● 21年03月16日 県議会報告

2021年3月16日 2021年予算特別委員会 高瀬菜穂子委員 質疑・答弁「男女共同参画の推進について」(大要)



 

2021年3月16日   2月定例会(予算特別委員会)高瀬菜穂子委員質疑(大要)

 

 

 

<男女共同参画の推進について>

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。「男女共同参画の推進」について伺います。

 昨年12月に閣議決定された国の「第5次男女共同参画基本計画」は、コロナ禍で苦しむ女性への支援、性暴力の根絶、選択的夫婦別姓など、ジェンダー平等を求める運動と世論の高まりの中で、かつてない期待と注目を集めました。「計画素案」に対して6,000件を超える意見が寄せられたことも、その表れだと思います。「基本的な方針」では、憲法の下の個人の尊重と法の下の平等、女性に対する暴力の根絶などの文言が加わり、緊急避妊薬を処方箋なしで薬局販売することの検討、就職活動中の学生に対するセクシャルハラスメントの実態調査などが盛り込まれました。

 しかし、多くの意見が寄せられた「選択的夫婦別姓導入」については、第4次計画にあった「選択的夫婦別氏制度の導入‥等の民法改正等に関し、・・検討を進める」の文言をなくしてしまいました。法律で同姓を強制しているのは、世界の中でも日本だけとなっており、昨年11月の民間調査では賛成が7割です。地方議会からの別姓制度導入の意見書は150議会に上っています。県としてはこの問題をどのように考えているのか、まず伺います。

 

 

柳瀬留美 男女共同参画推進課長

 

 選択的夫婦別姓につきましては、婚姻前の氏を引き続き使えないことが婚姻後の生活の支障になっているとの声がある一方、家族単位の社会制度崩壊を招く、子の氏の安定性が損なわれる可能性があるといった意見もあります。

 そのため、国の「第5次男女共同参画基本計画」においては、「夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進める」とされたところであり、今後の国の動向を注視していく必要があると考えます。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 第4次計画にあった「女子差別撤廃委員会の総括所見なども考慮」という文言が削られまして、新たに「戸籍制度」「家族の一体感」とか「子どもへの影響」など古い価値観の言葉が並んだことは大きな後退だったというふうに考えます。「選択的夫婦別姓」は同姓か別姓かを選択できるわけですから、別姓を望む女性だけが不利益となる制度の改善に向けて、県としても取り組んでいただきたいと思います。

 もう一つ、日本の男女平等政策が、いかに施策が、いかに遅れているかを浮き彫りにした事件がありました。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長であった森喜朗氏の女性蔑視発言です。国の内外、とりわけ在日大使館が「黙っていてはいけない」と「Don’t Be Silent」と発信し、世界中から批判の声があがり、辞任に追い込まれました。国連が定めた3月8日国際女性デーを挟み、各地で抗議行動とともに女性の地位向上、エンパワーメントを求める声が起こりましたが、この森氏の発言及び、これに対して、「黙っていてはいけない」と多くの女性たちが声をあげたことについて、どのような所見をお持ちでしょうか。

 

 

柳瀬留美 男女共同参画推進課長

 

 橋本聖子前五輪大臣が、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長に就任され、また、12人の女性が理事に登用されることとなりました。

 東京オリンピック・パラリンピックの開催をきっかけに、スポーツをはじめ、様々な分野において、男女共同参画が一層進むことを期待しております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 発言に対する言及はありませんでしたけれども、会長がかわったことで、解決したわけではないので、真のジェンダー平等に向けての取組みを一層進めていただきたいと思います。

 この発言を機に、日本のジェンダーギャップ指数が世界153か国の中で121位であること、順位が下がり続けていることも注目が集まりました。とりわけ、政治分野、経済分野における指数が、144位、115位と極めて低いことが問題となっています。こうした課題について、本県でも策定中の「第5次男女共同参画計画」でぜひとも位置付けて取り組んでいただきたいと思います。女性の政治参加をすすめるためにはどのような取り組みを行っているでしょうか、地方議会における女性の割合を踏まえ、お答えください。また、経済分野の格差解消についての取り組みも、本県の現状も踏まえ、お答えください。

 

 

柳瀬留美 男女共同参画推進課長

 

 平成30年に「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」が制定され、地方公共団体は、実態の調査、情報収集、啓発活動等に努めることとされました。

 県では、毎年、県及び市町村議会に占める女性議員の状況を調査、公表するとともに、福岡県男女共同参画センターあすばるの情報誌やホームページにおきまして、この法律の趣旨、政治分野への女性の参画状況について情報提供しているところでございます。

 また、経済分野についてでございますが、県、福岡労働局、市町村、経済団体、労働団体で構成します「福岡県女性の活躍応援協議会」におきまして、職場における女性の登用や働きやすい職場づくりを促しているところでございます。

 今後とも、こうした取り組みにより、政治分野、経済分野における男女共同参画を進めてまいります。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 ざっくりとしたお答えだったんですが、本県においても、政治分野、経済分野いずれも大きな課題があると認識しております。「令和2年度男女共同参画白書」では、2019年における県内市町村議会、県議会ともに、女性議員の比率は全国平均を下回っております。また、男女間賃金格差も、2019年における所定内給与額が男性を100とした場合、女性は74.7にとどまり、50代では63.9とさらに低いと報告されています。コロナ禍で女性の自殺が増大していますが、その背景には、非正規雇用などで仕事を失い収入が減ったこと、つまり雇用の調整弁にされていることがあるとの指摘があります。白書によると、本県における非正規雇用の割合は男女ともに年々増えていますが、男性が20%であるのに対して、女性は54%にも達しており、大変深刻であります。こうした働き方についても、ご答弁にありましたように、関係機関と協議をしながら、改善を図っていただきたいと思います。コロナ禍の女性の働き方と、くらしに与えた影響について、調査をしていただくことを要望します。

 次に、性暴力の根絶に向けての刑法改正について伺います。本県では、性暴力の根絶に向けて、さまざまな施策が取り組まれていますが、性犯罪の人口10万人当たりの認知件数が全国比較でも多い状況にあります。久留米地裁等で同意のない性行為であったと認定されながらも無罪になったことが一つの契機となり、全国でフラワーデモが展開しました。こうした中、久留米では、女性が深酔いして抵抗できない状況にある中で、性的暴行をし、準強姦罪に問われた男性に対し、一審では無罪判決でしたけれども、控訴審では懲役4年の有罪判決が出されています。名古屋では、実父による強制性交に対し、一審では被害者が同意していなかったことの認定は行われたものの無罪となり、これに対して抗議の声が上がる中で、控訴審では、懲役10年の有罪判決が出され、確定しました。

 こうした事態をうけ、現在、刑法の見直しが議論されております。強制性交等罪などにおける暴行・脅迫要件の撤廃と同意要件の新設など刑法の抜本改正を県としても求めるべきだと考えますが、見解を伺います。

 

 

二場正義 生活安全課長

 

 性犯罪につきましては、委員のご指摘のように、被害者の同意のない性行為と認定されながらも、無罪となる事案が全国で相次いで発生いたしました。

 こうした状況を受け、昨年3月には、県議会から国会及び関係行政庁に対しまして、性犯罪に関する刑法規定の見直しを求める意見書、これを提出されたと承知しております。

 県におきましても、昨年8月と11月に県議会とともに行いました、国への提言・要望活動におきまして、

  •  不同意の性行為を客観的に類型化して刑法に位置付けること
  •  地位・関係性を利用した性犯罪の処罰規定を導入すること
  •  盗撮行為を刑法に位置付けること
  •  子どもや障がい者などの社会的弱者が被害者となった事案における司法面接制度を関係法令に位置付けること

このような、性犯罪に関します刑法などの関係法令の見直しにつきまして法務省に要望したところでございます。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 ありがとうございます。

 本県では、人工妊娠中絶の実施件数、実施率が極めて高い水準で推移しております。毎年、厚労省が発表する一覧では、直近の2019年で、中絶の実施率が宮崎、鹿児島についで3番目。実施件数で言いますと、東京、大阪、神奈川に次いで4番目で、そのうち10代の中絶は、数えましたら762人、これは全国4番目なんですね。10代人口に照らして率を計算しましたところ、東京都と並んで福岡県はきわめて高いんですよね。この背景に、性暴力が潜んでいることが推測されます。「性暴力被害者支援センターふくおか」などの先進的な活動があり、県も支援をしていることは十分承知しておりますけれども、さらなる支援の拡充が必要であろうというふうに思います。刑法改正についての国に対する要望とともに、性暴力根絶に向けて、さらに取り組んでいただきたいと思います。

 次に、「生理の貧困」への取り組みについて伺います。今年2月、ニュージーランドで、小中高校で生理用品を無料提供することが決定されました。同国では生徒の8%が「生理用品がなく学校を欠席したことがある」と回答していたとのことです。フランスでも、すべての学生を対象とした無料提供を決定。学生団体の調査で10人に一人が食料か生理用品かの選択を迫られていることが分かり、政府は9月までに全国1,500か所に配布場所を設け、学生に提供するとしています。イギリスでは19年、学校や病院での無料提供を決定、今年1月には、生理用品への課税の廃止を発表しました。韓国では生理用品の値下げ運動がおこり、コジュ市で11歳から18歳の女性への無料提供が行われています。英国スコットランド議会は、18年に学生への無料提供を実現し、昨年11月にはすべての女性に範囲を広げたということです。国内においても、コロナ禍の食糧支援活動で、生理用品が大変喜ばれています。こうした内外の状況を受けて、東京都豊島区などでも生理用品の無料配布に取り組むとのことです。昨年3月、国連の女性機関は、「女性と新型コロナ:各国政府が今すぐできる五つのこと」の第一に生理用品の保障を掲げています。

 本来国で行うべき課題であると思いますが、本県でも緊急に生理用品の無料配布に取り組んでいただきたいと思いますが見解を伺います。

 

 

柳瀬留美 男女共同参画推進課長

 

 ただいま委員ご指摘の豊島区の事例でございますが、金銭的な理由で生理用品を購入できない女性を支援するため、NPO法人の協力のもと、入れ替え時期が到来した防災備蓄用の生理用品を配布している事例でございます。このような事例につきまして、県の関係部局や市町村、福祉関係団体などの取組みの参考となるよう情報提供してまいりたいと考えております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 検討していただけるということで受けとめました。よろしくお願いいたします。

 次に、審議会等の女性の割合を引き上げる課題についてです。県の男女共同参画白書によると、県の審議会等の女性委員の割合は40%を超えるなど前進面もあります。しかし一方で、防災会議における女性の割合が少ないことが問題になっておりまして、今議会でも、この委員会でも質問があっておりました。この点についても、男女共同参画の課題として、防災危機管理局とともに取り組んでいくべきだと考えます。これまでの取り組みとともに見解を伺います。

 

 

柳瀬留美 男女共同参画推進課長

 

 災害対応にあたりましては、女性の視点を活かし防災・復興に取り組むことが重要でございます。

 県では、平成29年度から令和元年度までの3年間、「女性のための災害対応力向上講座」を実施してきたところでございます。

 来年度からは、「男女共同参画の視点を持った災害対応人材育成事業」を実施し、自治会役員などの男女がともに地域の防災・復興に対応できるよう、人材を育成することとしております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 ぜひ、よろしくお願いします。また策定中の第5次男女共同参画基本計画において審議会の女性の割合についてですね、現在の到達にたって意欲的な目標を掲げていただくように要望いたします。

 最後に、国の基本計画に対する意見でも多かったとお聞きしているんですけれども、「男女共同参画」という言葉からですね「ジェンダー平等」という国際的な理念が発展していますの、それを反映させた言葉に変えていってはどうかというこのことなんです。端的にジェンダー平等推進課とすることについての見解を伺います。

 

 

柳瀬留美 男女共同参画推進課長

 

 我が国におきましては、「ジェンダー」よりも「男女共同参画」という言葉の方が、広く一般に定着しており、わかりやすいと考えられますことから、引き続き、「男女共同参画」という言葉を使っていきたいと考えております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 定着しているのは、定着しているかもしれませんが、ジェンダーという言葉ですね、ジェンダー平等はSDGsの5番目に位置付けられておりまして、全ての課題にジェンダーの視点をというふうに国連では呼びかけられています。ぜひ検討課題にしていただいて、多様性をきちんと保障するようなですね、もっと包括的な施策として発展させていっていただきたいと思います。

 男女共同参画の推進について、いくつかの点から質問をしてまいりましたけれども、最後に、部長にお伺いします。ジェンダーに関わる問題がかつてなく注目されております。部長がこうした問題をどうとらえ、男女共同参画を進めようとされておられるか考えをお聞きしたいと思います。

 

 

山田信吾 人づくり・県民生活部長

 

 ただ今、委員から様々な観点からご質問をいただきました。

 県ではこれまで、第4次男女共同参画計画に基づきまして、様々な施策を進めてまいりました。その結果、「男は仕事、女は家庭」といった性別役割分担に反対する人の割合、これが増加してまいりました。しかし未だ4割の人が賛成しているという課題がございます。

 また女性の就業率や管理職に占める割合、県や市町村の審議会委員など政策決定に関わる女性の割合は着実に増加をしてまいりました。しかし男性に比べると今だ低い状況にございます。

 女性に対する暴力、いわゆるDV、性暴力につきましては、被害者の支援の体制が充実する一方、コロナ禍の中、生活不安やストレスから、DVや性暴力の増加が懸念をされているところでございます。

 このため、現在、県議会の方に提案をさしていただいております第5次男女共同参画計画(案)に基づきまして、今後も、男女がお互いに尊重し、能力を発揮し、そして働きやすく、暮らしやすい社会となりますよう、関係部局や市町村とも連携して、しっかりと施策を推進してまいる考えでございます。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 お答えをいただきましたが、この課題については、トップの考えが特に注目をされます。服部知事職務代理者への保留質疑をお願いしたいと思います。

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