● 20年03月17日 県議会報告

2020年3月17日 2020年予算特別委員会 高瀬菜穂子委員質疑・答弁「JR日田彦山線復旧問題について」(大要)



<2020年予算特別委員会 質問要旨>

(2020年3月17日)

 

<JR日田彦山線復旧問題>

 

高瀬菜穂子 委員

 

 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。

 引き続いてJR日田彦山線の復旧問題について質問します。

 2017年の九州北部豪雨災害から2年9か月が経過しましたけれども、いまだ復旧の方策について、JR九州と沿線自治体との間で合意がなされていないということ、誠に遺憾です。

 本議会でも、この委員会でも、様々議論がなされていますが、鉄道での復旧を求める立場から、経過を振り返りながら、質問いたします。重複を避けながら、いきたいと思います。

 5回目の復旧会議について、さまざま議論がされました。何度もお答えがありましたので、簡単に私のほうでまとめますが、この会議では、JR九州から提案された3案について、地元で行われた意見交換の報告、そして、JR九州からBRT案をベースとした新たな復旧案の提示があったと、そして、会議の結果、JR九州は1億6千万円の収支改善について丁寧な説明をする。JR九州からの新たな復旧案について、ブラッシュアップした上で、次回の復旧会議で議論する、そして、3月末までに復旧方針の合意を目指すという、このことが、合意されたというふうに聞いております。

 私、この会議の結果、本当に驚きなんですね、今、江口委員からも指摘がありましたけれども、この会議の目的というのが、もともと、鉄道での復旧を呼び掛けて、自治体の関係者の首長さんに集まってもらって、それで始まった会議ではないですか。まったく、変質しているではないですか。初めから終わりまで、JR九州が提案した案について、話し合ってもらい、報告してもらい、そして新たな、JR九州の提案をまたしてもここで、深堀していく。とんでもないと思うんですよ。

 振り返りますと、2019年3月の第3回復旧会議で、小川知事が「交通ネットワークについて考えを示せ」とJR九州に要求をし、これを受けて同年4月の第4回復旧会議でJR九州は3案を提案してきています。これには沿線自治体が望む「JR九州の責任による鉄路での復旧」は含まれていません。JR九州の青柳社長は、小川知事の発言に「いいタイミングで聞かれた」と言っています。これが誘い水になったことは間違いないんじゃないでしょうか。JR九州の3案は既定路線となり、今回、JR九州は新たに手直しを加えたBRT案を提示しました。小川知事はこれを受けて、「交通ネットワーク維持などの観点からBRTを深堀りし…」と事実上これを容認し、推進する姿勢を示されました。JR九州の思惑通りに知事が誘導しているとしか思えないんですよ。

 当初本県では、鉄道での復旧を目指すことをJR側とも確認し、運行費用の地元負担についても否定的でした。知事は「BRTはありえない」と、わたくしの質問に答えて、本議会で答弁されています。この方針はいつから変わったんですか。お答えください。

 2月13日の西日本新聞には、「鉄道復旧しても、いずれ廃線になれば意味がない。持続性ある交通ネットワークが重要だ」とする福岡県幹部の声を紹介し、「昨秋、BRT案に向けた調整が水面下で動き出した」とあります。水面下での動きとはどういうことですか、ご説明ください。

 

 

片山潔 交通政策課長

 

 委員ご指摘の知事答弁については、その当時、復旧会議で議論すらなされていない復旧方策について、JR九州の青柳社長が記者会見で言及したため、「それはありえない」というふうに答弁がなされたものでございます。なお、この、社長発言についてはただちに抗議を申し入れたところです。

 一方、その後、JR九州は、鉄道で復旧するためには自治体の財政支援が必要と表明しまして、自治体側とJR九州の協議が難航したため、復旧会議で、JR九州の地域の交通ネットワークの考え方を正した結果、先ほど申し上げた3つの復旧案が提示をされ、地域の意見を聞いていこうとなりまして、現在に至ったているわけでございます。

 県としましては、この問題解決のため、添田町・東峰村と協議を行っておりまして、ご指摘にありました新聞報道、内容については、あくまでも鉄道復旧を断念するものではないというふうに断った上で、「住民の皆様にとって何がいいのかという観点で、将来の地域振興につながるような提案はないのか、JR九州からの提案も聞いてみたらどうでしょう」といった趣旨で話をしたものでございます。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 知事は、直接住民から話を聞くことも、町長村長と直接話すこともしてこなかったということが、今回の議会で明らかになりました。協議を行ってきたといっても、本気度が問われる、不信を招いているということは、これまで指摘があった通りです。

 住民の皆様にとって何がいいのか、これははっきりしていたのではありませんか。

 今回の復旧会議を受けて、東峰村の澁谷村長は、「鉄道での復旧を求める人たちの声が切り捨てられた会議だった」と述べています。同村での2回にわたる説明会の参加者に対するアンケートでは、鉄道での復旧を望む声が96.4%、98.1%とほとんどですよ。「日田彦山線の完全復旧を求める会」は、自治体負担なしの鉄道での復旧を求める約17,900の街頭で集めた署名をJR九州と本県に提出されています。人口2,000人の村で約18,000の署名ですよ。

 添田町の寺西町長もBRT案を持ち帰るとしながらも、「災害復旧でありながらなぜ原型での復旧ができないのか」「黒字でありながらなぜネットワークを守ろうとしないのか」納得できないと言われました。圧倒的な沿線住民が、鉄道での復旧を望んでいたということは明らかです。

 JR九州は、当初から上下分離方式とかBRTなどを非公式に持ち出して、揺さぶりをかけてきました。「赤字路線は廃止したい」という本音が透けて見えていたではないですか。いたずらに解決策を長引かせて妥協を引き出す、そういうJR九州の戦略ではなかったのですか。こうしたJR九州の言いなりになるのではなく、「被災路線だから事業者の責任で速やかに復旧すべきだ」と県が真剣に迫力を持って、正面から求めるべきではないのですか。お答えください。

 

 

片山潔 交通政策課長

 

 被災をしました鉄道については、原形復旧が望ましいと考えまして、知事自ら、これまでもJR九州に対して、要請を行うほか、国土交通省や国会議員に対しまして要望活動を行ってまいりました。しかしながら、JR九州は、運行経費に係る地元負担なしの鉄道復旧はできないとしており、一方、地元負担なしの鉄道復旧を求める自治体の間で隔たりが大きく、協議が難航し結論を得ていない状況にございます。

 また、2月25日に行われました衆議院予算委員会では、国土交通大臣、鉄道局長から、災害で被災した鉄道の復旧に関しては、「最終的には鉄道事業者が判断する」といった答弁がなされているところでございます。

 県としましては、知事もご答弁申し上げましたが、鉄道による復旧、そして、地域にとって最善の方法は何かということを考えながら、これまでも取り組んできておりまして、引き続き、具体的な方策の決定に向け、全力を挙げて取り組んでまいりたい、というふうに考えています。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 「最終的には鉄道事業者の判断」、この問題はですね、路線廃止を認可制から事前届け出制に規制緩和した、2000年の鉄道事業法の問題なのですよ。鉄道事業法を改悪された。これまで我が会派、何度も指摘してきました。私は2018年の決算特別委員会で、JR西日本の三江線が全線廃止になった事例も示しましたよね。法改正を求めるべきだというふうに指摘しました。しかし、この件について、県は答弁すらしませんでした。JR九州の横暴なふるまいの背景には、この問題があるんですよ。先ほど紹介があったように、国は一昨年から、指針に抵触しないなど腰の引けた態度でした。地域の鉄道の存続には、鉄道事業法の見直しが不可欠だと、そしてきちんと国が鉄道事業者に対して指導ができるようにせよと、国の姿勢も変えさせるという仕事が県にはあるんですよ。このことを申し上げておきます。

 今回の復旧会議の場で、澁谷村長からJRの復旧費用について疑義が出されました。

 この復旧費用については、今日はたくさん議論されましたので、短くしたいと思いますが、ちょっと確認をさせてください。JR九州が、鉄道による復旧に必要な額を、当初78億円と言っていましたけれども、今、56億円と言っているのではないかと、私は認識しておりましたが、この点について確認をお願いいたします。

 

 

片山潔 交通政策課長

 

 被災区間の全体の復旧費用が78億円と試算されまして、56億円という数字でございますが、これにつきましては復旧会議の中で、両県の災害復旧事業、例えば、河川事業、河川改修ですとか、砂防事業。こういったものを活用して、56億円まで復旧費用を低減できるというところまで、復旧会議の中での合意をしたと、いうところでございます。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 もちろん県は、莫大な費用を出して、支援をしてきているわけで、56億円ということで、いいのだと思います。そして、改正鉄道軌道整備法の適応を受ければ、約半額に低減できるのではないかと、考えます。彦山橋梁についてはですね、私も直接国土交通省に参りましたけれども、鉄道での復旧ということが決まれば、国がやりますと、はっきり言われました。そうなるとですね、今言っている56億円というものですね、大きく負担は下がるわけです。これについて、きちんと精査をしないと、県の側がきちんと精査をして、そんなにかからないのではないのではないかと、きちんと言うべきではないでしょうか。その点について、協議はされたのでしょうか。

 渋谷村長は知事に、この復旧費用の精査を求めて、小川知事がJR九州と協議をさせていただきたいと、発言をされています。期限は3月末ですから、ぜひ、これについては協議を、急いでしないといけないと思いますが、いかがですか。

 

 

片山潔 交通政策課長

 

 今、委員ご指摘の件につきましては、われわれも、復旧会議の中で、復旧費が、いわゆる、イニシャルコストというふうに呼んでおりますけれども、ここまで低減できるのではないかと、さらに鉄道軌道整備法を活用すればもっと下がるのではないか、ということは再三に渡って申し上げているところでございます

 ただ、JR九州側の方からは、継続的な運行に関する確保ができないと、言うのが彼らの主張でございまして、そこでなかなか議論が進んでいないというのが現状でございます。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 こんな基本的なところで合意できず、確認できずに、話が先に進むわけがないと思うんですよ。

 先ほどの答弁でも、検証作業中ですとか、そのような答弁はないと思います。あわせて、運行確保するための、年1億6千万円の地元負担による財政支援ですね。これについては、先ほど詳しく説明がありました。これは県として精査されたのでしょうか。そして、妥当だとお考えですか。

 

 

片山潔 交通政策課長

 

 2月の復旧会議におきまして、これも内訳として、例えば、トンネル、橋梁など土木構造物、レール、マクラギの軌道に係る検査、修繕保守にかかる費用が約1億400万円。そして、信号、踏切、電灯、ケーブルなどの電気設備の保守費用が年間5,300万円、合計で1億5700万円というふうな議会の説明を受けたところでございます。

 なお、2月の復旧会議のまとめでは、「鉄道復旧のためには、財政支援を含む1億6千万円の収支改善がなぜ必要かということについては、JR九州は地元の皆さまに引き続き丁寧な説明に努める」ということが確認されているところでございます。

 一般的に、鉄道事業につきましては、運行の基盤には、あるいはインフラ等に係る費用、一定にかかる装置産業だというふうに言われております。私共は県のかかわっております平筑がございます。平筑の方の例をみましても、一定そのような費用がかかるものではないかというふうに、考えているところであります。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 理解を示すとは、大変驚きですね。黒字の大企業ですよ。

 さきほど、中嶋委員からはですね、まったく不適切な要求だというふうに言われました。また、江口委員からはですね、こうしたことが行われるのならば、他の赤字路線にも波及するのではないかというような、心配の声も上げられました。こんな費用を求めること自体が驚きですけどね。その額も、妥当なものかどうか。これも分かりませんよ。どれもこれもJR九州が一方的に持ち出してきたものですよ。なんの検証もせずに「ごもっとも」とJRの言い分を鵜呑みにするなど、到底、納得できるものではありません。

 JR九州が出してきた2億6千万円の赤字額は、日田彦山線の最も乗降客の少ない、添田・夜明間を切り取ったものです。ネットワーク型の公益事業は、ネットワーク全体の収支で不採算エリアもカバーすることは当然ではないですか。ましてや、JR九州は600数十億の営業利益をあげており、体力は十分にあります。鉄道を維持できない理由にはなりません。無条件に鉄道での復旧を求めるべきです。

 知事は、復旧の方向性について、利便性がどう向上するのか、交通ネットワークは長く維持継続できるのか、観光や地域の振興につながるのか、そういう観点から検討を行い、添田町、東峰村両首長と協議を行ったうえで決断したいと言われました。

 JR九州が提案するBRTは専用道が彦山・筑前岩屋間のわずか7.9㌔、全体の27%にすぎません。他は一般道を走行することになるという案ですね。定時制、速達性が確保されるとは到底思えません。専用道を伸ばすことについて、JR側は、「建設コストがかかる」と否定的です。

 全線不通の東峰村は特に深刻です。ただでさえ定時制に劣るバスでは、特に冬の雪道に弱く、通学する子どもたちにとっては朝早く家を出たり、夜明け駅で久大線にうまく乗り継ぎができなかったりと困難が生じます。いままで、日田、久留米、朝倉、小倉など多方面に進学できていたのに、子どもたちの選択肢を奪うことになります。結果、子育て世代の定住に逆行し、人口減に拍車をかけることになるのではないでしょうか。これは東峰村にとっては死活問題です。利便性が向上するなど、どう考えてもありえません。

 交通ネットワークの維持継続についても、国土交通省鉄道局が2013年に出した報告書で「定時制が失われることによるサービスの・信頼性の低下で、利用者減が生じる」と、はっきり国土交通省が述べています。利用者の減少が続くようであれば、その存続さえも疑問となります。

 東峰村は、美しい景観を資源にゲストハウスを整備するなど、鉄道を軸にした交流人口を増やそうと努力されてきました。その地方創生戦略が成り立たなくなってしまうではありませんか。BRTという選択は、知事が言う「地域にとって最善の方法」にはなり得ません。そうは思われませんか。原点に立ち返って、JR九州の責任で速やかに鉄道の復旧を求める方策を取るべきだと考えます。部長に答弁を求めます。

 同じ答弁は聞きたくありませんので、よろしくお願いいたします。

 

 

野田和孝 企画・地域振興部長

 

 委員のご指摘がありました。

 確かにご指摘のように、地元の皆さまが、今後、通学で使っていくための、交通手段として、どのようなものがいいのか、これは、検討しなければなりません。

 そしてまた、現地へお伺いしたご意見の中には、東峰村には、この日田彦山線以外に、公共交通機関がないというご指摘もございました。したがって、できるだけ早く、この公共、代替バスではなくて公共交通機関として、復旧をさせると、これが大事なことであろうとわたくし自身考えております。その上で、今後の交通手段の選択ということにつきましては、これよりご答弁申し上げておりますけれども、関係者によって、協議が重ねられ、現在の合意の内容に至ったわけでございます。

 それに即して、知事ご自身で今後の方向性について決断されたいということでございますので、この、復旧会議での決定事項、そして、知事の決断に即して、一日も早い復旧目指して、わたくし自身も行動してまいりたいというふうに考えております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 今日の議論の中でもですね、規定の路線でこのまま決めるということはあり得ないと思います。

 改めて申し上げますが、JR九州はもともと国鉄を継承した企業です。多くの税金が投与され、分割民営化の際に、国鉄が抱える負債を免除されただけでなく、鉄道ネットワークを維持するための経営安定基金3,877億円まで受け取っています。その他、固定資産税・都市計画税の減免措置を受け、立体交差事業や駅の改修などにも国や自治体の莫大な資金援助を受けています。それは、JR九州が公共性・公益性が極めて高い企業だからにほかなりません。JR九州は、通常の民間企業とは違った公益事業を担う主体としての行動が求められるはずです。

 JR九州の完全民営化にあたって、国会審議の場でもそのことが求められ、青柳社長は「鉄道ネットワークは維持する」「被災路線は復旧する」と何度も約束しています。

 「国会での約束を守れ」「被災路線だからJR九州の責任で復旧せよ」と交渉すべきです。このまま日田彦山線の廃線を許せば、第2第3の日田彦山線が出てくることになります。

 この問題は政治決断の問題ですので、知事に直接伺いたいと思います。委員長、知事保留のお取り計らいをお願いいたします。

 

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