である旨、通知しています。市町村が昼食を提供するには様々な課題があると考えますが、子どもの貧困が叫ばれ、給食が命綱になっている現実も指摘されており、昼食提供を求める声があります。あくまでも市町村の自主的判断ですが、情報の提供を行うとともに実施した場合の財政支援を国に求めていただくことを要望します。

 

 

城戸秀明 教育長

 

臨時休業期間中の学校での受け入れについて

 

  臨時休業期間中の学校の受け入れについてでございます。

 自宅で過ごすことができない児童については、放課後児童クラブで受け入れたり、低学年に限定せず小学校で受け入れたりするなど、地域や学校の実情を踏まえ、市町村がそれぞれ工夫し、受け入れ形態を決定しております。

 この度の県の要請は、一律の対応を求めるものではなく、こうした様々な工夫があってよいと考えております。

 

 

臨時休業期間中の県立特別支援学校における給食提供について

 

 臨時休業中の県立特別支援学校における給食提供についてでございます。

 県立特別支援学校においては、臨時休業期間中に預かる児童生徒に対しては、通常と同様の給食を提供することとしております。

 

 

高瀬菜穂子 議員

 

 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の対応には、国際的に批判の声が上がりました。国際交流が進み、インバウンドを政策的に進めている現状からも、今回のような事態は今後も想定されます。感染症対策の抜本的強化が求められると考えます。感染症指定医療機関の病床数は全国で約1800床、本県で66床と、極めて少なく、その9割を公立公的病院が担っています。厚労省は、昨年、約440の公立公的病院の再編統合リストを発表しましたが、そのなかにも感染症指定医療機関が多く含まれます。地域医療構想に感染症の観点がないことは大問題です。今回の教訓からも、再編統合リストを撤回するよう国に求めていただきたいと思います。知事の見解を伺います。

 

 

小川洋 知事

 

公立・公的病院等の再編統合について

 

 次に、公立・公的病院の再編統合でございます。

 国は、昨年9月、再編統合について議論が必要な医療機関のリストというものを公表いたしましたが、その公表の仕方は、地域の命と健康を守る最後の砦であります公立・公的病院等が「機械的に再編統合されるのではないか」そうした県民の皆様の不安を招きかねず、地域の個別事情を無視するものでありまして、適切ではないとこのように考えております。

 このため、国と地方の協議の場におきましても、全国知事会として、国に対し、今回の公表が各医療機関の今後の方向性を機械的に決めるものではないこと、これを確認するとともに、今後、国は地方の意見を十分に踏まえ、協議を進めるべきであることを申し入れたところであります。

 公立・公的病院等は、それぞれ、2025年における地域で果たすべきその役割、病床機能のあり方などを記した具体的なそれぞれ対応方針を策定いたしておりまして、現在、対象となりました公立・公的病院等に対しまして、具体的対応方針を再検討するよう、要請を行っているところであります。

 それぞれの公立・公的病院等が提供しております医療の内容、設立の経緯等は様々でございます。そして、地域において果たすべき役割も異なっているわけであります。

 このため、今後、県内13区域ごとの地域の医療関係者等で構成する地域医療構想調整会議におきまして、その協議を進めていく際に、こうした診療実績だけでは判断しえない感染症などの各医療機関が担う診療領域、そして、その地域の実情、対象病院による先ほど申し上げました再検討の結果、関係者の意見、これらを十分に踏まえながら、その議論をすすめていきたいと、このように思っております。

 

 

<IR(統合型リゾート)について>

 

高瀬菜穂子 議員

 

 次に、IR(統合型リゾート)について伺います。昨年7月、カジノ解禁を含むIR整備法が成立し、全国3か所の枠をめぐって、いくつかの自治体が手を挙げています。北九州市でも検討されていましたが、1月末、「見送り」を表明しました。 

 カジノ誘致をめぐっては、秋元司衆議院議員が収賄容疑で逮捕されたのをはじめ、贈収賄事件が報道され、国民の不信が高まっています。

 刑法で禁止されている民間賭博を解禁することに国民の抵抗は大きく、どんな世論調査でも反対が多数です。賭博禁止は、西暦689年にさかのぼります。夫の天武天皇がすごろくに興じ政務を行わなくなったことを憂えた持統天皇が「すごろく禁止令」を発したのが始まりとされ、以来1000年以上にわたって民間賭博は禁止され、近代法にも受け継がれてきました。民間賭博禁止の歴史の重みと、国民の反対の声を考慮すれば、カジノ解禁は行うべきではありません。

 2月21日に開かれた衆議院予算委員会の中央公聴会で意見陳述した新里(にいさと)宏二弁護士は、カジノ利用者の7~8割は日本人、日本人の金融資産1800兆円が狙われているのではないか、と指摘し、地域の疲弊、ギャンブル依存症の増加、治安の乱れの危険性を強調しています。入場回数制限も、7日で3回、28日で10回、年間130回も認めることになり、ギャンブル依存症を拡大する基準であること、特定資金貸付業務は、負けた客に借金をさせて賭博を推奨するものとなっていること、整備計画の認定更新をしない場合、事業者に損害を補償しなければならず、一度カジノを認めたら途中でやめられない規定であることなど、危険性を指摘されました。

 知事は、ギャンブル依存症の増加や治安の乱れの危険性などカジノの負の側面について、どのような認識をお持ちでしょうか、お答えください。人の不幸の上に財源を作ることはあってはならず、カジノ解禁・IR整備法は廃止すべきものと考えます。知事の見解を伺い、質問を終わります。

 

 

小川洋 知事

 

IRについて

 

 次にIRについて、お尋ねがございました。IRにつきましては、観光客の誘致や税収の増加につながるとされる一方で、ご指摘がありましたように、カジノについては、ギャンブル依存症の増加につながるといったご指摘もあるわけであります。

 このため、国におきましては、ギャンブル等依存症対策基本法を制定したほか、現在策定中の「IR区域の整備のための基本方針」におきましても、有害な影響への対応と、これが盛り込まれるなど、その対策が講じられているというふうにわたくし自身考えております。

 IR整備法でございますが、我が国において国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資することを目的といたしまして、国会で、国民の代表である国会におきまして、さまざま議論の上、制定されたものである、このようにわたくし自身は理解しております。

 

<第二質問>

 コロナ対策について要望いたします。国立感染症研究所の鈴木センター長が、国内の感染者数は報告の数倍以上いるとの見方を示しました。諸外国と比べてもPCR検査件数が著しく少ない。医師が要請しても、検査が受けられないという状況は、ある意味異常だと思います。これは感染者を受け入れるキャパが小さいことに起因していると考えます。感染しても軽症で済む場合もあるわけですから、「37.5度が4日間」という目安は、感染者を見逃し、感染拡大を招く危険さえあると思います。目安自体を見直し、検査体制の抜本的拡充と感染症病床の確保を国に求めるとともに、今後検疫体制の強化、予算を削減されてきた国立感染症研究所の体制強化など感染症に強い国づくりを進めるよう求めていただくことを要望しまして、質問を終わります。

 

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