● 18年10月04日 県議会報告

2018年10 月4日 2018年決算特別委員会 高瀬菜穂子委員質疑・答弁「高校の教職員の正規化と特別支援教育の充実について」 (大要)



<2018年決算特別委員会>

2018年10月4日

 

高校の教職員の正規化と特別支援教育の充実について(大要)

 

 

高瀬菜穂子 委員

 

日本共産党の高瀬菜穂子でございます。高校教職員の正規化と特別支援教育の充実についてお伺いいたします。私はこれまで、義務制学校の教員不足問題、非正規率を問題にし、正規採用を増やすよう求めてまいりました。義務性の都道府県別正規率を文科省が毎年発表しておりまして、本県はワースト1位とか2位とかいうことで大変厳しい状況です。高校については文科省は発表していませんけれども、学校基本調査における統計で、都道府県別の公立高校の教職員の正規率がでております。2017年度福岡県は76.0%で、神奈川に次いで全国2番目に低くなっております。公立高校も含めた数字ではありますけれども、本県の高校教育の質にかかわる教員の正規率でこれほど低いというのは問題だと思います。そこで本県、県立高校の本年度の定数、正規教職員数、再任用教職員数、及び正規率をお答えください。

 

松永一雄 教職員課長

 

本県県立学校、県立高校におけます本年度の教員定数は4,665人、正規教員数は4,155人、うち再任用教員数が334人、また、教員定数の標準に占める正規教員の割合は、89.1%でございまして、昨年度と比べて1.1ポイント上昇しているという状況にございます。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 昨年度に比べて、上昇しているということですが、89.1%という数字ですね。これには再任用教員が含まれているという今のお答えでした。先に示した統計では、再任用を非正規として扱っていますので、もし、再任用教員を非正規と扱えば、89%よりも下がるということになるかと思います。いずれにしても、90%よりも低いというのは、全国的に見ても低いと言わざるをえません。

高校教育の充実のためには、正規教員率を引き上げることは不可欠だと考えますが、今後の採用計画について明らかにしてください。

 

松永一雄 教職員課長

 

現在、正規教員の割合を改善するため、採用数を増やしてきている状況でございます。平成31年度の来年度の採用予定者数は171人。平成22年度と比べまして約4倍に増加をさせております。

生徒数の変動に伴います教員定数の増減、退職者数、再任用者数の見込みを勘案しながら引き続き正規教員の割合の向上を図ってまいりたいというふうに考えております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 是非、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

先の学校基本調査で、特に本県公立高校の非正規率が極めて高いのが実習助手です。2017年度で正規はわずかに34.7%となっておりまして、驚きました。同じ統計で全国平均が65.7%ですから、本県は突出して低い率になっております。県立高校における実習助手の実数と正規率について明らかにしてください。また、実習教員の定数配置についてご説明ください。

 

松永一雄 教職員課長

 

 県立高校におけます実習助手の定数は360人、正規職員数は147人、うち再任用者は11人、正規率は40.8%でございます。

 

高瀬菜穂子 委員

 

40.8%の正規率はやはり言い訳ができない低さだと思います。

その実習助手のうち、特に今回問題にしたいのは、理科の実習助手についてです。高校現場から、理科の正規の実習助手が少なく、薬品・備品の台帳整理などの業務に支障をきたす恐れがあると告発がありました。理科の実習助手の採用状況はどうなっているでしょうか。また、薬品・備品台帳整理などの仕事はだれが責任を持ち、どのように行われているのか、お尋ねします。

 

松永一雄 教職員課長

 

理科分野の実習助手についてでございます。理科分野につきましては、いわゆる高校定数標準法におきまして明確な位置付けがなされていない状況がございます。また工業や農業、水産といった専門教科に比べますと授業に占める実験実習の頻度が少ない。また、産業教育機器の整理といったものがないという状況がございまして、学校からの要望もあがってきていない状況がございます。

こうした状況を踏まえまして、近年の実習助手の採用につきましては、平成24年度以降、農業10名、工業11名、商業及び水産各1名の計23人を採用してきておりまして、この間、理科の実習助手の採用はしておりません。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 採用はされていないということですね。理科の実習助手の方からですね「あと10年もすれば、再任用含めても、正規は3人になる」というふうに言われました。薬品や備品の台帳整理は、実際には実習助手が行っており、そのノウハウがきちんと伝わっていかなければ、劇薬も含めた管理が適正に行われなくなるのではないかという心配の声をいただきました。

 新学習指導要領では理科の実習などが強調されております。ある普通高校の年間実験計画を見せていただいたんですが、現在でも、この学校では化学124時間、物理112時間、生物27時間、合計263時間、大変な実験数だなと思いました。これだけの実験実習を行うには、実習助手の存在が不可欠だと思いました。複数の理科の先生が実験をするのですから、どの薬品をどれだけ使ったかなどは、それを準備し、片付けも行う実習助手が実際には管理をしていると思います。その上で教師が点検確認しているのではないでしょうか。理科の授業を豊かにするためにもですね、そして安全性を確保するためにも、正規の理科実習助手の確保が必要だと考えますけれども、採用計画についてお尋ねします。

 

松永一雄 教職員課長

 

 先ほど、薬品等の管理につきましてご質問いただいて件に付きまして、答弁をもらしておりましたので合わせて答えさせていただきたいと思います。理科教育用薬品等の管理につきましては、理科の担当教諭を責任者と定めまして、薬品台帳への受払いの記入などを適切に行うよう指導徹底を図っております。また、県教育委員会といたしましても、毎年度、各学校のほうに出向き、その点検・確認を行っているところでございます。

続きまして、理科の実習助手の採用についてでございます。先ほどお答えしましたように、法令の位置づけ、あるいは実験・実習の占める割合等の加配をしまして、現在農業や工業などの専門教科を重点に採用をしているところでございます。今後とも退職者数や各学校の教育内容の実態などを踏まえた採用を行いまして、正規職員の確保に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

正規率の向上に取り組むということですので、現場からの声をしっかりと聞いていただきまして、理科についても正規率を上げるように求めたいと思います。

それから実習助手が部活動の指導を行うことはあると思いますが、部活の指導者を確保するために実習助手の枠を活用しているとの指摘を聞くことがあり、これについては是正すべきと考えますけれども、見解を伺います。

 

松永一雄 教職員課長

 

 実習助手に関しましても、競技の専門性を有するなど、学校長が部活動指導者として適当と認める場合には、教諭と同様部活動指導に従事しております。今後もそうした学校の判断につきましては、県教育委員会としても尊重してまいりたいというふうに考えております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 実習助手が部活動の指導をすることについては、否定はしません。しかし、実習助手としても専門の仕事に支障があってはならないと、本末転倒があってはならないと考えますので、この際、指摘をしておきたいと思います。

 

次に、県立高校における特別支援教育について伺います。今年から、通級指導教室が県立高校4校で始まりました。4校の生徒数と教員配置についてまず伺います。

 

井手優二 特別支援教育課長

 

 今年度の通級の生徒数は23人(年度当初)でございます。担当教員は教諭5人、非常勤講師10人を配置することとしております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

  当初、2校というふうにされていたのが4校に広げていただいて、23人の方が通っておられるということで大変うれしく思います。

小中学校の通級指導教室は、毎年その数も児童生徒数も増え続けておりまして、市町村からも大変な要望が上がってきております。ニーズは高まるばかりです。また、特別支援学級も増え続けており、こうした子どもたちの学習権の保障というのは重大な課題になっております。昨年度の中学3年生、つまり今年の新入生ですね。今年の新入生で通級指導教室に通っていた生徒数、特別支援学級に通っていた生徒数とそのうち高校に進学した生徒数を明らかにしてください。

 

井手優二 特別支援教育課長

 

 平成30年3月に中学校を卒業した生徒で、通級指導教室に通っていた生徒数は、147人でございます。そのうちの135人が高等学校に進学しております。

 また、特別支援学級に通っていた生徒数は、867人で、そのうちの404人が高等学校に進学しております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

  本年4月の高校入学者のうち、通級指導教室に通っていた生徒と特別支援学級に在籍していた生徒は、公立私立を合わせて、539人ということだと思います。539人ですね。県立高校への進学者も相当数にのぼると考えられますので、通級指導教室のさらなる充実をお願いするとともに、県立高校における特別支援教育の強化を進めていただきたいというふうに思います。相当数の子どもたちが、こうした支援の必要な子どもたちで、県立にも私立にも進学をしているということになると思います。専門性を持った教員の配置がまず望まれます。今後どのように特別支援教育を進めていかれるのか、お伺いします。

 

井手優二 特別支援教育課長

 

 現在、すべての県立高等学校におきまして、特別支援教育コーディネーターが指名され、特別支援教育に関する構内委員会が設置されるなど、校内体制の整備が進められております。

 また、県教育委員会では、通級担当教員や特別支援教育コーディネーターを対象とした研修会を実施しまして、特別支援教育に関する専門性の向上を図っております。

 今後も、高等学校のおける特別支援教育の推進体制の充実と、教員研修による専門性のさらなる向上に努めてまいります。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 県立高校における特別支援教育の充実と推進に期待をいたします。これまで特別な支援を必要とする生徒の受入は、私学に頼ってきたというのが実態だと思います。そのため私は、県立高校でも取り組みをすすめるよう、これまでも求めてまいりました。特別な支援を必要とする生徒に対する教育は、教育をより豊かに発展させる可能性をもっていると思います。

 障害者権利条約の批准、また障害者差別解消法の施行によりまして、幼・小・中・高・特別支援などの学校現場においても「合理的配慮つとめなければならない」とされております。通級指導教室をはじめとする特別支援教育について、しっかりと取り組んでいただくように重ねて要望をいたします。

 そのためにも専門の教員配置が不可欠でありまして、先に申し上げましたように、県立高校の教員の正規化これが大変重要だと思います。一層取り組んでいただきたいと思いますので、最後に副教育長の見解をお聞きしたいと思います。

 

吉田法稔 副教育長

 

 本県、県立高等学校の正規教員率の向上についてでございます。県教育委員会といたしましては、教員の大量退職期を迎える中、正規教員をしっかりと確保していく必要があると認識しております。

 今後とも、退職者数などの動向を踏まえ、計画的な採用を行うことによりまして、正規教員を確保し、全体の教員の正規率の向上を図ってまいりたいと考えております。

 

高瀬菜穂子 委員

 

 おわります。

 

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