● 21年10月07日 県議会報告

2021年10月7日 2021年決算特別委員会 高瀬菜穂子委員質疑・答弁 「GIGAスクール構想について 特別支援学校設置について」(大要)



<2021年決算特別委員会>

      2021年10月7日

 

GIGAスクール構想について
特別支援学校設置について(大要)

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従い、まず、GIGAスクール構想に

ついて伺います。

 コロナ前から進められていたGIGAスクール構想が「全国一斉休校」を契機に一気呵成に進むことになりました。そのため、自治体間で差が生じたり、現場でも様々な混乱、負担が生じていると聞いています。教育委員会としては、現場で起こっている問題について、どのような認識を持っていますか。

 

塚田 淳 教育振興部 義務教育課長

 

 1人1台端末や高速通信環境などの整備は、県内すべての市町村におきまして、令和2年度中に概ね完了しましたが、学習活動における活用については市町村間で進捗の差があり、学校によっては導入の初期段階に負担が生じているものと認識していまおりす。

 このため、県教育委員会では、市町村間の格差が生じないよう、「福岡県学校教育ICT化推進計画」の策定、ICT活用推進班の設置による市町村や学校への支援、教員の役割やスキルに応じた複層的な研修の実施等に取り組んでいるところでございます。 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 コロナ禍、検温や消毒などの感染対策に加え、分散登校などの連絡、出欠確認、児童生徒やその家族に陽性者が出た場合の対応など、緊張と多忙を極める中、オンライン授業が新たに取り組まれることとなり、その準備と実践に膨大なエネルギーを費やしていると感じています。多くの児童生徒が一斉に使ってフリーズした、家庭での接続がうまくいかず、最後まで入室できなかった生徒がいるなど、ネット環境によるトラブルや、充電できていなかったなど単純なミスで時間がとられることも少なくないようです。教室にいる子どもたちとオンライン上の子どもたちの両方に声をかけながら、授業を行うことはネットに詳しい先生でも容易ではないと思います。疲労困憊の先生方から、ネットの環境をまずは整えてほしい、ICT支援員を各学校に配置してほしいとの意見をいただきました。

 学校の通信ネットワーク環境の整備、国の基準では4校に一人となっているICT支援員の増員が必要だと考えますが、いかがですか。

 

綾部 耕士 教育総務部 施設課長 

 

 各市町村において、国の補助金と地方財政措置により、構内通信ネットワークの整備やICT支援員の配置をしております。

 このため、構内通信ネットワークの拡充やICT支援員の増員についても、各市町村において判断されることになると考えております。

 県といたしましては、各市町村において、ICT環境整備を推進し、維持・更新等に対応するために、今後も必要な財政措置を講じるよう国に要望してまいります。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 各市町村の判断ということですが、県としても実情を踏まえ、国に強力に財政措置を求めていただきたいと思います。ICT支援員は各学校に必要だと思います。

 児童生徒の情報のデジタル化に伴い、インターネットを介してデータを蓄積できるクラウドの活用が進んでいくと考えますが、個人情報保護の観点から、どのような対策を講じていますか。

 

綾部 耕士 教育総務部 施設課長 

 

 今後、学習履歴や活動記録といった、児童生徒の情報がさらにデジタル化され、クラウド上に蓄積された情報の活用が進んでいくと考えています。

 このため、県では、学校がクラウドサービスを安全に活用できるよう、昨年度、「福岡県教育委員会情報セキュリティ対策基準」を一部改正しております。これを市町村へ周知をはかっております。

 また、市町村では、各市町村の個人情報保護条例やセキュリティポリシーに基づき、個人情報漏洩対策が講じられております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 中教審答申は、「教育データの蓄積、分析、利活用」を強調しています。学習履歴や健診結果などの個人情報は慎重に取り扱われなければなりません。今後、タブレットを利用してテストを行い、採点もネット上で行われるようになると聞いています。記録も残るようになります。子どもの属性、家庭状況、学習評価、行動記録、保健、学習履歴データなどが、教育ビッグデータとして蓄積されようとしています。学習履歴には、教材の参照履歴、発言回数やその内容、ドリル問題の正誤、回答時間、試行回数などが含まれる聞いています。このようなやり方は、まるごと記録されて、監視される印象を持ちます。個人情報が本当に守られるのかと、危惧の声が上がるのも当然だと思います。今日も、年金記録の情報が大量に流出したという報道があっております。私は、ビッグデータの蓄積は大変危険であることを指摘しておきます。その上で個人情報については、しっかりと守られるように対応していただきたいということを、重ねてお願いしたいと思います。

 子どもの心や体への影響についても心配の声があります。特に、視力低下につながる危険について指摘されていますが、その対策についてどのようにお考えですか。

 

鶴英樹 教育振興部 体育スポーツ健康課長

 

 GIGAスクール構想のもとで、学校における1人1台端末の本格的な運用が始まるなど、学校や家庭においてICT機器の使用機会が広がっていることを踏まえまして、県教育委員会といたしましては、利用時の目と画面の距離、定期的な休憩、画面の明るさの調整など、ICTの活用に当たっての児童生徒の目の健康などに関して配慮するよう通知しているところでございます。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 通知がしっかり守られるようにと思いますが、学校でのICTの活用推進は、生活全般のインターネットやSNS利用の増加につながるというふうに考えます。子どもの生活や健康に重大な影響を与えるとの指摘があります。目の健康だけではなく、ネット・ゲーム依存などとの関連も含め、子どもの生活や健康に対する全体的な影響も明らかにし、県教委として対応をお願いしたいと思います。

 さて、今年1月に出された「中央教育審議会答申」では、ICT活用を踏まえ、「個別最適な学び」と「協同的な学び」を組み合わせていくことが強調されましたが、その両立はかなり難しい課題と考えます。どのように進めようとしているのか、お尋ねします。

 

塚田淳 教育振興部 義務教育課長

 

 「個別最適な学び」や「協働的な学び」は、GIGAスクール構想によって初めて示されたものではなく、現在順次実施されております学習指導要領の総則においても言及されていたものでございます。

 これらを効果的に実施する上では、ICT活用の特性や強みを生かして、たとえば、情報を処理する時間などを節約しつつ、その時間を個に応じた学びや異なる考えを組み合わせる時間に工夫して、利用していくことが必要であると考えております。

 ただし、そのようなICT活用は、現在、試行錯誤の段階であることは事実であり、県内各地の研究指定校におきまして、効果的な活用モデルの開発を行っているところでございます。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 中教審では、コロナ禍で進んだICT活用を踏まえ、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の組み合わせとして、対面指導と遠隔・オンライン教育とを行うハイブリッド化なども強調されています。課長も試行錯誤の段階といわれましたが、効果的な活用は、研究が必要だというふうに思います。ICTの有効活用には準備の時間がこれまで以上に必要ですし、個別最適にするには一クラスの人数を減らすことが「カギ」だと思います。ICT有効活用のためにも、教員の働き方改革の観点からも、教員の増員や少人数学級などの教育条件整備を文科省に強く求めていただきたいと思います。

 デジタル教材が増えることで、指導方法が画一化してしまうのではないかということも懸念されます。子どもや地域の実態から出発した多様で柔軟な授業づくりが取り組まれてきたと思います。これが保障されるべきだと考えますが、この点についてはどうお考えですか。

 

塚田淳 教育振興部 義務教育課長

 

 デジタル教材を活用した指導はICT活用の一例ではございますが、従来からの教育実践とICT活用の特性や強みを生かした多様な活用方法とを、学校や児童生徒の実態、授業の狙いなどに応じて臨機応変に組み合わせていくことが大切だと考えています。

 時間的制約・空間的制約を超えられるというICT活用の特性や強みを生かすことにより、たとえば写真や動画などによる学習過程の振り返りや、遠隔地のゲストティーチャーとの交流など、学習活動の可能性が広がると考えております。今後は総合的な学習の時間における探求活動や課題解決型の学習などの充実を期待しております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 ICTの活用によって、その特性を生かした多様な学習活動が行われることを私も期待します。

 一方で、現在の学校の多忙化の中で、子どもの実態に合わせ工夫し練り上げられた教材をつくる余裕が失われていることを大変危惧いたします。いま課長が述べられたようなさまざまな活用が学校現場で楽しく進められるような自由で余裕の持てる教育行政を進めていただきたいと思います。

 この項の最後に、ICT教育と学習効果について伺います。15年前にICT を導入した韓国の大規模な検証結果では、ICT教育には、生徒の興味を引く効果はあっても、学習効果としては表れておらず、効果が認められる場合でも学力下位層に限られるといわれています。情報量と教育効果の関係から、ICT教育は視覚情報量が大きすぎて、情報量の少ない紙を読む場合に比べ、深く考えることが難しいとの研究結果もあり、韓国ではデジタル教科書から紙の教科書に戻したところもあるとのことです。ICT教育は、最新の研究も踏まえ、子どもの成長発達のためにどのような課題があり、どう活用すべきか、現場の意見もよく踏まえ、よく検討する必要があると考えます。県教委としての見解を伺います。

 

塚田淳 教育振興部 義務教育課長

 

 学校教育で育成を目指しております資質・能力としては、知識及び技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性等3つの柱があります。

 このうち、学力テストによっては図りにくい、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性等を育成する上では、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実により、主体的・対話的で深い学びを目指すことが必要とされております。そして、それを支える道具立てとされているICT活用であり、今後、効果的な活用を模索していく必要があると考えております。

 授業の目的や子どもの発達段階、学校の実情に応じて、ICT活用と従来型の教育実践とを臨機応変に組み合わせていくことが活用であると考えております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 ICTを活用した教育と従来型の教育実践、臨機応変に組み合わせていくと。こういった余裕のある、子どもたちのために教職員が一体となって考えられる場にしていただきたいと思います。この課題は、実際には本当に難しいと思うんですね。忙しい中ではとくにそうです。ぜひ行政として後押しをしていただきたいと思います。

 科学は日進月歩で進んでいます。人間の思考は、与えられた情報を頭の中で短期記憶=ワーキングメモリ―として並べ、それを処理することで成り立っている。思考を効率的に行うには、情報をコンパクトにしてワーキングメモリーを消費しないようにすることが重要であると専門家が指摘しています。動画を見ているときはワーキングメモリ―を使い切ってしまい、思考をめぐらす余裕がなくなる、情報量の少ない静止画像の方が、深く考えることに適しているなどの指摘は重要だと考えます。こうした指摘も踏まえ、柔軟な教育実践に生かしていただくよう要望します。

 

 次に、特別支援学校の設置について伺います。

 本県では、特別支援学校在籍の児童生徒が急増する中、新たな特別支援学校設置に向けて、計画が進めてられています。災害が多発する中での設置となることから、その安全性が特に重要と考えます。平成28年、2016年に出された「特別支援学校施設整備指針」では、「安全の確保」の項目に「学校施設は災害時には障害のある幼児・児童生徒やその家族、地域の障害者、高齢者等の要配慮者も含め地域の避難所としての役割も果たすことから、想定される避難者数や、起こりうる災害種別のリスクを十分に考慮し、あらかじめ学校設置者と防災担当部局との間でお互いの役割を明瞭にしながら、避難所として必要になる機能を計画することが重要である」と書かれています。これを踏まえて、現在建設中の特別支援学校は、避難所の機能を持つものになっているのか、お尋ねします。

 

日髙吉三郎 教育振興部 特別支援教育課長

 

 特別支援学校につきましては、内閣府が定めた「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」において、福祉避難所として利用可能な施設の一つに挙げられております。

 福祉避難所の指定につきましては、法令に基づき市町村が行うこととなっております。

 県教育委員会といたしましては、新設特別支援学校につきましては、委員からご説明のあった「特別支援学校施設整備指針」に則り、計画を進めていきたいと考えております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 それでは、福祉避難所としての機能を持つ施設にするということですね。

 宗像の福岡教育大学敷地内に建設予定の特別支援学校についてお尋ねします。土石流警戒区域内、一部は特別警戒区域がある大学敷地内になぜ特別支援学校を建設するのかと、その安全性について、大学内からも地域からも心配の声が今も上がっています。教育大のキャンパスマスタープランとの整合性についても疑問が出されています。現在の大学の避難所は、城山中学であり、特別支援学校の子どもたちが移動するのには時間がかかる上、避難経路も危険だと指摘されています。こうした課題について、どのように対処されようとしているのか、お答えください。

 

日髙吉三郎 教育振興部 特別支援教育課長

 

 福岡教育大学の敷地内に設置いたします新設校の学校用地につきましては、その大部分が土砂災害警戒区域外でございますが、警戒区域に含まれる一部につきましても、宗像市が対策工事を実施し、学校用地全体が警戒区域外となるように整備することとしております。

 また、新設校に在籍する児童生徒の避難所の指定につきましては、障がいのある子どもがより安全に避難できるよう、今後、宗像市と協議を行っていきたいと考えております。

 新設校における児童生徒の安全確保につきましては、こうした取組みに併せまして、障がいの特性に応じた避難計画の策定、あるいは避難訓練の実施など、対策を講じてまいりたいと考えております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 宗像市と協議するとのことですけれども、大学敷地内はもともと危険区域であることから、地元の心配は払拭できていません。ここに建設すべきではないとの声があります。子どもたちの命が脅かされることがあってはならないわけで、万全の安全対策を講じていただきますように重ねてお願いしまして、質問を終わります。

 

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