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● 22年06月16日 県議会報告

2022年6月15日 2022年6月定例会一般質問 高瀬菜穂子県議「隣保館利用者に対する『部落差別』実態調査について」「JR駅無人化による障がい者への影響について」(大要)




2022年6月 6月定例会・高瀬菜穂子議員一般質問 答弁(大要)


 
 

<隣保館利用者に対する「部落差別」実態調査について>

 
高瀬菜穂子 議員
 

 日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従い、隣保館利用者に対する「部落差別」実態調査について伺います。県は、「部落差別解消法」および「部落差別解消推進条例」に基づき、県内74全隣保館を対象とする「部落差別」の実態調査を行うとしていますが、このことは差別の掘り起こしにつながり、差別の解消に逆行するとの強い懸念の声が上がっています。
 そこでまず、知事に「同和行政」についての認識を伺います。2002年の地対財特法の終了にあたって、総務省地域改善対策室は「今後の同和行政について」という通知を出しました。特別対策を終了する理由として、①特別対策は本来時限的なものであり、これまでの膨大な事業の実施によって同和地区の状況は大きく変化した、➁特別対策を続けていくことは差別解消に必ずしも有効でない、③人口移動が激しい状況の中で同和地区・関係者に限定した施策を続けることは実務上困難、の3点をあげ、県も同様の認識で特別対策を終了し、一般対策に移行しました。これについて、2017年、2019年の私の一般質問に対し、当時の小川知事は、同様の認識であると答弁されましたが、服部知事の認識について改めて伺います。
 2016年の「部落差別解消推進法」が国会で議論された際、第6条の「部落差別の実態に係る調査」が大議論となりました。2011年に全国隣保館協議会が行った実態調査には、全国の多くの自治体から、旧同和地区関係住民のプライバシーにかかわるセンシティブな情報を調査してよいのか、との抗議や批判の声が上がっており、こうした経緯からも、法案提出者は「対象者を一部切り出して調査を行うということを考えていない。その必要性もない」と繰り返し答えています。そして、参議院の附帯決議には「部落差別の実態にかかる調査を実施するにあたっては、新たな差別を生むことがないよう留意しつつ、それが真に部落差別の解消に資するものとなるよう、その内容、手法等について慎重に検討すること」と盛り込まれ、法務省は「特定の地域や特定の一定の人たちを取り出した調査は行わない」と明言し、無差別抽出で調査しています。今回、県が行おうとしている調査は、隣保館利用者を対象としたもので、隣保館の成り立ちから考えても、「特定の一定の人」を対象とした調査に準じるものではありませんか。国が「行わない」としている調査を県が行うことは厳に慎むべきであると考えます。知事の見解を伺います。
 調査にあたって、県は各隣保館に、2名の調査協力員を委嘱配置するとしています。その要件は、「地域事情に精通した人、人権相談・啓発活動経験者」などとされていますが、これは、解放同盟関係者を想定したものではありませんか。解放同盟は、法務省に対し、被差別体験の集約を訴えている団体です。「モデル的に地方公共団体と連携し実態をつかむ方法はある」と要請をしており、このたびの調査はその実践ではありませんか。隣保館は「公の施設」であって、民間運動団体の運動と峻別するよう厳しく戒められています。差別体験の集約を目指す運動団体と軌を一にする部落差別体験調査は「行政の主体性」を疑われるものとなりかねません。調査は隣保館利用者の3割をめざしているとのことですが、調査協力員が顔見知りに声をかけることが期待されていること、代筆までできるとしていることは、調査自体に偏りができる可能性を指摘せざるをえません。148人にも上る調査協力員の配置は止めるべきではありませんか。知事の見解を伺います。
 県民意識調査でも、差別意識は大きく改善しています。2年前の法務省の実態調査報告では、人権相談総数に占める部落差別の割合はわずかに0.18%、人権侵犯事案総数に占める割合は、0.52%です。社会問題としての同和問題は終結したといえるのではありませんか。多くの関係者の人生をかけたたたかい、行政を含む差別解消の努力によって到達したこの前進こそきちんと評価すべきです。差別をなくすには、垣根をなくしていくことが極めて重要だと私は考えます。「差別がある」と被差別体験を集約し、同和対策が必要だとなれば、新たに垣根をつくることにつながります。隣保館という一定の地域で行う部落差別実態調査は差別の掘り起こしにつながり、差別の解消に逆行することから中止を求めます。知事の見解を伺います。

 


 
服部誠太郎 知事
 
特別対策終了に当たっての国の考えに対する認識について
 

 ご答弁を申し上げます。特別対策終了に当たっての国の考えに対する認識についてお尋ねがございました。
 「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」に基づきました特別対策について、国は、同法に基づく事業の実施によって同和地区をとりまく状況は大きく変化しており、特別対策を続けていくことは差別解消に必ずしも有効ではない、有効でない。人口の移動が激しい状況の中で同和地区・同和関係者に限定した施策を続けることは実務上困難であるという認識でございます。
私も同様に認識をしておりまして、地域の状況や事業の必要性に応じ、一般対策により適切に対応をしているところでございます。

 
隣保館利用者を対象とした調査について
 

 次に隣保館利用者を対象とした調査についてお尋ねがございました。
 今回の部落差別の実態に係る調査は、本県の部落差別の解消の推進に関する条例に基づきまして、相談体制の充実、教育・啓発といった施策の実施に資するという目的で行うものでございます。
 調査の手法や内容につきましては、条例に基づき、学識経験者等をもって構成いたします部落差別解消推進協議会にお諮りした上で、進めております。
 隣保館は、地域社会全体の中で、広く福祉の向上や人権啓発の住民交流の拠点となる開かれたコミュニティーセンターとして市町村において設置運営されている公の施設でありまして、特定の地域や人を対象とした施設ではございません。さらに、今回の調査は住所や氏名などの個人情報を求めない匿名のアンケートでございまして、参議院法務委員会での附帯決議に反するものではございません。

 
調査協力員について
 

 次に調査協力員についてでございます。
 県から市町村への説明会等におきまして調査への協力を依頼いたしましたところ「協力はしたいが、各隣保館の人員では対応が困難である」という市町村のみなさんの声を受けてこの調査協力員を配置することとしたものでございまして、調査協力員の配置は必要であると考えております。
なお、調査協力員の要件は、部落差別解消推進協議会にお諮りした上で設けたものでございまして、人権擁護委員や民生委員などにお願いすることを想定しております。

 
隣保館利用者の差別実態調査について
 

 次に隣保館利用者の差別実態調査についてでございます。
 現在もなお、差別落書きや土地調査などの部落差別が存在し、また、情報化の進展に伴いインターネット上の部落差別書き込みなど、新たな差別事案が発生をいたしております。
こうした差別を解消する施策の実施に当たりましては、実態把握が必要であると考えております。
 調査に当たりましては、特定の人を抽出したり、地域を特定するということにならないように十分留意をして実施をしてまいります。

 


 

<JR駅無人化による障がい者への影響について>

高瀬菜穂子 議員
 

 次に、JR駅無人化による障がい者への影響について伺います。
 JR九州は、去る3月12日より、駅体制の見直しを行い、新たに駅係員が終日不在となる駅が29駅、切符の販売窓口を廃止する駅が48駅と大幅な人員削減が強行されています。
 私の地元の小倉南区城野駅周辺は、障がい者施設や特別支援学校が集中している地域です。城野駅が3時以降無人化されたあと、電動車いすで元気に活動する方から、「午後4時過ぎに城野駅に行くと、窓口はシャッターが下ろされ、駅員がいない。スロープを渡してもらわなければ列車に乗れないので、備え付けのインターホンを押すとコールセンターにつながったが、下曽根駅から介助員が来るまでに、1時間以上かかった。介助員は、南小倉駅から吉富駅までの46kmを一人で担当しており、予約も受け付けられないといわれ、車いす利用者はますます不便で、安全面でも不安。」と訴えがありました。このような状況は、合理的配慮に欠けるのではないでしょうか。身体障がい者手帳をお持ちの方は県内に21万人もおられるとのことです。JR九州に対し、障がい者に寄り添った対応を求めていただきたいと思いますが、知事の見解を伺います。以上です。

 


 
服部誠太郎 知事
 
JR駅無人化による障がい者への影響について
 

 次にJR駅の無人化による障がいのある方への影響についてお尋ねがございました。
 福岡県障がい者差別解消条例では、事業者は、合理的配慮の提供を誠実に行うことにより、障がいのある方の活動や社会参加を制限している障壁の除去に、可能な限り努めなければならないと定めておりまして、JR九州に対し、合理的配慮を求めてまいります。
 また、本県では、公共交通機関をはじめ、障がいのある方の社会参加に関わる事業者等で構成されます、差別解消支援地域協議会を7月に開催することとしておりますので、この場においても申し入れを行ってまいります。

 


 
〈要望〉
 
高瀬菜穂子 議員
 

 部落差別実態調査について、指摘と要望です。
 すでに行われている県民意識調査、法務省の実態調査に加え、なぜ、隣保館での部落差別実態調査が必要なのでしょうか。個人情報を集めないから附帯決議に反しないとのお答えでしたが、問題は、被差別体験の集約にあります。部落と部落外という垣根をなくしてこそ差別解消につながると思います。本県同和奨学金は一般化したことで、全国で最も活用され、地域に関係なく経済的に困難な家庭を支えています。一方、今も特別対策を継続している自治体も残されています。特別対策を続けていくことは差別解消に有効でないとされている中で、部落差別に特化した調査を、一定地域で行う。差別をことさらに顕在化させることで、一般化に逆行する垣根が作られ、差別解消に逆行する施策につながる危惧を覚えるものです。改めて中止を求め、質問を終わります。



2022年6月議会・高瀬一般質問と答弁(PDFファイル)

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