● 21年10月04日 県議会報告

2021年10月4日 2021年決算特別委員会 高瀬菜穂子委員質疑・答弁 「コロナ禍における女性への支援について 盗撮対策について」(大要)



<2021年決算特別委員会>

      2021年10月4日

 

コロナ禍における女性への支援について盗撮対策について(大要)

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 日本共産党の高瀬菜穂子です。コロナ禍における女性への支援について伺います。コ

ロナ禍は、見えにくかった女性をめぐる様々な問題を浮き彫りにしました。

 私は、3月の予算委員会で「生理の貧困」を取り上げましたけれども、これもその一つであります。世界中で問題になり、さまざまな支援策が急速に広がりました。本県でも、早速4月に災害救助用備蓄の生理用品を無償提供していただきました。配布していただきました。「生理の貧困」対策は、全国的にも広がりを見せていますが、県内市町村の取組みはどうなっているのか、まずお尋ねします。

 

柳瀬留美 男女共同参画推進課長

 

 国の調査によりますと、7月20日現在ですが、北九州市、福岡市ほか13の市町で実施されております。

 具体的な取組み内容としましては、災害救助用備蓄の生理用品、企業などからの寄付、あるいは市町が購入した生理用品を、市町の窓口のほか、男女共同参画センターや児童館、コミュニティーセンター、社会福祉協議会、小中学校などで無償配布されております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 私の地元の北九州市では学校のトイレに置かれるようになりまして、大変喜ばれています。内閣府の調査では、ただいまご答弁ありましたが、その調査では、広島県が最も多い約8割の自治体で取り組まれているとのことです。本県は、13市町21%で全国25位ということでした。

 この間、県内各地で食料支援活動が様々な団体によって取り組まれており、私も生活実態をお聞きするために参加をしましたけれども、山と積まれた生理用品がどんどんなくなっていく様子に大変驚きました。学生さんが「お米と生理用品、本当に助かります」と話され、コロナ禍の生活の大変さを目の当たりにしたところです。

 こうした実態に照らしますと、県が各大学に送った生理用品ではまだまだまったく不十分だと言わざるを得ません。庁内横断的にこの問題について考えていただき、福祉的に、また教育の現場での支援を強めていただくよう切望いたします。あわせて、取り組みが広がっていくよう市町村に対する働きかけを行うとともに、国として予算をつけ取り組むよう求めていただきたいと思います。

 「生理の貧困」はコロナ下で顕在化した課題の一つですが、コロナの長期化により、様々な困難や不安を抱えている女性が多くいることが顕在化してきました。低賃金の非正規雇用で働く女性が仕事を失い、「ステイホーム」が強いられたもとでDV被害が急増し、女性の自殺の増加率は男性の5倍に達しました。

 

 今議会で請願を提出した「新日本婦人の会」が実施した県内の女性アンケートでも、ストレスにさらされている状況が示されました。「仕事が減った」「4割減収」「ボーナスカット」など収入減の中、家事労働が増え、洗濯やご飯づくりに追われ、夫の協力が得られない、ストレスを抱えた子どもにも当たられる、生活不安や保育士など働く人からは感染の不安が多く出されています。「我慢も限界」との言葉もありました。家に閉じこもる高齢者が「動かず語らず笑わず三途の川をわたっている」と書き、「自分は生きていてもしようがないと自己肯定感がなくなって、自殺を何度も考えた」と書いた方もありました。経済的困窮、自己肯定感の低下、ジェンダーバイヤスに起因する家庭・就労面での女性への負担増などの声が多くあり、胸がつかれる思いで読みました。

 こうしたコロナ下で苦しむ女性への支援が必要だと考えますが、県ではどのような取組みを行っていますか。

 

柳瀬留美 男女共同参画推進課長

 

 県では、今年の6月補正予算で措置していただきました「女性と社会のつながり支援事業」において、コロナ禍で経済的困窮や社会からの孤独・孤立により不安を抱える女性に対する相談支援を実施しております。

 本事業は、困難な状況にある女性への支援を行っている民間団体の知識や経験を活用しまして、街頭や子ども食堂での声掛け、相談対応や、電話・メール相談などを行っております。なお相談支援の一環としまして、生理用品の提供も行っているところでございます。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 新たな、つながり支援事業に取り組んでおられるということですが、その規模や効果については、これから集約・検証されるというふうに聞いています。DVや自殺などの一般の相談窓口は相談件数が増加しているというふうに認識しております。支援にはスピードも必要です。こういった取組みがコロナ禍で本当に困っている人に届くようにどのように取り組んでいるのかお尋ねします。

 

柳瀬留美 男女共同参画推進課長

 

 支援が必要な女性に情報が届くよう、女性支援を行う県の男女共同参画センター「あすばる」や子育て女性就職支援センターなどにおいて、相談窓口の情報を掲載したチラシやカードを生理用品とともに配布しております。

 また、ひとり親家庭を支援する団体や子ども食堂を運営する団体などに協力いただきまして、食料品などの配布をする際に、相談窓口の情報を掲載したチラシやカードを生理用品とともに配布していただいてるところでございます。

 今後も、女性支援を行っている団体の意見をお伺いし、協力いただける団体を増やしながら、より多くの女性に支援が届くよう取り組んでまいります。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 団体の力も借りながら、相談支援活動を行っているとのことです。心が折れてしまう人をつくらないように取り組みの強化を求めます。同時に、先ほど申し上げた深刻な状況は、一部の女性たちだけではなく、広範な女性たちに襲いかかってきているということも指摘をしたいと思います。その意味では、政治や制度全体にかかわることですが、男女共同参画の視点から、積極的に問題提起をしていただくこともお願いをしておきます。

 

 次に、性犯罪の一つとして位置付けられている「盗撮」について伺います。去る9月14日、「郵便局女子トイレで盗撮未遂、郵便局長を懲戒解雇」というニュースが流れました。学校現場などで盗撮事件が後を絶ちません。警察庁生活安全局発表の盗撮検挙件数は2011年1,930件でしたが、2019年には3,953件と、わずか8年で約2倍に増加しています。

 本県では、迷惑防止条例に「のぞき見・盗撮行為等の規制」があり、2019年には透視機能を有する写真機等での撮影行為を禁止するとともに、のぞき見・盗撮行為等の規制場所も一般住居などが追加されました。県の迷惑防止条例の盗撮検挙件数は2016年197件から2020年290件と100件近く増えています。盗撮は本人が気づかない間に性的画像を撮影され、その画像が売買されたり、ネット上に掲載されたりするなど、極めて卑劣な犯罪であり、深刻な性暴力であると考えます。県としては、盗撮についてどのような見解をお持ちでしょうか。

 

相野憲一 生活安全課長

 

 昨年5月に議員提案による性暴力根絶条例を全面施行し、同年11月には、条例に基づき、県、関係機関及び有識者による「性暴力対策会議」において、性暴力となる行為の事例や被害の影響、性暴力をなくすために県民・事業者がとるべき行動などを定めた「性暴力根絶に向けた指針」を策定いたしました。

 指針では、性暴力とは、望まない・同意のない性的な行為や発言であり、性暴力は、自分の気持ちが尊重されず、自分の身体に関することを自分で決める権利が否定される人権侵害であること、そして盗撮はこれらに該当し、性暴力となる行為であると定めております。

 また、性暴力は、被害のことがフラッシュバックしたり、眠れなくなるなど、被害に遭った人や周囲の人に長期にわたって深刻な影響を与えることがあることを記載しています。

 このように、盗撮につきましては、被害者を深く傷つける大変卑劣な犯罪であり、これらを含む性暴力は、決して許すことはできない行為であると認識しております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 一度インターネットに流失した画像・映像は消すことが難しく、被害は一生続きます。ところが、この卑劣な盗撮がビジネス化しており、300億を超える市場になっているとの報告もあります。高校生が同級生を盗撮し、お小遣い感覚で販売していたケースもあるとのことです。子どもが被害者、加害者になっているということも深刻です。2016年に行われた内閣府警察庁主催の「児童ポルノシンポジウム」では被害の4割が盗撮であると報告されています

 都内の会社員は「3年前からやっていた。ネットで販売し約1,000万円の報酬を得ていた」といい、別の例では「金を得る目的で、飲食店の男女共用トイレに小型カメラを仕掛けた。1,000人以上の盗撮動画を販売し、約2,700万円の売り上げがあった」と供述しています。

 国においては、性犯罪の法整備の見直しの中で、性的な行為の撮影や盗撮を対象とした「撮影罪」の新設について検討がなされると報道されております。海外では法による規制がすでに行われており、法により厳しく規制が行われることに期待するものです。 

 県においては、性暴力根絶条例に基づき、盗撮を含む性暴力の根絶に向けた様々な施策に取り組まれていると思いますが、不幸にも被害に遭われた方への支援、また加害者の再犯防止対策についてどのような取組みが行われているのかお伺いします。

 また、法による規制についての見解もあわせて伺います。

 

相野憲一 生活安全課長

 

 被害者支援につきましては、性暴力の被害者をワンストップで支援する「性暴力被害者支援センター・ふくおか」を設置し、24時間365日体制で電話相談に応じるとともに、面接相談、急性期の医療面のケア、警察等への付き添い支援など、性暴力被害の直後から、被害者に寄り添った総合的な支援を行っております。

 このうち、盗撮被害の相談対応では、盗撮されたがどうすればいいかわからない、交際相手や家族から同意なく性的な画像を撮影されたなどの相談が寄せられております。センターでは、本人の意向に沿って、警察への付き添い、示談等に係る弁護士による法律相談、カウンセリングによる精神的ケアなどの支援を行っております。

 加害者の再犯防止対策につきましては、昨年5月に「性暴力加害者相談窓口」を設置し、強制性交等の性犯罪はもとより、痴漢や盗撮といった加害行為を繰り返さないための再犯防止対策に取り組んでおります。窓口では、専門スタッフが、相談者一人ひとりの相談内容に応じ、再犯防止専門プログラムの実施、市町村や民間の支援団体と連携した就労等の生活自立支援、専門医療機関の紹介などを行っております。

 また、県では、昨年度から、性犯罪をその実態に即して厳正に対処するため、県議会とともに、法務省に対し盗撮行為を刑法に位置付けるよう要望しているところであり、法による規制が行われるよう引き続き取り組んでまいります。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 盗撮の場合、被害を認識するのが難しい側面がありますが、盗撮が性暴力の一つであること、相談窓口があることを周知していただきたいと思います。盗撮を繰り返す加害者に対する支援も重要であり、取り組みの強化をお願いしたいと思います。

 北九州で「盗撮防犯ボランティア」を行っている団体があります。休日に、公園やコンビニなどのトイレを点検し、盗撮カメラが仕掛けられていないか調べ、お店にはその報告を行っています。北九州市が募集した「NPO公益活動支援事業」にも採択をされ、トイレットペーパーに注意喚起のための印刷をするなど工夫を凝らした啓発活動に取り組んでいます。店舗に点検ステッカーを貼ることは犯人への抑止力になると言っておられます。まず、意識して周囲をよく見ることでカメラを見つけ被害を防ぐことにもつながる、こうしたことを強調しています。施設や店舗に対する盗撮予防対策の研修、子どもたちをはじめとする啓発の場などを行政にお願いしたいと提案をされています。

 県としても個別の被害者支援、加害者対策のほか、性暴力根絶のためのさまざまな取組みを行っており、パンフレットなどをつくっておられると思いますが、その中に、盗撮の実態についても掲載したり、ポスターを作るなどの取組みをしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

 

相野憲一 生活安全課長

 

 県では、条例に基づき、性暴力を根絶し、被害者も加害者も出さない社会、性暴力を許さず被害者に寄り添う心を共有する社会をつくるため、先ほど答弁させていただいた指針の内容や県の取組みを紹介するパンフレットを市町村や関係機関に配布するとともに、県ホームページにこれらを掲載し、啓発を行っております。

 また、児童・生徒に対しましては、発達段階に応じた啓発冊子を作成し、県内の小、中学校、高校、大学・短大等に配布し、性暴力根絶と被害者支援に関する教育啓発にも取り組んでおります。

 通学などに際し、電車やバスの利用が増える高校生向けの啓発冊子では、盗撮は身近で起こりうる性暴力被害であることから、事例をマンガで紹介し、被害に遭った時や、被害に遭っている人を見かけた時の対応などについても伝えております。

 県といたしましては、こうした啓発により、県民や事業者の理解の増進を図り、盗撮による被害者も加害者も出さない社会づくりに努めてまいります。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 県発行のパンフレットでは、デートDVやアダルトビデオ出演強要なども含め、さまざまな啓発が行われていると認識をしております。盗撮についても位置づいていますけれども、身近に起こりうる性暴力であり、被害を認識しにくい特性があることから、特に学習や啓発が必要だと感じています。企業や店舗、施設にも、盗撮予防の観点から、警察とも協力して取り組みを強化していただきたいと思います。このことをお願いしまして質問を終わります。

<< >>

  • サイト内検索

    【検索はコチラ】
  • 痴漢アンケートバナー

  • 県議会ニュース

  • 赤嶺政賢

  • 田村 貴昭

  • 仁比そうへい

  • 真島省三

  • リンク集

  • お問い合せ