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2021年12月3日 「福岡県2022年度予算編成にあたっての県政への要望」を県に提出しました



 


 

福岡県知事   服部 誠太郎 様

福岡県教育長  吉田 法稔  様

福岡県警本部長 野村 護   様

 

福岡県2022年度予算編成にあたっての県政への要望

 

2022年10月7日

 

日本共産党福岡県議会議員団    高瀬 菜穂子

立川 由美

 

 

1、「海外で殺し、殺される国」づくり許さない。憲法を守り、県政に生かす。

 
 

要望1

 総選挙の結果、改憲勢力が334議席となり、改憲発議に必要な310議席を大きく上回った。改憲に向けた議論の加速が進んでいる。
 憲法9条に3項を加え、自衛隊を明記すれば、「戦争放棄」「戦力不保持」を規定した1項、2項を空文化し、自衛隊に海外で戦争させる道を開くことになる。世界各地で武力紛争が発生している今日こそ、国際社会の緊張緩和と信頼醸成のため、平和憲法の原則の実践が求められる。
 よって、政府に対し憲法99条を遵守し、戦争放棄を定めた9条を守ることを強く求めること。
 また、自公政権は、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」に基づき「安保法制」を強行した。知事は、地方自治を預かるものとして、日本国憲法第9条を守り、生かす立場に立ち、憲法改定に等しい「安保法制」の廃止とともに、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」の撤回を政府に求めること。

 

要望2

 航空自衛隊築城基地における米軍用の施設建設が急ピッチで進み、滑走路延長を除き来年12月には米軍に引き渡すとされている。計画では、駐機場、燃料タンク、弾薬庫、庁舎、宿舎などを建設し、戦闘機12機、輸送機1機、兵員約200人の受け入れを想定している。地上3階地下1階の庁舎と地上2階の庁舎をあわせて2棟、宿舎は4階建て1棟、駐機場は3万㎡など、大規模なものである。加えて、防衛省は来年度の概算要求で、「分散パッドの整備」約10億円、「第8航空団司令部庁舎の整備」約27億円などを要求していることがわかった。
 軍事的緊張の拡大と悪循環をもたらす基地施設の強化に反対し、政府に対し撤回を申し入れること。福岡県に基地対策課を設置すること。

 

要望3

 自公政権が沖縄県民の総意を無視して名護市辺野古への米軍基地建設を力ずくで押しつけようとしていることは、憲法と地方自治を踏みにじる暴挙であり、地方自治を預かる知事として、沖縄と連帯して、米軍基地建設反対、普天間基地の無条件撤去と基地のない沖縄の実現を国に求めること。
 あわせて、名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う埋め立てに沖縄戦犠牲者の遺骨が眠る県南部の土砂を使用することについて、撤回するよう政府に求めること。

 

要望4

 2021年6月、「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(以下、土地利用規制法)が成立した。政府は、自衛隊基地や原発など安全保障上重要な施設の周辺や国境の離島などの土地利用を規制すると説明しているが、具体的な規制対象の区域や行為は、国会審議でも明らかにしなかった。政府による調査は、土地利用者の思想信条などにも及ぶ可能性があり、私権制限の危惧がある。政府は、土地利用法が指定する区域の不動産価格が下落する可能性を認めながら、補償の必要性を認めておらず、正当な土地取引が制約される恐れもある。土地利用規制法を廃止するよう政府に求めること。

 

要望5

 自公政権は、日本学術会議の推薦した6人を任命しなかった。戦前の学問に対する政治権力の介入が戦争への道を突き進んだ反省に立って憲法23条に「学問の自由」が明記されている。憲法を守る立場から、学術会議が推薦した6名を任命するよう政府に求めること。

 

要望6

 核兵器禁止条約が今年1月に発効し、人類の歴史上で初めて核兵器を違法とする国際法が確立した。国内では、世論調査で7割を超える国民が同条約への参加を求め、地方議会による条約参加の意見書は600を超える。
 政府は唯一の戦争被爆国でありながら、核兵器禁止条約の署名・批准に背を向けている。全国で広島・長崎に次いで被爆者が多い本県知事として、同条約に署名・批准するよう政府に求めること。
 来年3月にオーストリアで予定されている核兵器禁止条約の第一回締約国会議にオブザーバー参加するよう、政府に求めること。

 


 

2、新型コロナ危機から県民の命とくらし・営業を守るために

 
 

 新型コロナウイルスの猛威により、昨年来4回の緊急事態宣言が発せられ、県民のくらし・営業に甚大な影響を及ぼしている。8月の第5波では、1400床のコロナ病床が確保されている中でも、自宅待機者が9000人を超えるという異常事態に陥った。今また、新変異株(オミクロン株)の感染が国内でも見つかり、その影響が憂慮されている。こうした状況に鑑み、以下の点を改めて強く要望する。

 

要望7

第6波に備え、コロナ病床、宿泊療養施設に加え、大規模医療施設についても必要に応じ整備すること。新型コロナウイルス患者の入院を、重症や重症化リスクのある患者に限定する政府方針の撤回を求めること。
PCR検査を、医療施設・介護施設・学校・幼稚園・保育園・学童保育クラブなどで働くエッセンシャルワーカーに頻回で行えるようにすること。エピセンターとなりうる場面で徹底したPCR検査によるスクリーニングを行うこと。
政府に対し、ワクチンの安定的な供給を求めるとともに、希望する人に3回目の摂取がスムースに行われるよう万全の措置をとること。また、摂取しない人に対する差別が起こらないように配慮すること。
コロナ感染の広がりは、低い診療報酬で困難にあった医療現場に追い打ちをかけた。コロナ対応に直接あたった医療機関に負担と矛盾が集中しただけでなく、受診控えなどにより、ほとんどの医療機関が打撃を受けている。 厚労省の医療機関の2020年度の経営状況調査では、一般病院の1施設あたりの利益率は6.9%の赤字であり、医療現場は「補助金頼みの経営は非常に不安定」として、診療報酬で成り立つようなプラス改定の必要性を訴えている。感染第6波に備えた体制を構築し、医療の安全と質を高めるためにも診療報酬の引き上げを国に求めるとともに、医療機関への十分な支援を行うこと。医師・看護師をはじめとする医療従事者の待遇改善を図ること。
コロナ禍で介護サービス利用者の利用控えによって生じた事業所の減収分について、公費による補填策を講じるよう国に求めること。また、本年10月以降の「新型コロナ感染対策によって生じたかかり増し経費を直接支援する補助金」について、上限を設けず、経費を実費(全額)補助する制度へ拡充するよう国に求めること。県内の入院体制のひっ迫により、コロナ陽性患者の留め置きを余儀なくされた介護施設に対し、実施に見合った支援策を講じるよう国に要請するとともに、県として支援を行うこと。
高すぎる国民健康保険料を大幅に引き下げること。国に対し大幅な財政支援を求めるとともに、財政安定基金を活用するなどして独自に引き下げを行い、くらしの危機に直面している県民のいのちを守ること。傷病手当金をコロナ感染症対策に限らず、恒常的な制度とするよう国に求めること。また、被用者以外のフリーランス・個人事業主も対象とすること。
保健所の職員の体制を強化すること。 21から9カ所に減らされた保健所はコロナ禍、深刻な状況に置かれたことに鑑み、新たな保健所を設置すること。
感染から回復後の後遺症に関する相談及び医療体制を確立すること。
宿泊療養施設の入所者に対して、病衣の支給など、患者負担が起こらないようにすること。自宅待機となった場合の生活物資送付については、一人世帯などに限定せず、陽性者すべてを対象とすること。
長引くコロナ禍の中で、飲食をはじめ多くの事業所がぎりぎりの経営を迫られ、倒産廃業も相次いでいる。国に対し、持続化給付金、家賃支援給付金の支給を行うよう求めるとともに、県として十分な支援を行うこと。
生活困窮者の命綱となっている「生活福祉資金」の特例貸付の延長を行うとともに、貸付・再貸付などにあたっては申請者に寄り添った対応を行うこと。 返済免除基準は「住民税非課税」ではなく、少なくとも「所得税非課税」に引き上げるよう国に要請すること。生活困窮者自立支援金は、その対象も金額も大幅に拡充するよう国に求めること。住居確保給付金については、要件を緩和し、必要な人が受けられるようにすること。
困窮する青年・学生への支援のため、学費の半減、給付制奨学金の大幅拡充、PCR検査体制の拡充、学生支援給付金を国に求めるとともに、県独自でも取り組みを進めること。
子どものマスクについては、困窮世帯の負担が大きいことから、緊急に就学援助の対象とし、県の補助制度を設けること。
文化芸術振興のため、コロナ禍で影響を受けた文化芸術団体等の実情を調査し、必要な支援を行うこと。「文化芸術復興創造基金」を創設し、広く文化芸術の振興を図ること。

 


 

3、不要不急の大型開発を見直し、被災地の復旧・復興、被災者支援に全力を。

 
 

要望8

 政府は「下関北九州道路」の直轄調査費4000万円を計上し、「下北道路」の本格的整備に大きく足を踏み出した。小倉東断層近くを跨ぐ本道路は安全性が危惧され、橋だけで3,500億円、両県側の道路整備費を含めると6,000〜7,000億円に達すると予想される。事業費は、どう見ても採算が取れない。本県の2021年度一般会計予算でも調査費として2,020万円と大幅に増額された。
 必要性が乏しい採算性の見込みもない「下関・北九州道路」構想は撤回すること。

 

要望9

 2017年以降5年連続の豪雨災害を受けて、改めて、不要不急の大型開発の予算を見直し、防災・減災対策に必要な予算措置をおこない、スピードを上げて取り組むこと。
 また、西日本豪雨災害と2019年の台風15号、19号、21号にともなう甚大な被害を受けてダムの事前放流を含む流域治水が強調されている。全ての県管理河川で治水協定を結ぶこと。県が管理している52水系の内、河川整備計画が策定されているのは15水系に過ぎず、河川整備を急ぐこと。

 

要望10

 防災、減災の財源としては、全国知事会が国に要望しているように自由度の高い施設整備交付金の創設など地方において主体的、計画的に取り組むことができる新たな財政支援制度の創設を国に求めること。また、緊急防災・減災事業債の恒久化、起債事業のさらなる拡大および、要件緩和など起債制度の拡充を引き続き国に求めること。さらに、本年度から始まった「防災・減災、国土強靭化のための5カ年加速化対策」の活用を進めること。国が2020年度より進めている「緊急浚渫特別推進事業」を思い切って活用し、遅れている全県の河川の浚渫事業を抜本的に強めること。

 

要望11

 被災者生活再建支援法については、全国知事会も要求しているように支給限度額を500万円に引き上げること。
 国は半壊にも支援ができるように法改正をすることになったが、これに合わせて県の独自支援を見直すこと。(現在県は被災者生活支援法の対象となっていない全壊等の家屋に国と同様の最高300万円を独自に支給しているが、国の支援拡大に併せて、県の独自措置も拡充すること)
 また、災害の規模によって国による支援策が異なっているが、被災者の痛みは全国どこでも同じである。繰り返し起こっている地域に対して、被災規模によらず、被災者に寄り添った見直しを国に求めること。

 

要望12

 農地・農業用施設の災害復旧は、国は被害額40万円以上を補助対象としていることから、40万円以下については市町村、又は個人の負担となる。本県の豪雨災害では、多くの被害が中山間地で発生しており、小規模農家が圧倒的に多い。補助対象の被害額引き下げと補助率の引き上げを国に強く働きかけること。あわせて農業用施設の補助対象を1戸以上にするよう要請すること。

 

要望13

 5年続く豪雨災害は、かつてない人命の被害をもたらしたが、その原因の多くが山崩れ、崖崩れ等に起因している。山崩れ、崖崩れ等の土砂災害の復旧・復興にあたっては、自然崖を対象としてきたが、北九州市等、都市部の土砂災害は人家が密集する急斜面の人工崖等で多発している。
 自力復旧ができない箇所が急増しているなかで、二次災害を防ぐためにも人工崖も対象となるように国に働きかけると共に県単独の土砂対策事業の対象とすること。

 

要望14

 近年、県下の豪雨災害等では、豪雨により国の一級河川である筑後川・遠賀川で異常に水位が上昇し、久留米市・大牟田市を中心に各地で浸水被害が発生した。最近の異常気象は、過去の経験では想定し得ない雨量をもたらし、一級河川でも危険水位を度々こえている。国、県及び関係自治体が連携を密にし、排水ポンプの能力アップと河川(国、県を問わず)の整備、関係市町村の雨水処理対策等、必要な浸水対策を講じること。

 

要望15

 2017年の7月5日朝倉地方を襲った集中豪雨は、個人財産を除いて、被害総額2000億円余という甚大な被害をもたらした。毎年のように大規模災害が発生するという異常気象のもとで、社会インフラ整備は、新規開発中心から防災や老朽化対策へ、根本的転換をはかること。県内に1万3000箇所以上ある土砂災害危険箇所のうち、特に緊急を要する土砂災害危険箇所5,571カ所に対する未整備が、80%強と大幅に遅れている。予算の配分を抜本的に増やし、整備(砂防対策、地滑り対策、急傾斜地崩壊対策)を急ぐこと。

 

要望16

 「小規模事業者持続化補助金」の上限額は、熊本地震のときの200万円に対し、2017年の九州北部豪雨では100万円に抑制された。一業者あたりの被害額でみれば、熊本地震の時と差異はない。国に対し、最低でも熊本並みの補償上限額を求めること。
 また、地域経済を支える商工業者の事業の継続、早期再開は、町や地域の維持存続に関わる問題である。被災商工業者が何よりもとめている施設・設備の復旧を後押しする直接支援の創設を国に求めること。その他に、既存の制度である自治体連携型補助金制度を有効活用すること。

 


 

4,県民のくらし第一で地域経済に好循環を取り戻す

 
 

(1)賃上げと安定した雇用の拡大で、個人消費をあたためる

 

要望17

 景気回復のためには個人消費を拡大する必要があり、全国知事会も要望している全国一律最低賃金を実現するよう国に求めること。中小企業への支援策を十分に行い、時給1000円以上1500円をめざす取り組みをすすめること。

 

要望18

 公務から民間への業務委託が広がる中で、「中抜き」を許さず、適切な賃金が支払われる仕組みが求められている。適切な賃金が支払われるようにするとともに、「官製ワーキングプア」をなくす上からも、公契約条例を早期に制定すること。

 

要望19

 建設関係では、設計労務単価が大きく引き上げられたにもかかわらず、末端の大工職などでは賃金はほとんど変わっていない。公契約における労働者の賃金実態調査を行い、現状を把握したうえで、元請けなどへの指導を行うこと。

 

要望20

 派遣労働は臨時的・一時的業務に限定し、正社員の派遣への置き換えをなくすよう、労働者派遣法の抜本改正を国に求めること。また、有期労働契約が更新され通算5年を超えたときに、労働者の申し出により、期間の定めのない雇用に転換できる「無期転換ルール」について、引き続き十分な周知と適正な運用に努めるとともに、6か月以上の無契約期間があれば、無期転換の権利が消滅する問題について国に対し、改善を求めること。

 

要望21

 財政難を理由に県職員の定数を抑制してきたが、コロナ対策や災害時の対応では、保健所をはじめとして、過労死ラインを超える労働実態が指摘されている。十分な住民サービスを保障するためにも、これ以上の定数削減は行わず、必要な人員増をはかること。
 公立学校では、小学校で3割、中学校で6割の教員が過労死ラインを超える長時間労働を強いられており、コロナ禍、さらなる労働強化となっている。「変形労働制」の導入を行わず、教員の長時間労働解消のための実効性ある対策を引き続き国に求めること。

 

(2)緊急に消費税を5%に減額し、税制と経済の民主的改革で財源を生み出す

 

要望22

 消費税率が10%に引き上げられ、消費が落ち込んだうえにコロナ禍が襲い、とりわけ中小企業の経営とくらしを直撃している。社会保障の財源といいながら、病床削減の財源にもされており、消費税は社会保障充実に逆行する使い方さえされている。コロナ禍、世界62か国で消費喚起のため「付加価値税」の減税が行われており、専門家・与党議員からも消費税減税の声が上がっている。県として、消費税減税を国に対し強く要求すること。
 あわせて、「応能負担原則」にたった税制改革、経済を内需主導で健全な成長の軌道に乗せる経済改革の実行を国に求めること。

 

要望23

 2023年導入予定の「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」は、中小零細企業にとっては多大な負担をもたらすものとなり、経営が続けられない深刻な事態が多数発生することが予測される。中小企業振興条例の趣旨からも、実情をよくつかみ、国に対し制度の中止・延期を求めること。また、所得税法56条の廃止を求める意見を国に提出すること。

 
 

(3)地域経済の好循環をもたらす産業政策に転換する。

 

要望24

 中小企業基本法や中小企業基本条例を踏まえ、県の中小企業対策を、強いところだけを応援する従来の「選択と集中」路線から、中小企業全体を視野に入れた振興・支援策へ転換すること。

中小企業の商品開発、販路開拓、技術支援、後継者育成などの「振興」策と、大企業や大手金融機関の横暴から中小企業の経営を守る「規制」策を、中小企業政策の「車の両輪」として実行すること。
市町村と協力して、すべての中小企業を視野に調査をおこない、その力と可能性を引き出すきめ細かな支援策を実行すること。

 

 

要望25

 福岡県の住宅は世帯数約218万戸に対し1.15倍のストックがあり、空き家率は年々上昇している。全国に広がっている住宅リフォーム助成制度は耐震化や省エネなど良質住宅を増やし、空き家を減らすとともに、15倍の経済波及効果を生んでいる。住宅リフォーム助成制度を行っている市町村を支援する制度を創設すること。「空き家対策特別措置法」にもとづき、対象物件に対する適切な対応を進めるとともに、老朽家屋等除去促進事業の助成制度の予算増額を求め、制度を有効に機能させること。

 

要望26

 自公政権はTPP協定と関連法が強行した。アメリカは二国間貿易協定を進め、TPPよりさらなる農産物などの関税撤廃や食の安全、医療、雇用、政府調達、知的財産権などの非関税障壁撤廃、ISDS条項など日本に対し更なる譲歩をせまろうとしている。県として日米貿易協定に反対し日米FTA交渉の中止を求めるとともに、農林漁業を基幹産業と位置づけ地域経済を活性化する柱として振興するために、以下のことを要望する。

食料自給率を引き上げることを目標にすえ、価格保障・所得補償、後継者支援、生産者と消費者の連携、地産地消など、農林漁業の振興にとりくむこと。本県の新規就農者は毎年200人を超えているが、一方、高齢化などにより離農が2000人を超え、農家の減少に歯止めがかかっていない。そこで新規就農者に対する就農給付金などの充実を国に求めるとともに、市町村が独自に行っている就農助成に対し県も支援すること。就業後の財政的支援(給付金の増額や期間の延長)を強めること。
森林整備については、国の予算を抜本的に増やすよう求めること。その際、国民に広く負担を求めている国の「森林環境税」や、県民に一律に課税している森林環境税は廃止し、森林の整備等に必要な予算は森林が持っている多面的機能を考慮し、一般財源で十分な予算措置を行うこと。
放置竹林対策、鳥獣被害対策の予算を抜本的に増額すること。

 

要望27

自公政権の「水産改革法(漁業法等改定案)」は、漁民の共同を基本に営まれてきた沿岸漁業と水産資源管理などを「漁業の成長産業化」の名で企業利益を優先する方向に変えるものである。県として国に対し「漁業法等の改定」の撤回を強く求めること。
国営諌早湾干拓事業について2019年2月から差し戻し控訴審がおこなわれている。本年4月に福岡高裁は国と漁業者に対して「和解協議に関する考え方」という提案が出された。これは紛争の統一的・総合的・抜本的解決に向け、双方の接点を見出せるように提案された画期的なものと考える。漁業者側はこれに賛同したが、国は「開門によらない(有明海再生のための)基金による和解が最良」との立場で、「開門の余地を残した和解協議の席に着くことはできない」と従来の姿勢を崩さなかった。
 和解に向け、話し合いによる総合的な解決こそが、有明海再生のための最善策と考える。県として、国に対し、和解協議のテーブルに着くよう、求めること。潮受け堤防を一刻も早く開門し、有明海の環境変化の原因を究明し、干潟と有明海の再生など漁場の保全・改善を国に迫ること。併せて県として行なっている「覆砂事業」等を検証し、かつての豊かな海を取り戻すため全力をあげること。

 

要望28

 公共施設の耐震化を急いで完了させ、耐震性を満たさない住宅(37万戸)の耐震改修の支援制度を拡充し、2025年の耐震化完了目標をできる限り早めること。

 

要望29

県営住宅について

老朽化した県営住宅の建て替えや長寿命化計画を促進するとともに、居住者のニーズを反映した多様な住宅改善を行うこと。低所得者や高齢者、障がい者、子育て世代、若年者など住宅確保困難者の需要を充足する県営住宅を確保するため、空室の改修を進め新規建設も行うこと。また、風呂場の換気扇等の設置や結露よるカビ発生などの除去を行うこと。網戸などは自費で設置するのではなく、備え付け品として設置すること。
住宅の建て替えについては、住民と協議の場を持ち、住んでいる方の意見が反映されるようにすること。特に相談の多い駐車場の問題については、近年の高齢化をみても介護車両が乗り入れしやすい工夫や共有駐車場を確保する手立てなど、県として柔軟な対応を行うこと。

 

要望30

すべての「交通難民」を解消する構えで、市町村のコミュニティーバス等への県の助成制度や、生活交通バス路線維持のための補助金を拡充すること。あわせて、市町村と協力して、県民生活の足を守り、地域での生存権を守る、総合的な生活交通対策を策定し、公共交通を担っている事業者に対し、その協力を強く求めること。
西鉄等の事業者が赤字の解消や運転手不足を理由に減便、廃線の動きを強めている。県内を広域に結ぶ基幹路線については維持に努めること。

 

横断歩道や信号機、車線の引き直しなど歩行者の安全・安心の確保

 

要望31

 ごみの“焼却中心主義”から脱却し、ごみの発生抑制、減量・リサイクル化などをすすめること。

 

要望32

 有害物質が混入した安定型処分場や、土壌汚染処理施設、産業廃棄物の不法投棄とそれによる環境汚染に歯止めをかけるために、県が徹底した立ち入り検査を実施し、違反者への厳格な監督と行政処分をおこなうこと。また、不法投棄のルートと関与者の解明、違反者など排出者の責任による撤去を実施させること。

 

要望33

 北九州市若松区にあるPCB処理施設は2019年3月31日に高濃度の処理が終了したが、三重県以西の西日本に残っているそれ以外のPCB処理は北九州市に搬送され、2021年度末までに処理される予定であったが、処分する量が増え、処理作業の期限を2年延長するという国からの要請が本年9月に発表された。住民との約束を守り、今年度末までに処理を終了するよう国に求めること。

 

要望34

 コロナ禍で仕事がなく、働かなければ生活できない高齢者が増加している。県として、就労困難な高齢者・長期失業者などの就労対策として、県独自に高齢者・無技能労働者の雇用を創出すること。

 

補聴器への助成制度をつくること

 
 


 

5.「自己責任論」にたった社会保障壊しに反対し、権利としての社会保障を実現する

 
 

要望35

国民健康保険は2018年度より県が市町村と共同で保険者となったが、低所得者が多く高齢者の割合が高いという構造的課題はそのままであり、公費拡充が行われてもなお、保険料(税)の値上げが行われている。国に対し、公費投入を抜本的に拡充することと、法定外繰り入れ解消の指導をやめるよう求めること。あわせて子どもの均等割を撤廃するよう求めること。
滞納処理は、直近2019年度で14291世帯、金額は25億円余に上っている。滞納処理に当たって、法令を遵守し、生活困窮に陥らせることがないよう市町村を指導すること。
資格証明書発行によって「医療を受ける権利」が脅かされる事態はあってはならない。「特別な事情」がある場合には本人の申し出により「短期保険証に切り替える」よう指導すること。その際に滞納額の一部納入を条件としないこと。無保険には速やかに保険証を発行し受療権を保障するよう各自治体へ書面で通知すること。
保険料(税)の滞納を生活困窮のシグナルとして捉え、生活再建のための支援を総合的に行う施策を講じること。滋賀県野洲市や宮城県多賀城市で行われている生活再建を目指す施策を行う自治体が増えるよう県として取り組むこと。
コロナ禍における国保法77条減免制度を恒久的制度とするよう国に求め、財源措置を要求するとともに、自治体と連携して制度の恒久化をすすめること。
国保法44条の適用は、77条減免と比較しても極めて少ない現状がある。一部負担金を払うことに躊躇し医療機関にかからず、重症化するケース、死亡するケースも発生していることから、県のホームページを含め、わかりやすい形での周知を行い、各自治体に対して、制度の活用について積極的に広報するよう求めること。
外国人の方の保険への加入状況を調査し、無保険になることがないよう手立てをとること。

 

要望36

無料低額診療について

国保法44条の適用がわずかであるのに対して、無料低額診療事業の利用者は毎年延べ40万人以上にのぼる。無料低額診療事業の要件を緩和するよう国に求め、実施機関を増やし、無料低額診療事業の空白地域をなくすこと。
自治体のホームページでの広報とともに、国民健康保険、生活困窮者窓口、福祉事務所、民生委員などへの周知、就学援助や児童扶養手当等の周知の際にも、無料低額診療制度と実施機関等の周知を合わせて行うこと。
本事業を調剤薬局にも適用を拡大するよう国に求めるとともに、県として助成制度を創設すること。

 

要望37

後期高齢者医療制度について

本県における後期高齢者医療制度の保険料は全国一高く、大きな負担となっている。今期の余剰金は97億円と推定され、180億円ある運営安定化基金に積み増しされる。さらに、財政安定化基金62億円も積み立てられており、これらの財源を活用して保険料の引き下げを行うこと。
また、後期高齢者特定検診の受診料を無償化すること。
窓口負担2倍化を中止するよう国に求めること。

 

要望38

介護保険について

介護保険については、高すぎる保険料に加え、利用料の負担増、介護サービスの対象を縮小するなど、改悪と負担増が繰り返され、「保険あって介護なし」の状況が生じている。介護保険の原点である「家族介護から社会的介護に」の理念に立ち返り、すべての要介護者が必要なサービスを受けられるようにするとともに、保険料軽減措置の抜本的拡充を求めること。
本年8月から実施された補足給付の見直しにより、「施設にいられなくなった」「高すぎて負担できない」などの声が上がっている。国に対し制度の中止を求めること。少なくとも資産要件を設定した2014年以前の水準に戻すよう国に要請すること。
介護人材の確保について、実効性のある施策を講じるよう国に対して求めるとともに、県として独自策を講じること。介護職の賃金が少なくとも全産業平均となるよう、抜本的な処遇改善を行うこと。

 

要望39

 入院給食費が引き上げられ、大きな負担となっている。そもそも治療食である入院給食費に自己負担生じることが問題であり、それがさらに高額になっていることは受療権の侵害にもつながる。国に対し、入院給食費引き下げの要求を行うこと。

 

要望40

 公立・公的病院の再編・統合をすすめる「地域医療構想」の推進方針の撤回・中止について国に対し強く求めること。コロナ禍において公立・公的病院は大きな役割を果たした。「粕屋新光園」など地域医療や専門医療を担っている公的病院の再編廃止については断固反対すること。

 

要望41

生活保護について

困窮する人がためらわず生活保護の申請ができるよう、申請者の立場に立った、わかりやすいホームページやチラシをつくること。
「扶養照会」は義務ではないことを徹底し、申請者が望まない扶養照会は行わないこと。
生活保護担当者は専門職と位置づけ、保護制度の熟知や人権侵害等について十分な研修を行うとともに、困難な生活実態に寄り添える職員配置を行うこと。ケースワーカーの人数が標準数を下回らないようにすること。社会福祉主事有資格者の積極的採用で複数配置を行うこと。

 

要望42

障がい者施策について

障害者総合支援法を見直し、「基本合意」「骨格提言」にもとづく障がい者福祉法の制定とともに、応益負担は廃止し、障がい者の福祉・医療を無料にするよう 引き続い医国に求めること。「障がい者差別解消法」が実効性のあるものとなるよう財源措置などを求めること。
障がい基礎年金の支給額を増額するなど、制度の改善を求めること。
障がい者が65歳になると原則介護保険制度優先が適用されているが、円滑なサービス利用とはなっておらず、この制度の廃止を求めること。
重度障がい者医療費給付制度の所得制限をなくすこと。精神障がい者医療給付制度について、精神障がい者手帳2級まで対象とすること。

 

要望43

看護学生と養成校に対する支援について

 全日本民主医療機関連合会が全国の看護学生を対象にアンケート調査を実施し、1127人から回答を得ているが、その結果を見ると、コロナ禍の看護学生の置かれた状況は深刻である。看護師不足が続く中、困難な中で看護師を目指す学生の支援は行政の責任でもある。以下、看護学生と養成校に対する支援を求める。

経済的に困窮している看護学生に学生支援給付金を支給するよう国に働きかけるとともに、県としての制度をつくること。
看護学生に対する経済的支援として、就学資金貸付だけではなく、給付型奨学金制度を創設すること。
学生が実習でPCR検査を希望する場合には、学生負担とせず公費負担とすること。
養成校に対する感染予防対策費の支給を行うとともに、養成校の種類を問わず、学費の減免などができるよう経済的な支援を行うこと。

 


 

6、すべての子どもの豊かな成長を保障する教育と子育て支援を実行する。

 
 

(1)「海外で戦争する国」づくりと一体の教育への権力的介入・支配の道開く教育委員会制度を見直すこと。

 

要望44

 教育委員会が子ども、保護者、住民、教職員の声をきちんと受け止め、それを教育行政に反映させるため、教育の政治介入につながる教育委員会制度を見直すこと。憲法が保障する教育の自主性、自立性、自由を擁護し、それを生かした民主的教育改革をすすめるよう国に求めること。

 

(2)「子どもの貧困」に対する実効性のある緊急対策を求める。

 

要望45

 政府が閣議決定した子ども1人あたり10万円相当の給付金は、年収で支援制限があったり、給付も現金5万円と来年春のクーポン5万円分という2段階の支給となっており、多くの国民から疑問が出されている。新型コロナ感染症の影響を受けるすべての子どもに給付金が行き届くよう政府に求めること。

 

要望46

 親などが貧困の状態で育つ18歳未満の子の割合を示す、日本の子どもの貧困率は13.5%、約7人に1人の子どもが「貧困ライン」(その国の平均的所得の半分以下の所得しかない家庭の子どもの割合)を下回っている。「子どもの貧困」を加速させている雇用破壊や消費税増税、社会保障解体、子どもをもつ生活困窮世帯を追い詰める生活保護費削減や就学援助の縮小、ひとり親世帯への児童扶養手当のカットなど、逆行した政策を中止し、子育てを応援する政治へ転換することを国に求めること。

 

要望47

 「生理の貧困」をなくすため、就学援助の対象に生理用品を加えること。公共施設や小中学校のトイレに生理用品を備え、自由に受け取れるようにすること。

 

要望48

 「子どもの将来がその生まれ育った環境で左右されることのない」ことを掲げて成立した「子どもの貧困対策法」をふまえ、県として責任を持って貧困の実態調査を行なうとともに、結果や進捗を公表し、当事者や支援団体の協力も得ながら、貧困の解決のための体制を整備するなど、子どもの貧困解決へ県をあげたとりくみを行うこと。

 

要望49

 国に対し、就学児以上の窓口無料化を行う市町村に対する予算カットのペナルティーをやめるよう求めること。県として国庫負担減額分を補てんすること。

 

要望50

 子どもたちの健やかな成長を保障し、保護者の医療費の負担を軽減するために、子ども医療費支給制度の支給対象年齢を通院・入院ともに18歳まで拡充すること。あわせて、「子ども医療費助成」「ひとり親家庭医療費助成」「重度心身障害者医療費助成」の所得制限や一部自己負担を撤廃すること。小学校以下に対する政令市への県の補助率を現在の4分の1から一般市町村並の2分の1に引き上げること。

 

要望51

 義務教育無償の原則にも関わらず、無償の対象は授業料や教科書代などに限られ、制服代、ドリル代、修学旅行積み立てなど義務教育段階の家計負担はあまりに重すぎる。義務教育にふさわしく家計負担の解消をめざし、段階的に家計負担の引き下げをすすめること。また、学校給食費の無償化を目指し、軽減措置を行った市町村に対し、県として財政支援を行うこと。

 

要望52

 高校生の学校納付金や各自購入金、通学費の負担の実態を調査し、必要最低限となるよう見直すこと。県として妥当性について検証すること。

 

要望53

  国に対して、批准した国際人権規約にのっとり、高等教育の学費を段階的に無償化することを求めるとともに、給付制奨学金の抜本拡充を行い、授業料・入学金の減免制度の縮小を行わないよう国に求めること。また、県奨学金制度が基準通りに執行されるよう予算措置を図るとともに、県独自の高校生・大学生への給付制奨学金を創設すること。

 

要望54

 私学助成の拡充を国に求めるとともに、私立高校生への県独自の助成金の拡充を行い、教育条件の公私間格差を是正すること。入学支度金制度の対象を非課税世帯まで拡充すること。

 

要望55

 フードバンク、子ども食堂など民間の食料支援の取り組みに、助成や場所の提供などの公的な支援を行うこと。

 

(3)全学年での少人数学級の早期実現や教員の正規化など、教育条件を整備する。

 

要望56

少人数学級について

すべての学年で少人数学級を早急に実施し、すべての子どもたちにしっかり向き合えるだけの正規教員を大幅に増員すること。
病休代替は常勤講師を配置すること。
教職員確保のため介護休暇取得後に、休職制度を創設すること。

 

要望57

 学校統廃合路線を見直し、小規模校のよさを生かす支援を強めること。また、「小中一貫校」の現状を検証し、「6・3制」の良さを生かせる支援を強めること。

 

要望58

学力テスト・体力テストについて

競争的な教育のゆがみを生んでいる「全国・学力学習状況調査」は抽出で行うこととするよう国に求めること。子どもたちが連帯して助け合いながら、自分たちの人間性と知的能力をともに伸ばす方向に転換すること。また、県独自の「学力テスト」を中止すること。
体力テストについては、平均を上げるための異常な取り組みにならないよう指導すること。体力テストのために、本来の体を動かしスポーツを楽しむ時間が削られることのないようにすること。

 

要望59

 

 特別支援学校や特別支援学級などに在籍する子どもたちが急増している状況に鑑み、特別支援教育の一層の充実を図ること。現在の劣悪な条件を改善するために、次のことを要望する。

文部科学省は今年9月、障害のある子どもが通う特別支援学校の設置基準を初めて制定した。学級の上限人数や校舎面積、備えるべき施設などの設置基準は2023年4月1日から施行される。福岡県は現在、新たに3校を開設する予定であるが、文部科学省の設置基準にてらして特別支援学校を充実させること。
国に対し、特別支援学校の建設費補助金を現行の2分の1から3分の2にするよう要請すること。また、学校建設にPFI手法の導入をやめるよう国に求めること。
通級指導教室の条件整備を抜本的に強化すること。具体的には、次のことを要望する。
国により基礎定数化が図られているが、1人の教員で何十人もの子どもを指導する事態は解消されていない。市町村からの要望に応え、教室を充実すること。
すべての学校に教室が設置されているわけではないため、送り迎えの条件がなければ、希望しても教室に通わせることができない。子どもの送迎のために仕事をやめざるをえない保護者もでている。設置校を増やすとともに、巡回型による通級指導を充実するなど行政の責任で学びを保障すること。
2018年度から始まった高校の通級指導教室については、小中学校と連携し、周知を行うこと。国に対し、十分な人的配置を求めること。私学の生徒についても、受け入れを検討すること。
特別な支援を必要とする子どもを受け入れている私学幼稚園、高校に対し、補助金の増額など必要な支援を抜本的に充実させること。

 

要望60

 文科省は各都道府県と政令指定都市に1校以上の公立夜間中学の設置を促しており、福岡市は2022年度に公立夜間中学を設置する。本県としても実態を調査し、県として夜間中学を設置すること。

 

要望61

 ジェンダー平等、リプロダクティブヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)に基づく科学的な性教育、互いを尊重しあう人間関係を築くための考え方やスキルなどの包括的な性教育を、学校教育で発達段階に応じて一貫して行うこと。

 

要望62

 文部科学省が全国の国公私立の小中高校などに出した、同性愛や性同一性障害などを含む性的マイノリティ(LGBT)の子供について配慮を求めた通知について、教職員や子どもが理解を進めるよう支援すること。

 

要望63

 不登校の割合がこの間再び急増し、2012年から2020年の10年間で1.9倍となり、過去最高を記録した。学校が子どもにとって息苦しい場所となっていることを示している。子どもたちの学ぶ権利を保障する立場から、フリースクールやフリースペースなど学校以外のさまざまな学びの場所を認め、公的支援を行うこと。不登校の生徒を支援するため、通常の学校と同じ学習を受けられる「不登校特例校」を設置すること。

 

要望64

 学校給食のパンからグリホサート残留農薬が検出されている。学校給食の地産地消をすすめる観点から、県産小麦の使用、米飯を増やすこと、米粉パンの普及などを進めること。

 

要望65

 

 コロナ禍、保育所とともに必要不可欠とされた学童保育について、指導員の処遇改善や運営に対する支援を求める。

「放課後児童健全育成事業(学童保育)」の充実に向けて「最低基準の改善」や「補助単価の大幅引き上げ」を国に求めること。子どもの安全確保、情緒の安定、感染対策の観点からも、大規模学童保育を解消すると同時に、「概ね40人以下」とされている1支援単位の定員を大幅に改善し、指導員を専任・正規で複数配置できるよう財政措置を行うこと。
障がい児など配慮を要する児童受け入れに対する財政措置の増額を行うこと。
保護者の負担軽減に向けた予算確保および「放課後児童クラブ利用料減免制度」の拡充を行うこと。
指導員の資格取得や資質向上研修については、代替体制経費や資格取得・研修経費を確保し、全指導員に機会を与えること。

 
 

(4)県内のすべての子どもに、必要な教育・保育を等しく保障する。

 

要望66

 県内のすべての子どもに、就学前に必要な教育・保育を等しく保障するために、以下のことを要望する。

待機児童を解消するため。認可保育所を増設すること。
360万円以上の世帯では副食費の実費徴収が始まっているが、秋田県のように市町村を助成し、完全無償化を実現すること。
県内の届出保育施設388施設のうち、209施設が指導監督基準を満たしていないが、県として基準を満たすよう支援するとともに、認可保育所に移行できるようにすること。
保育士の平均月収が全産業より10万円も低い劣悪な待遇を、直ちに改善すること。公定価格を抜本的に引き上げるよう国に要望すること。
私立幼稚園の経営安定、教育条件改善のため、経常費補助の増額を行うとともに、教師一人あたりのクラス人数を減らし、ゆき届いた教育になるようにすること。

 
 

(5)ICT教育は子どもの発達と健康を第一にすえ、条件整備を含め対応すること

 

要望67

 タブレットは義務教育段階では無償となっているが、破損時の修理代や自宅で使う場合の通信費は様々となっていることから、保護者負担を生まないようにすること。

 

要望68

 授業の質は、教員自身の深い教材研究や、子どもどうしや子どもたちと教員との生きたやりとりで向上するものであり、ICTはその補助に過ぎない。タブレット使用が自己目的化しないようにするとともに、どう使うかは個々の教員にゆだねること。

 

要望69

 コロナ対策に加えICT導入の実務まで教員の負担となれば、教員の多忙化はいっそう深刻化する。国はICT支援員を2校に1人配置するとしているが、各学校に1人配置できるよう、財政措置の拡充を国に要望すること。

 

要望70

 多くの専門家がICTによるネット依存症などの健康被害を指摘している。ICTの使用によって、深く考えることが阻害されると指摘する研究者も少なくない。ICT活用の積極的な面とともに。健康や発達への影響を把握し、対策をとること。

 

要望71

 文部科学省は、「教育データの蓄積、分析、利活用」を強調しています。子どもの属性、家庭状況、学習評価、行動記録、保健、学習履歴データなどを、教育ビッグデータとして蓄積しないようにすること。

 


 

7、気候危機打開へ、2050年CO2実質ゼロ宣言と一体に循環型地域経済を。

 
 

(1)省エネと再エネで、2030年までにCO2を50%〜60%削減する具体的な計画を。

要望72

 英国で開かれていた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は、世界の気温上昇を産業革命前と比べて「1.5度に抑える努力を追求する」と明記する「グラスゴー気候合意」を採択して閉幕した。1.5度目標達成のためには2030年までに温室効果ガスの排出を半減し、50年までに実質ゼロにする必要がある。
 福岡県は、「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ」表明をしていない7つの県のうちの1つとなっている。福岡県として、「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ」を宣言し、実効性ある施策を進めること。そのために省エネと再エネを進め、2030年度までに温室効果ガスを50%〜60%削減する目標を明確にすること。

 

要望73

 公共施設、公共事業、自治体業務でどれだけのCO2を削減できたかなど、福岡県自らの脱炭素化に向けた「目標と計画」と、地域ごとの脱炭素化の「目標と計画」を策定すること。

 

要望74

 産業分野でのCO2排出は電力に次いで大きく、環境省によれば全体の25%を占めている。大規模事業所のCO2削減を企業の「自主目標」にせず、県との「協定」にして県民へ公表すること。中小企業には規制ではなく、第三者の認定機関が各企業の目標と計画、進捗状況を評価する制度をつくり、CO2削減の取り組みが正当に評価されるようにすること。

 

(2)原発に依存しないことを前提に、再生可能エネルギーの大規模な普及と開発を。

要望75

 日本におけるCO2排出量は、環境省の「2019年度の温室効果ガス排出量」によれば、発電所(エネルギー変換)が39%でトップとなっており、電力分野がCO2削減の成否を握っている。にもかかわらず、日本政府は石炭火力に固執し、COP 26で化石賞を受賞した。
 福岡県は再生可能エネルギー発電設備累積導入容量の目標を2021年までに230万KWとしているが、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を促進し、2030年までに電力の50%を再生可能エネルギーでまかなうこと。

 

要望76

 政府は、「エネルギー基本計画(素案)」では、2030年度に、原発で発電量の20%〜30%をまかなうとしており、原発への依存を続けようとしている。現在の原発による発電量は全体の6%程度であり、政府の「素案」では原発の再稼働が避けられない。原発は、ひとたび事故が起これば、放射能汚染という最悪の環境破壊を引き起こす。事故が起きなくても使用済み核燃料が増え続け、数万年先まで環境を脅かし続ける。福岡県として、原発に頼ることを前提とした政府のエネルギー基本計画に反対すること。

 

要望77

 福島第一原発事故原因の解明どころか現状さえも把握できない中で、川内原発と玄海原発 3・4号機が再稼働している。新しい規制基準は他国と比べて世界一安全とは到底言えない。また、玄海原発はこの3年あまりで8件もの火災や建築作業員の事故などが起きている。玄海原発で事故が起こった場合、現在の避難計画は避難時間、道路状況、避難困難者の対策も含め実効性のある避難計画になっておらず、安全が担保されない。
福岡県として玄海原発の稼働を中止し廃炉を求めること。

 

要望78

 九州電力は全国の電力事業者のなかで唯一、4基もの原発を稼動させているが、2019年の10月13日以来、太陽光発電を送配電網から切断する、出力抑制を繰り返している。このことは、2015年に国がエネルギー基本法を改訂し、従来の自然エネルギー優先の方針を切り替えた事が原因である。自然エネルギーを推進している本県として、九州電力と国に対し、再エネ優先接続、優先給電と広域連係への転換を強く求めること。

 

要望79

 自然災害や環境破壊につながるメガソーラーなどの開発に対しては、住民の生命や財産、住環境を守る立場からの法の整備や規制強化(土砂災害特別警戒区域の林地開発等)を国に働きかけ、県独自の条例を制定すること。

 

(3)省エネルギーと再生可能エネルギー導入のための支援の強化を

要望80

 再生可能エネルギー普及のための支援は、大企業が独占する「大規模集中型」の発電よりも、地元の中小企業の仕事おこしと雇用の拡大につながる「小規模分散型」の発電を重視し、地域経済の好循環につなげること。具体的には、地域固有の資源を生かし、地域でもとりくみが可能な小水力発電やバイオマス発電などの開発・普及を支援し、第1次産業、第2次産業の分野で幅広い関連産業の力を引き出す事業の振興をはかること。

 

要望81

 福岡県として、再生可能エネルギーによる電力の利用、税金の優遇、補助金の申請、脱炭素に有効な製品・サービスの選択など、地元企業や住民に専門的なアドバイスを行える支援窓口を、環境省や地方自治体との連携を強化しながら設置すること。

 

要望82

 中小企業にとって、脱炭素の取り組みは光熱費・燃料費削減などのコスト面だけでなく、新しい技術の開発や売り上げの拡大といった事業の成長につながる。中小企業や農林漁業を対象に、省エネのための投資を支援する無利子・無担保・無保証の融資制度を創設すること。

 

要望83

 九州・沖縄で福岡県だけが実施していない住宅用太陽光発電への助成制度をつくること。断熱・省エネルギー住宅へのリフォーム、太陽光発電用パネルの設置などへの助成を行うこと。

 


 
 

8、地方自治を守り、地域社会を支える

 
 

(1)企業・団体との癒着を断ち、県政のゆがみをただす

要望84

地対財特法が2002年に終了して19年が経過した中、市町村に残る「同和行政」を完全に終結すること。差別解消に逆行する調査は行わないこと。
差別を永久に固定化することにつながる「部落差別解消推進法」の廃止を求め、参議院の付帯決議3項目を遵守すること。また、「部落差別解消推進条例」を廃止すること。

 

要望85

労働委員の選出にあたっては、労働団体の組織人員に応じて配分すべきであり、連合が独占している現在の状況を見直すこと
県政の諸施策をすすめるにあたっては、労働組合、商工団体、女性団体など多くの団体から広く意見を聞くよう努めること。

 

(2)暴力団を排除するとともに、県民の安心・安全を確保する

要望86

暴力団に対しては、集中的な対策が行われ、工藤会については、組織のトップに有罪判決が下され、本部事務所も撤去された。組織の構成員も減少していると報じられている。引き続き、暴力団排除に取り組み、市民生活の安全確保に努めること。暴力団構成員が組織から自立できるよう支援策を講じること。
交通安全施設について、信号機設置や横断歩道の整備などの要望が数多く上がっている。必要な予算を措置し、住民要望に応え、安全確保に努めること。

 

要望87

 在日韓国・朝鮮人や中国人を罵倒するヘイトスピーチとデモは、本県においても観光客や外国人が多い福岡市や北九州市などの街頭で行われている。アジアの玄関口である本県でもヘイトスピーチによる人権侵害を根絶するため、2016年に国が施行した「ヘイトスピーチ解消法」に基づき、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」の解消を図るよう進めること。特定団体がヘイトスピーチをおこなわないよう、県の所有する施設の貸し出しの制限をおこなうためのガイドラインを策定するとともに、ヘイトスピーチを規制するための条例を策定すること。

 

要望88

 本県の外国人労働者数は2019年10月現在、52,530人にのぼっているが、県が設置した福岡県外国人相談センターが外国人労働者の様々な相談に応じられるよう、関係機関(労働基準監督署や法務局、県内市町村の相談窓口等)との連携を強め、実効性のある相談体制を構築すること。

 

 


 
 

9、ジェンダー平等の社会をめざすために

 
 

 ジェンダー平等社会の実現に向け、男女の平等·同権をあらゆる分野で擁護・保障すると共に、女性の社会的、法的な地位を高めるため、女性の社会的進出、貢献を妨げている障害を取り除くため、以下の施策を推進すること。

要望89

男女の賃金格差を解消する施策を

 賃金の平等はジェンダー平等社会を築くうえでの土台中の土台であるが、男女別の非正規を含む平均給与は、男性では532万円、女性では293万円(国税庁 民間給与実態統計調査)であり、40年勤続で計算すると、生涯賃金では1億円近い格差になる。男女別平均賃金の公表を企業に求め、賃金格差是正に取り組むこと。

 

要望90

性的指向と性自認を理由とする差別をなくす施策を推進すること。

 日本におけるLGBTの対人口比は7.6%にのぼる。国連人権諸機関が日本政府に対して示す勧告を尊重し、性的指向の自由·性自認の尊重、身体に関する自己決定権の尊重などを含むLGBT平等法を制定し、社会のあらゆる場面で性的マイノリティーの権利保障と理解促進を国に求めること。同性婚等を認める民法の改正を国に求めること。

 

要望91

女性に対するあらゆる暴力を根絶すること

増加している児童虐待、DV、性暴力などに対する相談体制を充実させるとともに、あらゆるハラスメントや人権侵害を許さない施策を県として推進すること。
女性や子どもにとって、もっとも身近な性暴力が痴漢である。県内でも痴漢被害の実態を調査し、相談窓口の充実、加害根絶のための啓発や加害者更生を推進すること。担当部局を設け、福岡県警や民間事業者とも連携しながら取り組むこと。
DV法やストーカー規制法などにもとづき、相談体制の充実、シェルター設置など被害者の自立支援体制を強化するとともに、民間支援団体への助成金の充実、若年層に対するDV防止のための学習や加害者への更生指導など必要な支援を行うこと。また、市町村との連携を密にして、被害者の安全確保に努めること。
アダルトビデオ出演強要など、被害が顕在化しにくい問題について、相談体制を充実するとともに、行政の横断的な連携協力で問題解決にあたること。アダルトビデオ出演強要やJKビジネス根絶に向け、必要な法整備を図るよう国に対して求めるとともに、県としても条例を制定し、被害を生まないよう対応すること。

 


 

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