● 21年12月13日 県議会報告

2021年12月13日 2021年12月定例会 立川由美県議 「気候危機について 私学助成の拡充について」(大要)



2021年12月13日   12月定例会・立川由美議員一般質問 答弁(大要)

 

<気候危機について>

 

立川由美 議員

 

 日本共産党の立川由美です。通告に従い、一般質問を行います。まず気候危機についてです。

 イギリスで開催されたCOP26は、世界の気温上昇を、産業革命前と比べて「1.5度に抑える努力を追求する」と合意文書を採択しました。会議に参加した日本は、温室効果ガスの排出量削減を積み増しせず、石炭火力発電を続ける姿勢を批判され、「化石賞」を受賞しています。国際研究機関、クライメート・アクション・トラッカーは、気温上昇を1.5度以内に抑えるためには、日本として2013年比で温出効果ガスを62%削減することが必要だと指摘しており、政府の46%は低すぎます。排出量のさらなる削減が求められています。本県は、環境省の調査では、都道府県別の温室効果ガスの排出量で全国11番目となっており、削減に向けて大きな責任を持っています。そこで、以下知事にお伺いいたします。

 本県として、国より意欲的な目標を持つべきではないでしょうか。福岡県においては、「地球温暖化対策実行計画」を今年度改定すると聞いています。二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの2030年度の削減目標について、知事の考えをお聞かせください。

 次に、多くの若者が、気候危機の打開を求めて行動しています。未来を担う若い世代をはじめ、様々な意見を持つ方が計画の立案過程に参加し、意見が反映させることが大事だと考えます。今回の「地球温暖化対策実行計画」改定は、どのような手続きで、プロセスで作業を進めておられますか、お伺いいたします。

 次に、温室効果ガスの削減のためには、産業界の本気の取り組みが必要です。2050年カーボンニュートラルを宣言する企業が増えています。県としても、実効性のあるものになるよう支援し、適切な形でチェックすることが必要ではないでしょうか。また、中小企業においては、人材やノウハウの不足が考えられます。こうした中小企業を支援していくことが産業部門の排出削減を進めるうえで重要と考えますが、県において、中小企業の支援について、どのような取り組みをしておられるのかお聞かせください。

 次に、二酸化炭素の排出削減のためには、再生可能エネルギーの活用が不可欠です。しかし、ソーラーパネル設置のための乱開発が行われ、森林が伐採されれば本末転倒です。熊本県は、太陽光や風力発電に適した地域で、法規制などがある地域を示した地図を公開し、適切な設置を支援しています。そこで、知事にお伺いします。本県では、これまで再エネの普及促進に向けてどのような取り組みをしてこられましたか。あわせて、今後の取り組みについてもお聞かせください。

 

 

 

服部誠太郎 知事

 

温室効果ガスの2030年度削減目標について

 

 ご答弁を申し上げます。温室効果ガスの2030年度の削減目標についてでございます。

 二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの削減につきましては、国において、昨年10月に2050年カーボンニュートラルが宣言をされまして、今年4月には2050年カーボンニュートラルと整合的で野心的な目標として2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比46%削減するということが表明されました。

 また、先月、イギリスのグラスゴーで開催されました「COP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)」におきましても、岸田総理が、2030年度における温室効果ガス削減目標として46%削減を改めて表明されたところでございます。

 本県といたしましても、2050年カーボンニュートラルを達成いたしますため、国と歩調をあわせて取り組むことといたしておりまして、国の目標に合わせ、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減することを目標として、現在地球温暖化対策実行計画の改定計画、改定作業を進めておるところでございます。

 

地球温暖化対策実行計画改定の手続きについて

 

 次に、地球温暖化対策実行計画改定の手続きについてお尋ねがございました。

 計画の改定に当たりましては、公衆衛生や水質、生物など環境の各分野の専門知識を有していらっしゃいます学識経験者をはじめとし、消費者、自然保護、農業等の団体、また九州経済産業局などの国の行政機関、県議会議員の皆様方など、計36名で構成をいたします環境審議会に対し、今年1月に諮問をしたところでございます。

 審議を進めるに当たり、同審議会では、エネルギー分野に精通をした外部委員を含めた7名からなる専門委員会を設置をしまして、これまで3回にわたり会議を開催し、地球温暖化対策に係る施策等について様々な視点からご審議をいただいているところでございます。

 その上で、先月開催をいたしました環境審議会において改めてご審議いただき、答申案が作成をされました。この答申案に対し、広く県民のみなさまの意見を聴くためのパブリックコメントが、先月30日から本日まで実施をされております。

 また、県内市町村に対しても意見照会を行っているところでございます。

 今後、このパブリックコメントでいただいたご意見等を踏まえまして、必要な修正を行った上で、来月開催をいたします審議会でご審議いただき、答申が行われる予定でございます。

 こういった手続きを経まして、最終的に3月に計画を改定することといたしております。

 

中小企業支援について

 

 次に、中小企業の支援についてでございます。

 温室効果ガスの削減にあたり、県内企業の大半を占める中小企業への対策は重要でございます。このため、県では、中小企業を対象として、省エネルギーに関する無料相談の実施。また専門家を事業場等に派遣をし、エネルギー使用量や空調、照明など設備の現状分析を行いまして、省エネ型設備への更新や運用の改善方法と、その効果について助言・提案を行います省エネ診断を実施をいたしております。

 また、経営者の方を対象に、環境経営に取り組むメリットや先進企業の事例紹介を行います「省エネ経営フォーラム」を行っておりまして、今年度は「経営とエネルギーマネジメントの未来」をテーマに開催したところでございます。

 このほか、空調、照明、熱設備などの機器・設備の運用改善手法等に関する「技術者向けの講座」や、国の補助金活用に向けた工場、運輸、ビルなど業種別の「補助金講座」などの各種講座や相談会を実施をしているところでございます。

 さらに、省エネ・省資源に取り組む事業所を「エコ事業所」として登録をいたしまして、県の競争入札参加資格における加点を行っており、約2,400の事業所に登録いただいております。

 取組みの結果、「電気使用量の削減」や「自動車燃料使用量の削減」などで模範となる事業所の表彰も行っております。

 県といたしましては、こうした中小企業支援、今年度改定を予定しております地球温暖化対策実行計画に盛り込みまして、着実に実施をしてまいります。

 

再生エネルギーの普及促進に向けた県の取組みについて

 

 次に、再生エネルギーの普及促進に向けた取組みについてでございます。

 これまで県では、再生可能エネルギーの普及促進に向けまして、県有施設への太陽光発電設備の導入をはじめ、本県が独自に開発をいたしました「再エネの導入支援システム」の活用などによりまして、市町村や民間事業者による導入を積極的に支援をしてまいりました。

 このような取組みにより、県内各地で太陽光発電が導入されますとともに、苅田町の新松山工業団地における3社の大型バイオマス発電施設や、中小水力発電など様々な施設の導入が進んできました。その結果、再生可能エネルギーの導入容量は、平成22年度末は30万kw程度でございましたが、令和2年度末には269万kwへと、約9倍にまで大きく拡大をいたしております。

 今後も、こういった取り組みを進めますとともに、響灘沖一般海域における洋上風力発電につきましては、促進区域への早期指定を目指してまいります。

 また、先月、北九州市で運用を開始いたしましたが、再エネの余剰電力から水素を製造し、輸送し、各地で活用する、利用する実証事業の取組もすすめまして、再エネの更なる普及促進に努めてまいります。

 

 

 

<私学助成の拡充について>

 

立川由美 議員

 

 次に、私学助成の拡充について質問いたします。

 本県では高校生の約4割が私立高校に通っており、全国3位と私学依存率が極めて高く、私学助成の拡充は本県教育の大きな課題でした。国民運動の高まりの中、2020年から「高等学校就学支援金制度」が拡充され、年収590万円未満の私立高校生を対象に年額39万6,000円が支給されるようになり、負担は大きく減少しました。低所得でも「私立高校」を選べる中学生が増えたことは喜ばしいことです。

 しかし、文科省の調査によると、2019年度の本県の私立高校学費は、授業料30万円余、施設整備費等25万円余で合計約55万円です。また、初年度には平均3万7000円の入学金負担、さらには制服の購入などの負担もあります。全国で「授業料無償化」から「学費無償」の取り組みが進んでいますが、本県では、低所得者が多いという実態もあって、経済的負担は多く、さらに、コロナ禍で経済は低迷し、その影響で私立学校に通う世帯へ家計急変が起きています。そこで知事に伺います。

 まず、本県の年収590万円未満の世帯の高校生の割合をお答えください。また、就学支援金はもとより、入学金や施設整備費等の無償化、奨学給付金の拡充が必要だと考えます。知事の見解をお答えください。

 あわせて、年収590万円以上であっても多子世帯などでは負担が重いため、授業料の無償化の対象を年収910万円世帯まで同様に引き上げるべきだと考えます。知事の見解を求めます。  

 また、コロナ等で家計が急変した家庭への新たな緊急補助制度を作るべきではないでしょうか。お答えください。

 私立高校生への支援は拡充され、中退や授業料の滞納が減少傾向ですが、私学の経営は楽ではありません。コロナ影響もあり、人件費を下げざるをえず、「これでは教師が集まらない」と現場の声を聞いています。そこで知事にお尋ねします。私学の経常的経費をまかなえるよう、補助金の増額を国に強く求めるべきではないでしょうか。

 次に、高等学校における特別支援教育ですが、対象となる生徒の大半を私立高校が受け入れている現状から、特別支援教育に関する補助の拡充が必要だと考えます。知事の見解を求めます。

 次に、私立幼稚園について伺います。本県では幼稚園児の約85%が私立に通っています。2019年10月から無償化が実施されましたが、私立幼稚園には25,700円の上限があり、保育料のみの対象のため、高額な入園料、施設費、給食費や送迎費はそのままです。コロナ禍で経済的に困窮し子育てに不安を抱えている家庭も少なくありません。

 私立幼稚園に対しても、負担と軽減のための支援の拡充が必要ではないでしょうか。お答えください。

 また、幼稚園の1クラスの定数は2015年の法改正においても35人のままです。教職員が余裕を持って笑顔で子どもたちに向き合うためには、教職員の大幅な増員が必要です。教員確保のために公定価格を増額するよう国に求めるとともに、県の補助の増額が必要と考えます。知事の見解を伺い、質問を終わります。

 

 

 

服部誠太郎 知事

 

私立高校生の保護者の負担軽減について

 

 次に、私立高校生の保護者の負担軽減についてでございます。

 まず、昨年度から拡充されました高等学校等就学支援金の対象となります年収590万円未満世帯の私立高校生の割合でございますが、昨年度は53%となっておるところでございます。

 この就学支援金につきましては、前年度の課税状況によりまして支給の可否や支給額が決められることとなっております。このため当該年度に家計が急変した年収590万円以上の世帯も制度の対象とすること、そして年収590万円を境に約30万円の支給額の差がございますことから起こる、年収から授業料負担額を差し引いた額の逆転現象、これが生じないよう制度を是正すること、こういった制度の更なる拡充を県議会とともに国に求めているところでございます。

 また本県では、住民税非課税世帯等に対し、高校生等奨学給付金や学校納付金軽減補助金を支給いたしまして、教科書や教材の費用、施設設備費などの負担、これを軽減してまいりました。

国の補助事業でございます奨学給付金につきましては、対象世帯の拡充と増額を国に要望しておるとこでございます。

 なお、入学金に対する支援でございますが、福岡県教育文化奨学財団の無利子貸与の活用をご案内しているところでございます。

 さらに、本県では、災害や新型コロナウイルス感染症等の影響により家計が急変した世帯に対しては、奨学給付金や学校納付金軽減補助金を支給をしてまいりました。

 また、就学支援金につきましては、先ほど申し上げましたとおり、家計急変世帯も対象とするよう国に求めているとこでございまして、こういった取組みを継続していくことによりまして、経済的な理由で修学を断念することがないよう、私立高校生やその保護者を支援してまいります。

 

私立学校への経常費補助金の拡充について

 

 私立学校への経常費補助金の拡充についてお尋ねがございました。

 本県では、教職員の人件費、教育研究に必要な経費、備品や図書の整備に必要な経費などを対象経費といたしまして、私立学校に経常費補助金を交付いたしております。

 少子化に伴い、私立学校の経営は極めて厳しい状況にございますことから、その財政基盤の確立と教育条件の維持向上を図りますため、本県は、経常費補助金の充実強化を毎年国に要望いたしております。

 特別支援教育を実施する私立高校に対しては、経常費補助金の中で、対象生徒を支援する校内委員会の設置、専任教員やコーディネーターの配置の経費を助成してまいりました。

 昨年度からは、学校での日常生活の介助や学習活動上のサポートを行う特別支援教育支援員の配置につきまして1校あたり100万円の加算を新設したしました。

 引き続き、国による財源措置の状況も踏まえながら、私立学校が特別支援教育などの特色ある教育、魅力ある学校づくりを着実に推進できますよう、効果的な助成を行ってまいります。

 

私立幼稚園に対する支援について

 

 最後に、私立幼稚園に対する支援についてお尋ねがございました。

 一昨年から幼児教育・保育の無償化が開始をされまして、私立幼稚園につきましては通常の利用料のほか、教育時間を超えて園児を預かる、預かり保育の利用料につきましても無償化の対象となりました。

 これに加え、月額4,500円を上限に年収360万円未満世帯又は第3子以降の子どもを持つ保護者が負担をいたします副食費相当額を助成をいたしております。

 また、本県では、私立幼稚園の人材確保と資質向上を図りますため、教員に対する定期昇給と通常のベースアップを超える処遇改善をした場合、経常費補助金を加算をいたしております。

 さらに、今回の国の補正予算におきまして、月額9,000円相当の教員の処遇改善に取り組む私立幼稚園に対する支援が閣議決定をなされたところでございます。

 本県といたしましては、経常費補助金の充実強化などを国に求めますとともに、引き続き、私立幼稚園における保護者負担の軽減や人材確保に向けた取組みを支援してまいる考えでございます。

 

 

 

〈要望〉

 

立川 由美 議員

 

 ご答弁いただきました気候危機について、知事に一点要望いたします。国は「再生可能エネルギーの主力化」をめざすとしていますが、発電量が過剰になれば、太陽光発電を送配電網から切断する出力抑制が繰り返しされています。わが会派として、再生可能エネルギーを最も優先する原則を確立することを国に強く求めることをお願いし、私の一般質問を終わります。

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