● 21年03月15日 県議会報告

2021年3月15日 2021年予算特別委員会 高瀬菜穂子委員 質疑・答弁「 RDF発電事業について」(大要)



2021年3月15日   2月定例会(予算特別委員会)高瀬菜穂子委員質疑(大要)

 

 

 

<RDF発電事業について>

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。RDF発電事業について伺います。

 日本最大の本県RDF発電事業は、大牟田市に総事業費105億円をかけ、本県と熊本県の28市町村参加の下、2002年12月より本格稼働を開始しました。当初の事業計画は15年となっていましたが、5年延長して今日に至っています。2022年度で廃止予定であったこの発電所の民間企業のJFEエンジニアリングが事業承継するという提案があって、協議が進んでいると聞いております。まず、本事業の概要と協議されている事業承継について、簡潔にご説明願います。

 

 

鐘ヶ江弥生 循環型社会推進課長

 

 RDF発電事業は、ダイオキシン類の排出規制強化に対応するため、ごみ固形燃料化したRDFを、発電用燃料として、利用・処理する事業です。

 この事業は、現在は、熊本県内を含む15市町を対象とした広域的なごみ処理を行っております。

 事業承継につきましては、令和2年6月に、JFEエンジニアリング株式会社から、大牟田リサイクル発電株式会社に対して提案されたものであり、主な提案内容は、

  • 令和5年4月から最低5年間事業を実施すること
  • RDF処理委託料は5年間1トン当たり13,000円の固定価格とすること
  • 施設撤去は事業終了後に同社が責任をもって実施し、処理を委託する組合に対してはRDF処理委託料以外の費用負担を求めないこと

となっております。

 提案後、各参加組合、関係市町による提案の受入可否の検討を経て、今年2月4日開催の大牟田リサイクル発電事業運営協議会において、事業承継に係る契約締結に向けて協議を進めることを、各参加組合、関係市町など、関係者の全会一致で決定したところでございます。

 現在、大牟田リサイクル発電株式会社とJFEエンジニアリング株式会社の間で、契約締結に向けた協議が行われているところでございます。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 2023年4月からJFEが事業を承継し、最低5年間は稼働することで、関係者間の協議は最終段階にきているということのようです。JFEの事業承継については突然提起されたもので、それ以前には、どのように終結するのか、その後のごみ処理はどうあるべきかなど、大問題となっておりました。そもそも、この事業は、稼働直後から事故を起こしたり、委託処理費用が高騰したりするなど、関係市町村に多大な負担と迷惑をかけてきた事業です。そこで、今日までの18年間のRDF発電事業について、当初からこの事業を積極推進してきた県として総括が必要だと思います。どのように総括をしておられますか、お答えください。

 

 

鐘ヶ江弥生 循環型社会推進課長

 

 大牟田リサイクル発電事業は、当時困難であった小規模自治体によるダイオキシン類規制への対応とともに、焼却熱の有効利用、さらに、三井三池炭鉱閉山対策としての大牟田地域の振興を目的として、県も直接関与してきたところでございます。

 ごみの発生量が少ない小規模な市町村が単独で実施することが困難なダイオキシン類の対策など、当初の目的は達成されたものと考えております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 「当初の目的は達成された」と、そのような総括では、全く納得できないんですよね。

 本事業は、「夢のリサイクル発電」と言ってですね、国が大々的に進めたものです。当時ダイオキシン対策として、日量100トン以下の小規模焼却炉に補助金を出さないとした一方で、RDF発電は「ダイオキシンは出さず、補助金が出る」上に、固形燃料RDFは、燃料として売れるとまで言っていました。福岡県は麻生知事を先頭にこれに飛びつき、積極推進したわけです。しかし、稼働後すぐに、発火事故などが相次ぎました。3回目の事故は、RDFを燃やす炉内で、発電のために約500度の高温の蒸気を送る伝熱管に穴があいたもので、発電所側は「心臓部で起きた」と語りました。私もこの時、大牟田に行きましたけれども、そのように説明を受けました。重大事故の可能性もあったわけです。伝熱管は当初6年で交換する計画だったと説明がありましたので、計画の12倍の速さで摩耗し穴があいたわけです。本県と並び、積極推進し、同時期に稼働した三重県では、稼働した翌年の2003年8月に貯蔵サイロで発生した火災による爆発事故があり、消防士2人が死亡、5人が重軽傷を負う惨事がありました。広島県福山市では、稼働3日目で火災事故が発生しました。RDF事業は「夢のリサイクル」どころか、技術的に未成熟で安全性に問題のある事業だったわけですよ。こうした事故を受け、施設の改造などで、当初の見込み以上に処理費用がかかるようになったのではないですか。当初の計画・市町村への説明、処理費用の高騰による市町村の負担増、終結にむけての関係市町の大変なご苦労を考えますと、何事もなかったかのような、うまくいったかのような総括では困ります。本県は、問題が起こるたびに、市町村が払う処理委託料を引き上げて対処してきました。「RDFの処理委託料の推移」を資料要求しておりますので、委員長、お取り計らいをお願いいたします。

 

 簡潔にご説明お願いします。

 

 

 

鐘ヶ江弥生 循環型社会推進課長

 

 処理委託料につきましては、運転保守費や修繕費など、経営に必要な費用を確保することができるように設定されております。

 具体的には、事業開始当初は、RDF 1トン当たり5,000円でしたが、消防法の改正に伴うRDF貯蔵サイロの改修、ごみの減量化に伴うRDF量の減少などによりまして、やむを得ず3回にわたって処理委託料の値上げを行い、平成24年度に12,200円となり、その後は、引き下げにより、令和2年度は5,900円となっております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 さらりと言われたんですけれども、RDF貯蔵サイロは、圧がかかれば、発火しやすいわけですよね。そのために窒素を入れるなどの設備改修を行わなければならなかった。大牟田のサイロは爆発を起こした三重県のサイロよりもずっと巨大だったんですよ。ほんとに危なかったんですよね。極めて危険な状態で出発したのがこの事業だったんです。そしてその費用、費用は市町村に押し付けられました。ゴミの減量化でRDFが集まらないと、稼働率を上げるために燃料が必要になったり、売電収入が減ったりして、また、処理費用に跳ね返るということになりました。

 RDF発電事業計画はRDFの処理費用として、トン当たり5,000円でできるとして多くの自治体に参加を促しましたが、その直後に破綻、何回も値上げ、12,200円まで値上げされました。結果的には大変コストの高いごみ処理事業であったと思います。また、ごみ処理の基本的方向はごみの減量・分別・資源の再利用であるのに、RDF発電事業は、ゴミの量が必要となる、減量化と逆行する処理方法です。負担はすべて市町村に押し付けられました。

 会計検査院が2009年度に全国50のRDF製造施設を調べた報告書がありますが、それによると、RDFの製造コストはトン当たり平均6万2,606円。10万円を越えるところが4か所もありました。RDFをつくるのに、コストがかかるんですよね。会計検査院は環境大臣にあてて「ごみの焼却処理に比べてRDF化するほうが経費が高いものになっていた」と結論付けています。三重県では、製造コストと県に払う処理単価を合わせると、桑名広域清掃事業組合でトン当たり6万4,000円と報告しています。事務局は「助燃剤として使う灯油は年間320万リットル。2億4,000万円もかかる」と言っており、ゴミを乾燥させるのに膨大な費用が必要だということが分かります。13年3月に組合がまとめた報告書によると、RDFの製造コストはトン当たり3万2,000円。発電所の代わりに民間施設で処理してもらうと同1万5,000円~3万5,000円。これに対し焼却施設なら1万4,000円~2万2,000円、最終処分費を合わせてもRDFよりはるかに安いとされています。

 本県においては、どうだったのか、検証が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

 

 

鐘ヶ江弥生 循環型社会推進課長

 

 ごみ処理費用につきましては、処理方式の違いだけではなく、施設の規模、建設費、ごみの分別、収集の範囲、最終処分の状況など様々な要因により、大きく変動するものです。

 また当時の処理技術などの状況も考慮する必要がございます。このため、各自治体により、最適なごみ処理方法は異なり、一概にコストの比較はできないものと考えております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 そんなことはないでしょう。それぞれのRDF化施設でどうであったか、聞き取って計算することは可能だと思いますよ。会計検査院もやっている。三重県でもやっている。なぜ、本県でできないんですか。検証を行って、エビデンスにもとづいて総括すべきじゃないですか。私は、これまでも何度もそのことを提起してきました。検証さえもやらないのは、極めて不誠実な態度だということを指摘しておきたいと思います。最終段階ですので、ぜひともやっていただきたい。

 現在、RDF発電を行っている全国の自治体はどれだけで、それらは、今後どうしていくのか、伺います。

 

 

鐘ヶ江弥生 循環型社会推進課長

 

 RDF発電事業につきましては、いずれもダイオキシン類対策として始められ、現在は、本県のほか、石川県、広島県で行われております。

 いずれの県におきましても施設の老朽化により事業を終了するとされており、石川県は、本県と同様に令和4年度末、広島県は令和5年度末に終了する予定と聞いております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 ダイオキシン対策としてRDF発電事業を始めたのは、三重、福岡、広島、石川の4県ですね。三重県はすでに終了、他も終了するわけです。その他の県はやってないんですよね。「夢のリサイクル発電」ならば全国に広がってしかるべきですが、そうはならなかった。三重県の北川知事は、「失敗だった」と総括し、処理委託料も引き上げはしていません。県がその費用を負担してきました。ダイオキシン対策はRDF化しなくても「広域化」処理で実現できたし、全国的にはそうしています。焼却施設の改善で、2001年、平成13年には、小型の処理施設でもダイオキシン対策はとれるとなり、補助金もつくようになりました。RDF発電事業が稼働を始めたときには補助金は出るようになっていたんじゃないですか。実証されていないものを大々的に宣伝・導入し、事故が起こり搬入中止となるなど、迷惑をかけた上に、市町村に多大な費用負担を負わせた責任は大きいと考えます。

 事業終結にあたって、関係組合から、11億とも20億ともいわれている解体撤去費用について、契約では、これまた市町村の負担となっているんですよね。何でも市町村の負担となっているんですよ。出資金の9割を占めているのは、県と電源開発株式会社です。ここにも費用負担をしてほしいとの声が上がっていたと承知しております。このことについて、県は前向きに協議していたのではなかったでしょうか。お尋ねします。

 

 

鐘ヶ江弥生 循環型社会推進課長

 

 令和4年度で事業終了する場合の撤去費用につきましては、関係者で協議をする予定でございましたが、JFEエンジニアリング株式会社から事業承継の提案を受けたため、撤去費用に関する協議は進めておりません。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 当初は、除去費用を関係者で協議する予定だったわけですよね。この事業、県が旗を振って、さまざま問題があったのに、費用負担は関係市町村で、県の出資金はすべて返還されると、いわば県は無傷なんですよね。ですから、その費用を県が出してほしいと組合から要求が出されたのは当然だと思います。今回の事業承継に、3組合が契約するとのことですが、処理費用はトン当たり13,000円と非常に高く、これまでで一番高いわけで、私は大変驚きました。県は、今回の承継によって解体撤去費用の負担はしなくて済むわけですが、これまでの経過から考えても、出資金を使って、市町村の費用負担を軽くする検討を行うべきではないでしょうか。県は、今後、事業承継に向けて、これまでの経過を踏まえたうえで、どのように対応していくのか、今後の対応をお答えください。

 

 

鐘ヶ江弥生 循環型社会推進課長

 

 JFEエンジニアリング株式会社への事業承継につきましては、現在、大牟田リサイクル発電株式会社が、同社と契約締結に向けて協議を進めているところですが、契約が締結された場合には、県といたしましても、参加組合の意見を十分に伺いながら、事業承継が円滑に進むよう、関係者間の調整に努めてまいります。

 また、事業終了後の関係一部事務組合のごみ処理につきましては、新たなごみ処理施設を建設する場合、他の市町村にごみ処理を委託する場合、また、引き続きRDFの製造を継続する場合が考えられます。

 いずれにいたしましても、関係一部事務組合の構成市町のごみ処理に支障が出ることがないよう、しっかり県として支援してまいります。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 私、これまでの経緯を踏まえてと申し上げました。今後のごみ処理行政に責任をもってあたるということはもちろんなんですけれども、これまでの関係市町の想定を超える費用負担を考えても、その軽減のために県としても力を尽くしていただきたいと思います。RDF発電事業について、我が会派は、当初から、当初からですね、その安全性やごみの減量化に逆行することなどを再三にわたって指摘し、導入に反対したんです。当時の麻生知事は、全く意に介さずこれを強行し、結局、事故が起きました。路盤材などに使えるといっていた焼却灰は、結局危険で使えなかったんですよね。費用をかけて処理しなければならなくなりました。何もかもね、費用が増えるという方向でしかならなかったんですよ。この事業は、で処理費用がどんどん上がった。三重県はですね、爆発事故のあと、処理費用がかさんだけれども、市町村に負担を押し付けずに、県が負担をし、そして「失敗であった」と北川知事は述べました。本県の総括は、まるで何もなかったかのような「当初の目的は達成された」というもので、しかも、県の出資金もすべてかえってくるというわけですから、これはですね、私このままではいけないと思うんですよ。このような総括では、関係自治体の信頼は得られないと思いますし、同様のことがまた起こるのではないかと危惧するものです。RDF化事業と発電事業全般にわたって、科学的な検証を行い、総括を行うことを重ねて求めて、質問を終わります。

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