● 17年10月05日 県議会報告

2017年10月5日 2017年決算特別委員会 山口律子委員質疑・答弁「通級指導教室について」(大要)



≪2017年決算特別委員会≫

2017年10月5日

 

通級指導教室について(大要)

 

山口律子 委員

 

 日本共産党の山口律子です。通級指導教室について伺います。執行部に「集中学校通級指導教室加配要望・配置について」資料をお願いしておりますので、委員長、お取り計らいをお願いします。

 

平川真一 教職員課長

 

 昨年度の通級による指導のための加配定数の配置は146人となっており、平成29年度は206人の配置要望に対し、160人を配置しております。

 また、本年度の5月1日現在の通級指導教室に在籍する児童生徒数は2090人であり、加配定数1人当たりの児童生徒数は13.1人となっております。

 

山口律子 委員

 通級指導教室については、会派を超えて何度もその充実を求める質問が本議会でもおこなわれてきました。LD・ADHDや言語障害、情緒障害、難聴などの障がいに対応して個別に指導を行う通級指導教室は、大きな成果を発揮しており、そのため、希望者が激増しています。国もこうした要望に応えて本年度制度改正したということです。

 しかし、ご説明にありましたように、昨年度の配置146人に対し、今年度206人の配置要望が市町村から出されましたが、実際には160人の配置にとどまったということですね。市町村の配置増の要望に応えられていないわけですが、県としては市町村の要望をどう受け止めておられますか。また、配置増が14人にとどまったのはどうしてなのか、国の制度改正と合わせてお答えください。

 

平川真一 教職員課長

 本年度から通級による指導定数の法改正が行われ、平成38年度までの10年間で、現在の加配定数の9割を基礎定数化し、通級による指導の対象児童生徒13人に対し教員1人の割合で定数を措置するものでございます。

 また、へき地などの地域に対応するため、残りの1割を継続して加配定数として措置することとしております。この算定基準により、本年度の通級による指導のための定数は、基礎定数分が17人、加配定数分が143人、合計160人となり、国に対する要望の結果だと考えております。

 

山口律子 委員

  国の制度改正が行われましたが、定数化されたのは、本年度は1割で、あとは加配定数ということですね。 対象児童生徒が13人以下の場合でも加配定数で配置されているということですが、 一方、『学級』の考え方とは異なり、13人を超えれば自動的に複数配置になるということでとはないので、一人の教師が13人を超え、29人、35人も担当しているケースもあります。国が「13人に1人」という定数化を行い、確かに県平均では、13.1人に1人となっていますが、基準の2倍以上の児童生徒を担当している場合もあるということです。さらに、自治体間のアンバランスも気になります。須恵町、久留米市はそれぞれ5人増を求めましたが、認められたのは久留米市に1人のみ。篠栗町は今年初めて1人配置です。障がい別でも、複数の障がいに対応している自治体と1種類のところ、そもそも自治体に1人のみというところが11自治体もあります。

 国も、通級指導教室充実の方向で改善を図られたわけですが、市町村の要望、実態から見るとまだまだ不十分といわざるを得ません。

 先日、私は、文部科学省に伺い、今年度定数化された通級指導教室についてのレクチャーを受けてきました。文科省も「都道府県からの要望と実際の設置数には乖離がある。教員確保のために財務省に予算要望をしていく。」と回答されました。「10年もかけて9割定数化とあとは加配」というテンポでは、現在の通級指導に対する県民の強い要求に応えられません。国に対し、強力に通級指導教室充実の予算を確保し、配置要望に応えられるよう働きかけていただきたいと思いますが、いかがですか。

 

平川真一 教職員課長

 本県の通級による指導のための定数要望が増加していることは、認識しており、今後もさまざまな機会を通じて、国に対して定数要望を引き続き行ってまいります。

 

山口律子 委員

 文科省は「都道府県の要望の強さ」を強調して財務省と交渉しているとのことでした。県の実態を踏まえ、国にしっかり要望していただきたいと思います。

 通級指導の場合、一人ひとりの障がいに寄り添って、教材も個別に作るというていねいな営みが必要となります。決定的なのは、教師の力量であり、教材等を作るための予算確保も課題です。通級指導を担う教員養成のための研修はどのように行われていますか。また、学級費などを集めることが難しい通級においては、教材費等の予算措置が必要だと考えますが、この点についての見解を伺います。

 

田中直喜 義務教育課長

 新たに通級指導を担当する教員に対し、教室経営や自立活動等に関する研修を年3回義務づけるとともに、既に通級指導を担当している教員についても、実践的な指導力を高める観点から教育課程実践交流会を実施しております。

 また、専門免許状の取得を通した技量向上のため、免許法認定講習や放送大学の講座等の受講奨励とこれに関する情報提供を行っております。

 教材費などの学校運営に要する経費は、地方財政措置により設置者である市町村が確保すべきものであり、県としては、通級指導教室の効果的な運営のための教材の在り方等について情報提供を行います。

 

山口律子 委員

 通級指導を担当している教員の要望をよく聞き、必要な研修や情報提供をしっかりしていただきたいと思います。文科省に対しては、教員養成課程の中で、通級の専門課程を作ることや教育実習も必要ではないかと提案してきたところです。前向きの回答をいただきました。対象児童生徒の能力を最大限引き出し、保護者の悩みに応え、普通学級との架け橋となる通級指導教室は、今後本県教育の中でも、極めて重要な役割を果たすものと考えます。これを担う教員の研修・育成について、県教委として十二分に責任を果たしていいただくよう強く要望します。

 教材費については、市町村の責任であるとのご答弁でした。教材の在り方等について情報提供する中で、市町村と情報交換をしていただき、必要な措置が図られるよう県として働きかけていただきたいと思います。

 次に、高校における通級について伺います。県は、国に先立ち、高校の通級指導教室を本年度から開始されました。高校における通級指導教室の必要性について、また、本年度前倒し実施をされた経緯について、お答えください。また、どのような形で実施されるのか、簡潔にご説明ください。

 

相原康人 高校教育課長

 県立高校にも、学習上又は生活上の困難を改善・克服するための指導・支援が必要な生徒がいることを踏まえ、来年度からの通級による指導の本格実施を円滑に進められるよう、前倒しで実施し、研究に取り組むこととしたものでございます。

 現在、ひびき高校、博多青松高校を拠点校とし、希望する生徒がそれぞれの在籍校から拠点校に通って指導を受ける、いわゆる他校通級という方法で実施しております。

 

山口律子 委員

 通級指導教室の必要性を認識され、早期に高校でも取り入れられたことを評価したいと思います。通級指導教室に数年通うことで、自立し、通級の必要がなくなる児童生徒もいると聞きます。早期に対応することが重要ですが、一方で、増え続けている小中学校の対象児童生徒が高校入学と同時に通級という拠点をうしなうことは、教育効果から考えても大変な損失だと思います。高校卒業時の進路決定に際しても、通級の果たす役割は大きくなるではないでしょうか。

 今年、ひびき高校、博多青松高校を拠点校とするモデル実施がされていますが、来年度からは本格実施となります。今後、どのような展開をされるおつもりかお答えください。

 

相原康人 高校教育課長

 中学生・保護者への周知ならびに本年度の研究成果や課題を踏まえ、生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた適切な指導方法や必要な支援策を構築し、小学校・中学校において通級による指導を受けていた生徒の学びの連続性を確保していきたいと考えております。

 

山口律子 委員

 「学びの連続性」を確保するためにも、ぜひ、現在の2校に加えて、通学しやすい範囲で通級教室を広げていただきたいと思います。また、これは、今後の課題ですが、私学の生徒についても「学びの連続性」を保障する必要があると考えます。私学助成の拡充で私学にも通級が設置されることが望ましいと思いますが、それが実施されるまでは、県立との交流なども視野に入れることを検討いただきたいと思います。すべての子どもたちに必要な学びの場が保障されるよう求め、質問を終わります。

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