● 23年03月02日 活動報告

2023年2月定例会一般質問 高瀬菜穂子県議 「新型コロナウイルス感染症について」「下関北九州道路について」(大要)



 

2023年3月2日   2月定例会・高瀬菜穂子議員一般質問 答弁(大要)

 
 

<新型コロナウイルス感染症対策について>

 
 

高瀬菜穂子 委員

 

日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従い、一般質問を行います。
まず、新型コロナ感染症対策について伺います。新型コロナ感染者は、3月1日現在、157万人を超え、死亡者も3,143人に上ります。第8波において救急搬送困難事案が過去最高となり、1月2日からの1週間で北九州では160件、福岡市では278件も起こりました。病院への問い合わせは最高59回に及んだとのことです。驚いたことには、搬送先が見つからずに、消防署内に留め置いた例もあるとのことでした。病院の方も、「通常の救急受け入れの3倍以上の月1,000件もの問い合わせがあり、受け入れ能力を超えているため断らざるをえなかった」「コロナ確保病床をはるかに超える入院を受け入れざるを得なかったため、フル装備で看護にあたるスタッフはくたくたであった」などの声を聞いています。また、高齢者施設では、以前は入院できていた高齢者が施設留め置きとなった事例が多数に上り、医療設備がない中で、少ない人数でその対応におわれたことや、感染力の強いオミクロン株によるクラスター発生を防ぐための対応で長期間の緊張状態が続き疲弊しているとの報告です。長期にわたり、医療介護消防保健所の現場に大きな負荷をかけていることを総括し、今後の対応をしていただきたいと思います。
 政府は、5月8日から、新型コロナウイルスを5類感染症に位置づけるとしていますが、基礎疾患を持つ方や高齢者にとっては重症化リスクを伴う感染症であることに変わりはなく、医療機関や高齢者施設ではこれまでと同等の感染対策が求められます。そうした中で、補助金等の削減が行われれば、少なくない医療介護施設が経営難に見舞われることも想像に難くありません。
 そこで知事に伺います。
第一に、第8波における医療提供体制について、十分であったとお考えでしょうか、知事の認識を伺います。酸素を必要とする患者さんの臨時待機所の活用状況を明らかにするとともに、消防署内での留め置きが発生した事態に鑑み、必要に応じて、大規模な臨時待機所を大都市圏の近くに設置する必要について見解を伺います。新たな感染症を想定すれば、これ以上の病床の削減はあってはならないと考えます。許可病床を7,000床減らすこととなる「地域医療構想」の計画は見直し、これ以上病床を削減すべきではないと考えますが、合わせて見解を伺います。
第二に、感染症法の「改正」について伺います。この改正で、県と医療機関が結ぶ協定等の履行確保措置として、指示に従わない場合には、病院名の公表、承認取り消しなどのペナルティーを設けましたが、この規定に大変な違和感と怒りを覚えました。県内どこの病院も病床確保や発熱外来設置、長期にわたるコロナ患者を含む対応で、できる限りの協力をされたのではありませんか。病床確保に必要なのは財政支援や人員増であり、ペナルティーは協定締結や病床確保に逆に困難をもたらす懸念があります。国に対し見直すよう求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
第三に、保健所の増設について伺います。言うまでもなく感染症対策の最前線は保健所であります。県はこの間、21か所を9ヶ所に減らし、どこの保健所もコロナの波が来るたびにパニック状態であったと推察します。先日、「退院をしてから6週間もたったのちに「入院勧告書」が保健所から届き、罰則等の記述もあるので、高齢の女性が大変不安がっている。」とのご指摘をいただきました。保健所からは先に口頭でお知らせしているとのことですが、同様の例は、高齢者施設でも多数あったとのことです。新型コロナ対応では、市町村の保健師や臨時の職員増で対応されたわけですが、仕事量に対して十分な体制とはいえないのではないでしょうか。県は「ワンヘルス」を推進していますが、人獣共通感染症を防ぐ観点からも最前線の保健所の増設を検討すべきではありませんか。知事の見解を伺います。
第四に、県民のいのちを守るためには、感染症法上の位置づけの変更にかかわらず、医療・介護提供体制の確保、保健所の入院調整機能の継続、高齢者施設等での定期抗原検査の継続、公費医療の継続などが求められると考えます。知事の見解を伺います。
第五に、新型コロナ感染症により大きな影響を受け、生活福祉資金特例貸付を活用された方々の返済が1月から始まりました。経済が回復しておらず、また物価高騰の中で生活困難に陥っている県民に対し、返済猶予など柔軟な対応を行うとともに、これまで何度も申し上げましたが、減免規定の見直しを国に強く求めるべきだと考えます。知事の見解を伺います。

 

 

服部誠太郎 知事

 

第8波における医療提供体制について

 

 まず①の「私立高等学校に通う生徒の保護者負担軽減のための支援制度」についてでございます。
 令和4年度現在、国の全額負担で、年収約910万円未満の世帯を対象に授業料を支援する「私立高等学校等就学支援金」。国1/3,県2/3の負担で、住民税所得割非課税等の世帯を対象に、授業料以外の教育費を支援する「私立高校生等奨学給付金」。本県独自の制度として、住民税所得割非課税等の世帯を対象に、授業料及び施設設備費等を支援する「私立高等学校等学校納付金軽減補助金」がございます。
 続きまして、②の「私立高等学校等就学支援金受給世帯の支給基準に係る収入別の対象生徒数」についてでございます。
 令和4年7月1日現在、年収約590万円未満の世帯が26,386人、年収約590万円から910万円未満の世帯が14,245人、合計で40,631人となっております。
 最後に、③の「県内私立高等学校の生徒数、専任教員数、常勤講師数、非常勤講師数の10年前との比較」についてでございます。
 令和4年5月1日現在、生徒数は、54,337人となっており、10年前と比較して687人減少しております。
 また、専任教員は2,300人、常勤講師は807人、非常勤講師は、409人となっており、10年前と比較して、それぞれ31人増、105人増、11人減となっております。

 

地域医療構想による病床の削減について

 

 次に、地域医療構想による病床の削減についてでございます。
 この地域医療構想は、病床の削減を目的するものではございませんで、地域ごとに異なる医療需要の将来の変化に対しまして、地域の実情に応じ、急性期から回復期、慢性期、在宅医療等まで、患者の状態にふさわしい、より良質な医療サービスを受けられる体制を構築するものでございます。

 

感染症法改正に伴う協定締結医療機関に対するペナルティーについて

 

 次に、感染症法改正に伴う協定締結医療機関に対するペナルティーについてでございます。
国は、新型コロナの医療提供体制の確保におきまして、各地域で個々の医療機関が果たすべき役割が平時から明示されておらず、医療機関の協力を担保するための措置もなかったことなどを課題として挙げております。
このため、昨年12月に改正されました感染症法では、今後の新興感染症等の発生とまん延に備え、平時から、予め都道府県が医療機関との間で病床や外来医療の確保などに関する協定を締結する仕組みが創設されました。
また、この協定を実効性のあるものとするため、協定締結医療機関に対し、都道府県が協定の履行状況の報告を求め、正当な理由なく協定に基づく措置を講じていないと認めるときには、勧告、指示を行った上で、それでも従わない場合には、公表などの措置を行うことといたしております。
一方、協定締結医療機関に対しましては、設備整備への補助のほか、一般医療の提供を制限して、経営上大きなリスクのある感染患者への医療を提供することに対しまして、財政的な支援を行うこととされたところでございます。
これらの法改正により、感染症の発生・まん延時に確実に稼働する医療提供体制を構築することができ、県民の皆様の命と健康を守ることに繋がるものと考えておりまして、県といたしましては、国に対し見直しを求めることは考えておりません。

 

 

保健所の増設ついて

 

 次に、保健所の増設についてでございます。
 保健所は、地域保健に関する広域的、専門的、技術的拠点として、その機能を強化するため再編統合を行いました。これにより、一保健所あたりの保健師などの専門技術職員を増やし、感染症をはじめ様々な健康危機に的確かつ迅速に対応するための体制を構築してきたところでございます。
 なお、新型コロナの感染拡大時には、会計年度任用職員の増員、人材派遣職員の増員、市町村の応援によりまして保健師等の確保を図りますとともに、PCR検査や健康観察などの外部委託を進めますほか、昨年4月には新規採用の保健師を13名増員し、保健所の体制を強化してまいりました。
 このようなことから、引き続き、現在の保健所において、その時々の状況に応じた適切な体制強化を図りながら、地域保健対策の拠点としての役割を担ってまいります。

 

5類感染症位置付けへの対応について

 

 次に、5類感染症位置付けへの対応についてお尋ねがございました。
 感染症法上の位置付けが5類に変更されましても、県民の命と健康をしっかり守るため、医療機関における診療・検査体制の構築が必要でございます。
 このため、県では、1月27日の国の方針決定後、直ちに、県医師会などの医療関係団体等の意見もお聞きしまして、5類変更に伴う課題を整理し、とりまとめた要望書を1月30日、国に提出いたしました。
 具体的には、幅広い医療機関において外来診療・検査に対応できますよう、また介護が必要な高齢者や妊婦等の特別な配慮を要する方も含め、適切な医療機関に入院できる体制を構築できるよう、感染対策や患者の受入れに伴う負担に見合った医療機関への財政支援を行うこと。
感染拡大時においても、重症者等の受入れが滞ることのないよう、当面の間、入院調整を行うために必要な財政支援を行うこと。
高齢者など重症化リスクの高い方が自宅や施設で安心して療養できるよう、在宅医療・訪問介護事業者、高齢者施設等が行います感染対策への支援や、患者等への対応に伴う負担に見合った財政支援を行うこと。特に、高齢者施設等の職員に対する集中的検査は継続し、必要な財政支援を行うこと。
医療費の費用負担については、高額な治療費などの医療費の負担能力によって、人の命が左右されることのないよう、十分に配慮することといった項目について、要望を行ったところでございます。
国は、今月上旬を目途に、患者等への対応や医療提供体制について具体的な方針示すこととしておりまして、県といたしましては、この方針を踏まえ、5類移行後においても、適切に対応をとってまいります。

 

生活福祉資金特例貸付の償還について

 

 次に、生活福祉資金特例貸付の償還についてでございます。
 県では、償還免除要件の見直しや償還猶予制度の積極的な活用につきまして、昨年2度にわたり、県議会と連名で国に要望を行いました。
 その後、国から失業又は離職中の場合や収入減少で生活が安定しない場合などには、個々の状況に配慮して、償還猶予や少額返済も認める対応を行うよう、方針が示されたところでございます。このことを受け、県社会福祉協議会では、計画どおりの償還が困難な方に対し、柔軟な対応を行っているところでございます。
 また、償還免除の要件は、見直されておりませんが、既に償還が開始されておりますことから、現時点では、見直しを求めることは考えておりません。

 

<下関北九州道路について>

 

高瀬菜穂子 議員

 

次に、下関北九州道路について伺います。
知事は、今議会の議案説明において、「産業振興の基盤となる基幹道路の整備や、いわゆる下関北九州道路の早期整備に向けた取組」をすすめると強調されました。しかし、この道路は、小倉東断層をまたぐ計画の橋であります。そして、3500億円もの巨額を要します。私共の実施した県民アンケートには、税金や保険料、物価高騰で苦しい生活実態が切々と書かれています。下関北九州道路の是非については、賛成10%に対し、反対63.2%と、反対が多数を占めています。新年度予算では、調査費が358万円と、今年度の半分以下になっていますが、どのような調査を行うのか、明らかにしてください。必要性・安全性・採算性に疑問符が付くこの事業については見直すべきだと考えます。知事の見解を伺います。以上です。

 

 

服部誠太郎 知事

 

下関北九州道路について

 

 次に、いわゆる下関北九州道路についてでございます。
 今年度当初予算には、環境影響評価に係る現地調査や都市計画に係るルート案を策定するための設計に必要な経費といたしまして、771万円余を計上いたしました。しておりました。
 環境影響評価に係る現地調査は、今年度中に完了する予定でございまして、来年度当初予算には、引き続き、ルート案を策定するための設計に必要な経費といたしまして、358万円余をお願いしているところでございます。
 この道路は、関門トンネル及び関門橋の代替機能の確保、さらには、循環型のネットワーク形成による関門地域の一体的発展のために、九州と本州とを結ぶ必要不可欠な道路であると認識をしていたしております。

 

〈第二質問〉

 

高瀬菜穂子 議員

 

 知事に再質問いたします。
私は、知事が就任してすぐに全県の病院長に呼びかけ、確保病床を大幅に増やし、体制の確保に努めてこられたことを承知しております。しかし、それでもなお、本来入院すべき人が高齢者施設に留め置かれたり、フル稼働している消防署に留め置かれたりしているわけです。病床使用率79%は、多くの医療スタッフが感染していた実態を考えれば実質100%であり、実際、コロナ病床以外の病床での入院が2,000名に上りました。福岡市で心疾患で救急搬送された男性は、消防隊の57回の問い合わせにも市内で病院が見つからず、県の調整で大牟田まで搬送しましたが、そこも埋まってしまって、久留米に搬送。一命はとりとめましたが、寝たきりとなりました。改めて、医療体制は十分であったとお考えでしょうか。再度伺います。

 

 

服部誠太郎 知事

 

 お答えを申し上げます。第8波における医療提供体制の認識について再度、ご質問がございましたが、先ほどもご答弁申し上げましたように、新型コロナの入院患者を受け入れる病床の確保や、いわく後方支援病院などを活用した早期の転院、さらには年末年始の入院患者受入れの促進によりまして、入院が必要な方の受入れが円滑に進むよう努めてきたところでございます。
 また、救急搬送困難事案の増加に伴いまして、県民の皆様に対し、救急車の適正利用を呼び掛けるとともに、年末には入院が必要な方が自宅待機とならないよう待機ステーションを開設いたしました。
 さらに、高齢者施設で療養されるという方のため、施設からの要請に応じ、医師や看護師を派遣し、往診等を実施する体制をつくっております。
 こうした取組みによりまして、病床使用率のピークは7割台後半と第7波と同じレベルになっておりまして、入院調整に時間を要するケースもございましたが、緊急度の高い方から優先的に調整を行い、順次入院いただける状況であったと考えております。

 

 

高瀬菜穂子 議員

 

 知事は、「県民の命・健康・生活を守ることを最優先に取り組む」と何度もおっしゃっています。現場の使命感だけではもたない実態があることをぜひ認識していただき、行政としての責任を果たしていただくようお願いします。主に急性期病床が減らされている地域医療構想を見直し、下関北九州道路は中止するよう重ねて要望します。

 私の一般質問はこれが最後となります。24年前、38歳で初めて本議会にまいりまして、4期16年、バッジのない時も含めて、職員の皆様をはじめ多くの皆様にお世話になりました。ありがとうございました。これで私の一般質問を終わります。

 

 


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2023年2月定例会一般質問 高瀬菜穂子県議 「新型コロナウイルス感染症について」「下関北九州道路について」(大要)

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