● 16年12月12日 県議会報告

2016年12月12日 12月定例会 高瀬菜穂子議員一般質問・答弁 「教員不足と少人数学級について」「通級指導教室について」「定時制高校について」



2016年12月12日   12月定例会・高瀬菜穂子議員一般質問(大要)

 日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従い一般質問を行います。

<教員あ不足問題と少人数学級について>

 まず、教員不足問題と少人数学級についてです。本県の極めて深刻な教員不足は今年も続いており、担任がいない、産休代替や病休代替が来ないなど、学校運営に支障をきたしております。日本共産党県議団では、県下の小中特別支援学校のアンケート調査を実施しましたが、「担任が病休となり、代わりの先生も病休となり、その代わりの先生が来ていない」「病休代替がなぜ非常勤講師なのか、理解に苦しむ。」等々、厳しい実態とともに強い要求が出されました。このような事態を招いた県行政の責任は重く、これまでの教員採用のあり方について真摯な反省・総括が必要だということを指摘し、以下、教育長に質問します。
 まず、深刻な教員不足を招いている現状の中、来年度の学級数を見込んだ教員採用計画の考えについて明らかにしてください。
 教員不足に拍車をかけている本県の病休代替制度について、私は、昨年12月議会で「他県なみに常勤講師を配置すべき」と改善を求めました。教育長は「研究する」と答弁をされ、本年度中学校の病休代替については一部改善がなされました。しかし、今だ常勤講師配置にはなっていません。少なくとも小学校の担任については常勤にすべきだと考えます。今後、どのように改善されるおつもりか、合わせて答弁を求めます。
本議会には、県民的要求となっている「35人以下学級」「私学助成の拡充」等を求める教育署名あわせて21万筆が提出されています。少人数学級については、全教調査によると、長野県・福井県・鳥取県などで編制基準そのものを全学年で35人以下にしているほか、秋田県が全学年で30人程度、その他多くの県で、独自予算をつけながら、また条件をつけながら少人数学級拡大の方向に踏み出しており、本県は国基準並みで最低レベルです。多忙化、早期退職、病休、教師不足の悪循環に陥っている本県でこそ、計画的に少人数学級に踏み出すべきだと考えます。教育長の答弁を求めます。

【城戸秀明 教育長答弁】

来年度の教員採用計画について

 教員採用については、退職者数や再任者数の推移、児童生徒数や学級数の増減、また、近年増加傾向にある特別支援学級の動向等を総合的に勘案して、採用予定者数を決定しております。
 来年度の採用計画についても、これらの要素を踏まえ決定してまいります。

病気休暇の代替措置について

 病気休暇が二週間以上に及ぶ場合は、非常勤講師の配置を行っており、本年度からは、中学校については、その配当授業時数を拡大しております。また、これまでも、学校の実情から、特に必要な場合には常勤講師の措置をしております。
 今後も病気休暇者の代替措置について検討してまいりたいと考えております。

少人数学級への取り組みについて

 本県の小人数学級については、国の加配定数等を活用することで、市町村の判断によって少人数学級が実施できるようにしております。
 本県教育委員会といたしましては、今後とも国に対して定数改善を要望してまいります。

<通級指導教室について>

 次に、通級指導教室についてです。通級指導教室はこの10年で急激に増えており、利用者は、本年5月1日現在で、155校、229教室で2,754人に上っています。それでも、希望者のニーズにこたえられず、3年間だけと制限をかけたり、1人の先生が多数の子どもを受け持たざるをえない状況です。小倉北区の教室に門司区からも八幡東区からも通ってきており、保護者が送り迎えしなければ利用できない状況は依然として変わっていません。
 通級指導教室は、弱視、難聴、情緒などの障害別に個別指導を行い、また同時に保護者にも個別指導を行えることから、能力を引き出したり、落ち着きを取り戻すなど大きな効果を生み出しています。普通学級でトラブルが起こった際には担任と相談するなど子どもと保護者と教師を結ぶ重要な役割を果たしているのが通級指導教室担当の教師で、専門性を持った教師の育成とともに教室自体を増やすことが喫緊の課題だと考えます。そこで伺います。
 市町村から多くの要望が上がっていると思います。通級指導教室の要望を調査するとともに、通学区域を踏まえた整備計画をたて、教室を抜本的に増やすべきだと考えます。
 「生徒10 名に教師1 人」が目安と聞いていますが、国の基準がないため、1人で20 人近くの生徒を受け持つこともあります。また、教師の育成のためには複数配置も求められます。国が明確な基準をつくり、必要な教師を国の責任で配置するよう強く求めるべきだと考えますが、教育長の見解をお聞かせください。
 今後教室が増えても、依然として保護者の送り迎えの条件がなければ、教室に通わせることができないという状況は教育の機会均等の観点からも見過ごせません。行政として、保護者の負担軽減のための手立てについて、具体的にお示しください。

【城戸秀明 教育長答弁】

通級指導教室の教員配置について

 通級指導担当教員につきましては、市町村からの要望を踏まえ、国の加配定数に基づいて配置しております。今後は、通級指導に対するニーズの高まりに対応していくため、担当教員定数については基礎定数化を図るよう、様々な機会を通じて国に対して要望を行ってまいります。

通級指導における保護者負担の軽減について

 現在本県においては、対象となる児童生徒が通級指導教室のある学校まで移動して指導を受ける「他行通級」が一般的でありますが、教員がそれぞれの学校に移動して児童生徒を指導する「教員巡回型」も一部で導入されており、保護者の負担軽減や学校間の緊密な連携等が図られております。一方で学校の状況によっては、教員の負担が増し、指導できる時間に影響が生ずることも懸念されます。
 県教育委員会といたしましては、市町村教育委員会に対し、教員巡回型による通級指導の形態等について周知し、保護者負担の軽減や各地域の実態等を踏まえた適切な通級指導の実施を促してまいります。

<定時制高校について>

 最後に、夜間定時制高校について伺います。
 本議会に県立嘉穂高校定時制の募集停止について、その説明会の開催と存続を求める請願が出されています。請願者は、定時制高校の卒業生で現在は県内で働く若者です。定時制高校の温かい励ましの中で成長できたとの感謝と誇りを持っているからこその請願であると考えます。県教委は、伝統ある学校の閉課程の際、地域住民や卒業生を対象とした説明会さえ開いていないのでしょうか。まず、お尋ねします。
 1999年の「県立高等学校再編整備基本計画」で定時制は各学区に1校との方針が出され、全県で定時制高校の閉課程が相次ぎました。私の住む門司・小倉南北・戸畑には、かつて5校の夜間定時制高校がありましたが、現在は小倉南1校のみです。そのため、クラス数も増えて1学年3クラスになっていますが、それでも遠くからは通えないので、はじめから選択肢にならない地域もあります。
 現在の定時制高校生徒の不登校経験者は、全国でも本県でも3割に上り、発達障害のある生徒の受け皿にもなっています。また、本県における20 歳以上の生徒数は186 人もおり、うち51 歳以上が13 人です。不登校や発達障害など困難を持つ生徒やもう一度学び直したいという方々の学習の場として重要な役割を担っていると思いますが、教育長の認識を伺います。
 昨年9月議会で、私は私立立花高校の取り組みを紹介しました。さまざまな困難を抱えている生徒をすべて受け入れ、寄り添いながら可能性を引き出す、まさに教育の原点を見るような実践で、本議会でもたびたび取り上げられました。これに比して、定時制高校では、定員内不合格が今年度も56名もいます。この生徒たちはどこに学びの場を求めるのでしょうか。子どもの貧困が大問題になっている中、家庭的な困難を持っていたり、ハンディを持っていたり、人間関係でつまづいたり、心が荒れていたり、そんな生徒たちを受け入れる学びの砦として今ある定時制高校を充実させる時ではないでしょうか。選別するのではなく丸ごと受け入れ、可能性を引き出すことこそ教育の仕事です。特別支援の専門教師やカウンセラーなども配置すれば、障害手帳を持たないボーダーの子どもたちも含め、進路保障の一つになると考えます。県教審答申から17年たっています。定時制高校の閉課程を見直し、充実・増設の方向へ検討すべきと考えます。教育長の答弁を求め、質問を終わります。

【城戸秀明 教育長答弁】

夜間定時制の募集停止の際の地域住民や卒業生に対する説明会について

 今回の嘉穂高校定時制の募集停止の際には、学校長から地域の中学校、同窓会、在校生や保護者などへ、丁寧な説明を行ってまいりました。
その説明に対しましては、大方の関係者の理解が得られたものと承知しております。

夜間定時制が担う役割の認識について

 夜間定時制は、勤労青少年に就学の機会を提供する場であるとともに、高校の中途退学者など、様々な学習ニーズや生活実態を持つ生徒が多く入学しており、多様化した生徒の学習の場としての役割も担っていると認識しております。

夜間定時制の閉課程の見直し等の検討について

 夜間定時制ついては、志願者数が減少するなか、より充実した教育を実施するため集約化・重点化を図るという県立高等学校再編整備基本計画の考え方を踏まえつつ、生徒の通学状況等も考慮のうえ、そのあり方を見直してきたところであります。
 今後とも、夜間定時制の役割を十分に考慮しながら、就学機会を確保できるよう対応してまいりたいと考えております。

<再質問>

 教育長に要望をいたします。
 少人数学級について、教育長の答弁は、これまでと同じ、国に要望することと、加配定数の弾力的運用でした。しかし、多くの自治体で、たとえば、35人以上のクラスが複数の場合など細かな条件をつけて、40人ぎりぎりのクラスをなくす努力をしています。本県でも、単学級で35人以上の場合、35人以上が複数の場合など、35人以下にするための県単配置を検討すべきだと考えます。真摯な検討を要望します。
 夜間定時制について、十分な説明がなされたとの答弁ですが、十分ではないから、このような請願が出されたのではありませんか。本県の定時制高校は全国的に見ても、人口比で37位と下位であり、また、未就学者や在日外国人が多いにもかかわらず、夜間中学さえもつくってきませんでした。今、夜間定時制はなくすのではなく、生かすときだということを強調し、質問を終わります。

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