● 23年03月08日 県議会報告

2023年3月8日 2023年予算特別委員会 高瀬菜穂子委員 質疑・答弁 「安全保障政策の本県への影響について」(大要)



 

2023年3月8日   2月定例会(予算特別委員会)高瀬菜穂子委員質疑(大要)

 
 

<安全保障政策の本県への影響について>

 
 

高瀬菜穂子 委員

 

 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。通告に従いまして、「安全保障政策の本県への影響について」質問いたします。
岸田政権は、昨年12月16日に「安保3文書」を閣議決定しました。この内容はこれまでの「専守防衛」を投げ捨て、敵基地攻撃能力を保有し、米軍が敵基地攻撃とミサイル防衛を一体で運用するために進めている「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」を明記し、アメリカと一体に先制攻撃ができるようにするものです。これまでの「専守防衛」についての政府の見解は、1972年に田中角栄首相が国会で「防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することなく防御を行うこと」と答弁したことがベースになってきました。国会にも国民にも諮ることなく、一片の閣議決定で解釈を変えることは許されません。県は安保3文書についてどのような認識をもっておられるでしょうか。

 

 

二場正義 行政経営企画課長

 

 安保3文書とは、「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」のことで、昨年12月16日に開催されました、我が国の安全保障に関する重要事項を審議する「国家安全保障会議」それと先ほど委員からもお話がありました、その日の閣議において決定されたものというふうに承知しております。
 この閣議におきまして、松野内閣官房長官及び浜田防衛大臣から、「国家安全保障戦略」は、外交・防衛の分野のみならず、経済・技術等を含む多岐にわたる分野の安全保障上の問題に対し、総合的な国力を最大限活用して、我が国の平和と安全を含む国益を確保するためのもの。
 また、「国家防衛戦略」は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、防衛力の抜本的強化とともに、国全体の防衛体制の強化を、戦略的発想をもって実施していくため、防衛目標とその達成のためのアプローチ等を示し、これにより、我が国の防衛に万全を期すためのもの、この防衛力の抜本的強化について、「防衛力整備計画」に基づき実現していく。このような説明がありました。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 政府の説明そのままですけれども、今「防衛力の抜本的強化」と言われたように、まさに異次元の軍拡が行われようとしています。
 防衛費5年間で43兆円、施設整備や戦闘機・ミサイルの爆買いが行われるとされています。本県内の施設への影響について防衛省からはどのような説明を受けているでしょうか。防衛省の予算には、F2戦闘機のミサイル搭載に148億円が計上されています。築城基地配備のF2が対象なのかどうかについても合わせてお答えください。

 

 

佐々木正 防災危機管理局 防災企画課長

 

 自衛隊基地の施設整備及び運用につきましては、国家・国民の安全保障に関わることでありますことから、国において適切に対応されるべきものと考えております。
 なお、九州防衛局からは説明は受けておりません。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 お聞きになったんでしょうか。これだけの軍拡が行われるのに、本県への影響について、説明さえ受けていないとは情けないと思います。F2戦闘機の実働部隊は百里基地と築城基地のみです。築城基地のF2は対象だと思います。F2戦闘機に搭載が予定されているのは、12式(ひとにしき)対艦誘導弾の能力向上型です。この誘導弾の射程は、最終的には1500キロメートルをめざすとされており、超音速ミサイルなどとあわせ、アジア全域を射程におさめることになるものです。相手国からみれば、脅威そのものではないでしょうか。築城基地がミサイル攻撃の基地になるということです。
 さらに、防衛省の予算には、築城基地、春日基地をはじめとする自衛隊基地の司令部を地下化する予算も盛り込まれています。全国の自衛隊の主要司令部の地下化がすすめられ、真っ先に本県の築城、春日両基地に予算がつけられていますけれども、これは何のためで、どのような位置づけなのか。防衛省からはどのような説明を受けていますか。

 

 

佐々木正 防災危機管理局 防災企画課長

 

 自衛隊基地の施設整備及び運用につきましては、国家・国民の安全保障に関わりますことから、国において適切に対応されるべきものと考えております。
 なお、九州防衛局に確認いたしましたところ、「詳細については、自衛隊の能力が明らかになることから、事柄の性質上、お答えできない」との回答を受けております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 それで納得されたということでしょうか。県に対して説明しないというのは不当ではないでしょうか。政府は「抗たん性の向上」のためと言ってますよ。「抗たん性」とは何でしょうか。どのような事態を想定しているのかお答えください。

 

 

佐々木正 防災危機管理局 防災企画課長

 

 九州防衛局に確認いたしましたところ、「抗たん性とは、自衛隊基地などが攻撃を受けた場合でも、その機能を停止することがないよう対策を講じておくことであり、抗たん性の向上については、自衛隊の能力が明らかになることから、事柄の性質上、詳細についてお答えできない」との回答を受けております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 そんなのんきな答弁でいいのかというふうに思うんです。どのような事態を想定して司令部の地下化を行おうとしているかが問題です。岸田首相は、安保3文書で保有を決めた敵基地攻撃能力について、集団的自衛権の行使として使うことがあると認めています。浜田靖一防衛相は国会で、日本が安保法制に基づき集団的自衛権を行使した場合、相手国から攻撃を受け、大規模な被害が生じる可能性を認めました。先日ですね。日本が直接攻撃を受けていなくても、安保法制のもとで日本の存立危機事態と認定すれば、相手国を攻撃できるということであり、それは相手国からみれば日本が先制攻撃を行ったということになります。相手国の反撃を想定して、自衛隊の司令部は地下化して守ろうというのが、「抗たん性の向上」ではありませんか。
 しかし、司令部は守れても県民は県土はどうなるのですか。県民を守るといいながら、県民の安全に直接かかわる情報について県が知らないでは済まされないのではないでしょうか。
 NHKの取材に、防衛省関係者は、「情勢が切迫すれば、自衛隊の基地とともに福岡空港も活用されるだろう」と述べています。自衛隊基地とともに、福岡空港が「敵基地攻撃」の拠点となる可能性があるということではないでしょうか。そこで、福岡空港の米軍利用の実態、役割についてお聞きします。

 

 

佐々木正 防災危機管理局 防災企画課長

 

 福岡空港は、米軍が日米地位協定に基づき、他の米軍基地との物資や人員の輸送等のために利用されていると承知しております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 それだけですか。全国民間空港のなかで、米軍の利用は福岡空港が全国1位です。米軍にとって重要な施設であることが推察されます。「ACE」と呼ばれるアメリカ空軍の“新たな戦い方”を整理した文書には、こう記されています。「空軍基地はもはや敵の攻撃を免れる聖域ではない」。1つの基地に航空機や物資を集中させると、そこを敵に狙われて「総崩れ」になるリスクがあるとして、基地機能の分散や機動的な運用の重要性を指摘したものです。福岡空港もこうした位置づけで運用されるとなれば、基地と同様に攻撃拠点となるのではありませんか。福岡空港は、1950年に始まった朝鮮戦争では、爆撃機などの出撃拠点となりました。1960年代のベトナム戦争でも使われました。
 本県が敵基地攻撃能力の拠点となり、反撃の対象となる危険について、どう考えますか。ミサイル攻撃に対して、どのように県民を守るのか、お答えください。

 

 

佐々木正 防災危機管理局 防災企画課長

 

 国家・国民の安全保障に関わることにつきましては、国において適切に対応されるべきものと考えております。
 また万が一、外国から武力攻撃等を受けた場合、国は、国民保護法に基づき、住民避難の必要性を判断し、県は、それを受け、市町村に住民避難を指示し、市町村は、県又は政令指定都市があらかじめ指定した避難施設等へ住民を避難させることとなります。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 F2戦闘機に装備される12式地対艦誘導ミサイル、これマッハ5で飛行するとされています。「マッハ5」というのは、鉄腕アトムの速さですけれども、東京から大阪まで5分で到達するものです。他国も同様の兵器を持つとならば、県民の安全をどのようにして守るのですか。今課長が言われたような避難は可能ですか。
 ミサイル防衛の歴史は古く、1983年にアメリカのレーガン元大統領が戦略防衛構想(SDI)を提唱したことで本格化しました。アメリカはわが国に圧力をかけ続け、1996年の日米安保共同宣言で「すでに進行中の弾道ミサイル防衛に関する研究において引き続き協力を行う」と明記させました。重大なのは、ミサイル防衛の「効果」についての政府の認識です。まだ研究段階にあった2001年、わが党の赤嶺政賢衆議院議員が、「研究をやめるべき」だと質したところ、国は、ミサイルを撃ち落とすことができれば、相手国のミサイルが無力化され、「軍縮」につながると答弁しました。しかし現実はどうでしょうか。この間の中国や北朝鮮のミサイル発射は許されるものではありませんが、「軍縮」どころか「軍拡」につながっているではありませんか。
 軍事対軍事は、エスカレートし、悪循環となります。不測の事態を招く危険が大きくなるばかりだと思います。だいたい日本は、食料自給率38%、エネルギー自給率10%、原発は50基以上も存在する国です。戦争になれば、絶対に立ちいかない国ではありませんか。東南アジア諸国が、「紛争を戦争にしない」と決め、条約を結び、年間1000回にのぼる話し合いを行い、決裂しても話し合うことを続け、戦争を回避しています。わが党は、この取り組みに学び、既にある東アジアサミットの枠組みで戦争にしないための本気の外交を行うことを求め、国際会議でもこの提案を広げる努力をしています。
 敵基地攻撃能力による「抑止」は不可能であり、戦争にしない外交努力こそが求められると考えます。見解を伺います。

 

 

二場正義 行政経営企画課長

 

 安全保障政策や外交政策につきましては、国において適切に対応されるべきものであるというふうに考えております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 国において適切に対応されていないから問題にしています。本県内の既存基地が敵基地攻撃の拠点にされようとしているのです。「国の専管事項」とするだけで良いのでしょうか。
 本県選出で、長く自民党の国会議員をつとめた古賀誠氏は、「敵基地攻撃能力を持てば、完全に『専守防衛』を逸脱してしまう」と警告しています。「戦争がいかに愚かで、多くの人たちが苦しみ、血と涙を流したかということを僕は体で知っている。体験しているからこそ、自分の考える平和を言い続けたい」と話しておられます。重く受けとめるべきではないでしょうか。
 本県としても、国の動向を注視し、基地について専門に担当する部署が必要ではありませんか。これまで何度も提起してきましたが、改めてお聞きします。県として基地対策課を設けるべきではありませんか。

 

 

佐々木正 防災危機管理局 防災企画課長

 

 基地対策につきましては、総務部防災危機管理局が、九州防衛局からの情報収集などを行っており、この体制でしっかり対応して参りたいと考えております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 情報収集できていないから言っています。これまでとはステージが違います。県の体制強化は不可欠だということを強調しておきます。

 最後に、自衛官の募集にかかわって、市町村が自衛隊に住民基本台帳の写しを提出している件について、個人情報保護の観点からも、人権擁護の観点からも問題が指摘されています。政府が「専守防衛」を投げ捨て、敵基地攻撃を行うことを想定している今、公的機関が、自衛隊に対して、個人情報を提供することは止めるべきではないでしょうか。国に対し、通知を撤回するよう求めるべきではないかと考えます。見解を伺います。

 

 

後藤元 市町村振興局 行財政支援課長

 

 自衛官募集に関し必要となる情報に関する資料の提出は、自衛隊法第97条及び同法施行令第120条に基づき防衛大臣が市町村長に対して求めることができることとされております。
 国においては、これら法令に基づき本通知を発出されているものと認識しております。
 なお、市町村におきましては、国へ資料を提出する際には、個人情報保護条例等に基づき判断されているものと考えております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 安保3文書に示された方向は、これまでの「専守防衛」を投げ捨てるものです。そうした中で、自衛隊募集にかかわって、自治体がタグシールまで作って自衛隊に渡していることに、驚きと怒りの声が上がり、やめるよう署名運動も起こっています。個人情報が守られるよう、望まない人は情報提供から外すよう市町村を指導していただきたいと思います。
 5年間で43兆円の軍拡予算は本県内の基地を含む強靭化であり、敵基地攻撃能力の拠点ともされかねないもの、何を聞いても、「国において適切に対応されるべきものである」との答弁では、県民の安全は守れないと思います。情報を的確につかみ対応するための基地対策課をつくり、国にお任せではなく、県民の命と安全を守る立場から国にものをいうべきと考えますが、最後に部長の考えをお聞かせください。

 

 

中村俊介 総務部長

 

 先ほど、防災企画課長がお答えしましたとおり、県の基地対策につきましては、総務部防災危機管理局が、九州防衛局や関係市町から情報収集をはじめ、必要な対応がしっかりとれていると考えておりますことから、現時点では、基地専門の部署を設けることは考えておりません。
 自衛隊基地をはじめとする我が国の防衛につきまして、国家・国民の安全保障に関わるものでありますから、これは国の専権事項、そういったことでですね、国の責任において適切に対応される、されるべきものと考えております。

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

 今回3文書に明記されたアメリカの「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)によれば、米軍と同盟国の軍隊は一つのチームに「融合」されるとされています。シームレス、切れ目のない体制がつくられようとしています。アメリカが先制攻撃を開始すれば、米軍指揮下で日本が戦争に参加することになります。アメリカは、グレナダやパナマ、リビア、イラクなどへの先制攻撃を繰り返してきた国です。防衛省は全国300の自衛隊基地を化学・生物・核兵器などによる攻撃に耐えうるよう整備する計画をすすめています。
 自民党の総裁を務めた河野洋平氏は、「決してあの過ちは繰り返しませんと何十年も言い続けて、その結果がこの政策転換というのはあり得ない」と厳しく批判しています。国会での議論も国民的な議論もないままに、大軍拡の暴走をしている政府に対して、県民の命と安全を守る立場から、必要な情報収集とともに、国に対しても意見を言うことが必要です。知事の見解を伺いたいと思いますので、知事保留をお願いします。

 

 


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2023年3月8日 2023年予算特別委員会 高瀬菜穂子委員 質疑・答弁 「安全保障政策の本県への影響について」(大要)

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