● 22年03月14日 県議会報告

2月定例会(予算特別委員会)立川由美委員質疑(大要)



 

2022年3月14日   2月定例会(予算特別委員会)立川由美委員質疑(大要)

 

<介護について>

 

 

立川由美 委員

 

 日本共産党の立川由美です。介護問題について質問いたします。コロナ禍における介護従事者のエッセンシャルワーカーとしての役割が極めて重要であることは誰もが再認識したところです。感染症対応の十分な施設、設備のない中で、入院できない陽性者を介護するなど過酷な仕事の一方、介護事業所では、コロナ禍の利用控えや介護従事者を確保できない問題など、経営的困難を強いられています。

 特に、感染力が強いオミクロン株が猛威を振るった第6波において、介護施設はクラスターが多く発生し、経営的にも大きな影響を受けました。介護施設でのクラスター数、利用者数・職員の陽性者数を明らかにしてください。

 また、県が行った介護事業所への支援策ついて、ご説明ください。

 

 

若藤繁裕 介護保険課長

 

 県内の高齢者施設等でのクラスターにつきましては、北九州市と福岡市を除いた数になりますけれども、本年1月から3月10日までに62件発生しております。これらのクラスターによりまして1,043人の方が陽性となっております。

 県といたしましては、感染予防の観点から、高齢者施設等の職員を対象としたPCR検査を実施しております。

 また、感染者が発生した高齢者施設等に対しましては、事業の継続を支援するために要する費用や施設の清掃費用に対する助成、施設内の感染対策についての指導、療養者を支援するための医師や看護師の派遣を行っております。

 さらに、マスクやガウンなどの衛生用品が不足する施設に対しましては、県の備蓄から配付を行っているところでございます。

 

 

立川由美 委員

 

 政令市を除いて、62件1,043名の陽性者が発生しているとのことですが、政令市は集約が困難なほどにクラスターが発生したとのことです。しかも、政令市においては、高齢者施設等のPCR検査も検査キット不足のため、第6波の途中でできなくなっていました。頻回検査を確実にしてほしいとの強い要望が出されていました。政令市の感染拡大は周辺地域に影響を及ぼすことから、県としても連携した取り組みを要望するものです。

 高齢者施設に対しては、今ご説明がありましたように、支援を行っているわけですが、十分とは言えません。感染拡大の下で生じた利用控えや、感染者が出た際の休業による多額の減収、感染対策にかかる費用の増加、陽性者を施設内で介護する際に生じる負担増など、介護事業所の経営に深刻な困難が生じています。現場の状況をよく把握していただき、必要な支援の拡充を行っていただきますようお願いいたします。

 

 次に 介護保険の保険料負担についてお尋ねいたします。

 本県の介護保険料の推移について資料要求しておりますので、委員長、おはからいをお願いします。

 

〈※資料要求〉

 

 簡潔に説明をお願いいたします。

 

 

若藤繁裕 介護保険課長

 

 資料につきましてご説明いたします。縦が保険者、横が計画期間として、各計画期間における各保険者の保険料を示したものになっております。

 本県の保険料の推移につきましては、表のいちばん下、加重平均の欄をご覧いただきたいと思います。加重平均とは、第一号被保険者の数を計算に反映させ、第一号被保険者ひとりあたりの保険料の平均を示したものになっております。制度開始時の第1期におきましては3,050円でございましたが、それ以降増加をしており、直近の第8期におきましては、6,078円と約2倍となっているところでございます。

 

 

立川由美 委員

 

 当初の2倍となっている保険の保険料負担について、どのような認識をお持ちですか。保険料について、国に対してはどのような要望をしておられますか。

 

 

若藤繁裕 介護保険課長

 

 保険料が2倍となっていることにつきましては、高齢者の増加に加えまして、介護が必要な方に必要なサービスが提供される体制の整備が進むなど制度が定着してきたことにより、介護給付費が増加、保険料が上がったものと考えております。

 県といたしましては、国に対し、介護保険制度が将来にわたり安定したものとなるよう、介護保険財政における保険料と国・地方の負担の在り方を含めまして、必要な制度の改善について毎年要望をしているところでございます。

 

 

立川由美 委員

 

 さらりとお答えになりましたが、保険料が当初の2倍になったということは、大変な負担です。厚労省は、「2025年には平均保険料が7,200円に達する可能性がある、それは負担限度を超えるもの」との認識を示していましたが、本県の広域連合Aグループは第7期で8,000円を超えており、第8期で下がっていますが、それでも7,000円を超えています。本県の高齢者の所得水準は全国的にみても高くありません。そのため、保険料の負担感はさらに大きいものがあります。「介護保険をやめたい」と言ってこられる方さえおられます。持続可能な制度とするためにも、必要な方がサービスを受けられるようにするためにも保険料負担がこれ以上重くならないよう、国に強く働きかけていただきたいと思います。

 保険料の負担に加え、介護保険では様々な負担増、サービス切り捨てが行われました。介護報酬の連続削減、1割負担であった利用料の2割、3割への引き上げ、介護施設の食費・居住費の負担増、要支援1・2の訪問・通所介護の保険給付外しや、また要介護1・2の特養入所からの締め出しなど、介護現場の苦難に拍車をかけ、利用者・家族の負担を増やし、介護サービスを受けにくくする制度改悪が連打されてきました。

 昨年8月の補足給付見直しは大きな負担増になったと考えます。補足給付見直しについて、その影響を調査されていますか。また、利用料の負担増に対する県の認識を伺います。

 

 

若藤繁裕 介護保険課長

 

 委員、お尋ねがありました、見直しに伴う影響に関する調査につきましては実施はしておりませんが、窓口であります保険者からは、一部の利用者から、負担増になったことに対しての問い合わせがあっているというふうに聞いております。    

 今回の改正では、非課税世帯の第2段階及び第3段階の方を対象に、在宅で介護を受けられる方と施設入所の方との公平性や、一定額以上の収入額、貯蓄金額をお持ちの方の負担能力に応じた負担を図るという観点から、見直しが行われました。

 その結果、費用が増加する方も生じておりますが、保険料を可能な限り抑え、制度を持続可能なものとするために行われたものと認識しております。

 

 

立川由美 委員

 

 昨年の8月、昨年8月の「補足給付」の見直しは、年金収入120万円を境に第3段階を2つに区分し、年収120万円を超える利用者は、第3段階②となりますが、食費負担を日額650円から1,300円に大幅に増やすことと、負担限度額認定の「資産要件」をより強化した内容となっています。併せて、短期入所では、第2段階、第3段階の年収120万円以下の利用者、第3段階①の方ですが、どちらも食費負担が増加しています。

 第3段階②の場合は、食費負担は月額22,000円ほどになり、年間26万円もの負担増です。資産要件に該当した場合は、ユニット型で居住費46,000円もかかることから、あわせて月額6万8,000円もの負担増になります。

 「こんなに高くなるとは思わなかった」という声、改訂の説明をすると入所申し込みを辞退される方、また「葬式代と思って切り詰めて、暖房も使わず貯蓄をしてきた。わずかに限度額を超えただけで補足給付が受けられず、毎月の負担が大幅に増えた。悔しくてたまらない」との怒りと不安の声も上がっています。施設を退所された方もおられます。

 そもそも、補足給付は「低所得者のサービス利用が困難とならないよう、負担上限額を定め、介護保険制度として一定の補足給付を行う」として始まったものです。昨年の見直しは、低所得者を介護保険から締め出すことにつながっているのではないでしょうか。

 全日本民主医療機関連合会が『補足給付見直しによる影響調査』を行っていますが、その結果は入所者のうち14%が資産要件で対象外となり、4割強が食費引上げの対象となっています。短期入所の場合も、13.4%が補足給付から外され、食費の負担増はなんと8割以上に上ります。制度を「持続可能なものにする」との理由で、これほどの大きな影響のある改悪は許されないと思います。県は補足給付見直しの影響を把握し、国に対して、資産要件が導入される以前の2014年水準に戻すよう求めるべきだということを申し上げておきます。

 次に、介護人材の確保について伺います。

 コロナ禍において、特に人材確保に多くの介護事業所が苦労をされています。県としては、介護人材の確保に向け、どのような取り組みをされていますか。

 

 

國武昭仁 高齢者地域包括ケア推進課 介護人材確保対策室長

 

 今後、高齢者の増加と現役世代の減少が見込まれ、介護サービス需要の増加が想定される中で、介護人材を安定的に確保していくことは重要な課題です。

 このため、県では、介護分野への人材参入の促進、働きやすい職場環境の整備、介護職員の処遇改善などに取り組んでおります。

 

 

立川由美 委員

 

 取り組まれているとはいえ、実態は大変厳しいものがあります。特に、全産業と比べて10万円も低いといわれている介護職員の処遇の改善が最も効果的であり、急がれると考えます。処遇の改善にあたっては、保険料負担など跳ね返らないシステムが必要だと考えますが、県の見解を伺います。

 

 

國武昭仁 高齢者地域包括ケア推進課 介護人材確保対策室長

 

 介護職員の処遇改善にあたり、保険料負担などの財源の問題につきましては、介護保険制度全体の課題として、国において検討されるべきものと考えております。

 先ほど介護保険課長がお答えしましたとおり、国に対しましては、介護保険制度が将来にわたり安定したものとなるよう、介護保険財政における保険料と国・地方の在り方を含め、必要な制度の改善について毎年要望しているところです。

 

 

立川由美 委員

 

 国の負担分を増やし、処遇の改善を急ぐよう求めていただきたいと思います。

 人材が確保できない事業所では、民間の人材紹介会社からの人材確保が行われており、その手数料負担が莫大になっていると報じられています。ある事業所では、手数料70万円も払って、紹介されたのは一人のみ、しかも続かなかったと嘆いておられました。このような実態について認識されていますか。手数料の負担が経営を圧迫するという事態は避けるべきであり、そのためにも、ハローワークをはじめとする公的機関が人材確保の機能を発揮しなければならないと考えます。県のお考えをお聞きします。

 

 

國武昭仁 高齢者地域包括ケア推進課 介護人材確保対策室長

 

 介護職員を採用するに当たって、民間の人材紹介会社を利用した場合に、その手数料が負担となっているとのことにつきましては、介護事業所の関係者の方と話をした際にお聞きしております。

 県では、福祉人材センターに就職を支援する専門員を配置し、介護の仕事への就職を希望する方々に対し、介護事業所等とのマッチング、採用面談への同行などきめ細やかな就職支援を行っております。

また、ハローワークが実施する就職相談会において、求職者に対し介護事業所等への就職を働きかけるなど、ハローワークとの連携を図っております。

 この事業の実績としましては、令和元年度に125人、令和2年度に90人の方々を介護事業所等への就職に結びつけており、公的機関として、人材確保の機能を一定程度果たしているところです。

 今後もこうした取組により、介護人材の確保をしっかりと進めてまいります。

 

 

立川由美 委員

 

 県としても、取り組まれているということですが、人材確保は介護事業所としては生命線であり、人材不足はその存亡にかかわります。事業所の継続のためにも、必要なサービスの提供のためにも、さらに、公的機関が連携していただくよう強く要望いたします。

 介護保険を持続可能なものにしていくには、介護を社会で支えるという当初の理念を国が貫き、必要な予算を措置することが最も重要です。これ以上の保険料、利用料の負担増、サービスの切り捨ては許されません。「保険あって介護なし」とならないよう、県としても国に対し、実態を踏まえた提案と要求をしていただくことを重ねてお願いし、私の質問を終わります。

 

 

2022年3月予算特(介護保険料基準額の推移)のサムネイル

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