● 21年10月01日 県議会報告

2021年10月1日 2021年決算特別委員会 高瀬菜穂子委員質疑・答弁 「航空自衛隊築城基地の施設整備等について」(大要)



<2021年決算特別委員会>

      2021年10月1日

 

航空自衛隊築城基地の施設整備について(大要)

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。通告に従いまして航空自衛隊築城基地の施設整備について質問いたします。

 昨年の本議会決算特別委員会でも質問をいたしましたが、築城基地における米軍用の施設建設が昨年7月から行われています。2006年の日米安保協議委員会の合意文書、「再編実施のための日米ロードマップ」に基づき、2018年に航空自衛隊新田原基地とともに、米軍普天間基地が持つ機能のうち緊急時の航空機受け入れ機能を移転するとした措置によるものです。

 計画では、駐機場、燃料タンク、弾薬庫、庁舎、宿舎などを建設し、戦闘機12機、輸送機1機、兵員約200人の受け入れを想定していると発表されています。地上3階地下1階の庁舎と地上2階の庁舎をあわせて2棟、宿舎は4階建て1棟、駐機場は3万㎡など、大規模なものです。工期は庁舎と誘導路の改修が2022年度の4分の3期まで、それ以外は2021年度、本年度までとなっています。加えて公有水面を埋め立てて、滑走路を300メートル延長する事業の手続きが進められています。

 米軍の緊急時使用に係る施設整備と滑走路延長、この2つの事業は現在どのように進められていますか。進捗状況についてご説明ください。

 

二場正義 防災危機管理局 防災企画課長

 

 築城基地の整備につきましては、九州防衛局から説明を受けておりまして、九州防衛局からは、「米軍が緊急時に使用するため、駐機場、燃料タンク、弾薬庫等の整備や、老朽化した滑走路の舗装改修を来年度中の完了をめざして進めている。施設整備完了後は緊急時使用に係る米軍への提供手続きが進められる」との説明を受けております。

 また、滑走路の延長に関しましては、「海面の埋め立てに伴います水質の汚濁や動植物及び生態系等の環境影響評価を実施している」とこのように説明を受けております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 ほぼ、予定通りの進捗ということだと思います。6月に築城基地を視察した際には、来年12月に米軍に引き渡す予定と説明されました。急ピッチで進んでいます。

 防衛省は5兆4797億円を計上した来年度予算の概算要求を発表しました。米軍再編・SACO経費やF15戦闘機の改修は金額を示さない「事項要求」とされていますから、総額はさらに膨らむものと思われます。

 このまま予算要求が通れば10年連続の増額、8年連続で過去最大の更新になり、「敵基地攻撃能力」の保有につながる兵器の導入・開発が多数含まれております。明らかに憲法違反の装備です。東アジアの軍事的緊張を高めるだけでなく、コロナ禍で抜本的な拡充が求められている国民生活関連予算を圧迫するものです。

 来年度概算要求について、築城基地に関しては防衛省からはなにか説明があったでしょうか。主な事業についてどのようなものがあるのかお答えください。

 

二場正義 防災危機管理局 防災企画課長

 

 築城基地に関します来年度の概算要求につきましては、8月31日に九州防衛局から説明を受けました。

 主な事業といたしましては、「分散パッドの整備」で約10億円、「第8航空団司令部庁舎の整備で約27億円などを要求していると説明を受けております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 司令部庁舎について、防衛省の資料には「庁舎内の指揮所機能を有する事務所を整備する」とあります。庁舎は地上2階の米軍専用のものと、地上3階地下1階の米軍と自衛隊の共用のものの2棟となっています。

 日米共用の施設に指揮所機能を持たせるとはなにを意味するのでしょうか。日米合同の作戦展開の司令塔とする計画ではないのでしょうか。どのようにお考えになりますか。

 

二場正義 防災危機管理局 防災企画課長

 

 九州防衛局からは、「第8航空団司令部の庁舎の建て替えに伴い指揮所機能を有する事務所を整備する。この庁舎の一部に米軍との会議室を設置する計画はあるが、この事務所は自衛隊が部隊を運用するための施設である」との説明を受けました。

 委員ご指摘のような、日米合同の作戦展開の司令塔とするための施設であるとの説明は受けておりません。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 しかし、「指揮所機能」を持つ、米軍との会議室を築城に整備するということですから特別な意味があるのではないでしょうか。築城基地と新田原基地は、米軍普天間基地が持つ機能のうち緊急時の航空機受け入れという同様の機能を移転するとされていますが、来年度の概算予算要求を見ますと、新田原基地は、F35B、4機の取得とそれに付随する施設のための経費など831億円、築城基地のほぼ10倍になっています。築城を司令部、新田原を攻撃拠点、そういう機能分担を図ろうとしているのではないかと思われます。いずれにしろ、基地の運用については米軍次第になるものと思われます。

 日米首脳会談の共同声明や3月の日米外交軍事担当者会合2プラス2の共同発表は、「対中国」を念頭に日本の軍備拡大と日米一体化、基地強化を確認したものとなっています。

 そして、日米両首脳の共同記者会見で「日米同盟の抑止力・対処力を強化していく必要がある」と軍拡を表明しました。この対処力とは何かということですが、これは「抑止力が破たんした後に起こる事態に対応するための軍事力」のことだということです。

 アメリカは九州沖から琉球諸島、南シナ海に至る「第1列島線」に日米一体のミサイル攻撃網を展開する「島嶼要塞構想」を進めようとしており、この第1列島線付近で武力衝突が発生した場合、増援部隊が到着するまでに3週間かかるとして、その間は自衛隊が対処することを期待しています。日本が米中の軍事衝突の最前線に立たされることを要求されているわけです。

築城基地の施設整備はそのためのものではないですか、そしてその「対処」の司令塔にする計画ではないでしょうか。大変重大な事態が進んでいると思います。防衛省に詳細な計画を問いただす必要があると思いますが、そのお考えはありませんか。

 

二場正義 防災危機管理局 防災企画課長

 

 築城基地の施設整備及び基地の運用につきましては、国家・国民の安全保障にかかわる問題でありますことから、国において適切に対応されるべきものであるというふうに考えております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 そのフレーズは何度も聞いておりますが、いつまでもそのような姿勢でよいのでしょうか。「抑止力・対処力」の名のもとに、実際に基地強化、日米一体化が図られており、築城基地はその最前線です。県民の安全に係わることですから国にお任せではなく対応していただきたい。概算要求の主要事業の一つ、「分散パッドの整備」というものがありますが、これはどういうものでしょうか。その整備の目的はなんですか。ご説明ください。

 

二場正義 防災危機管理局 防災企画課長

 

 九州防衛局からは、「分散パッドとは、航空機を基地内に分散して配置するための駐機場所のことで、有事などに備え、被害を最小限に抑え、基地機能を維持するために整備する」との説明を受けております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 防衛省の資料では「駐屯地・基地等の抗たん性の確保が重要」とあり、そのための整備だと説明されています。

 抗たん性とは、敵の攻撃を受けた場合にも機能を失うことなく軍事活動を実施する能力のことです。つまり攻撃されることを前提にした施設です。庁舎に地下1階を設けているのもそのためのものではないですか。そこに指揮所機能を設置する計画ではないでしょうか。

 築城基地が司令塔となれば真っ先に攻撃されます。また、有事には米軍機が300機規模で押し寄せてくることを米軍は否定していません。そうなると近隣の空自芦屋基地や北九州空港への分散展開も考えられます。どちらもいま滑走路の延伸事業が進められていますが、そのための活用もあるのではないかと疑念を持ちます。滑走路増設を進めている福岡空港も有事の際の使用対象とされています。福岡中が攻撃対象となる危険があるのではないですか。

 私は昨年の決算特別委員会においてアメリカが起こす戦争に、福岡が巻き込まれる危険性があると、本県として築城基地の米軍基地化に断固として反対すべきではないかとお訊きしました。改めて、この件は部長にお尋ねします。アメリカは我国が攻撃される前提での戦略を進めています。築城基地の施設整備および米軍の基地使用に反対するべきではありませんか。

 

奥田隆則 総務部長

 

 築城基地の施設整備及び基地の運用についきましては、国家・国民の安全保障に関わる問題であるため、国において適切に対応されるべきものと考えております。

 県といたしましては、基地を抱える都道府県で構成いたします「渉外関係主要都道府県知事連絡協議会(渉外知事会)」を通じまして、住民の騒音被害や航空機事故に対する不安を踏まえ、騒音軽減及び飛行運用の制限等に関する条項の新設など、日米地位協定の改定を求めているところでございます。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 昨年と同様の答弁です。しかし、築城基地をめぐる状況は昨年と同じではありません。中国の覇権主義的行動は厳しく批判されなければなりません。我党も中国当局に対して度々批判をしております。しかし、これに対して軍事的対応を強化すれば、軍事的緊張の拡大と悪循環をもたらすことになります。

 中国は国際的に孤立することを恐れており、最近TPPへの参加を申請したのもその表れだと言われています。国連憲章と国際法に基づく外交交渉で粘り強く説得することが何より重要だと考えます。アジアの玄関口を標榜する本県としては、国に対しそのことを強く求めるべきではありませんか。あわせて部長の答弁を求めます。

 

奥田隆則 総務部長

 

 中国への対応につきましては、外交政策に関する国の専管事項に属するものでございまして、国において責任をもって取り組まれているものと考えております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 私は、本県がアジアの平和の玄関口でなければならないと考えます。攻撃の拠点とされ、戦火を呼び込むことはあってはならない。そのために本県から平和の発信を行うことは極めて重要です。この点については、知事に直接お聞きしたいと思います。

 

 次に、本年6月16日未明に、強行可決された「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」いわゆる「土地利用規制法」について伺います。土地利用規制法について簡潔にご説明ください。

 

上田恭平 行政経営企画課長

 

 「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」の概要でございます。国が防衛関係施設等の重要施設周辺及び国境離島等を個別に注視区域として指定し、その区域における土地等の所有者や利用状況について調査し、その結果重要施設及び国境離島等の機能を阻害する明らかなおそれがある場合などは、その利用を規制することができるというものでございます。

 更に、機能が特に重要なもの等の周辺については特別注視区域として指定し、区域内の土地等の所有権移転等にあたっては事前届出が必要とされております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 注視区域、特別中止区域を指定し、所有者や利用状況を調査し、利用の規制までできる人権侵害の法律です。防衛省はすでに2013年から2020年にかけて、全国約650の米軍・自衛隊基地に隣接する土地の調査を行い、所有者約8万人が対象になっています。本県では31箇所の自衛隊関連施設が調査されております。

 これに関して、防衛省から本県に対してなんらかの連絡や通達、情報提供を求められた事実がありますでしょうか。

 

二場正義 防災危機管理局 防災企画課長

 

 九州防衛局からは、土地の調査に関する連絡や、情報提供を求められたということはございません。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 今のところはないとないとのことですが、防衛省はすでに調査を行っているわけです。

 同法には、内閣総理大臣は、「関係行政機関の長」などに対し「利用者その他の関係者に関する情報」のうち「政令で定めるものの提供を求めることができる」と規定があります。「政令で定める」と、情報の内容も政府の裁量次第です。

 今後同法の運用が始まれば、本県知事に対し、関係者の個人情報も含め提供を求められる可能性もあると思います。その場合、法律上本県としてはどのように対応することになりますか。

 

上田恭平 行政経営企画課長

 

 「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」第7条第1項の規定において、内閣総理大臣は、土地等利用状況調査のために必要がある場合においては、関係地方公共団体の長に対して、当該土地等利用状況調査に係る注視区域内にある土地等の利用者その他の関係者に関する情報のうち、その者の氏名または名称、住所その他政令で定めるものの提供を求めることができるとされております。

 この求めがあったときは、同条第2項において、関係地方公共団体の長は、当該情報を提供するものとされております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 結局、国から求められたら、地方自治体は情報を提供しなければならないことになります。

 政府は同法の運用の基本方針を来春にまとめ、夏にも監視対象区域を決定します。重要施設とは米軍・自衛隊などの基地や原発、自衛隊との共用空港などの「生活関連施設(重要インフラ)」です。

 問題は、誰が誰を対象に、どんな情報を、いつ、どこで、どういう方法で調査するのか土地・建物の利用規制の勧告・命令の対象となる「機能阻害行為」とはどういった行為なのかなど、核心部分はすべて政府の裁量に任せていることであります。対象となる施設も条分上限定がなく、5年後の見直しで約1キロとした注視区域も拡大される可能性があります。

 政府は「土地等の利用に関連しない思想信条等に関わる情報を収集することは想定していない」と言いますが、それを担保する規定はありません。調査の範囲が住民の職歴や思想信条、家族・交友関係まで広がる恐れや、基地や原発などに抗議する活動を規制対象とする恐れもあります。まさに憲法の平和主義や基本的人権を踏みにじる違憲立法です。

 戦前戦中、要塞地帯法や軍機保護法などにより、軍事施設や軍需工場などの周辺で写真撮影やスケッチをしただけで、国民はスパイ扱いされ罰せられました。同法はまさに戦前を想起させる国民監視法であり、廃止されるべきものと考えます。基地強化とともに、このような法律まで作られたことに大変な危惧を覚えるものです。

 今回とりあげた質問は、県民の生命財産、人権にかかわる極めて重大な問題です。先ほど部長答弁をいただきましたが、納得のいくものではありません。新しく就任された服部知事のご所見をぜひ伺いたいと思いますので、委員長、知事保留のお取り計らいをお願いします。

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