● 20年10月02日 県議会報告

2020年10月2日 2020年決算特別委員会 高瀬菜穂子委員質疑・答弁 「治療用装具の療養費不支給問題について」(大要)



<2020年決算特別委員会>

      2020年10月2日

 

治療用装具の療養費不支給問題について(大要)

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 日本共産党の高瀬菜穂子です。

 治療用装具の療養費不支給問題について伺います。まず、あのパネルを見ていただきたいと思いますが。(写真を示す) 病気とか障害で足が変形したり、また、足の長さが異なるなど、不自由な生活を余儀なくされている方がおられます。もう一枚の方は、(写真を示す) これは20歳の女性の方ということなんですけれども、難病で左の足に障害がありまして、サイズが右は23.5センチで、左は28センチということで作製をされたものということなんです。こうした方にですね「痛みなくはける靴」を長年製作してきた「靴型職人」がこの福岡県にいらっしゃると。どこ行ってもなかなか靴が合わないと、履くことも歩くこともできなかったという方が、この熟練した技術を持つ職人さんたちがつくられた靴で、痛みなく歩くことができると、そういう例があるというふうに聞いています。これまで医師の信頼も得て、保険適応されていました。ところが、この職人さんがつくられた靴型装具が突然保険から除外され、療養費が不支給になるという問題が起こっております。このことについてお尋ねしたいと思います。

 まず、この技術ですけれども、福岡県立大学やドイツで高い技術を習得された久留米の靴メーカーとともにNPO法人などが協力して開発をしてきたものだと聞いております。こうした高い技術が本県内で育まれてきたことについて、県はどのように認識されているでしょうか。

 

 

牟田口徹 医療保険課長

 

 委員ご指摘の靴の製作技術は、平成19年度から福岡県立大学において開始した研究プロジェクトの中で、大学と県内靴メーカーが協力して開発が進められたとお聞きしております。

 県立大学を中心とした産学連携により、こうした技術が育まれたことを、意義深く感じております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 この靴型職人が作る靴は、長年にわたって保険適用されてきたんですけれども、法律も変わっていないのに、突然保険から除外されることになりました。「ほかのところでは、合う靴が見つからない」「作っても痛くて履けない」というような方が大変困っておられ、県に対し不服審査請求も相次いでいるとのことです。これひどい話だと思うんですけれども、このような取り扱いの変更は、2018年の厚労省通知以来とお聞きしています。この通知の内容と、これが出された経緯についてお答えください。

 

牟田口徹 医療保険課長

 

 この厚労省通知では、治療用装具の療養費支給に添付する領収書に、装具を取り扱った義肢装具士の氏名を記載することや、製作した装具の写真の添付を求めるなどの手続きが記載されております。

 平成29年度に治療用装具に関する不正事案が明らかになつたことから、国の専門委員会の議論を踏まえ、翌30年に本通知が出されたものでございます。

 なお本通知は、従来の国の解釈が明確化されたものでありまして、保険適用のものを保険適用外に取扱いを変更されたものでないと認識しております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 簡単に言うと、不正行為があってその後ですね、義肢装具士の名前を明記するようになったということだと思うんです。国の専門委員会では不正を抑制するために氏名を明記するという議論がなされたということです。取り扱いが変更されたものではないというふうに課長がお答えになりましたけれども、しかし、この通知によって、不正をしていない靴屋さん、高い技術を持つ靴型職人さんが保険から除外をされることになりました。通知では、添付する書類の領収書に義肢装具士の名前を書くこととされており、義肢装具士の名前がない場合は対象外と解されるようになったのだと思います。この方々は、高い技術を持つ靴型職人さんですけれども「義肢装具士」ではないためですね。つまり、通知によって結果的に取り扱いが変わったということなんです。法律も変えていないのに、それまでできていたことができなくなって、病気や障がいのある人が自分に合う靴を保険で手に入れられなくなった、10割負担しなければならなくなって、この靴10万円以上もするということでですね、諦めざる得なくなったというようなことが起こっています。これは、当事者にとってはもう人権問題だと思います。

 義肢装具士以外の「無資格者」、無資格者といっても技術者ですけれども、その無資格者が靴をつくることについて、今年の5月13日の衆議院厚労委員会におけるわが党の宮本徹議員の質問に対し、当時の加藤厚労大臣は、こう答えています。「人体に危害を及ぼし、または及ぼすおそれがある行為である医行為に該当しない場合、義肢装具士法の制定前から現在においても無資格者であっても適法に行われたというふうに整理がなされている」ということなんですね。つまり、義肢装具士でなくても、医行為に該当しない場合、採型や採寸、適合などを行い、靴をつくることは適法だということです。このことについて確認をしたいと思いますがいかがでしょうか。

 

牟田口徹 医療保険課長

 

 本年5月13日の厚労大臣の答弁につきましては承知しておりますけれども、義肢装具士が行える業務と義肢装具士以外の技術者が行う業務の区分につきましては、法の立て付けに関わる内容でございまして、県が申し上げる立場にはないと考えております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 大臣は「無資格者であっても適法」だというふうに答えています。「義肢装具士法の制定前から現在においても」とこの問題についての議論を踏まえて整理した上で答弁されています。「無資格者」というと「専門技術を持たない人」というふうに解されることが多いと思いますが、ドイツでは整形靴についてマイスターの制度があり、そこでしっかり修行を積んで、そういう靴をつくる技術が蓄積・伝承されているということです。本県の靴型職人はこの技術を持つ方で、日本における資格はないけれども、高い技術を持っているという点で誇るべきものがあると思います。

 ところが、障害福祉サービスの補装具でも同様の問題がおこっております。厚労省の障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス関連のQ&Aに、「義肢及び装具に係る装着部位の採型並びに身体の適合については、身体に触れたうえで行う行為であり、保健師助産師看護師法及び義肢装具士法の規定により、医師、看護師等又は義肢装具士の資格を有しない者が業として行うことが禁止されている「診療の補助行為」に該当する」とされているためです。しかし、これは先の大臣答弁と矛盾します。今、このQ&Aの記述について見直しが検討されているとお聞きしています。障がい者の補装具について、義肢装具士以外でも総合支援法の対象になるという方向だと思います。

 治療用装具についても、「医行為」ではない場合、認める方向で是正されるべきだと考えますけれども、見解を伺います。また「医行為」とはどういうことなのか、あわせてご説明ください。

 

牟田口徹 医療保険課長

 

 現在でも、医行為であります治療用装具につきましては、療養費の支給が保険適用されておりますが、この保険適用の取扱いにつきましては、新たな技術の開発やまた医療現場を取り巻く状況等を踏まえた上で、国が判断していくものであると考えております。

 また医行為につきましては、本年4月14日の衆議院厚生労働委員会におきまして、「医行為とは、当該行為を行うにあたり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は及ぼす恐れがある行為」という、答弁がなされているところでございます。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 ただいまご答弁がありましたように、「医師の医学的判断及び技術を持ってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は及ぼす恐れがある行為」これが医行為ということですから、及ぼす恐れがない場合には医行為に当たらないということになると思います。

 それで大臣答弁でも治療までは要しない方や、治療が完了した方に対しては無資格者でも適法というふうに判断されて答弁をされています。ですからこの治療用の装具についても症状が安定している場合などはこれに当たるのではないかというふうに私は考えます。そういった方向でですね、あの、検討されるようにぜひ県からもですね、あの声をあげていただきたいということを要望しておきます。

 4月14日の衆議院厚生労働委員会で、先の宮本議員がですね「2018年の2月9日の通知を出した際に、義肢装具士の資格はないけれども、医師から信頼を得て、高い整形靴作成の技術を持った靴屋がいるんだ、ということについて議論されたんですか」と質問したのに対して、政府参考人は、「委員会あるいはその通知の発出の際におきましては、ご指摘のような具体的な靴店についての議論はしていないところでございます」と答えています。本県、あるいは東京にもいらっしゃるということですけれども、優れた技術を持つ靴職人がいることを厚労省は認知せずに、通知を出されたということだと思います。そのために、これまで保険適用されてきたものが適用外とされ、10割負担を強いられるという不具合が生じています。これについては、本県における経緯だとか実態を厚労省にきちんと伝えて、実態に合うように改正していただくと、そういうことを求めるべきだと思いますけれどもいかがでしょうか。

 

牟田口徹 医療保険課長

 

 繰り返しになりますが、保険適用の取扱いにつきましては、国が判断するものと考えるところです。

 なお、本県における実態につきましては、既に国に対してもお伝えしております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 国に対してお伝えいただいているということですけれども、この問題がもう起こっております本県においてですね、本県だからこそ、主体性を持ってですね、患者さん・利用者さんの立場で実態に合った形に改善されるように強く求めていただきたいというふうに思います。

 現在、不服審査請求が複数出されていると聞いています。その審査に当たっては、歴史的経過や国会論戦の到達、またこの今議会での質疑も踏まえたうえでですね、対応していただきますようにお願いをしたいと思います。以上で質問を終わります。

 

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