● 20年12月10日 県議会報告

2020年12月10日 2020年12月定例会 高瀬菜穂子議員 一般質問 「下関北九州道路について」「株式会社大島産業に対する施工不良問題について」(大要)



2020年12月10日   12月定例会・高瀬菜穂子議員一般質問 答弁(大要)

 

 

<下関北九州道路について>

 

高瀬菜穂子 議員

 

 日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従い、まず下関北九州道路について伺います。

 本年7月15日に「第1回中国九州合同小委員会」が行われました。そこで、以下4点について伺います。

 第一に、ルートと事業費についてです。彦島と日明を結ぶルート②が有力と評価されており、事業費は、2900億円から3500億円と示されていますが、正確なルートと総事業費の根拠はどうなっているのか明らかにしてください。2008年3月に中止と決まった6大海峡横断道路計画で、国交省が示した彦島と日明を結ぶルート案は、今回のルート②とほぼ同じですが、詳細な調査の上、総事業費は1557億円でした。今回3500億円に事業費が2000億円も跳ね上がっていますが、その違いについて説明をお願いします。

 第二に、この道路建設に要する期間はどれくらいで、どこが事業主体になるのか、明らかにしてください。

 第三に、小倉東断層を跨ぐルートの安全性についてです。

 知事は2016年6月議会の私の質問に対し、「活断層の存在の可能性、それによる影響、対応策等について、十分な検討が行われると考えております」とお答えになりました。しかし、「平成30年度調査検討内容」には、詳細な調査・検討の記述はありません。有識者の意見として「必要な対策を行えば計画に問題ない」「地上部の断層変異を予測することは難しく、確認できなければ、地震調査研究推進本部公表の活断層のずれ量を根拠に設計を進めるべき」など、推進意見が列挙されています。小倉東断層は、本県地域防災計画に県内7つの活断層の一つとして位置付けられており、地震調査研究推進本部は、地表の長さ約13キロ、地下の断層面は23キロ、マグニチュード7.1の地震の可能性を示唆しています。巨大地震の発生予測は困難であり、いつ起こるかわかりません。活断層を跨ぐルートでの橋梁建設について、改めてその安全性の認識を伺います。

 第4に、県民の意見を聴取する際の前提条件について、伺います。これまで、県は、パンフレットを作り、企業アンケート・市民アンケートを複数回行っています。しかし、その内容に、事業主体、総事業費、道路通行料、自治体負担、採算性、費用対効果など、判断の指標となる重要な事項は明確にされないままでした。通行料を無料として、あった方がいいかどうかを聞いた、建設推進を誘導するような項目もありました。知事は、2019年6月議会のわが党の質問に答え、「公共事業については、客観性、透明性の確保が大切。費用対効果を含めた総合的な観点から評価をすることが重要」と答弁されています。建設の是非を問う意見聴取であるならば、採算性、自治体負担などは少なくとも明らかにした上で行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。

 コロナ禍の中で、わが党が北九州市で行った市民アンケートには、「PCR検査を行えるようにしてほしい」「保健所を増やしてほしい」という切実な要望が多数寄せられ、下関北九州道路については「建設を進めるべき」が19%に対して、「やめるべき」は50%にのぼり、「わからない」が26%でした。市民の理解を得られているとは言えないと思います。3500億円もかかる下関北九州道路は見直して、コロナ対策や緊急性、緊急に求められている河川改修、土砂災害対策、暮らしの予算に回すべきと考えます。知事の見解を伺います。

 

 

小川洋 知事

 

下関北九州道路のルート案と総事業費につい

 

 お答えを申し上げます。いわゆる下関北九州道路のルート案と総事業費でございますが、 これまで、国、福岡県、山口県、北九州市、そして下関市が協力しながら行ってまいりました調査、検討を踏まえて、本年7月に国の計画段階評価手続きの一環といたしまして、中国・九州地方合同小委員会が開催をされました。この小委員会におきまして、3つのルート案そして整備に必要な概算事業費というものが示されたところであります。

 議員ご指摘のルートにつきましては、3つのルート案のうち、下関市の旧彦島有料道路を起点とし、北九州市の北九州都市高速道路を終点とする、延長8㎞の案となっております。

 次に、概算事業費でございます。今回示された事業費は、昨年度国が実施をしました道路の概略設計と国内の類似事例の実績単価を基に算出をされたものであります。なお当時、国土交通省が示したとされる概算事業費からの増額理由につきましては、県の方でその根拠を持ち合わせておりませんのでお答えすることができません。

 

道路建設に要する期間と事業主体について

 

 次に道路建設に要する期間と事業主体についてでございます。

 本道路につきましては、現在、概略ルートや構造形式を検討している段階にありまして、建設に要する具体的な期間、又事業主体これについて検討をする段階には至っておりません。

 

小倉東断層を跨ぐルートの安全性について

 

 小倉東断層を跨ぐルートの安全性についてお尋ねがございました。

 下関北九州道路の検討に際し、国が昨年度、有識者へ行った意見聴取の結果、当該地域における活断層の有無、位置、変位量等については不明確であったために、活断層の不確実性を踏まえた海上部の概略構造検討というものがなされております。

 具体的には、断層位置の調査範囲が限定的かつ短期間で実施可能であること、断層変位が生じた場合でも影響を受けにくいことから、橋梁案が妥当であるというふうにされております。この橋梁案につきましては、本年7月に実施された中国・九州地方合同小委員会においても了承をされたところであります。

 

意見聴取時の前提条件について

 

 意見聴取時の前提条件についてでございます。

 今年の7月15日の中国・九州地方合同小委員会での意見を踏まえ、8月6日から9月30日までの間、地域住民のみなさま方への意見聴取が主にアンケート方式によって実施をされました。今回の意見聴取にあたりましては、新規事業採択の段階で算出する採算性、自治体の負担などは示されておりませんけれども、ルート案や建設に係る費用など、十分な情報が提供されておりまして、客観性、透明性は確保されているものだというふうに認識をいたしております。

 

事業の必要性について

 

 次に事業の必要性についてでございます。

 これまでこの議会で、県議会でもご答弁してまいりましたようにこの道路というのは、既存の道路ネットワークの課題の解消、関門トンネル、関門橋の代替機能の確保、さらには循環型のネットワーク形成によります関門地域の一体的発展のために、本州と九州とを結ぶ必要不可欠な道路であるとこのように考えております。

 

 

 

<株式会社大島産業に対する施工不良問題について>

 

高瀬菜穂子 議員

 

 次に、宗像市の株式会社大島産業の施工不良問題への県の対応について伺います。

 大島産業が元請けとなったネクスコ中日本の中央自動車道に係る跨道橋で、鉄筋不足の不良工事が報じられました。これを受け、国も県も同社請負の工事の点検を行い、先日、県分の20件について、安全性に問題がないと発表されました。

 しかし、この大島産業については、黒い噂が絶えず、建設業法違反の疑いがあるとの「告発状」が私のところにも届いています。

 すでに知られているように、大島産業は、トラック運転手の男性を丸刈りにする、洗車用の高圧洗浄機で水をかける、数時間土下座をさせる、男性に向かって花火を発射するなどの驚くべき人権侵害のパワハラと残業代未払いなどで、約1500万円の支払い命令が最高裁で確定している企業です。また、2018年11月には、元従業員5人が残業代の未払いを訴え、地裁は同社に1億2000万円の支払いを命じました。2009年8月には、国交省九州地方整備局から安全管理が不適切だとして指名停止処分を受けたこともありました。

 わが党は、下請けとの契約や支払いが適正に行われているかの調査と監督指導をたびたび県に求めてきました。「告発状」によれば、大島産業の元請け土木工事で、偽りの請負契約書の作成を下請け業者に強要したうえで、架空の注文書・請書を作成し、発注機関に提出し、その施工体系図を偽装掲示している。施工体系の流れによらず、裏契約先からの迂回支払いを強要する。口約束で変更工事を指示し、裏契約として認めず、代金が支払われない。建設業の許認可を持たない塚本總業株式会社が介在している、ことなど、今回の施工不良問題も含め指摘されており、建設業法違反を疑わせるものです。県の徹底した調査が必要だと考えます。

 福岡県知事許可の大島産業が元請けとして受注した中央自動車道の耐震補強工事で施工不良が発生していることに対し、建設業の監督行政庁である県はどのように対応しているのか、お答えください。建設業法違反で処分すべきではないかと考えます。以上、知事の見解を伺います。

 

 

小川洋 知事

 

建設業法に基づく大島産業への対応について

 

 次に建設業法に基づく大島産業への対応についてでございます。

 大島産業の施行不良問題につきましては、当該工事の発注者であります中日本高速道路株式会社が、今原因究明と再発防止のあり方を検討するため、外部有識者による調査委員会を設置し、調査をすすめているところであります。

 県といたしましては、その状況を見ているところでございますが、ご質問の県による建設業法違反に関する調査の状況を明らかにするということは、当該事業者の権利や競争上の地位その他正当な利益を害する恐れがありますことから、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

 

建設業法に基づく大島産業への処分につい

 

 建設業法に基づく大島産業への処分についてでございます。

 先ほど申し上げましたが、今申し上げましたが、中日本高速道路株式会社において、現在調査がすすめられているところであります。

 その結果、建設業法の違反があるとして、県に通報がなされた場合には、その処分をどうしていくかどうするか、検討をすすめてまいります。

 

 

〈第二質問〉

 

高瀬菜穂子 議員

 

 知事に再質問と要望をいたします。

 下関北九州道路について、知事はこれまでと同様「必要不可欠」と答えられましたが、その根拠が分かりません。どんなに立派な橋を作っても豪雨や台風、大雪の時は通行止めになります。需要予測は大幅減少すると当初から言われています。事業主体も工期もわからず、建設費も供用後の自治体負担も、通行料も採算もわからない、事業費だけは3500億円にも跳ね上がった、そんな中で、見直さずに進めるのですか。財政難と言いながら、またコロナ禍で、なぜ、必要不可欠なのか、再度答弁を求めます。

 大島産業の施工不良問題については、ネクスコ中日本から「通報があった場合」処分の検討をするとのご答弁でしたので注視してまいりたいと思います。県は、これほど問題の多い大島産業に、30年間で75件もの工事を発注し続けていることが情報公開であきらかになりました。5000万円以上の一般競争入札での発注も見られます。私はかねてから、下請けとの契約や支払いが適正に行われているかを調査すべきだと主張してきました。せめて、競争入札の総合評価に、パワハラや賃金未払がないか、設計労務単価が下請け末端まで適正に執行されているかなどの項目を入れ、県の監督行政を強めるべきだと考えます。この点は強く要望するとともに、大島産業に対する県自身の徹底した調査を求め、質問を終わります。

 

 

小川洋 知事

 

 先ほどご答弁させていただきました通り、下関北九州道路ですけれども、本州と九州とを結ぶ大動脈であります関門トンネル、それから関門橋というのは非常に老朽化し、大動脈という割には細くなっているわけであります。そういった既存の道路ネットワーク上の課題、それを解決をしていくこと。

 それから関門トンネル、関門橋の代替機能の確保、リダンダンシー、災害におけるリダンダンシーそういった問題。

 さらには循環型ネットワーク形成によります、関門地域の一体的な発展のために、本州と九州とを結ぶこの道路は必要不可欠な道路であるとこのように考えておるところであります。

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