● 22年10月05日 県議会報告

2022年10月5日 2022年決算特別委員会 高瀬菜穂子委員 質疑・答弁「中小事業者支援について・インボイス制度について」(大要)



2022年10月5日9月定例会(予算特別委員会)高瀬菜穂子委員質疑(大要)

 


 

<2022年決算特別委員会>

2022年10月5日

 

中小事業者支援について・インボイス制度について(大要)

 
 

高瀬菜穂子 委員

 

 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。通告に従いまして、中小事業者支援、インボイス制度について伺います。
 新型コロナ「第7波」と物価高騰が続き、中小事業者の経営は深刻な状況が続いています。飲食店経営者でつくる「飲食店リサーチ」の調査によれば、2022年8月の売上について、新型コロナの影響がなかった2019年の8月との比較を聞いたところ、売上が下がったとする回答は79.7%となっています。「半分以下になった」との回答は全体の28%にのぼりました。
 実質無利子・無担保で貸し付ける「コロナ融資」の返済が始まっていることも事業者の大きな負担になっているとお聞きしています。県内企業者の多くを占める中小事業者の経営を支えることは緊急の課題と言えます。
 そこで、まず、「感染拡大防止協力金及び月次支援金」と「県制度融資」について、資料を要求しておりますので、委員長、お取り計らいをよろしくお願いいたします。

 

〈資料要求〉

 

荻原憲介 商工政策課長

 

 はい、ただちに提出いたします。

 

感染拡大防止協力金及び月次支援金の支給状況のサムネイル

【資料】①感染拡大防止協力金(飲食店むけ)及び月次支援金給付実績

 

県融資制度についてのサムネイル

【資料】②県制度融資

 

高瀬菜穂子 委員

 

 「感染拡大防止協力金及び月次支援金」について、まず簡潔にご説明をお願いします。

 

荻原憲介 商工政策課長

 

 福岡県感染拡大防止協力金の飲食店むけ給付の実績につきまして、第1期から15期までの給付件数は44万4千件余、給付総額は3,263億円余となっております。
 また、福岡県中小企業者等月次支援金については、給付件数は2万9千件余、給付総額は21億円余となっており、いずれも本年5月31日までに給付を完了しております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 私、昨年の決算特別委員会においても、協力金や支援金の実施状況についてお尋ねしました。昨年のこの時期は、新たな認証制度がつくられ、認証が進まず混乱していた時期でもありましたので、13期以降の給付について、危惧をしておりました。資料を見ますと、13期以降についても、それまでと同程度の実績となっていることが確認できました。この間の職員の皆さんの事務作業量も膨大で、大変だったというふうに推察をいたします。私も多くの現場からの要望を申し上げましたけれども、制度の改善にも取り組んでいただきました。緊急事態宣言は発せられない方がいいわけですが、協力金給付の事務手続き等で積み上げられた経験を、今後の不測の事態の対応に生かしていただきたいと思います。
 改めて、感染拡大防止協力金の給付を行うにあたり、円滑な給付のためにどのような工夫や努力があったのか、お尋ねします。

 

荻原憲介 商工政策課長

 

 感染拡大防止協力金の給付にあたっては、売上等に関する申請書類の確認作業や不備のある申請に対する連絡を速やかに行えるよう、人員を大幅拡充し、審査体制の強化と給付の迅速化を図りました。
 また、過去に受給実績のある事業者にいち早く協力金の一部を給付する「先渡給付」の制度を導入し、申請から最短2日で給付を行ったほか、審査状況や入金予定日を申請者がウェブで簡単に確認できるようにいたしました。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 当初、書類の不備ループやコールセンターにつながらない、いつ給付金が振り込まれるかわからない、などの問い合わせが相次ぎましたが、急速に改善していただいたことを評価したいと思います。
 本県の第3次中小企業振興基本計画によれば、2020年度および2021年度の倒産件数、休廃業の件数は、いずれも前年度から減少しており、感染拡大防止協力金など直接支援が重要な役割を果たしたと考えます。
 しかし、今年の春以降は、緊急事態宣言などは発出されず、営業規制もありませんでした。感染がピークとなった8月は飲食店や観光業を中心にキャンセルが相次いだと報じられ、物価高騰とあわせて大きな打撃となっています。コロナ禍は収束したとは言えず、物価高騰はこれからも続くとされています。
 現在、本県のコロナ禍における物価高騰対策として行っている中小企業支援はどのようなものがあるでしょうか。実施状況も含め伺います。

 

荻原憲介 商工政策課長

 

 コロナ禍や原油価格・物価高騰の影響が深刻化する中で、本県の中小企業支援策については、さきの6月議会において、国の持続化補助金やものづくり補助金の上乗せ補助、経営革新計画に取り組む中小企業に対する、新商品・新サービスの開発や経費節減への支援などについて補正予算を措置していただき、事業の実施に取り組んでいるところでございます。
 現在、経営革新計画に取り組む中小企業に対する支援については、866件の申請を受け付け、209件の交付を決定しておる状況でございます。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 6月補正で予算化された経営革新に取り組む中小企業への支援は経費削減枠も含めて、11億円規模でありますので、この予算がしっかり活用されるよう頑張っていただきたいと思います。申請件数も、また実施件数もですね、交付件数も増えているという、いま、ご報告でした。
 さて、知事は今9月議会本会議で、最低賃金についてですね、「早期の千円以上の達成を目指し、着実な引き上げを行うよう国に求めていく」と答弁をされています。最低賃金を引き上げるためにも、中小事業者への支援を行うことは不可欠です。中小企業を含めた賃金引上げで経済の好循環をつくることが求められていると思います。わが党は、中小企業に対して社会保険料負担の軽減など抜本的な支援強化を求めているところです。本来国として取り組むべき課題ですけれども、県として、中小事業者への直接支援を少しでも拡充するという、そういうお考えはないでしょうか、見解を伺います。

 

荻原憲介 商工政策課長

 

 更なる原油価格・物価高騰に対応していくための新たな対策といたしまして、今回の9月議会におきまして、トラック運送事業者が燃費向上のために行うエコタイヤの購入に対する助成制度の創設、デジタル技術を活用した生産性向上に必要な設備導入に対する支援の拡充、新技術・新製品の開発に対する助成などについて、補正予算を議決いただいたところであり、今後、これまでの取組に加え、これらの事業にしっかりと取り組んでまいります。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 限られた予算の範囲内で、工夫をしてですね、ピンポイント的な物価高騰対策が提案をされていると思います。これはこれでしっかりと取り組んでいただきたいと思います。しかし、経済の主役である中小企業がコロナ禍と物価高騰の中で経営を維持し、また、最低賃金の引上げにも対応できるだけの体力を持つには、国を挙げた抜本的な支援が必要であると考えますので、この点については国に対して、強く要望していただきたいと思います。

 

 次に、県制度融資について伺います。まず、資料についてご説明をお願いします。

 

吉田 聡 中小企業振興課長 

 

 県制度融資について、まず、「1」の貸付件数と保証債務残高については、令和4年8月末時点で、63,058件、8,312億円になっております。
 次に、「2」の既往債務に係る返済条件緩和措置の実行件数と実行金額については、令和4年4月から8月までの累計で1,417件、237億円となっております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 6万3千件、8000億円を超える保障債務残高ということで、本当に膨大です。当初、コロナ禍がこれほど長引くと想定せず、据え置き期間を1年、2年としたが、1年、2年たっても経済が回復しないなかで、返済に苦慮される事業者が多くいらっしゃると思います。
 返済の条件緩和措置については、先ほど、井上委員より、詳しい質問がなされました。実行件数、資料にありますように、わずか5か月で1,417件、実行金額は237億円とのごとです。相談件数は、把握できないとのことでしたが、相談に行ったけれども、条件緩和できなかった、実行に至らなかった、という事業者は、相当数にのぼるのではないでしょうか。条件緩和措置の対象は「借入多寡等により追加融資や借換が困難な企業等」「設備融資後に受注が減少し、資金繰りに支障を来している企業等」とされています。つまり、困っている企業です。ところが、先ほどご紹介もあったように、相談に行くと、「借り入れ額が多いから」とか、「資金繰りに支障があるから」との理由で返済猶予措置を断られたり、返済期間を申請者は希望している、その期間より短くされるという事例が発生していると聞いています。 困難な事業者のための条件緩和措置なのに、困難があるから条件緩和できませんとなると、制度の趣旨に反すると思います。困難な事業者の実情に寄り添った融資や返済条件緩和が必要と考えます。先ほどの質問とも重なりますが、県の見解と取り組みを伺います。

 

吉田 聡 中小企業振興課長

 

 コロナ禍の長期化や物価高騰の影響により、経営状況の厳しい事業者に対し、返済条件について柔軟に対応することは重要であると認識しております。
 県制度融資においては、現在、据置期間や返済期間の延長といった返済条件の緩和措置を実施いたしております。
 具体的には、通常据置期間2年、貸付期間10年のところを、いずれも3年間延長することが可能で、最長で据置期間5年、貸付期間13年とすることができます。
 なお、新型コロナウィルス感染症対応資金につきましては、国の規定により据置期間が5年とされていましたので、返済条件の緩和措置により、最長で据置期間を8年とすることができます。
 また、県から、金融機関や信用保証協会に対し、条件変更に柔軟な対応を行っていただくよう要請しているところでございます。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 コロナ対応資金は、最長で据え置き期間を8年にできるという、困難な事業者に寄り添った制度です。県としても、金融機関や信用保証協会に対し、条件変更に柔軟な対応を要請されているということですが、引き続き、困難な事業者に寄り添った実効性のある対応をお願いします。

 次に、来年10月から導入予定の消費税の適格請求書、いわゆる「インボイス」制度について伺います。 インボイスが導入されれば、これまでは消費税の納入を免除されていた小規模の事業者に税負担が生じます。この制度の中身が知られるにつれ、自分も対象になる、導入されたら生活できないとの声が急速に広がっています。インボイス制度に反対する声優たちの団体として「VOICTION」を立ち上げた声優の甲斐田裕子さんは、声優の多くが年収300万円未満であることを紹介して、「納税したら生活できなくなる人が出てくるのは、やっぱりおかしい。あるところから無いところへ分配するのが税の基本のはずなのに、苦しい人がもっと苦しくなって、格差が広がっていく」と話しています。コロナ禍と物価高騰が続くなかでインボイス制度を導入すれば、中小事業者や個人事業主、フリーランスに多大な負担をかけ、廃業につながる事例が多発するのではないかと危惧しています。まず、制度について、対象になるにもかかわらず知らないという事業者もいるわけですが、県としては、インボイス制度について、どのような周知を行っているでしょうか。お尋ねします。

 

吉田 聡 中小企業振興課長

 

 中小企業・小規模事業者に対しては、県内4地域の地域中小企業支援協議会のネットワークを活用し、窓口での相談対応や講習会の開催などにより、制度の周知に努めております。なお、講習会については、開催予定を4地域別に県のホームページに掲載し、事業者に対して参加を促しております。
 また、具体的な相談につきましては、協議会の構成員である商工会議所、商工会の経営指導員を中心に、個々の事業者の状況に合わせて、きめ細かな支援を行っているところでございます。
 県としましては、関係機関と連携しながら、様々な機会を捉え、インボイス制度の周知に努めてまいります。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 周知に努められていることはわかりますが、そもそも免税事業者がどのくらいいるのかについては、把握されていないということなんですね。これでは、周知がどこまで進んだのか、わかりませんよね。インボイス登録の対象となるのは、デザイナーやインストラクターなどフリーランス、1人親方、宅配などの委託ドライバー、タクシードライバー、ウーバーイーツなどのフードデリバリー業者などを含み、広範多岐にわたります。
 シルバー人材センターと会員に生じる新たな税負担については、本県議会からも意見書が挙げられましたが、4月時点で、インボイスとシルバー人材センターに関連する意見書は全国97の自治体から提出されています。厚労省は都道府県に通知を出し、インボイス実施によって、シルバー人材センターの会員が受け取る配分金が最低賃金を下回らないように適正価格の設定を求めています。これは、シルバー人材センターと会員に生じる新たな消費税の負担を税金で、しかも地方自治体に補てんさせるということです。
 シルバー人材センターの会員だけ特別扱いですが、同様の困難があらゆる業種で起こるということです。
 取引における混乱も危惧されます。東京商工リサーチの調査によれば、免税事業者との取引について「取引しない」との回答は9.8%と約1割に達しています。また、半数近く(46.7%)は検討中と答えており、今後、「取引しない」とする企業が増えることが懸念されます。インボイス登録をしないことで、取引から排除されたり、取引にあたって消費税分を値引かれたりするなどの事例が懸念されます。免税業者が不利益を被らないようにしないといけないと思います。県として、こういったインボイス制度に関する相談について、どのような対応を行っていくおつもりでしょうか、お答えください。

 

吉田 聡 中小企業振興課長

 

 事業者間の取引において、取引上の地位が優越している一方の当事者が、その地位を利用して、取引の相手方に不利益を与えることは、優越的地位の濫用として、法律上、問題となる可能性があります。
 このような場合、インボイス非登録事業者が、取引について、不当に不利益を受けないよう、福岡県中小企業振興センターに設置している「下請けかけこみ寺」において、弁護士や専門相談員が無料相談に応じ、問題の解決に向けてサポートしてまいります。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 サポート体制はあるとのことですけれども、実際には、免税業者との取引では消費税を負担しなくてはならなくなりますから、さまざまな問題が発生するのではないでしょうか。インボイスを導入したヨーロッパ諸国では、インボイス登録をしなかった業者はほとんど淘汰されたとのことです。
 消費税は価格に転嫁できて初めて間接税として機能します。転嫁できなければただの重い直接税です。複数税率導入により正確な税額計算のためにインボイスが必要だと説明されていますが、現行の制度であっても消費税の税額は計算できます。複数税率を止め、消費税を5%に引き下げれば、インボイス導入の必要性はなくなります。わが党は、インボイス導入を中止するよう求めてまいりますが、インボイスの周知をおこなう商工部として、免税業者の置かれている実態をしっかりとつかんでいただくことをここで強く要望したいと思います。以上で質問を終わります。


-本文PDF-

中小事業者支援について・インボイス制度について(大要)

 

-要求資料PDF-

感染拡大防止協力金及び月次支援金の支給状況

 

福岡県における農家等の推移

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