● 23年03月02日 活動報告

2023年2月定例会一般質問 立川由美県議 「困難女性支援法について」「有明海再生について」(大要)



 

2023年3月2日   2月定例会・立川由美議員一般質問 答弁(大要)

 
 

<困難女性支援法について>

 
 

立川由美 議員

 

 日本共産党の立川由美です。通告に従い、一般質問を行います。
まず、はじめに「困難女性支援法」についてお聞きします。この法律は、従来の公的支援である婦人保護事業において、その根拠法であった「売春防止法」の女性差別規定、いわゆる性売買に従事する女性の補導処分や保護・更生から、女性の人権擁護や福祉の向上へ転換するものです。
 基本理念に当事者の「意思の尊重」「人権擁護」「男女平等の実現」を掲げ、「女性であることにより様々な困難な問題に直面することが多い」と、支援の必要性を指摘し、国と地方自治体の責務を明記しています。支援現場の長年の運動が実った画期的な法改正であり、大変嬉ばしい限りです。
 これまで婦人保護事業は、基準や職員配置がはっきり位置付けられないまま、2002年以降、対象が、DV、人身取引、ストーカー行為被害者へ拡大され、公的な財政支援は乏しく、自治体も責任をもって保護事業を充実させず、従事者の確保や運営が困難などのさまざまな課題が指摘されていました。
 新法では、現行の婦人相談所・相談員・保護施設の3機能、3機関を残しつつ、それぞれ名称が婦人から女性に変更となります。
 また、新たに「心身の健康の回復を図るための医学的、又は心理学的な援助」や「当事者の立場に立った相談対応」、更に「同伴児童への学習・生活支援」などが盛り込まれました。 
さらに民間の支援団体との「協働」をうたい、民間団体を行政と対等な関係に位置づけています。
 新法では、条文の第八条には、基本方針や基本計画という形で、国や都道府県に策定を義務付けると明記されており、どこまで支援を手厚くできるかが問われています。
県内どこに住んでいても必要な支援が受けられるようにするためには、市町村も含めた支援づくりが必要です。現時点で、県内では常勤の婦人指導員27名が配置されており、その他政令市を含めた11市に72名、内訳で常勤23名、非常勤49名の婦人相談員が配置されていると聞いていますが、今回の新法により、市町村において相談員の設置が努力義務とされています。
 また、女性相談支援員の任用に当たっては、法律に「その職務を行うのに必要な能力及び専門的な知識と経験を有する人材の登用に特に配慮しなければならない」とされています。市町村の女性相談支援員の設置促進と資質向上に向け、県としてどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いします。
次に一時保護についてお聞きします。現在、DVにより家から離れる必要がある女性や、帰住先がない女性などに対し、女性相談所が一時保護を行っています。しかしDV被害者などの居場所の秘匿が必要な女性への対応を中心にしているため、保護中は携帯電話やインターネットが使えないなどの条件があり、この点がネックとなり、特に若い女性は保護を嫌がることが多く、一時保護につなげることができない事態が度々ありました。
新法により、様々な困難を抱える女性が支援の対象となることでこれまでの居場所の秘匿が必要な人だけでなく、親との関係で家に帰りたくない若年女性など、居場所の秘匿を前提しない一時保護にも対応できるよう、現在の一時保護の運用を見直す必要があると考えますが、知事の見解をお聞かせください。

 

 

服部誠太郎 知事

 

市町村における女性相談支援員の設置促進と資質向上に向けた取組みについて

 

 ご答弁を申し上げます。市町村における女性相談支援員の設置促進と資質向上に向けた取組みについてお尋ねがございました。
 現在、売春防止法に基づきます婦人相談員につきましては、市は設置できるということとされておりますが、町村につきましては設置についての規定がございません。
 来年4月施行されます、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」では、婦人相談員は「女性相談支援員」となりまして、市町村には、設置の努力義務が課せられることになります。
 このため、県といたしましては、市町村の担当課長会議等の機会を捉え、新法で求められます市町村の役割、支援員設置に係る国の補助制度などを丁寧にご説明をし、支援員の設置を促してまいります。
 また、現在、婦人相談員の資質向上につきましては、毎年、県内の相談員のみなさんを対象として、相談に必要な知識、スキルの習得を目的をした研修を女性相談所において実施をいたしております。
 今後は、新しい法律で求められます、女性相談支援員の新たな役割も踏まえまして、この研修内容を見直し、実施することといたしております。

 

一時保護の運用の見直しについて

 

 次に、一時保護の運用の見直しについてでございます。
 国の有識者会議では、いわゆる困難女性支援法に基づく基本方針等につきましての検討を行います中で、DV等によって居所の厳重な秘匿を要する場合、あるいは家族との折り合いが悪く家に居場所がないといったような居所を知られても危険が及ぶことがない場合など、支援対象者のそれぞれの状態に応じた一時保護の在り方というものが議論されているところでございます。
 県では、法施行に向け、今年度末に示されます予定の国の基本方針等も踏まえ、第一線で支援を行っている方々にもご意見を伺いながら、一時保護の運用等について検討をするということといたしておりまして、今議会に、官民の支援機関で構成いたします検討会の開催経費等の予算をお願いをしているところでございます。

 

<有明海再生について>

 

立川由美 議員

 

次に、有明海再生について伺います。
 近年、佐賀県西部で大問題となっていた赤潮によるノリの色落ちが、昨年秋から今年初めにかけて、本県においても起こり、歴史的ともいえる大不作となりました。「60年、この業界にいるが、かつてないほどの深刻な不作」と漁民がTVインタビューに答えられていたのが大変印象的でした。今年に入ってからの寒波や関係者の並々ならぬ努力で生産量は増えているようですが、それでも例年の5割程度とのことです。佐賀県で起こっていることが今後本県にも広がるのではないかと不安の声もお聞きしました。
熊本県立大学の堤裕昭教授は、2001年の有明海異変以来、20年にわたって、有明海の環境や生態系について研究してこられ、赤潮の年間発生件数が、1994年までと、諫早湾干拓工事が行われた99年までと、99年以降と3つの段階を経て倍増していることを指摘しています。富栄養化の原因となる窒素やリンの有明海への流入は大幅に減っているにもかかわらず、赤潮が頻発する原因を調査する中で、赤潮発生時には有明海奥部に塩分の低下した層が存在すること、そこに川からの栄養塩が流入することで赤潮が発生しやすくなること、本来海水がかき混ぜられる海域であるのに塩分の低い層が滞留するのは、「反時計回りの表層の潮の流れ」が弱まっているため、ということを実証されています。外海から有明海に流入する海水は、諫早湾がある西側と東側で潮流速に差が生じ、反時計回りの潮の流れをつくっていたわけで、諫早湾の締め切りがそれを大幅に弱めたということです。開門することで、潮の流れと攪拌の力を取り戻どされるという見解です。堤教授は、開門をすれば海の再生に、多くの時間はかからないと分析をされています。
有明海再生のための覆砂事業には、既に約400億円がつぎ込まれています。しかし、海は再生したとは言えない状況ではないでしょうか。
「有明海・八代海等総合調査評価委員会」の報告書によると、赤潮の発生は、諫早湾潮受け堤防の締め切りの前後で2倍に増えています。赤潮の発生と諫早湾潮受け堤防の締め切りとは関係があるとの専門家の指摘ですが、県は今回の赤潮プランクトンによる養殖ノリの色落ちについて、どのように対応していくのか、改めてお聞きします。
潮受け堤防の締め切りから26年がたち、潮流潮速、海況などさまざまな研究が進み、開門することで、早い時期に宝の海は戻るとの指摘があります。ますます、諫早干拓の中長期の開門調査が必要だと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。

 

 

服部誠太郎 知事

プランクトンによるノリの色落ち対策について

 

 次に、有明海再生につきまして、プランクトンによるノリの色落ち対策についてお尋ねがございました。
 県では、これまで、覆砂による底質改善や稚貝の移植などを実施してまいりました。この結果、ノリの生育に必要な栄養を消費する植物プランクトンを捕食いたします、アサリなどの二枚貝が1万2,000トンまで増えておりまして、近年のノリ養殖の生産安定につながっているところでございます。
 しかし、今年の漁期は、例年になく、高水温や晴天が続きましたことで、このプランクトンが高い密度で長期にわたり発生をし、色落ちが生じましたことから、平年に比べ、生産量は約5割、生産額は約7割となっております。
 このため、県では、引き続き、覆砂や稚貝の移植を行っていくとともに、二枚貝をさらに増やしますため、新たに、砂利などを入れた袋を干潟に多数設置をいたしまして、稚貝を効率的に集め、育成する取組みを支援していきたいと考えております。
 県といたしましては、こうした取組みを進めまして、有明海のノリ養殖の生産安定を図ってまいります。

 

諫早湾干拓の開門調査について

 

 次に、諫早湾干拓の開門調査についてでございます。
 開門調査につきましては、昨年3月に福岡高等裁判所が国の請求を認め、非開門との判決を下しておりまして、その後、開門派の漁業者側は、これを不服として、上告しております。
 県といたしましては、引き続き、国に対して有明海の環境変化の原因究明調査を国の責任において実施いたしますよう要望いたしますとともに、裁判の状況を注視してまいります。

 

〈要望〉

 

立川由美 議員

 

 

 ご答弁いただきました。1点要望いたします。
今回の困難女性支援法では目的や基本理念に「女性の福祉」や「人権の尊重や擁護」といった視点が明確に規定をされています。ひとり一人の状況に寄り添い、最適な支援や相談、一時保護の体制をしっかり整備するとともに、一時保護後も地域で安心して生活ができるよう、継続して支援を行う必要があります。特に、DVや性被害などで傷ついた女性にとっては、安心して生活ができる居住の確保が大きな課題です。2024年4月の法施行に向けて、支援体制の検討を行う中で、地域に安心できる居住の確保について検討いただきますよう強く要望し、私の最後の質問を終わります。

 この間、さまざまな不慣れな中、多くの方から支えられ、頑張ってこれました。本当に4年間ありがとうございました。これから県民のみなさんの様々な状況、私、立場は変わりますが、全力で努力し、ほんとうに県民のみなさんが暮らしやすい、そうした福岡県、そうした福岡県をつくっていくために、私自身頑張っていきたいと思います。本当にありがとうございました。

 

 


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2023年2月定例会一般質問 立川由美県議 「困難女性支援法について」「有明海再生について」(大要)

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